サバゲる馴染み!(完結)   作:ハヤモ

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駄文更新。 上手く書けない……。
一応の終わりへ。


他力本願と やっと気付いた想い。

 

赤チームに移籍した頃は夕方。

夕陽に染まるフィールドは美しく、儚い。

ゲームをここまで続けていると、みんな体力が無くなってスタートダッシュも遅くなる。

銃口も思っていた程上がってなくて、地面に撃っているなんて しばしば だ。

俺も、その段階まで落ちているのだが……スーツ野郎を倒すまで止まれない。

して、やられるワケにはいかない。

幸い赤チームにも優秀なゲーマーが多く、米軍兵風のチームが生き延びて押していく。

俺は随伴。

あわよくば、このままスーツを倒してくれるとありがたい。

などと楽観していた時期が俺にもありました。

 

 

「くっ! スーツが邪魔だな!」

 

 

そう。 6人の米軍兵風グループは、当のスーツ野郎に手をこまねいていたのだ。

くっ。 さっさと倒してくれれば良いものを。

そうは問屋がおろさないってか。

先程から米軍兵が少し顔を覗き込もうものなら、速射される。

米軍兵側も分かっているらしく、直ぐに顔を引っ込ませて回避。

その隙に別の仲間がバースト射撃。

3発は、ほぼスーツの頭が"あった空間"へと吸い込まれては消えていく。

 

 

「ヤツめ。 片手撃ちの速射なのに、なんていうグルーピングだ」

 

「顔を出すタイミングは単調にならないように気を付けろ。 予測射撃されるぞ」

 

 

とか言いつつも、兵士の皆さんも似たような事をしているんだよね。

スーツの隠れ場所は同じだから、予め銃口を向けつつ、"顔を出す前に撃っている"。

距離が空いているので、見えてから撃ってはBB弾を肉眼で確認、回避されてしまうからだ。

サバゲーでは珍しい話ではない。

弾は見える時は見えるのだ。

その為、顔を出すと思われるタイミングを狙って発砲している。

だがスーツ野郎も馬鹿ではない。

単調な、一定間隔ではない、不規則な動きで攻撃してくる。

それも兵士のように銃口を予め向けているワケでもなし、一瞬だけ銃口を出して撃ってくる。

それなのに"確実に当たる"ような弾道を描いて飛んで来るから恐ろしい。

なんという主人公補正。

何とかなりませんかね?

 

 

『こちら側面に潜伏中。 状況どうか?』

 

 

ここで無線音。

側面にいる味方からだ。

黄色チームは、これにより殆どを撃滅されている。

先程も それで撃滅されていたのに、懲りずに"また"やられてしまったらしい。

赤に寝返っている身としては、ありがたい話なのだけれど。

兵士のひとり……リーダー格が無線機を取ると、冷静な声で応答する。

 

 

「良くない。 スーツ野郎が陣取っていてな、中々の手慣れだ。 進めない」

 

「了解。 此方で対応する。 このまま側面から進軍、脇腹を突く」

 

「頼む。 よし、それまで囮になるぞ」

 

 

そう言うと、フルオートでスーツ野郎の隠れているだろう山に撃ちまくる。

砂埃が舞に舞、局地的砂嵐を巻き起こす。

俺も黙りっぱなしはアレなので、一緒に撃ってやる。

敵が見えてりゃ怖いが、見えなきゃ撃てる。

それに多勢に無勢。

俺は強そうな方に付く。

ナニもおかしくないでしょ?

して、スーツを倒して姫を救うんだよ。

 

 

「ヒットー!」

 

 

よし。 側面を突いたヤツの声が響いた。

これで勝った。 サバゲる馴染みを救った完!

うん?

あれ、ダメだよね。

無線持ちの声って事は、味方がやられたんだよね。

 

 

「応答しろ……ダメか」

 

「ダメみたいですね」

 

 

味方が喰われた……!

おのれ悪のスーツ。

そうまでして馴染みを渡したくないかそうなのか。

こうなれば俺が吶喊して奪還しなければならないな。

 

 

「俺が行きます! カバー!」

 

 

遮蔽物から飛び出して突っ込む自殺行為をする俺。

例え刺し違えてもスーツは許さない。

敵討ちじゃ!

して、馴染みに良いところを見せたいというのもある。

俺は走る。

今なら、スーツは側面の対応からの切り替えで隙があるハズ。

イける……!

俺は勇猛果敢にも山を越えた。

スーツが驚いて……銃口を向けてきた。

だが俺の方が早い!

 

して、側面から飛んで来た弾には……気がつかなかった。

 

 

「貰っ……痛っ!?」

 

 

ビジバシバシバシバシッ!

 

連続でこめかみ や横腹を殴られたような痛みに襲われた。

 

 

「ヒットだよくそッ」

 

 

思わず悪態をつきながら犯人を見やる。

 

冷酷な目を向けた幼馴染だった。

優希……お前も敵だったか……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セーフティーゾーンから、シューティングレンジの方を ぼんやりと見やる。

そこではイチャつくスーツと馴染みの姿が。

距離が近い。

でも、もうイラッと来ない。

諦観しているのだ。

ああ、勝ったら俺がスーツの位置に立っていたのかな……と。

 

 

「……あああ」

 

 

ズーンと顔を下にしつつ、結果を脳内で復唱。

スーツと優希は最後まで生き延びた。

そしてチームは負けた。

かのキッコ……モ●ゾースナイパーが"また"敵中突破し、フラッグを取った為である。

赤チームも懲りない……いや、俺もか。

へへッ、俺みたいな嫉妬しちゃう男なんかよりイケメン君の方が……美人の優希も良いもんね、へへッ。

 

 

「隼人」

 

 

とか落ち込んでいたら、声を掛けられた。

見上げれば優希。

いつの間に来たの?

 

 

「何を落ち込んでいる」

 

「優希に撃たれたから?」

 

「敵なんだから、撃つだろう」

 

「そうじゃなくて……いや。 何でもない」

 

「?」

 

 

首を傾げられた。

そうだよな。

優希には分からないよな、この想い。

 

 

「スーツの人と遊んでなよ。 俺とより楽しいだろう」

 

「いや、彼は もう帰るらしいからな」

 

 

へ?

夜まで一緒にいて、チョメチョメする話じゃないの?

 

 

「隼人。 ナニを勘違いしているか知らないが、わ、私は……私の相棒は隼人だ。 何度も言わせるな」

 

 

…………おぅ?

その言葉と真意を考えて理解して、飲み込むのに時間が掛かって……ようやく。

 

 

「お、おぅ!?」

 

 

赤くなって、ようやく返事をした。

この先も きっと、馴染みとサバゲるんだろうなと感じつつ、な。

 

サバゲでのバトルで、何を求めますか?

  • 大人数による大乱闘!
  • 少人数でタクティカル!

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