味方がやられて、生き残りが自分や数名だけ……絶望的だけど、ひょっとしたら こんな事も?
サバゲーの基本ルールは、二手に別れてのフラッグ戦と呼ばれるものだ。
フラッグとは旗の事。 場所によっては旗ではなく押しボタンだったりする。
行きつけのフィールドは、押しボタン式だ。
これらは大抵スタート地点に置かれる。
して、これを敵に取られたら負けという事だ。
逆に此方は相手のスタート地点にある旗(ボタン)をやれば良い。
その為殲滅する必要はないが、攻守両方が必要になってくる。
押していたのに、守りがガバガバで負けるというのは珍しくない。
故に、スタート地点からあまり動かず、こもって守る者も必要だ。
「最前線が怖いなら、共に陣地を守ろうか」
そう優希に言われて、安全であろう後方任務にホイホイ従事したのが運の尽きか。
次には味方が撃ち負けて、段々と赤の波が押し寄せて……気が付いたら囲まれていた。
濃い弾幕に晒されてます。 誰か助けて。
「おいいいいい!? 後方は安全じゃなかったのかよ!?」
周囲に無数の弾が着弾、土埃をあげまくっている。
もう怖い! 赤い津波(レッドチーム)が声を張り上げながらフルオートを浴びせてくるこの状況!
「誰も後方が安全だなんて言っていない。 前線の味方が全滅すれば、全ての敵が押し寄せてくる。 そうなれば、我々が最後の砦だ。 希望はないが」
「救いは無いんですか!?」
「無いな。 戦力差が酷過ぎる。 後で調整が入るだろうが、今は諦めろ」
そう言って、優希は89式を"レ"に合わせた。 弾倉も1度引き抜いて数回振り、中身をジャラジャラさせる。
次にプレートキャリアにある弾倉を確認。 やる気ですかお嬢さん?
「だが、1人くらい道連れにしたい───フルオートだ! 弾幕を張って1秒でも生き延びる!」
そう言うと、遮蔽物から出てはフルオート。
吶喊してきた敵を纏めて屠り、残りは少し怯み、立っているパレットの裏に隠れる。
おっ、これは守り切れるか?
と思ったら背後からゾロゾロと敵がやってくる。
ナニこの耐久。
私服と思われる敵も混ざっているから、俺と同じようなルーキーか。
でも絶望的なんですがそれは。
だって新兵だろうと銃の数は その分増えてる訳で。
心なしか弾幕も薄くなるどころか濃くなっていく。
もうヤダ、お兄さんセーフティに帰りたい。
「当たってないけど、ヒットコールして退場したいんだけど!?」
「許可出来ない。 敵前逃亡は銃殺される」
「どっちにしろ撃たれるんかい」
もうヤケだ。
優希に倣って俺も撃つ。
遮蔽物から銃だけ出して撃ち返そうとしたら、
「この戦場の規則で、ブラインドファイヤはダメだ」
優希に言われた。
「ブラインドファイヤ?」
「遮蔽物から銃身のみを出して撃つやり方だ。 根暗撃ち、ゲリラ撃ちという人もいるがな。 このやり方は味方を誤射したりゾンビ行為の原因になるから、禁止」
「そうなのか」
「怖いだろうが、勇気を持って"ちゃんと見て"撃つように」
「イエスマム」
仕方ない……真面目に撃つか。
そう思い、優希と同じように……前に教えて貰った撃ち方で、フルオートで撃ち返す。
すると制限時間に焦って吶喊してきた敵をひとり倒した!
お、おお……快感。
初めて倒したぞ!
なんだこの高揚感……達成感!
なんだかイけそうな気がする!
「ふっ。 トリガーハッピーか」
なんか横で言われたが、気にせず撃ち続ける。 敵は弾幕の所為で寄って来ない!
そうこうしている内に、敵陣地から『ビーッ!』と電子音。
なんだ?
それに答えるのはスタッフと優希。
「はーい! 黄色チームの勝利でーす!」
「へ? 勝ったの?」
「そのようだな」
そういうと、敵味方問わず銃の構えを解いていく面々。
マガジンを抜いて、セミオートで銃身に残った弾を抜いている者も。
だが敵から「えぇ?」とか「マジかよ」とか聞こえてきた。
「どうやら味方にステルスしたヤツがいたようだ」
「ステルス?」
「単騎か知らんがな。 隠れて敵の波をやり過ごしたようだ。 その後で自力で敵中突破、守備がいたなら交戦の末に勝ち、フラッグ……ボタンを押したのだ」
それは……何という●ネーク。
勇気あるなぁ。
隠れている間や突破する時の緊張を思うと、称賛したい。
「このような事もあるんだよ。 守っていて良かったろう?」
俺は頷いた。
希望とは、見えぬところにもある。
最後まで足掻く。
それが無駄じゃない事を知って……俺は何故か嬉しくなった。
続くか未定
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