「なるほど……EPが僕の正確な実力を知るために実戦データを要求してきたんですか。言われてみれば、僕の戦闘記録ってあまり無い方ですね」
唐突なガラードワースの序列一位との試合の経緯の説明を対戦相手であるアーネストさんから受けながら、僕とアーネストさん達生徒会の面々とノエルは試合が行えるドームへと移動していた。
「けど、どうしてアーネストさんが……。データを取るだけなら別の方でも良かったのでは?レティシアさんとかケヴィンさんとかでも……」
「いやいや、シオン君のことはノエルちゃんから色々と聞いていてね。かなり強いと聞いていたから、一度戦ってみたかったんだよね」
はぁ…まさかアーネストさんって意外に
アーネストさんとは一度戦ってみたいと思っていたけど、こんなに早く戦うことになるなんて。アスタリスク初日に色々とありすぎ……。荷物も部屋に運び込まないといけないし、早く部屋に行きたいなぁ。
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ドームに着いた僕達はすぐに試合を始められる準備を行い、アーネストさんと僕はドームの中心でお互い対面するように煌式武装を構える。ちなみに、ノエル達は僕達の試合を眺めようと安全なギャラリー席に座っている。
「あれ?シオン君の煌式武装って剣型だったのかい?ノエルちゃんからは
そっか、そう言えばノエルには銃での戦い方しか見せていなかったっけ。だとしたら、アーネストさんが誤解するのも仕方がない。
「ノエルの前では銃しか使っていませんが、僕は槍でも斧でも使いますよ。勿論、
そう言って、自分の手にある剣型煌式武装に星辰力を込めると、煌式武装が起動し、青色の光をまとったブレードが現れる。
「それにアスタリスク最強の剣士と戦うのに剣以外を使うのは無粋ですよ」
「ふふっ、良いね。ますます気に入ったよ。なら、その敬意に応えて僕も全力を尽くそう」
そう言ってアーネストさんも構えていた
あれが四色の魔剣の一振り、
「さぁ、始めよう!」
『Start Of The Duel!!』
アーネストさんの声と同時にドーム中に試合開始を示すコールが流れる。
開始と同時に僕は素早い動きで死角からアーネストさんに斬りつけるが、ギィンという重い音が鳴り響き、見てみると僕の煌式武装は彼の純煌式武装によって受け止められ、彼は死角の筈のこちら側を向いていた。
「残念。けど、良い動きだったよ」
……やっぱそう簡単にはいかないか。
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「本宮シオン……色々な武器を使い分ける方だとは今初めて知りましたが、剣の腕も相当なものですわね。まさか、アーネストに剣であそこまで戦えるなんて」
「レティの言う通りだな。あちこちで講演会を開いているイメージが強くて、戦闘はからっきしだと思っていたが、全然強いじゃねぇか。こりゃ、『ライブラリーの切り札』と統合企業財体に呼ばれているのも納得だぜ」
「アーネストで正解だったな。俺やケヴィンやレティシアだったら、圧倒されて終わりだっただろう」
「そうですね。彼一人に対してチームランスロットとして戦ってもどっちが勝つか分からない良い勝負になるでしょう」
シオンとアーネストが戦っている場所から最も近い場所であるギャラリー席ではレティシア、ケヴィン、ライオネル、パーシヴァルら生徒会メンバーがシオンの戦いぶりを興味深く観察していた。
「…………すごい、シオン兄さん」
また、ノエルも兄さんと慕うシオンの戦いぶりに魅了され、誰よりも静かに集中して彼の戦いを見守っていた。
彼女にとって、シオンが剣で戦う姿は初めて目にするものだったが、彼女の記憶の中には今の戦いぶりを彷彿させる忘れられない記憶があった。それは彼と初めて知り会った最初の記憶で、同時に彼を兄のように慕うようになった大事な記憶でもあった。
彼女は思い出す……今から一年前のあの出会いを。