優等生賞金稼ぎ 指名手配される。   作:亡霊中年

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袋小路

「親方!まだやってる?」

 できるだけ陽気に言ってみた。

「ぶっ殺す!」

「俺は、生け捕り限定だぞ!」

 入ってそうそう、殴りかかってくるやつがいた。こちらとしても準備していたのでありがたい。即座に、躱して入り口の扉にナイフで磔にする。血が出てて痛そうだ。

「おかしいね?13番街に隠れているから、3番街へ向かったって伝えるように言われたんだけど」

 元仕事仲間がにやにやしながら聞いてくる。

「良い仕事っぷりだ。信用した甲斐があった」

「うそつき」

「しょうがないだろ。3番街から出ようとしていたから、そっちに来られたらこまるんだよ」

 本当は5番街だ。

 目の前の女はしっかり裏切ってくれたようだ。お陰様で仕事がやりやすい。

「それで、ここに来たのはなんで?」

「ここなら、匿ってくれると思って」

 クスリと笑われた。互いにそんなわけがないと思っている。

「5億の首を逃す人がいると思うの?」

「ここの連中に俺を生け捕りは無理だろ」

 事実だ。最悪の場合、自殺する。

「必要ないよ。殺しても同じ額が手に入る」

「手配書をよく見ろ、殺したら同じ額の懸賞金が自分にかかるぞ」

「あなた、知らないの?犯罪者ギルドもあなたに懸賞金をかけたこと」

「…」

 これはまずい。計画が狂ってきた。犯罪者との同盟か革命軍との連携を考えていたのに。

「もう一つ教えてあげる。あなたに懸賞金をかけたのは革命軍にすら人気の聖女様だから、もう誰も助けるものはいない」

「嘘だろ…」

 革命軍すら可能性が薄いのか?なんで、聖女が俺に戦争を仕掛けるんだ?

「あなた、一体何をしたの?」

 女が愉快そうに笑う。

「知らん。顔すら」

「おとなしく、お縄につけば聖女様に理由を聞けるかもよ?」

「断頭台で?」

 さらに笑う。

「恥ずかしいなら、引き渡すときに私が聞いといてあげようか?」

 まずい、この女が冗談を言い始めるのは、話を終わらせるつもりがあるときだ。

「取引しないか?」

「例えば?」

「五億以上の金をお前ら全員にやろう」

「へえ、さっきの人数見なかったの?全員分用意するには1000億くらい必要なのに」

「だからこそ、生涯にわたって安全だ」

「債務者の発想ね。あなたはもうバウンティを稼げないじゃない」

「賞金首をここへ届ける。お前たちが政府に差し出して、お前たちで配分すれば問題ないだろう」

 女が手を挙げた。周りでおとなしくしていた連中がやる気を見せ始める。

「一理しかない話には乗らないよ、人数が多ければ多いほどそんな約束は守れなくなる。そんなのよりも、聖女様とのコネや、第一級の犯罪者とのコネの方がよっぽど大事」

「殺せば、同じ額がかかるから、次はお前らが差し出されるぞ」

「あなたほど嫌われてはいないのよ」

 一理ある。5億を簡単に稼げる裏切れない人間が味方になると言ったら、力を求める勢力ならばうなずくだろう。因縁さえなければ。

 さて、部屋の中には13人で、戦えそうなのは9人くらいか。ちょうど、道具の準備ができたところだ。

「ところで俺を捕まえて、ああ、殺してもいいが、誰が5億円を分配するんだ?」

「あなたの首を拾った人間に決まっているじゃない」

「ちょっと違うな、引き渡すときまで俺の首を持っていた人間の間違いだろう?」

 頭の回らなさそうなやつらの表情が少しだけ変わった。俺を殺して終わりではないってことにはあまり頭が回っていなかったらしい。

「そう考えたら、情報屋風情のお前なんて一番不利だろ」

「そういうことは、この人数を倒してから同じことを言って!」

 周りの連中が一斉に動き始める。一直線に走ってくるものや、モノを投げるもの、凶器を構えるものもいた。

 僅か10数人の酒場はさっきよりも盛り上がっていた。

 

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