発売前は期待半分、不安半分だったのですが……見事! 期待以上の作品に仕上がっていてくれました。
ストーリーは勿論、バトルシステム面もほとんど文句はありません。江戸の背景は散策しているだけでも楽しいし、とても勉強になります!
ちょっとロードが長かったり、カクつくところがあったりと、細かいところを見れば不満もありますが……一つのゲーム作品としては確かに満足する出来栄え。
買って損はないかと思いますので、まだプレイしていない人も是非手に取ってみてください。
さて、鈴鹿御前が主役の今回の妖怪ラリー。
確かに鈴鹿御前が物語の中心になりますが、今作はかなりのfgo系列のキャラがレース参加者として登場します。
今回の其の②は、キャラ紹介的な意味合いが大きな話になります。
後書きの方で簡単な人物紹介は行いますが、それらの人物たちがどのようなキャラクターなのか。
それはストーリーの流れの中で解説していきたいと思います。
少なくとも四話構成、もしかしたら五話構成になるかもしれない長丁場になると思いますが、どうか最後までお付き合い下さい。
その日、鬼ヶ島は喧騒と熱気に包まれていた。
「——うおおおおおお!! 悪路王様!!」
「——オニランド最高ぉおおおお!!」
「——我ら鬼の力を全世界に知らしめてくだせぇえええ!!」
数百という規模の鬼どもが、突貫工事で作られた観客席にひしめき合っている。
彼らは皆、この鬼ヶ島を支配する悪路王の配下であり、主が開催を宣言した記念すべきオニランドの第一回イベント——『妖怪ラリー』が始まるのを今か今かと待ち侘びていた。
会場には様々な出店が立ち並んだり、盛大な花火が打ち上げられたり、怪しい男が主催する賭け試合に興じていたりと。鬼たちの盛り上がりようが凄まじい。
「はぁはぁ……ま、マジで休みなしで働かせやがって……」
「ブラック企業も真っ青だよ……ぜぇぜぇ……」
反面、労働力として鬼ヶ島に捕えられていた人間たち、百人ばかりが満身創痍とへこたれている。レース場の建設に駆り出された彼らは不眠不休、ここ一週間ばかりほとんど休みなしで働かされていた。
働いていたのは鬼たちも同じではあるが、人間たちにはオニランドの建設を喜ぶ理由がこれっぽっちもない。
やはり肉体的にも、精神的にもオニランドでの労働など冗談ではない。このまま延々とここで働かせ続ければ、過労死待ったなしである。
早急に鬼ヶ島からの解放、元の生活に戻ることを人々は望んでいた。
『——ついにやって来ました!! 日本の命運を賭けた運命のレース!!』
そんな人間たちの気持ちを知ってか知らずか。実況席からは司会進行を務める女性がレースの開催を声高々に宣言する。
マイク越しから聞こえてくる興奮した若い女性の声に、鬼や人間と問わずにその視線が彼女へと向けられていく。
『——本日、鬼ヶ島にて開催されることになった妖怪ラリー!! 全世界の妖怪たちを巻き込んでの熱きレースに勝利し、栄冠を手にするのは誰か!?』
皆からの視線を一身に浴びながらも、彼女はその類稀なる外面の良さを見せつけ、澱みなく自らの職務を全うしていく。
『——実況はこの
そう、姫路城の主である刑部姫。
自身の名前を強調しながら自己紹介をする彼女こそが、この妖怪ラリーの実況という大任を預かることになった妖怪である。
『ゲスト席には、ゲゲゲの森から猫娘さんに来ていただいています! さあ、猫娘さん! いよいよレースが始まるということもあり、会場の方が異様な熱気に包まれて来ましたが……』
「…………」
和装ドレスのような水着を身に纏った刑部姫は、共に実況席でレースの行く末を見届けることになった猫娘に声を掛けた。しかし猫娘の方は終始ブスッとしており、刑部姫の呼び掛けに答えようとしない。
『やはり、猫娘さんとしては鬼太郎選手に優勝して欲しいというところでしょうが……レースは時の運ですからね。運命の女神が誰に微笑むことになるのか、予想出来ないレース展開が今から楽しみです!!』
だが猫娘の不機嫌な態度を気にした様子もなく、刑部姫は平然と実況者としてレースを盛り上げようとしていく。
あくまで司会者に徹していく刑部姫に、とうとう猫娘からのツッコミが入った。
「——なんでアンタがここにいんのよ……ていうか、どうして私がこんなところで……」
そう、猫娘は何故自分が刑部姫などと実況席でレース解説などしなければならないのか、それが不可解で不満であった。
猫娘自身は刑部姫とは顔見知りだ。
彼女とは一昨年に姫路城で、去年は牛鬼が封じられていた南方の島にて。二度に渡って妖怪との騒動で共闘した覚えがある。
もっとも、猫娘の印象としては『力を貸して貰った』というよりは、刑部姫の『個人的な趣味』に巻き込まれたという印象の方が強く。
久しぶりの再会を喜ぶなどという気分にもなれず、その顔に顰めっ面を浮かべている。
「いや、なんでって……鈴鹿っちから聞いてないの? ほら……あの悪路王とかいう鬼を退治するのに協力して欲しいって言われてさ……」
「!! あ、アンタ……鈴鹿御前とも知り合いだったの……?」
すると猫娘の疑問に答えるべく、刑部姫は実況席のマイクを切ってヒソヒソと声を潜ませて詳細を語っていく。
この刑部姫こそが、鈴鹿御前の言っていた『必要な人材』とやらの一人らしい。意外な人選に猫娘は目を丸くしている。
「鈴鹿っちとはメル友仲間でね……あんまり趣味は合わないけど、同じ妖怪女子としては捨ておけないじゃない?」
どうやら、刑部姫は鈴鹿御前からメル友仲間として協力を依頼されたらしい。そこまで懇意な仲というわけではないようだが、妖怪女子という間柄から放っては置けなかったようだ。
「とりあえず、表向きは実況者としてレースを盛り上げていくけど……そんときが来たら頑張るから、よろしくね、猫ちゃん!」
鬼たちに気取られぬようにと、彼女は何気ない顔でレース実況を進めていく。その瞬間——レースが終わるそのときが来るまで、機が熟するのを待つということだろう。
「まあ……そういうことならいいんだけど……」
猫娘も、それならそれでと刑部姫のことを受け入れていく。彼女と共に実況席からレースの経過を見守っていくことに文句はないのだが——。
「ところで……このデッカい置物はなんなの? 無駄にスペース取ってて邪魔なんだけど……」
だがもう一つ。先ほどから気になっていることがある。
それは実況席に刑部姫と猫娘以外にも、もう一つ席が設けられており——その席に、何かしらの『石像』が鎮座していたのである。
後ろ向きになっているため、それがなんの石像かは分からなかったが、気のせいか先ほどからちょくちょく動いているような気がする。
「ああ……この子も一応、協力者の一人でね……ほら! ガっちゃん! そろそろレース始まるよ! そのデッカい被り物脱いでよ!!」
刑部姫はその石像が何かを知っているらしく、それに向かって随分と気さくに声を掛ける。すると——。
「——愚かな。これは被り物ものなどではないし、中の人などいない」
「喋った!?」
刑部姫の呼び掛けに答える形で石像が言葉を返した。いきなりのことで驚く猫娘だが、石像はこちらを振り返りながら自らの名を偉そうに告げてくる。
「——頭が高いわ、小娘どもめ!! 我こそはガネーシャ!! 福を招き、富を与え、絶対の安らぎを与える……偉大なる神であるぞ!!」
その石像——ガネーシャと名乗ったそれは、頭部が『象』の姿をした石像であった。
「……ガネーシャ? ガネーシャってあれよね……インドの神様の……」
猫娘は自称神様を名乗る不審な石像に疑惑の目を向けつつも、その名前には聞き覚えがあると驚きを露わにする。
ガネーシャ。おそらく世界的に見てもかなり特徴的な見た目をした、インド神話——ヒンドゥー教における神の一柱である。
その姿は人の身体に象の頭。象頭には立派な牙が生えており、右の牙は砕けて欠けている。坐禅を組み、手のひらをこちらに向けているポーズがどこか仏を思わせる。腕は全部で四本あり、それぞれの腕に斧や投げ縄など、ガネーシャ神が所持しているとされるアイテムが握られていた。
その石像は、確かにガネーシャとしての外見的特徴を余すことなく捉えている。
「その通りだ……我を崇めよ! 讃えよ! さすれば家内安全、商売繁盛を約束しよう!!」
ガネーシャは猫娘に対し、自分を崇め奉るように要求してくる。
ガネーシャ神は智慧、富、幸運、繁栄、商売繁盛、障害の除去などなど。様々な役割を持つ神としてインドでは勿論、世界中でも広く人気を集め、多くの人々から崇拝の念を集めていた。
その石像は、確かにガネーシャの名に相応しい風格を放ってはいた。だが——。
「……コレが……本当にガネーシャ神なの……コレが?」
「そうなのよ……残念なことに、コレがあのガネーシャなのよ……」
猫娘も、そしてガネーシャと知り合いらしき刑部姫ですらも、その石像が持っている——どこか残念な空気に揃ってため息を吐く。
ガネーシャを名乗るその石像は、間違いなく神気らしきものを放っている。だが同時に、神様らしからぬ雰囲気、どこか俗っぽさが隠しきれていないのだ。
でっぷりと突き出ている太鼓腹のせいだろうか、あるいはその手に握られている山盛りお菓子のせいか。多分両方だろう。初対面である猫娘ですらも、偉い神様だと分かっていながら敬おうという気にすらなれない。
「——二人してコレコレ言うな!! 無礼っスよ!! 不敬っスよ!?」
実際、猫娘と刑部姫から向けられる冷たい視線に見せかけの威厳があっさりと剥がれ落ちる。
「ボクはインドでも超超有名な神様なんスからね!! ボクにそんな無礼な態度を取るなんて……インド国民、十四億人が黙っていないっスよ!?」
自らの権威を示そうと声高々に叫ぶガネーシャ神だが、そのための手段として自分を信仰する人々の数に頼るところがなんとも情けない。
神としての格はともかく、性格面はだいぶ小物——器の小ささを自分から露呈してしまっている。
「…………一応、コレも協力者ってことでいいのよね?」
「シカトっスか!? いじめっスか!?」
猫娘はそんなガネーシャ神と話していても時間の無駄と判断したのか。事情を知るであろう刑部姫に話を振る。
「というか……どういう知り合いな訳? 仮にもインドの神様とか呼んでくるって……結構すごいことしてない?」
その際、刑部姫とガネーシャ神にどのような接点があるか疑問を投げ掛ける。どんなに残念であろうと、相手は他国の神様だ。
それが一介の妖怪——城に引きこもっている筈の刑部姫などと、いったいどういう接点があるというのだろう。
そんな猫娘の当然の疑問に、刑部姫はなんでもないことのように答える。
「ああ、ガッちゃんとはネトゲ仲間でね! その縁で今回はお手伝いをしてもらうことになったのよ」
「ね、ネトゲって……」
ネトゲ——それが『オンラインゲーム』のことを指しているのは、そちら方面の知識に乏しい猫娘にも理解が出来てしまった。
神様と妖怪がネットゲームで意気投合——ますます持って残念なエピソードだが、二人の残念度は猫娘の予想をさらに越えていた。
「いや~! ネットで偶々意気投合した、引きこもり仲間のガっちゃんがあのガネーシャだと分かったときは……流石の姫もびっくりしたけどね!!」
「ボクの方こそ!! お気に入り同人作家のおっきー殿が、まさか姫路城の刑部姫だったとは夢にも思わなかったスよ!!」
ネトゲ、同人誌、引きこもり。それが二人を繋ぐ接点というか共通点というべきか。
「…………」
それらが決して褒められたものでないことに頭を抱える猫娘。果たして本当にこの人選で良かったのかと。
「おっと……! そろそろレースが始まる頃合いだから……本題の方はまた後でね!!」
「解説の方は任せるっス! ありとあらゆるレースゲームを網羅してきたボクに死角はないっスよ!!」
とりあえず時間が迫っていることもあり、一旦は私的な話を区切る刑部姫とガネーシャ。
猫娘も不安を胸に抱えながらも、開催までもう間もなくといった『妖怪ラリー』の方へと意識を集中させていく。
×
『——さあ! レース前ですが……ここで基本的なルール説明を!!』
再び実況マイクを握った刑部姫が、観衆に向けてルール解説を行なっていく。
『スタート地点はここ! 鬼ヶ島オニランドの入り口に建設された特設会場!! そこから島内を一周し、先に戻ってこられたものを優勝とします!!』
基本的に、妖怪ラリーはレース競技だ。
スタート地点から始まり、ゴール地点まで誰よりも早く到達する。それだけであれば全く問題なく単純明快なルールだろう。
『しかし!! コース途中には四箇所のチェックポイントが設置されており、その都度環境の違うエリアがレース参加者を襲う!!』
だが、島内を一周するには『四つのチェックポイント』を通過する必要があるらしく、そこで待ち受ける様々な試練を乗り越えていかなければならないとのこと。
ただ速いだけでは勝つことなど出来ない。それこそ——妖怪ラリーの醍醐味である。
『それでは皆さん、お待ちかね!! 今回の妖怪ラリーに参加を表明してくれた、命知らずのレーサーたちを紹介していきたいと思います!!』
『おおっ! いよいよっスね!!」
『どんな連中が集まってのかしら……』
そして、ここでレース参加者の紹介に入る。
これにはガネーシャも待ってましたと声を上げ、解説の仕事そのものにやる気を見せないでいる猫娘ですらも興味深げに耳を傾けた。
いったい、どのような猛者たちが集まったのか。それによって鈴鹿御前や鬼太郎たちの勝率もだいぶ変わってくるというものだが——。
『エントリーNo.1!! 日本と同じく神秘を閉じ込めた島国から……あの怪物、フランケンシュタインの登場だ!!』
『……!? フランケンシュタインって……まさか、バックベアードの!?』
一番手。フランケンシュタインと聞いて猫娘が身構える。彼女にとって『フランケンシュタインの怪物』といえば、バックベアード軍団の幹部——ヴィクター・フランケンシュタインだ。
しかし、かの者は先の大戦でバックベアードに取り込まれ、そのまま諸共に消滅したと聞く。あれから一年と経っていないのに復活などあり得ない。
では、そこに立つフランケンシュタインとは何者か。
『フランケンシュタインが醜い怪物なんて、もう時代遅れ!! ヴィクター博士が残した設計図によって新たに誕生したフランケンシュタインは……まさかの女の子!!』
『怪物の美少女化など、もはや常識っス!』
刑部姫とガネーシャ曰く、そのフランケンシュタインは可愛い女の子だとのこと。新たに誕生した生まれたての怪物。そんな彼女の名は——。
『——フランちゃん!!』
「うー……うー!!」
盛大に焚かれるスモークの中から姿を現したのは——全身のデリケートな部分にだけ包帯を巻いた可憐な少女。
頭部の先端に角、耳がボルトになっているなど。細かいところにフランケンシュタインらしい継ぎ接ぎなどが見えるも、その蒼い瞳に翳りなどなく。
まさに生まれたての赤子のように、その純粋な瞳に世界を映し出していく。
『そして、そんなフランちゃんの愛車こそが……彼女を現代に復活させた天才碩学者!! 蒸気王の名を語る彼は本物か!?』
そんなフランちゃんの愛車。
しかしその愛車こそが、フランを現代に甦らせた張本人だとか。果たして彼は何者か、その名を意味するものは何か。
『チャールズ・バベッジ!! 高速機動形態バベッジ・ロコモーティブフォーム!!』
『見果てぬ夢を……ここに!!』
刑部姫の紹介に合わせて、自らの願望を口にしていく——鋼鉄の巨躯。
二メートルを越えた全身から蒸気を吹き出すその姿は、まさに『蒸気王』と呼ばれるに相応しい貫録を備えていた。
次の瞬間にも、彼は人型から灰色の蒸気機関車へと自身をフォームチェンジさせていく。
『ちょっと!? いきなりとんでもないのが出て来たわね!! あれどう見てもロボットじゃない!?』
『変形機構は男の子のロマンっスね……個人的にも嫌いじゃないっス!!』
フランケンシュタインの女の子にも驚きだが、まさかの変形ロボットに初っ端からツッコミが止まらない猫娘。
ガネーシャは変形機構にも理解が深いのか、全く気にしないどころか嬉しそうであった。
『エントリーNo.2!! ピラミッドでもお馴染み!! 神秘と謎に包まれたエジプト神話より、あの神様の参戦だ!!』
『神!? 妖怪じゃなくて、神様って……妖怪ラリー的にそれはありなの!?』
二番手。妖怪ではなく神様を名乗る者の参戦に猫娘が参加資格を満たしているかを問うも、その部分には一切触れずに刑部姫は語る。
謎多きエジプト神話の中でも、一際が謎に包まれたその神の名を——。
『その姿は洒落か!? ジョークか!? そのほとんどが謎のベールに包まれた不可思議な存在、メジェド!!』
「不敬! 不敬であります! 様を付けないとは何事ですか!?」
すると、刑部姫の紹介に本人が不満を露わに声を荒げる。
それは目と眉が描かれた御衣に、そこから足だけが生えているという奇妙な出立ち。申し訳ない程度に耳がついていたりと最低限のオシャレはしているが、まさに壁画に描かれているそのまんまの姿をした——メジェド神だ。
『死者の書』という文献によると、メジェドとは『打ち倒す者、攻撃する者』という意味合いがあるらしい。敵対するものには目からビームを照射し、口から炎を吐くとされている。口はいったい何処にあるのだろう?
『日本ではゆるキャラとして人気を集めているみたいっスね……まっ! 人気なら、このガネーシャさんには遠く及ばないでしょうけど!!』
メジェド神に対し、全く別の神話体系ながらも同じ神様としてガネーシャ神が謎の対抗意識を燃やす。
メジェド様はそのユニークな見た目から、日本のサブカルチャーなどでゆるキャラやら、マスコットなどに採用され、一部界隈で密かに人気を集めていた。
『何やら女性の御御足が衣の下から見えますが……気にせずに乗機の紹介を!!』
メジェド様の足——何処となく女性のようなものに見えたが、それを気にせずに刑部姫は乗機の紹介へと移る。
『ザ・ファラオレジェンドはスカラベをモチーフにしたマシンとのこと!! 太陽神ケプリの似姿とされるフォルムが実に個性的だ!!』
スカラベとはフンコロガシのこと。古代エジプトではスカラベは聖なる昆虫として崇拝され、護符や装飾品などにもその姿を紋章として刻み込んだ。
太陽神ケプリはそんなスカラベの頭部に、人間の男性の身体を持った太陽神。見た目のインパクトはガネーシャに負けず劣らず。そんなケプリの姿をマシンに落とし込んだのが——ザ・フォラオレジェンド。
巨大な前輪がフンコロガシの転がすフンの如く。操縦席が——何故かアラビアンチックな装いになっている。
「ああ……そう興奮なさらないで下さい。死んでしまいます……」
おそらくはメジェド様のサポーターとして入っている、アラビアンな女性の趣味だろう。興奮気味なメジェド様が憤死しないようにと、その怒りを必死に宥めていく。
『エントリーNo.3!! 解説として実況席まで来ていただいているガネーシャさんと同じく、インドより参戦!!』
『おおっ、ようやくっスか!!』
三番手。プンスカと怒れるメジェド様をよそに、刑部姫がインド代表の紹介へと移る。自国の代表選手ということもあり、これにはガネーシャもテンションが高くなる。
『さあて、どんな物好きがエントリーしてるんスかね……まっ! どんなやつだろうとボクの威光の前ではひれ伏すだけ——』
前もって選手のことを聞かされていなかったのだろう、どんなヤツが妖怪ラリーに参戦するのかとガネーシャも興味深々。
もっとも、どんな強者が出てこようとガネーシャ神の人気の前では無力と。神様という地位を利用して散々に弄ってやろうと、上から目線でその選手を迎えようとするが——。
「——ウラァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「——!?」「——!?」「——!?」
刹那、突如として響いてきた怒号に会場中が黙り込む。人間も鬼たちも、実況席にいる猫娘ですらも恐ろしいまでの叫び声に口を噤むしかない。
『こ、この怒号は……ま、まさか……!?』
余裕綽々だったガネーシャの態度に怯えが見える。次の瞬間、燃え盛る業火と共にその怒号の主が姿を現す。
「——戦いか!? いいぜ……どいつもこいつも、ぶっ殺してやらなぁああ!!」
『——ひぃ、ひぃいい!? あ、アシュヴァッターマン! アシュヴァッターマンっスよ!? なんだってあの人がここに!?』
厳ついフルフェイスの全身鎧にその身を包み込んだ男の登場に、ガネーシャがその巨体を刑部姫の後ろに隠して縮こまってしまう。神であるガネーシャがそこまでビビる相手ということだろう。
『ええっと……アシュヴァッターマン選手はインド叙事詩・マハーバーラタに登場する武人です……』
恐ろしい怒号にペースを崩されながらも、刑部姫はアシュヴァッターマンとは何者なのか軽く紹介文を読み上げる。
アシュヴァッターマンとはインドを代表する二大叙事詩『マハーバーラタ』で活躍する大英雄。その粗暴な言動とは裏腹にあらゆる学問を納めているという、最強のバラモン——僧侶戦士である。
彼は妖怪でもなければ、神でもない。その半身にシヴァというヒンドゥー教における最高神を宿す『半化身』だ。
『ひぃい……ごめんなさい! ごめんなさい!! 調子乗ってごめんなさいぃいいい!!』
ちなみに、ガネーシャはシヴァ神とその妻・パールヴァティーの息子だ。
半身とはいえシヴァを宿しているアシュヴァッターマンは、感覚的にガネーシャにとっては親戚の叔父さんのようなものだとかなんとか。
その苛烈な性格も含めて、ガネーシャは彼をかなり苦手としていた。
『ええ……ガネーシャさんがすっかり怯えてしまってますが……あ、アシュヴァッターマン選手の愛機! スダルシャンチャクラ!!』
刑部姫自身もアシュヴァッターマンの威圧感に圧倒されながら、なんとか彼の乗機を紹介していく。
アシュヴァッターマンが乗るマシンは、一見するとただのバイクにしか見えない——スダルシャンチャクラ。それはシヴァと同じくヒンドゥー教の神・ヴィシュヌが持つとされる武器の名前である。
チャクラという言葉には『車輪』という意味もある。何かのゲン担ぎでそのような名前を名付けたのだろうか。
「いいぜ!! 今日も俺の相棒はご機嫌だ!! 誰が相手だろうがぶっちぎってやるぜぇええ!!」
勿論、神の武器と同じ名を冠するバイクがただのバイクであろう筈がなく。アシュヴァッターマンがエンジンを吹かせる度、そのボディから溢れんばかりの炎が漏れ出している。
そんな燃え盛る巨大な車輪をフルフェイス姿で乗り回すその出立ち——どこかの町で活躍するという、謎の仮面ヒーローを思わせるものがあった。
『エントリーNo.4!! 大陸より襲来……世界最速を決めるこの妖怪ラリーに、ついに中国妖怪が名乗りを上げる!!』
『!! 中国……まあ、当然出てくるわよね……』
四番手。気を取り直して刑部姫は次の選手紹介へ。満を持して登場するのはアジア屈指の大国——中国である。
他の国々が名乗りを上げる以上、かの大国が出てこないなんてことはないだろう。中国妖怪、いったい如何なる猛者が馳せ参じたというのか。猫娘も緊張感を滲ませていくのだが——。
「——ヒヒーン!! お待たせしました……」
刑部姫が選手名をコールするのを待たずして、それは衆目の前に姿を晒した。
「中国と言えば三国志……三国志といえば、呂布!! そうです! 中国が誇る飛将軍・呂布奉先、ここに推参!!」
中国の歴史小説の中でも、特に日本でも人気が高いとされる——『
作中、数多の武将・軍師が活躍を見せるが、その中でも最強の一角と名高いのが——猛将『
養父を斬り殺したり、幾度となく裏切りを繰り返すなど。その行為こそ褒められたものではないが——その武功、武勲の数は他の追随を許さない。
もしも、本物の呂布奉先が死後に妖怪化したというのであれば、きっと恐ろしい脅威として立ちはだかるであろう。
もっとも——。
「天下無双と謳われた我が力……存分にお見せしましょう、ヒヒーン!!」
『…………えっ? なに、あれ……馬? 馬よね……いや、馬というより……
緊張で身構えていた猫娘も呆気に取られる。自ら呂布を名乗ったそれは——どこからどう見ても馬だった。
勿論、ただの馬ではない。下半身は馬、上半身は人間と。その姿はさながら、ギリシャ神話でも有名な半身半馬の種族・ケンタウロスのようである。
だがケンタウロスとは異なり、そいつは顔も文字通り馬面だった。
「おっと、ちょっとそこ通りますね……クワっ!!」
他選手とすれ違う際、歯を剥き出しに威嚇してしまう。本人に悪気がないようなら、それは生物としての習性だろう。
『え、ええと……本人は呂布を名乗っておりますが……選手登録名は赤兎馬となっていますね……』
混乱する観客たちに向け、刑部姫は彼が『呂布』ではなく『
赤兎馬は、呂布の愛馬とされた軍馬だ。呂布と共に数多の戦場を駆け抜けるその姿は、まさに人馬一体。そう考えれば呂布とは赤兎馬のことであり、赤兎馬とは呂布のこと。
赤兎馬である彼が呂布を名乗ったところで、何もおかしなところなどない——ないのである。
『エントリーNo.5!! アメリカ国民に恐れられた魔狼と、ドイツ人傭兵の亡霊がまさかのコラボレーション!!』
『アメリカとドイツの混合チームってこと? それって……ルール的には問題ないの?』
五番手。刑部姫の選手紹介は続いていくが、ここまで来ると猫娘にもツッコミ疲れのようなものが見て取れた。
国境の枠を越えた合同チームという。これまでの選手たちにも負けず劣らずのキャッチコピーながらも、ほとんどリアクションを見せないでいる。
『——オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「——!!!!!!!?」
だが、いざその『怪物』が姿を現した途端、再び会場全体が静まり返る。
アシュヴァッターマンの怒号に匹敵するほどの遠吠えと共に会場に現れたのは——巨大な狼であった。全長三メートルは越えるであろう、明らかに真っ当な生物とは思えない化け物がゆっくりと歩を進めてくる。
しかし、その巨体以上に群衆を恐怖させたのは——その鋭い眼光だ。
『グルゥウウウウウ……』
なんと『憎悪』に満ちた瞳だろうか。その目の奥に宿るのは、煌々と燃え続ける憎しみの業火。
傍目から見ても分かるほどに滾る憎悪。巨大な狼はその怒りと憎しみの矛先を——人間という生物へと向ける。
「——ひぃっ!?」
会場の隅で鬼たちに怯えていた筈の人々が、その狼に対する恐怖一色に染め上げられていく。
その狼と同じ空間内にいるというだけで、『死』を身近に感じるほどの絶望感。きっと、その狼と人間との間に相互理解など絶対に生まれはしない。
今この瞬間にも狼が飛び掛かってくるのではないかと、人々は恐怖に震え上がるしかないでいる。
『————』
それほどの憎悪を抱えながらも、狼が人間を襲わないでいるのは——その背に乗る『首なし騎士』がある程度の手綱を握っているからだろうか。
アイルランドの妖精・デュラハンを思わせる首なしの戦士。その手に鎌状の剣を持ち、軍服のような漆黒の衣装にボロボロのマントを纏っている。
彼らはいったい何者なのか、生憎と狼も首なしの騎士も語る術を持たない。
『ええ……彼らは狼王ロボと、ドイツ人傭兵の亡霊ヘシアン。二人ともアメリカに伝わる物語・伝説に登場するものたちです……』
黙して語らぬ彼らに代わり、刑部姫がその存在が如何なるものかを解説する。
巨大な狼の方は——
『シートン動物記』において。ロボは徹底して人間と争い、一晩で数百頭もの家畜を虐殺。その所業に現地の人間たちから『悪魔』と恐れられた。
だが人間との駆け引きの末、彼は妻であった白狼ブランカを殺され、自身にも首輪を掛けられた。人々はロボを生かそうとしたが、彼は人間からの施しを全て拒絶。
最後は餌を口にせず餓死、狼としての誇りを胸に抱いたまま死した王者。生前は通常サイズの狼だったが、人間に対する憎悪がロボをこのような怪物に変えてしまったのだろうか。
首なし騎士の方は——ヘシアン。
『スリーピーホロウ』において。アメリカ独立戦争時、イギリスに雇われたドイツ人傭兵が戦地にて命を落とした。その傭兵は大砲で吹き飛ばされた首を求めて、祖国に帰ることもなく今も森の中を彷徨っているという。
互いに全く異なる伝承の存在だ。共通点と言えば、同じアメリカで語り継がれるものだということくらいか。しかし、どのような経緯か不明ながらも、その数少ない共通点から両者は出会った。
そして共通の目的——自分たちを殺した『人間への復讐』のため。彼らはその牙を、その剣を血で染めていく。
×
『さて!!』
そうして、合計五チームの紹介が終わった。
これまでは世界各国から集まった代表チームの紹介であったが——ここからは違うと、日本妖怪である刑部姫が気合いを入れていく。
『いよいよ日本チームの登場!! 日本からは二チームが参加を表明しております!!』
『ええっ!! 日本だけ複数参加って……なんかずるいっスよ!!』
アシュヴァッターマンの怒号から立ち直ったガネーシャが不満を口にする。他の国は一カ国一チームという制限があるというのに、どうして日本だけ複数のエントリーが許されているのだろう。
『開催国特権ってヤツよ!! こうでもしなきゃ、話として進まないでしょうが!!』
しかしそんなクレームなど意にも介さず、刑部姫はとっとと話を進めていく。日本チームの、まずは一組目——。
『お待たせしました、鬼ヶ島の皆さん! 今回の妖怪ラリーの主催者にして、このオニランドの支配者!! 全てはこの男の宣言から始まった!!』
「——悪路王様ぁああああ!!」
「——ついに我らが王の登場だぁあああ!!」
刑部姫の紹介に、鬼ヶ島の鬼どもから割れんばかりの大歓声が上がる。ここは彼らにとってのホームグラウンド。他の選手たちを出迎えるときとは熱量が全く違う。
鬼たちの期待や希望を一身に受け、ついに悪路王がその姿を現す。
「——グハッハッハッッハ!! 待たせたな、皆の衆!!」
鬼どもの歓声に負けんばかりの高笑いを上げて登場する悪路王は、既に乗機たるマシンに搭乗していた。
「な、なんだぁあ!? あの馬鹿でかい……と、トラック!?」
「ええ!? あ、あんなのアリかよ!?」
すると、その悪路王の愛車を見た人間たちから困惑するような悲鳴が上がっていく。
なにしろ、悪路王自身が身長六メートルを越える大鬼である。そんじょそこらの自動車などでは彼を乗せて走行することは不可能。
故に——悪路王は配下の鬼どもが作り上げた巨大な特注マシーンに搭乗する。それは二台の改造トラックに、悪路王本人が鎮座する乗機を合体させるというもの。
「——ヒャッハー!! 汚物は轢き殺すぜ!!」
「——どけどけ!! ハイウェイは悪路王様のものだ!!」
その両端のトラックに乗るのは、悪路王配下の幹部——モヒカンとスキンヘッドである。
彼らこそ、悪路王の乗るモンスターマシンを動かすエンジンそのもの。そして、悪路王自身が鎮座する操縦桿を必要とすらしない玉座こそが『極悪号マークII』。ネーミングセンスこそダサいものの、その巨大さは他選手をマシンごと引き潰してしまいそうなほど。
余裕の現れか、悪路王は極悪号マークIIの搭乗席から、踏ん反り返るように他の選手たちを見下ろしていく。
「フンっ!! どいつもこいつも大したことはなさそうだ……勝ったな!! ガッハッハっ!!」
既に勝利を確信してか、悪路王は眼前の敵選手たちを鼻で笑い飛ばす。
「うぅうう……うー!!」
「不敬な!? 天罰を下しますよ!!」
「あん!? んだテメェ、ぶっ殺されてぇのか!?」
「ふっ……面白い! 相手にとって不足はありません!!」
『グルゥウウウウウ!!』
とはいえ、此度の妖怪ラリーに名乗りを上げた彼らも歴戦の猛者たちだ。
悪路王の威圧感にビビるどころか、逆に闘志を燃やして睨み返す。レースが始まる前から、選手同士の間で熱く火花が散らされていく。
『いよいよ最後の選手!! 悪路王を真っ向からねじ伏せるために彼女……鈴鹿御前自らが妖怪ラリーの参戦!!』
そして、ついに最後の選手として彼女——鈴鹿御前の名が刑部姫の口から叫ばれる。
今回の作戦、妖怪ラリーを通して悪路王を『無力化』するためにも、日本の支配権や鈴鹿御前の身を誰にも委ねないためにも、彼女自身がこのレースに勝たなくてはならない。
きっと気合が入っているであろう鈴鹿御前が——バイクの爆音と共に会場へと突撃してくる。
「——ホットでサニーなサマーギャル!! 推して参ったし!!」
「——も、もう少しスピードを落としてくれないか……鈴鹿御前!」
そうして姿を現したのは鈴鹿御前、そして彼女と共に妖怪ラリーを走ることになったゲゲゲの鬼太郎だ。
鈴鹿御前の愛車は——『KMR3000ーMH』。一見するとピンクにド派手なスーパースポーツタイプのバイクだが、その正体は鈴鹿御前が所有する『
ちなみに、KMRとは鈴鹿御前の所有する三振りの刀の一振り『
バイクにはサイドカーが取り付けられており、そこにヘルメットを被った鬼太郎が乗り込んでいる。
鈴鹿御前とゲゲゲの鬼太郎のタッグチームだ。たとえ悪路王だろうと、世界中から選り抜かれた代表たちが相手であろうと、引けを取らない戦いが出来るだろう。
『——おおっ!?』
もっとも観客たちが騒然となり、注目したのは彼女の乗るバイクでもなければ、ゲゲゲの鬼太郎でもない。
「——夏を制するのは私!! これぞ、鈴鹿……サマースタイル!!」
レースの参加者として現れた鈴鹿御前は、以前の女子高生風の衣装とは全くの真逆。大人の女性の色気を全面に押し出された艶姿——レースクイーン衣装を纏っていた。
バッチリ日焼けした小麦色の肌も含めて、まるで水着のようなその衣装は、鈴鹿御前の本来持っている完璧なプロポーションをより一層際立たせる。
『ちょっと!? その衣装際どすぎない!? いくらなんでも狙いすぎでしょ!!』
『リンゴのチェックはどうなってるんスか!! もっとも厳正に審査するっス!!』
そのあまりに破壊力抜群の衣装に、刑部姫が実況を放り投げて個人的な抗議を。ガネーシャなど意味の分からないクレームを上げている。
「え、叡智だ……」
「き、綺麗……」
人間たちも、男も女も関係なく鈴鹿御前の蠱惑的な姿に魅了されてしまう。しかし、その中でも一番興奮しているのが——。
「う、美しい……美しすぎる!! す、鈴鹿御前よ……お前、なんという格好を!!」
「あ、悪路王様! 落ち着いてください!!」
鈴鹿御前に求婚している悪路王だ。
ただでさえ惚れている女性が、あのようなセクシーな格好で登場したのだ。溢れんばかりの興奮を抑え切れることが出来ずに金棒をブンブンと振り回して、部下たちに落ち着くようにと宥められている。
「おのれぇえええ、ゲゲゲの鬼太郎!! あんな艶やかな鈴鹿御前と一緒にレースに参加するなど……羨ましすぎるぞ!!」
そうやって鈴鹿御前への好意が高まれば高まるほど、彼女とタッグを組む相方への嫉妬心が強まり、悪路王は恨めしい怨念染みた視線を鬼太郎へと向ける。
『なんであの女と鬼太郎が……ぬぐぐぐ……!!』
そして実況席からも、猫娘の嫉妬の視線が鬼太郎たちへと注がれていく。
「な、なんか……寒気が……」
「大丈夫か、鬼太郎?」
そんな誰かさんたちの視線を敏感に感じ取ったのか、鬼太郎がブルリとその身体を震わす。
鬼太郎と共にレースに付き合うことになった目玉おやじが息子の体調を気に掛けていた。
そうして、ここに妖怪ラリーに出場する全ての選手が出揃った。
イギリス代表 選手——フランちゃん。
乗機——バベッジ・ロコモーティブフォーム。
エジプト代表 選手——メシェド様?
乗機——ザ・ファラオレジェンド。
インド代表 選手——アシュヴァッターマン。
乗機——スダルシャンチャクラ。
中国代表 選手——自称・呂布奉先。
乗機——赤兎馬。
アメリカ&
ドイツ代表 選手——ヘシアン。
乗機——狼王ロボ。
日本代表① 選手——悪路王。
乗機——極悪号マークII。
日本代表② 選手——鈴鹿御前&ゲゲゲの鬼太郎。
乗機——KMR3000ーMH。
以上、全七チームによって優勝が争い合われる妖怪ラリー。
世界最速の称号は、誰の手に委ねられるのか。
『さあ……各車グリッドに出揃いました。スタートまで10、9、8……』
刑部姫が緊張した面持ちで、レース開始のカウントダウンを告げていく。
いよいよ秒読み段階となった妖怪ラリーを前に、全てのものが興奮を抑えきれず共にカウントダウンを口にしていく。
『——7』
オニランド最初のイベントに鬼たちは興奮を抑えきれず——。
『——6』
このレースの結果次第で運命が決まってしまう人間たちが不安と期待を胸に——。
『——5』
実況席では猫娘が鬼太郎の勝利を祈りながら——。
『——4』
同じく実況席から、刑部姫やガネーシャがワクワクと純粋にレースを楽しみに——。
『——3』
選手たちそれぞれの思惑、抱いた思いをその胸に——。
『——2、1、0!!』
いざ、妖怪ラリーの開幕である。
人物紹介
刑部姫
今作で三度目の登場、姫路城の刑部姫。
今回は実況者として、レースを盛り上げていく役割です。
最後、彼女にも真面目な出番がありますのでお楽しみに!
ガネーシャ
日本でも知っている人は多いだろう、インドの面白い神様。
象の頭に人の身体。その誕生の仕方すらも思わず「?」となってしまう。インドのおかしなスケール感。
何故彼? 彼女?が出てきたのか。賑やかし以上の意味はありますので最後までお楽しみに!
ちなみに、大いなる石像神の中身から『何か』が出てくることはありません。
鈴鹿御前・サマバケ
鈴鹿御前の水着霊基。
タイトルにある通り、今作はレースクイーン姿がメインです。
自分も、鈴鹿御前をパーティに入れる際はこちらの第一再臨でやってます。だってこの衣装が一番叡智……。
悪路王・極悪号マークII
悪路王が乗り回す巨大なトラックマシーン。ぶっちゃけ名前とか即興です。
イメージとしては——世紀末世界で何処ぞの聖帝が乗ってそうなやつ。
より見た目のイメージを知りたい方は——『遊戯王ラッシュデェエル』における『獣機界覇者キングコンボイライガオン』というカードを参照してみてください。大体あんな感じです。
各国のレース参加者たち
妖怪ラリーに出場する日本以外の選手たち。
全員をこの場で紹介すると収拾がつかないため、その都度それそれで紹介を入れていきたいと思います。
全員が妖怪ではありませんが、参加してもおかしくない素性、設定を考えていますのでお楽しみに!