学戦都市アスタリスク~語り部の魔術師~   作:リコルト

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間を空けてごめんなさい!
大学のゼミ選択とテストがあって、なかなか執筆する時間が取れなくて……。
一応、大きなイベントも終わったので、執筆できる時間が増えると思いますので、頑張って投稿していこうと思います。



生徒会と緑髪の少女との再会

 

「さっきはシオン君に迷惑をかけたね。ガラードワースの中にはあんな感じの生徒がたまにいるんだ」

 

「いえ、大丈夫です。僕もああいう感じの人は昔から色々と慣れているので」

 

 そう言って先程の出来事について話しながら、アーネストさんと僕達はガラードワースの廊下を歩いていた。どうやら、僕の入学初日の手続きは教務課ではなく、特別に生徒会の面々で行うらしく、僕はアーネストさんに生徒会室へと案内されていた。

 

 

ーアーネスト・フェアクロフー

 

 僕も一人の星脈世代(ジェネステラ)として彼の名前を知らない筈が無い。

 

 ガラードワースが誇る序列一位兼生徒会長で、昨年を含めた獅鷲星武祭(グリプス)で、二回優勝に導いたアスタリスク最強の剣士である。僕も入学初日から彼とこんなに早く会うとは思っていなかった。

 

 

 そんなアーネストさんとしばらく話しながら歩いていると、目的地である生徒会室の扉の前に辿り着く。そのまま流れるような動きでアーネストさんは生徒会室の扉を開け、僕を中へと案内する。

 

 中に入ると、豪華なインテリアが施された室内が広がっており、そこにはガラードワースの制服を着た四人の生徒と僕が以前助けた()()()がソファーに僕達を待つように座っていた。

 

 

………………………

 

 

…………………………………

 

 

…………………………………………

 

 

「初めまして、副会長のレティシア・ブランシャールですわ。以後お見知りおきを」

 

「同じく副会長のケヴィン・ホルストだ。よろしくな、語り部の魔術師(メルヒェンテラー)

 

「会計のライオネル・カーシュだ。生徒会として君を快く歓迎する」

 

「書記のパーシヴァル・ガードナーです。貴方の事は会長達から聞いています」

 

 パーシヴァルさんが汲んだ紅茶を置かれ、茶会のような雰囲気で生徒会のメンバーであるレティシアさん達から自己紹介をされる。

 

 

そして………

 

 

「あ、あのお久しぶりです、シオン兄さん」

 

 そう言って淡い緑髪の少女ーーノエル・メスメルが頭を下げて、僕に挨拶をする。その容姿や印象はあの時とは全く変わっておらず、それらに僕は懐かしさを感じるぐらいだった。

 

「久しぶりだね、ノエル。約一年ぶりぐらいかな?元気にしてた?」

 

 彼女に優しくそう訊ねると、小動物のような仕草でコクコクと頷く。

 

 うん、控えめに言ってすごくかわいい。もう一生このままで良いと神に頼むぐらいに。並以上の関係性を持った女の子に久しぶりに会うと、ここまで意識してしまうものだったっけ。

 

 それにしてもアーネストさんが言っていた話だと今日は生徒会の面々の下、入学手続きをする予定だった筈だ。どうしてノエルがここにいるのだろうか?

 

 ノエルが生徒会に入っていたという話も聞いていないし、そもそも彼女はまだ小学6年ぐらいだから中等部から始まるガラードワースには入学していない。制服を着ていない私服姿の彼女がその証拠だ。

 

 不思議に思った僕はノエルについて訊ねてみると、アーネストさんからその答えが返ってきた。

 

「ああ、実は今日彼女の特待生選抜試験の合格通知と書類を渡す予定があってね。受け取りに来たついでに、シオン君とは縁が深い彼女にも残ってもらおうかなと思ったんだ」

 

 なるほど、道理でノエルが今日ガラードワースに来てい訳ね。それにしても、ノエルも特待生としてガラードワースに合格していたのか。

 

 ちなみに、ノエル本人に点数を聞いてみると、筆記試験では統合企業財体の一つであるEPを創設したフォースター家の嫡男に次ぐ二位の成績で、剣術や魔術師の能力を測る実戦のテストでは志願者の中で一位の成績を獲得する余裕のある合格だったらしい。

 

 筆記試験に関しては元々理解力のある子だと分かっていたからあまり心配はしていなかったが、実戦のテストで一位を取ったのは僕としても良い意味で予想外だった。

 

 ノエルに魔女(ストレガ)としての戦い方を教えた僕としてはアスタリスクに来て初めての嬉しい報告だ。後で、何かノエルに奢りたい気分である。

 

 

…………………

 

 

………………………………

 

 

………………………………………

 

 

「………はい、これで最後です」

 

 入学や在籍に関係する書類にひたすら名前等の個人情報を書いた僕は最後の書類をアーネストさんに手渡す。

 

 元々ライブラリーでも事務作業をしてたから、こういう作業には慣れているけど、久しぶりに嫌になりそうな書類の量だった。まぁ、書類が多い理由は僕がライブラリーに所属してるから、その分の特別な書類が増えたんだと思うんだけど。

 

「うん、書類に不備は無さそうだね」

 

 ペンを置いて手を楽にさせている間、アーネストさん達生徒会は分担して書類を確認して、不備が無いことを僕に伝える。

 

 

 

 手続きを終えた後は非常にあっさりしていて、僕の住む部屋、学校での授業等の説明をされ、最後に制服と校章をアーネストさんから頂いた。

 

 制服の形はアーネストさん達と似ているが、イメージカラーは黒色だった。おそらく着てみると、黒服をまとった執事のような感じになるだろう。

 

「さて、入学手続きを終えて制服を渡したんだけど、シオン君にはあと一つやる事があるんだ」

 

 制服を頂いて、今日から泊まることになる部屋で休もうと思っていたが、アーネストさんが言うにはもう一つやる事があるらしい。

 

 一体何の用だろう?ただ、アーネストさんから笑みがこぼれている。楽しい事かな?

 

「僕と公式試合をしてもらえるかな」

 

……………………………えっ?

 

 

 


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