少女恋物語   作:不思議ちゃん

2 / 7
幼馴染 渋谷凛2

 お母さんを相談相手にしたこと、早くも後悔し始めている。

 

「それでね? その時のお父さんが照れちゃって。それもまた可愛くて良かったんだけど」

 

 色々と終えてゆっくり話を聞くだけなのも終わりが見えない。

 先程からずっと、二人の馴れ初めを聞かされていてどっと疲れが押し寄せてきた。

 私の悩みが小さく感じてるのは騙されている感じがしてならないが。

 

「……お母さん。私、そろそろ寝るから」

「そう? 私の話で終わっちゃった気がするわね」

「それ、気のせいじゃ無いから……」

「でもね、凛」

 

 ため息をついてお母さんから視線を外し。

 寝る支度を始める私の耳に、その声はスッと入ってきた。

 特別何かをしたわけではなく、ただ名前を呼ばれただけだというのに。

 

「今、凛が抱いてる気持ちにお母さんが名前をつけるわけにはいかないの。私がそれを口にしちゃえば、それはもう違うものになっちゃうから」

 

 手を止め、お母さんの方を振り向けば寂しいような、嬉しいような表情をしていた。

 何故、そのような表情をしているのか私には分からないけれど、話していることはとても大切な事のように感じる。

 

「気付く気付かないは人それぞれまた変わってくるから。今の凛だって、何かのきっかけで分かるかもしれない。もしかしたらその時には遅くて後悔するかもしれないけれど……お母さんは凛の味方よ」

「…………うん。なんか少し、安心したかも」

「そう。それなら良かったわ」

 

 お母さんは一度だけ私の頭を撫でたあと、部屋を後にした。

 

 結局、あまりよくは分からないのだけれど。

 これは私が大切にしていかなくちゃいけない事だけは何となく、分かった気がした。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 今年も最後の月に入った。

 まだ私と春の間には何かあるようで何もなく、でも何も無いわけでは無いような関係が続いていた。

 

 あの時にお母さんと話したのはずいぶんと前のことだけれど、いまでもよく覚えている。

 

 今日は私が掃除当番のため、春には少し待っていて貰っている。

 当番の人たちで特に張り切るわけでもなく、けれどそこそこにダラダラと話しながら終わらせる。

 

 荷物をまとめて冷え込む廊下を歩いて昇降口へと向かっていれば、窓の外に春の姿が見えた。

 校舎裏で何をしているんだろう。

 

 窓を開けて声をかけようとしたところでもう一人、女の人がいることに気付いた。

 見た感じ先輩だろうけれど、二人きりでいるのを見て胸の内に嫌な感情が広がる。

 

 声をかけるタイミングを逃したような気がして、そのまま盗み見る感じとなってしまった。

 幸いにして、二人が見上げないとバレない。

 話してる声はギリギリ聞こえる。

 

『ごめんね。呼び出しちゃって』

『いえ、大丈夫ですよ』

 

 指先が冷え、震えているが……これはそれだけが原因じゃ無いような気がした。

 けれど今は自分の状態よりも話をよく聞いていないと。

 

「あれ? 凛、何見てる……あー……」

 

 誰かがそばに来て呼ばれた気がしたけれど、今はそれどころじゃない。

 

『それで先輩。用事って」

『うん、時間かけると恥ずかしくなってくるからストレートに言うとさ。……私と付き合って欲しいなって』

 

 春が告白されたのを認識した時、酷くショックを受けている私がいた。

 急に遠い存在になったような、半身が無くなったような。

 

『……先輩が思ってるのは薄々感じてました。でも』

『うん、分かってる。春くんの気持ちの大半はいつも一緒にいる幼馴染に向いてること。……でも、少しは私に向いてくれてることも』

『このまま付き合っても先輩に失礼だと……』

『春くんって優柔不断で、不器用で。今も私を思って断ろうとしてる。……でも、そんな君だから好きなの。今はまだ一番じゃないかもしれないけれど、これからでも遅くはないでしょ?』

 

 ここで春が付き合うことになったらどうなるのだろうか。

 そうなると考えただけで胸の奥が痛んでくる。

 

「凛」

「あ、……いつの間に」

「最初からいたよ。春くん、これまでも何回か告白されてるよ?」

「……え?」

「知らなかったんだ……。でも今回はいつもと様子が違うから」

 

 気付けば隣には毎朝夫婦と軽口を言ってくる子がいた。

 

「これを見て、ようやく気付いたって感じだね」

「……まだ、よく分かんない。こんな苦しいなら、気付きたくなかった」

「残念ながらそういうものよ。……今からでも行って告白してくる? このまま指くわえて見ていて、後悔しない?」

「たぶん、後悔すると思う。……けれど、それをやったらもっと後悔する」

「そうね。私も凛のこと軽蔑してた」

「なにそれ。でも、忠告をちゃんと受け取っておけば良かったって…………今更ぐちぐち言ってるのはダサいか」

「後悔してるなら、次からはちゃんと動けるんじゃない?」

「次があれば、ね」

 

 しばらく考えていた春が動きを見せたので黙って答えを見守る。

 返答次第で私はどうなるのか分からないけれど、嫌でもこれから先、変化がある。

 

『先輩──』




本当はもう少しじっくり煮詰めて書いていきたかった
そしたらまた長くなってしまう……
何回か重ねていってリメイクしたい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。