「ふぅ、ここがアスタリスクか」
本拠地からアスタリスクに最も近い空港まで4時間近く飛行機に乗り、そこから30分程の船旅を経て、ようやくアスタリスクの港に着いた僕は船から荷物を降ろし、アスタリスクの景色を眺める。
「流石は統合企業財体が六つも揃って形成した場所。今まで見てきたどの街よりも大きいな」
これだけの街を作れるなら、他にもお金の用途があるだろうに。うちのメンバーの大半なら、貧困地域の経済支援等に使うだろうな。出身が統合企業財体同士の争いで、経済問題になった国の人が多いし。
そう思いつつ、僕は目的地である聖ガラードワース学園への道を確認し、そこに向かって歩きだした。
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「ここだな」
目的地であるガラードワースの正門前の近くで立ち止まり、僕は目の前に大きく広がる敷地とこれから通うであろうお城のような学舎を眺めていた。
それぞれの学園の校舎はそれぞれモチーフがあり、ガラードワースは欧州地域の出身の生徒が多いため、西洋建築の建物が校舎以外にも多く見られた。まぁ、中国出身の生徒が多い界龍では中華建築が多いと聞くが、僕的にはそっちよりもこっちで良かったと思う。僕の活動地域も欧州辺りが多かったし、ライフスタイルが落ち着くんだよな。
初めて見た大きな校舎等の建物をしばらく確認した後、校門に向かい、敷地内に入ろうとするが………
「おい、そこの君!勝手に入るな!」
「そうだぞ!ここは我々高貴な者しか入れない神聖な場所だ。部外者を入れる事は許されない!」
偶然、校舎の敷地内から僕が入るのを目撃していたガラードワースの生徒であろう二人の男子生徒が校門を一枚挟んで阻止しようとしてきた。
この性格………絶対貴族出身だな。雰囲気で何となく分かるし、選民思想を語っている奴は典型的な貴族だと言うのはライブラリー所属時代に嫌と言う程知ってきた。
「いや、僕は特待生入学の推薦状を貰って「だまれ!貴様のような平民出身みたいな奴に我々ガラードワースが特待生の推薦状を送る筈が無いだろう!虚言も大概にしろ!」
そして、こういう奴等程人の話を聞かず、雰囲気や見た目で判断しようとする。こういう奴等って苦手なんだよな~。武力で解決したら、大事になるし。
そう思いながら、二人の無駄な話を聞いていると、彼らの後ろから爽やかな笑顔をした金髪の男子生徒がこっちにやって来る。
彼らは僕に夢中で気が付いていないが、あの人……かなりの実力者だ。しかも、近付いてくる度に殺気みたいなオーラが伝わってくる。この人は……?
「君達、一体何をしているのかな?」
そう言って、金髪の男子生徒が笑顔で二人に訊ねるが、殺気を纏っているため、逆に怖い。
「か、会長。実はこいつがガラードワースに勝手に入ろうとしていて………」
「ええ、しかも特待生の推薦状を持っていると言う嘘までつくんですよ。会長からも言ってやって「君達、少しは黙ろうか」はい?」
そう言って二人を黙らせた会長と呼ばれていた男子生徒は僕から特待生入学の推薦状を受け取り、中身を確認し始める。
「彼は僕の客人で、この僕が認めた特待生だ。君達はこの書状を確認すらしないで、僕の客人を侮辱したわけだが、この無礼はどう責任を取るのかな?」
「「………………………………」」
会長と呼ばれていた彼の静かな怒気が詰まったような言葉に二人は恐怖を感じ、ただただ冷や汗をかきながら黙りこむ事しか出来なかった。
「……後でしっかり話を聞かせてもらうよ」
そう言って、彼は二人を解放する。解放された二人は一目散にこの場から離れようとするが、後でまた彼に会う以上、今逃げた所で意味が無いような……。
「さて、すまないね。僕の学園の生徒が君に無礼を働くような事をして。君のことはメスメル家やEPから事情を聞いているよ」
「あの、貴方は?」
先程の二人がいなくなった事で、すっかり機嫌も落ち着いた様子の彼に僕は訊ねた。
「ああ、自己紹介がまだだったね。僕はアーネスト・フェアクロフ。ガラードワースの生徒会長をやっている。ようこそ、ガラードワースへ」