良い感想お待ちしています!!
春が過ぎ、夏が来た。
俺は青春高校2年A組の滝沢英太。ごく普通の高校生。顔はまぁー以外とイケメンだとは思っているが今はどうでもいい。問題は高校の名前だ。青春高校はその名の通り、青春、いわゆる恋をしたいと思っている奴らが来る高校だ。学校の授業も行事も全て恋愛ばかりで埋め尽くされている。
だとしてもなんだ!なぜ、堂々と「青春高校」なんて高校の名前にしたんだ。この名を作った奴はバカなのか!それとも、そうとう「青春」の2文字に黒歴史を抱えているのか。というか、青春は密かにやるものでは無いのか!なぜ、青春が主になる学校なんて作るんだ。
俺は父さんの事があって、この学校に進学することになってもう1年がたった。でも、俺はまだ彼女がいない。それすら女子の友達もいない。これからの人生が少し不安だ。
✕ ✕ ✕
「お兄ちゃん。お兄ちゃんてば」
「どうした菜々香」
俺は妹に起こされ静かに起きる。そう、俺には自慢の妹がいる。
「お兄ちゃん。学校の時間大丈夫?」
「時間?ん~~?」
俺は目をこすって、時間をみた。
「イャーーーーーー!!」
俺は急いで着替えてパンを加えて家を出た。
「ヤバいヤバい。遅刻する~」
俺は今年最大のダッシュをしていた。その時
ドカン!!
俺は誰かとぶつかった。まるでよくある漫画のように。
「いてててて。あのぉ、すいません。大丈夫ですか?」
「あ、すいません。大丈夫です」
顔があまり見えなかったけどすぐ、その人は去っていった。
なんとか授業には間に合った。そして5時間目が終わり次は学活だ!学活は楽だからいいなぁ~。そんな気持ちでいた。この時俺はこの後の悲劇は知らなかった。
「はーい!みんな座れー」
「みんなぁー。夏と言えばなんだ」
独身の先生。そう、俺らの担任の今谷水葉先生だ。てか急に「夏といえば」とか。ここは学園クイズかよ。
ちょっと待て。なんか嫌な感がする。
そしてそれは当たった。
「そう!夏休みだ」
でたーーーーーー!今の今まで忘れてた。そうえばあと3日くらいで夏休みだった!
みんなの夏休みといえば、恋愛や家族旅行などで良い休みかもしれない!だが、俺の夏休みは違う。毎日家でゴロゴロしたりゲームしたりするけど、暇で暇で一周回って地獄なのだ。もちろん一緒に遊ぶ女なんかいない。人生は疲れるなぁー。
✕ ✕ ✕
涼しく気持ちの良い風。綺麗な景色。鳴り止まないセミの声。夏休みだなぁーー。俺は1人寂しく個室でそんなことを言っている。
「今日もまたゲームざんまいか」
「お兄ちゃん~。アイス買って来てくんない」
「自分で行けよ」
「嫌だよ。暑いし、お兄ちゃんいつも暇だし」
俺も好きでこんな暇な人生をやってる訳じゃ。
「わかったよ」
「いやった~」
妹は万円の笑みを浮かべている。こいつどんだけ兄貴利用してんだよ。
「久しぶりの外だな~。でも、周りを見渡す限りリア充ばっかだな」
「さっさとアイス買って帰るか」
俺はナマケモノ以上なまけているかもしれない。
俺はアイスを2個買ってすぐさま帰った。
「菜々香~。アイス買って来たぞ」
「はーい」
俺は菜々香にアイスを渡す。
「お兄ちゃんセンスなーい」
「何がだよ」
「何がって。味のセンスだよ」
「何がダメなんだよ」
「だって、焼きそば味のガリガリ君なんて誰も買わないよ」
「そうか。美味しそうじゃん」
「お兄ちゃんキモイ」
グサッ!
「もうお兄ちゃんには頼まない」
グサッ。オゴォォ。オェェ。
「菜々香。言い過ぎじゃないか。お兄ちゃん泣きそうだよ」
「だってお兄ちゃんが悪いもん」
俺は心が折れかけている。ていうか、折れている。初めて妹にこんなにしばかれた気がした。こいつ悪魔だ!怖い。怖すぎる。あと怖い。
「次からは気おつけるからそんなことは言わないでくれ」
「ん~~。分かった」
「ありがとうございます菜々香さん」
俺は涙目になった。やっぱり俺の妹は怖いけど、いい妹だ!
✕ ✕ ✕
こうして夏休みが終わり登校日が来た。
俺はいつもの様にゆっくり夏の風を浴びながら登校している。
「はぁ~~。早く彼女が欲しい」
それも巨乳で美人の彼女がいいなんてことは胸に閉まっておいた。
教室に入り席に着いたら先生が何か嬉しそうにみんなを席に座らせた。
「はーい、みんな聞いてくれ。今日から転校生がくる」
「転校生か~。珍しいな」
「どうぞ入って」
ガラガラガラ!
扉が開いて入って来たのは、髪は赤色のロングヘア。赤い瞳。透きとーる肌。でも、こいつどっかで見たような?
「神崎彩月です。これからよろしくお願いします」
その可愛らしい顔に男子はみんな、みとれていた。そして神崎は俺の隣の席だった。一応あいさつはしておこうと思い声をかけた。
「これからよろしくね」
「よろしく。でもあまり話しかけないでくれるかしら」
この時の神崎の目は「次話したら殺す」的な目だった。いや、本当だよ。マジで。俺は恐怖でそれ以上喋れなかった。神様、やっぱ可愛いやつほど性格が怖いというのは間違っていなかったよ。女子怖い。俺はいつもと変わらない日常へと戻ったのだった。
キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン。
「はぁーー。帰るか」
俺は部活に入って居ないため授業が終わるとすぐさま妹の元へ、俺たちの住まいの元へ帰る予定だった。でも、廊下で珍しい部活のチラシをみた。
「なんだこの部活。この学校にこんなのあったか?」
だが、部活名が書いてない。部活に部活名取ったら何がのこんだよ。
帰ってもゲームばかりでつまらないので、1度行ってみることにした。部室らしきとこに着くとそこはまだ使われていない特別棟の部屋だった。
「失礼しまーす」
俺は思い切って扉を開いた。そこにいたのは、椅子に座って窓をみて、夕日に照らされている神崎だった。
「し、失礼しました」
なんであいつがここにいるんだよ。しかも1人って。もしかしてここに来たやつみんな食べちゃったとか。
「何の用ですか?」
このまま逃げるのは失礼なので再び扉を開いた。
「あ、あなたは隣の席の…………。もしかしてあなたは私のストーカーなの?」
「なんでそうなんだよ」
こいつ頭どんだけおかしいんだよ。
「で、何の用かしら。話があるなら早くお願いね」
「いや別に、どんな部活なのかなって」
「もしかしてあなたあのチラシを見て来たの?」
「まぁーそうだが」
「そう。ならここが何部なのか教えてあげるから入って」
「いや俺今、部室入ったら死んでしまう病が出てしまったのでここで聞く」
「なら1度死んで話しましょ」
いや死んだら話せねーし。ていうか、怖。何こいつ悪魔。それともバンパイアとかなんかなの。恐怖を感じながら一歩づつ部室へ入った。
「で、ここはなんの部活なんだ?」
「いったんそこは置いといて、あなた今彼女はいるの?」
何これ。急展開なんだけど。俺やっぱもてちゃってる系!
「いや、今は居ないけど」
ここであえて「今は」を強調していうことによって女に安心感を与える。これが俺、滝沢英太の女子を安心させる青春法だ!
「そう。だと思ったわ。あなた人に好かれるような男子には見えないもんね。」
ムカ。こいつアニメだったら即悪役決定だ!俺の期待返せ。
「お前はどうなんだよ」
「あら。お前呼ばわりは失礼じゃないかしら。神崎さんと呼びなさい」
俺は今とことんこいつを軽蔑した。こいついつか後悔させてやる。
「神崎さんはどうなんですか」
「私は付き合っていないわよ」
やっぱりか。こいつは性格が悪すぎて誰も近寄って来られないレベルにやばいからな。
「なぜ、付き合えないか教えてやろうか?」
「何を言っているのかしら?私は付き合えないじゃなくて付き合わないのよ」
「お前は負けず嫌いかよ」
「だって私、告白された回数53回。ふった回数53回なのよ。ちなみに告ったことはないから」
「げ。な、なんだその数。てか告られた回数数えてんのかよ。しかも全部ふるとか、どんだけいい男子いなかったんだよ」
ふられた53人可哀想だな。
「あなたは。どんなのかしら」
「お、俺は…言いたくねぇ」
「あなた女子に言わしといて言わないなんてクズの領域を超えてヘタレね」
「わ、わかったよ」
「えーと、俺は告白した回数12回。ふられた回数9回。話を変えられた回数1回。それと、聞こえなかったフリで無視された回数2回。告白された回数……0回」
あーーーーーーーーーーー。こんな黒歴史誰にも言いたくなかったのに。てかあまりにも黒歴史すぎて俺も回数覚えてたし。改めて自分がむなしくかんじたよ。
「あ、あなたといると二度と恋なんか出来なさそうに感じるのは私だけなのかしら?」
このクソビッチが。今にもシバキ回したい気分だよ。
「そんなことはどうでもいいんだよ。結局この部活は何部なんだよ?」
「そうね。あなた恋愛って簡単に出来ると思う?」
「そうだな~。考えたことは無いけどみんながみんな簡単にできるとは思わない」
そうえば、俺が最後に恋をしたのは4年前くらいか。それ以降、恋が嫌になった。ていうか、こうやって妹以外の女子と話すのもめちゃくちゃ久しぶりな気が……
「それがなんだよ」
「あなたのいう通り、誰しもが簡単にできるとはいえない。そして誰しもが恋に悩んでいる。運命の赤い糸なんてごく一部の人にしかおとずれない。ある人はその運命に報われず死を選ぶ人もいる」
この時の神崎の顔は少し怯えているように感じた。
「つまり何が言いたいんだよ」
「この部活はそんな恋する人達の力になってあげる、そんな部活なの。名付けて
青・春・相・談・部」
「………」
「どうしたの?」
「いやめっちゃシンプルな名前だなって思って」
こんなにシンプルな部活世界で初なんじゃね。俺この部活、嫌だわ。
「そうえばあなた名前なんっていうの?」
「た、滝沢英太」
「そう。滝沢くん。これだけは覚えてなさい。シンプルisベスト」
神崎は「私今スゲーいい事言ったよね」的な感じでキメ顔で言ってきた。
うん。もうこいつとは関わらないでおこう。とてもイラッと来たので話を切るように俺は立ち上がった。
「話はだいたい分かったのでもうこれで失礼しまーす」
俺は立ち去ろうとする。だが、神崎は俺を引き止める。
「ちょっと待ちなさい」
「なんだよ」
「部員が1人だとつまらないから、滝沢くんあなた、ここの部…」
神崎は人差し指を合わせて照れながら何かを言おうとしている。でもここから言うことは大体わかる。だが俺は怯まない。
「だ、だからそのここの部」
「断ります」
俺はスパッと言い切ってまた立ち去ろうとした。でも
「ちょっと待ちなさい。断ったらどうなるか、分かっていのかしら」
神崎は今にでも殴る気満々の体勢で俺を睨んでいた。思わず喉ちんこが裂けそうな勢いで「イャャャャャャャャャーー」って言いたくなるくらい怖い。こいつ本当に人間?悪魔にしか見えん。
「こ、断ったらど、どうなるんですか」
俺は恐怖でまともに声が出せない。
「今からあなたを気が済むまで地獄の底に落として、それから明日全クラスにあなたが私のストーカーをして、急に襲いかかってきて、わいせつ行為したといいふらすわ。でも、それはそれで楽しいかもね」
「お前最低だな」
そんなことされたら死を選んじまうだろ。
✕ ✕ ✕
そんなことで俺は今日から青春相談部の一員となった。
「はぁ~。なんで俺があんな部活に入んなきゃ行けないんだよ」
俺は空を見上げて神崎のことを思い出す。
「やっぱりあいつどこかで見た事ある気がするんだよなぁ~。でもあいつ顔はいいのに性格鬼すぎるだろ」
この時俺は後ろにヤバい気配を感じた。
「だ~れ~が~鬼だって。滝沢く~ん」
ビクッ!ヤバいヤバい。俺は恐る恐る後ろを向いた。
「あ、ギァァァァァァァーーーー」
「ねぇ滝沢くん。もう1回聞いとくね。誰が鬼だって?」
「えっ、あ、そ、その。ほ、本当に鬼がいたら怖いなーって」
「ほんとにそうかしら」
顔が怖いよ神崎さん。俺今日で死ぬのかな~。
「か、神崎さんはなんの用でしゅか」
ヤバい。震えが止まらない。思わず噛んでしまった。死ぬ前に妹に遺書を残しておきたかったな、なんて考えるくらい怖い。
「何をそんなに怯えているのかしら。た~き~ざ~わ~く~ん」
「神崎さん。俺こんな死に方嫌だよ。望んでないよ。聞いてます神崎さん」
「きこえないよーーーー」
神崎は殺意の塊のようなパンチをくりだした。
「ぐゎゎゎゎーーーーー」
神崎の拳が俺の腹にめり込んだ。俺はその場に倒れ込んだ。
「これで済むと思わないでくださいねー」
さらばよ、我が妹よ。しっかり大人になれよ。俺の頭の中はそんな言葉で、埋め尽くされていた。
次の授業はお腹が痛くて欠席した。
「マジか。もう部活だよ。俺休みたい」
そう言いながらかれこれ10分くらい部室の扉の前に立っている。
「多分この闇へと続く扉を開けると神崎が魔王になって待っているに違いない」
「勇気を出せ俺。よし、行くぞ」
俺は全身を無にして部室へと足を運んだ。
「し、失礼しまーす」
ところが神崎は部室にはいなかった。でも、そんなはずがない。絶対どこかにいるはずだ。
「滝沢くん。こ・ん・に・ち・は」
う、後ろにいたーーーーーーー!!
「ご、ゴンニチハ、か、カンザキさん」
「さぁて、お仕置の時間と行きましょうか」
「ど、どうかこの命は残しておいてください。この命だけは…」
「冗談よ。さっきの一撃でスッキリしたわ」
た、助かった~。以外に心の器広かった。
「でも、次何か言ったらその時は容赦しないから、気おつけておいてね」
神崎は人を虫けらのような感じで言ってきた。さすがにこの目付きには慣れ始めている。でも、そんな俺が少し情けない。
「以後気おつけます」
「はい。気おつけて下さい」
はぁ~。俺はこんな人生になりたかった訳じゃないのに。もっといい女と巡り会わないかな~。
「そうえば滝沢くん。もうすぐ体育祭よね?」
「あ~そうだったな。」
今の今までわすれていた。そうえば体育祭のプログラムこいつまだ知らねぇよな。
「ねぇ滝沢くん。体育祭の借り物競走の件だけど」
こいつ以外と知ってんのかな。プログラム。
「あれってクラスの1人づつ、借りるものを紙にかいて提出するのよね?」
「それがなんだよ」
「あなたはどんな内容にするのかしら?」
「そうだな~。例えば「1番胸がでかいと思うやつ」とか」
「滝沢く~~ん」
や、やっちまった。こ、殺される~。
「ぐゎゎゎ。うぐ、ゲヘヘヘ、ゴホホホホホ」
こうして、俺の腹に神崎のゴットブローが10発以上めり込んだ。
そして次の日、俺の腹は重症をおって学校を休んだ。
やっぱりあいつは、世界最強のクソビッチだ。
✕ ✕ ✕
体育祭まで、あと3日になった。そろそろ教室もざわつく頃だ。俺は体育祭が大の苦手だ。苦手というより、ただただ嫌なのだ。何より今年のプログラムが酷すぎる。
《プログラム》
「1、開会式」
「2、男女で手を繋いで障害物競走(手が離れたら失格とする)」
「3、男子は女子をおんぶしてリレー」
「4、どの男子が女子を1番キュンとさせられるか、壁ドン対決」
「5、屋上で愛の告白タイム」
「6、昼食(男女で食べる)」
「7、愛の告白タイム2」
「8、愛の借り物競走」
「9、閉会式」
なんだこのプログラムは!いくら青春高校だからってやりすぎでは?なぜ、校長はこれを許したんだ。もしや、俺を陥れるためなのか?この学校の奴らはバカなの?本当に。それとなぜ告白タイムが2回もあんだよ。男女でペアー組めとか俺、災難すぎるんだけど。
あ、でも、神崎も残念だな。あいつには親しい男子が……
「俺と障害物競走してください」
「俺はおんぶリレー」
「一緒に昼食食べてください」
な、なにーー!!神崎が他の男子から誘われているー!
なぜなんだ。あいつがなんで~。
神崎は、悔しがっている俺を見て「ざまぁーみろ」的なあざ笑いをした。あいつ殺してぇ。
結局放課後まで俺は、女子からの誘いは来なかった。それすら、話してすらいなかった。いつもと変わらないがな。心が少し折れながらも俺は部室へと進んだ。
「はぁぁぁぁ」
「どうしたのそんな薄汚いため息なんかして」
「薄汚いは余計だ」
そしていつも通り神崎は俺に毒舌ばかりいう。
「残念だったわね。誰にも誘ってもらえなくて」
知ってるよ。泣くぞ。マジで。
「お前はもう誰か決めたのかよ」
「いえ、誰も決めてないわ」
「は?でも、あんなに誘って貰ってたじゃねぇかよ」
「全部即答で断ったわ」
ま、まじかこいつ。ていうか、即答って。あいつら今頃泣いてるのかなぁ~。俺がアイツらの立場なら今頃は天に召されているだろうな~。
「なら、どうすんだよ。他の男子と組むのか?」
「私の心配よりあなたはどうするのかしら」
そうだ。俺もまだ決まってなかったんだ。でも、この流れだとワンチャン行けるかも。
「そうだな。か、神崎さん、もし良ければお、俺とその…」
「ごめんなさい。それは無理」
「即答すぎんだろ。ていうか最後まで言わせろ」
大体わかっていてもそんな即答だと恥ずかしすぎるだろ。
こうして俺と神崎はいつも道りの日常を過ごした。はぁ~、早く彼女欲しい。
✕ ✕ ✕
体育祭前日。まだ俺と神崎は、ペアーが決まっていない。
「なぁ~、お前ほんとにペアーどうすんだ?もう前日だぞ」
「知らないわよ。あなたこそどうすんのよ」
「そうだよな~。本当、どうしよっかな~」
元はこいつが俺と組むのを頑固否定するからこうなってんだ。俺そんなにダメなの?菅田将暉より5倍かっこよければな。
そうこうしている内に部活終了時間が迫ってきていた。すると、俺ら青春相談部に初めての客が来た。
「失礼します」
「誰かしらこんな時間に」
「さぁ~」
部室に入ってきたのは2年A組の佐藤菜月だ。
彼女は笑顔を見せるだけで男子を恋に落とせるとかなんとかで有名だが、1番の魅力といえば、学校1、2を争う巨乳美女なのだ!
「ここの部活って恋の相談に乗ってくれるのよね?」
「そうですね。で、どんな恋の相談なのかしら」
「私、今年の体育祭で工藤凛くんに、ペアに誘って告白タイムで告白したいんです」
佐藤は顔を真っ赤にしながら言った。工藤凛は、サッカー部エースで、クラスでは大人気のイケメン王子。こいつを好きな女子は、うじゃうじゃいそうだ。そしてこの時俺は、「ワンチャン佐藤とペアーになれるかも」という1つの希望の星を工藤に取られてしまった。今からでもこの場を離れたい。美少女が困ってるところを見ると心が痛い。まじ、可愛すぎんだろ。
「なろほどね。あなたは、工藤くんが好きなのね。その相談受けましょう」
「あ、ありがとうございます」
神崎は、チラッと俺を見て苦笑いした。こいつ殴りたい。
一方笑った佐藤の顔は別段に可愛かった。毎日話したいな~。どっかの氷姫とは違って性格良さそうで可愛いし……可愛い。
「では話を聞きましょう」
「はい。えっと私実はすごく弱虫で、だ、だからその、誘ったり告白したりする時どうしても恥ずかしいから上手く言葉にするのができなくて」
「なるほどね。なら今は工藤くんもいないので、私を工藤くんだと思って、ペアに誘って見てみましょう。そうしたら自信もつくかもしれないしね」
「………」
「どうしました。佐藤さん?」
「あ、いや。何を言っているのか理解ができなくて」
俺も同感だ。こいつは何がいいたいのかさっぱりわからん。いや、大体は分かっているがなぜ告白されるのがお前なんだ。ここに男いるだろ。俺、1度でいいから、嘘でもいいから、告白されたい。
「だから、私を工藤くんだと思ってちゃんと言葉にしてペアに誘ってみてください」
「おい、お前ここに男子いるんですけど」
「あ、忘れてたわ。でも、あなたが彼女に告白されると、あなた本当だと勘違いして彼女を襲いかかりそうだから、あなたが告白されるとなると警察を呼ばないといけないわ」
「お前は、俺をなんだと思ってんだよ」
「そうね。あえて言うなら、世界最強の女垂らしで、世界最強のド変態とか」
「なら、いつかお前を地獄に引き落としてやるよ」
こいつえげつない悪魔だな。ゲームではトップクラスの悪キャラだよ。しかもあいつ、あえて言うならって言ったぜ。あれ以上最強のあんのかよ。
「プ、ハハハハハ」
「あなたなんでそんなに笑っているの?」
「いや、面白いから。2人で2人の本音を言い合って、ちょっと羨ましかったな」
「そうかしら。まぁ~そういうことでいいです。では本題に戻って私を工藤くんだと思って誘ってみて下さい」
「あーえっと、ペアに誘えばいいんですよね?」
「そうよ」
「あ、はい。やってみます」
結局告白されるのは、俺ではなかった。
「じゃあ~。あ、あの工藤くん。わ、私とい、一緒にぺ、ぺ、ぺ…ダメです。やっぱり恥ずかしいすぎます」
「あともう少しのしんぼうですよ」
ここは俺が助けてやるべきだ。氷姫が、かよわい美少女をいじめている時は俺の唯一の出番なんだよな。
「あ、あの~」
「何かしら、ド変態さん。嫉妬でもしているのかしら」
「してねぇよ」
いや、少しはしていたけど。
「なら、何なんですか」
「いや、なんで言葉で伝えようとしてんのかなって」
「どうゆうことですか?」
「いや、だから言葉じゃなくたって、手紙でも相手には伝わるし…」
「滝沢くん。いや、ド変態さん」
なんで言い直すんだよ。まだ変態は許せる。が「ド」は余計だ。
「大事なことはちゃんと言葉で伝えた方がいいでしょ。ていうか、それが常識ではないかしら」
「確かに大事なことは言葉の方がいいかもだけど…」
「何が言いたいのかしら」
「説明すると、工藤だって一応男だろ。だから、女の子から、手紙を貰うだけで嬉しいんだよ。それでペアになってくれるかは、わからんけど佐藤の気持ちは十分手紙で伝わると思うんだよ。だから言葉じゃなくて、手紙でもって」
え、待って。俺今めちゃくちゃいいこと言ったよな!
「なるほどね。あなたに言われるとあまり説得力がないけど、あなたがそんなこと言うのは以外だったわ。確かに滝沢くんの言っていることは間違ってはいないわね。でも、この後どうするかはあなたに任せるわ、佐藤さん。あなたは可愛いのだから自信をもって下さい」
「はい。ありがとうございました、神崎さん。そして滝沢くん」
ズキューン。さ、佐藤に名前を呼ばれた。俺は今人生で1番幸せだ~。ありがとう神様、仏様。俺は一生分の運を、使い切ってしまったみたいだ。
佐藤はあの後、手紙で工藤を呼び出し、ちゃんと言葉で気持ちを伝えたようだ。そして2人はペアーになった。結局どっちの意見も使ったってことだな。
「俺も困ったな。佐藤にあんなこと言ったけど、俺はまだペアーいなかった」
どうすればいいのか分からないまま俺はひと夜を過ごしてしまった。はぁ~誰か俺を助けて。
本当、恋なんて残酷なものだ。