彼女の狂気が世界中へと降り注ぐまで、それほど時間は要しなかった。
ロシア軍が保持していた戦略的抑止力は一人の科学者の手によって牙を剝き、本来の意図である大量破壊兵器へとその姿を変えた。皮肉にも自らの手によって生みだした怪物によって自らの生を終えることとなろうとは。
ニュークリア・ロッドが最初に着弾したのはアメリカのカリフォルニアからだ。弾道ミサイルのそれとは全く異なる宇宙からの核攻撃によってゴールデンゲートブリッジはいとも容易くねじ切られ、ビルが次々に吹き飛ばされていく。核攻撃の一報を受けだ米軍が直ちにデフコン1を発令し、報復攻撃態勢に入るもミサイルサイロを除いた空軍基地はすべてニュークリア・
ロッドの餌食と化した。
地球規模即時報復攻撃システムを保持していたロシアにもその槍は容赦なく降り注ぐ。
ウラジミール・イワノフは茫然と目の前の地獄絵図を見つめていた。
かつて栄華を極めたモスクワの姿は瓦礫へと変わり、次々に映し出される血まみれになった市民を誘導する満身創痍のロシア陸軍兵士がその状況をはっきりと物語っている。
「こんなことが…」
不思議な事にウラジミールはこんな状況だというのにひどく落ち着いていた。
もともとそういう性なのだろうか、それともこの光景を自分は現実として認識しておらず、よくある人類滅亡映画の中の1シーンを視聴しているとしか思っていないのだろう。
アルタイ山脈の血まみれになった管制室で彼女は流星群のように降り注ぐニュークリア・ロッドをモニター越しにうっとりと眺めていた。今日、自分の作り上げた兵器が産声を上げ旧世代の兵器は駆逐される。だがその為にはどうしてもやらねばならないことがあった。
実用試験。それも壮大なシナリオをだ。
旧世代の兵器を駆逐するためにはどうしてもそれらと戦わせる必要が生じる。そして何よりも重要なのが、戦争での極限状態の中においても適切に対処できることが望ましい。
「よし。ターゲティング・ドローン起動」
コンソールを操作し、モニターが数瞬ノイズが走る。その先に映し出されたのは東京。
陸上自衛隊高射科が防衛態勢に入っているが恐らく彼らの活躍は無くしてこのテストは終わるだろう。
「来た」
流星群が東京へと降り注ぐかと思われたその直前に空中爆発を引き起こし、衝撃波が東京を襲うもののほとんど被害といった被害は受けてはおらず、無事であった。
続いて第2波が東京へと襲い来るが先ほどと同じく直撃せずに空中爆発を起こした。
「いやったぁぁぁぁぁぁ!!!」
その光景を見て彼女は子供のようにあたりを駆け回った。それは守れたという意味合いでの光景ではなく、自分が作り出した玩具が自分の予想通りに動いてくれた事に対する喜びであった
世界はここから、大きく変化する。
こっちはどうやって白騎士事件が引き起こされたかということを表したやつです。
どう考えても2000機以上のミサイルを落とすなんて核でカウンターしない限り不可能ですからこっちは宇宙からならいいんじゃね的な感じでやってみました。