一仕事と言われてタイラーに連れられて一夏が連れられた先は何と日本から遠く離れたロシア連邦だった。しかし、そこにあったのは極寒の大地ではなくロケットの発射基地。核攻撃以来ロケットの往来も途絶えた今は撤退準備が進められていた。
「思った通りだな。ロシア戦略ロケット軍が撤退を開始しているようだ。首尾良く潜入するぞ」
タイラーはそれだけを口にすると素早く前方の崖より戦闘降下姿勢で崖から飛び降り、警備の二人をサプレッサーつきのHK45で音も無く射殺する。続いて一夏も戦闘降下姿勢で崖から飛び降りる。地面がどんどん一夏の眼前へと迫ってくる。しかしそこで降下速度を落としスムーズに着地して見せた。
「やるな。初めての時よりだいぶうまくなっている」
「まだ貴方ほどには及びませんよ」
「御託は無用だ」
貴方が先に言ったくせに。一夏は呆れながらも先を警戒し、前へ進む。続いて細い地下通路を影のように通り抜け、T字路へ出る。そこで彼はいったん動きを止めた。
「ああ、いるな」
サーマルナイトビジョン越しの緑に覆われた世界の中で赤い熱を発する物体が3つ、いずれもここの警備兵だ。まだこちらには気づいていない様子で銃のフラッシュライトを乱舞させてこちらへと接近してくる。
「くそ、ASVALにAK-12か。良いもん持ってんな。一夏、そのまま耐えろ。馬鹿な真似はよせ」
一夏は指示通りに物陰へと身を隠し、息を殺して敵兵が通り過ぎるのを祈った。だが世の中そう甘くは無い。気配に気づいた一人の敵兵のライトが目の前の世界を明るく照らした。
「おおっと。そうはいかんぞ」
その瞬間、小さなうめき声と共に何が起きたのかも分からずに彼の命は刈り取られた。
「タイラー…」
亡骸を抱え、血に濡れたナイフを翳した男は物言わぬ瞳でじっくりと織斑一夏の表情を見つめる。まるで何かに憂いているかのように。
「織斑。銃は常に撃てるようにしておけ。飾りじゃない。立派な道具だ」
そう言われて一夏は暗澹たる気分に襲われた。あの時から既に自分は違う世界にいるというのに未だに銃を撃てずにいる。タイラーと自分は違うのは判り切っている。だが世界に足を突っ込んだ先には誰化が自分を護ってくれるような優しい世界では無い。殺伐とした、死と狂気と恐怖が支配する世界。そこに倫理は通用しない。
”分かってはいても、この男のように引き金を果たして自分は引く事が出来るだろうか?”
試しにセーフティーを解除してセミオートにして見るものの手が震えてトリガーを引けない。
「銃を撃つのは怖いだろう?だが殺される方が恐ろしいというものだ。最後まで死んだ実感が湧かないからな」
思わしげな言葉をタイラーは口にして再び目標へと歩き出すのであった
今回は時間が無かったのであんまりうまくは書けませんでした。次回は少しあとになるかと思われます。それでは