ゲゲゲの鬼太郎 クロスオーバー集   作:SAMUSAMU

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fgo『魔法使いの夜』とのコラボイベント……無事クリアしました。

一月の『サムライレムナント』とのコラボイベントも素晴らしかったですが……今回のまほよコラボはマジ神イベだった!!
毎日更新のイベントも実に読み応えがあって飽きがなく、クライマックスにいたっては……鳥肌と涙が止まらなかった!!
感想を書くとキリがないのでネタバレは控えますが……流石、奈須きのこ!!
これはもう、きのこにしか書けん……こういった神イベがあるから、fgoは辞められない!!

今回は其の②と前回の続きですが……前回とは異なりクロス先である『ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン』が話のメインとなり、鬼太郎側の話は全く出てきません。
今作はヴァイオレット・エヴァ―ガーデンというお話の世界観を合わせるため、史実ネタなど色々と設定を練りこんできました。

ちなみに、ヴァイオレット・エヴァ―ガーデンという作品は『アニメ版』と『小説版』で物語の流れや、キャラクターの設定など多少の差異があります。
作者は個人的に『小説版』が好きなため、設定などをそちら側に寄せています。
アニメ版しか視聴していない方など『こんなキャラいたっけ?』とか『このキャラってこんな性格だっけ?』などと疑問に感じるかもしれませんが、原作を参考にしているため間違った解釈ではないと考えますので、予めご了承下さい。

前回と比べて短め。
今作はおそらく四話構成となるのでよろしくお願いします。



ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン 其の②

 世界中を戦火の渦に巻き込んだ、第二次世界大戦は1939年から1945年まで、およそ6年間続いた。1945年の5月にドイツが、同年9月に日本が降伏文書に調印したことにより、事実上世界大戦は終結したとされている。

 だが大戦終戦後も、世界から争いがなくなることはなく。紛争は各地で起き、それにより生まれた火種は二十一世紀の今になっても燻り続けている。

 

 1950年に勃発した——『朝鮮戦争』もそのうちの一つだ。

 南北に分断された朝鮮半島の支配権を奪い合うこの争いは、2020年現在も休戦協定が結ばれただけで完全な和平には至っていない。

 

 開戦当初、北側は破竹の勢いで進軍し、南側を劣勢へと追い込んだ。

 南側には国連軍——実質アメリカ軍が参戦していたが、戦況は芳しくなく。国連軍は徐々に南へ南へと押し込まれていき、まさに背水の陣へと追い込まれていくのであった。

 

 

 

「——閣下、やはりこれ以上は……」

「——構わん。無理に戦線を維持する必要はない。兵たちには速やかに後退するように命じよ……」

 

 北側の快進撃を前に敗走を続ける国連軍・アメリカ兵たち。自軍が立て続けに敗北し続ける現状に、それを報告する軍将校の顔色は優れない。

 ところが、その報告を側近から聞かされている最高司令官の表情に変化はなく。愛用のコーンパイプをふかすその姿は威厳に満ちた、威風堂々たるものであった。

 

 彼こそ、国連から派遣された連合軍総司令官——ダグラス・マッカーサー元帥、その人である。

 占領国となった日本に神の如く君臨していた彼が、朝鮮半島の戦況を打開すべく総司令として派遣されたのである。

 

 とはいえ、彼の指揮の下でも戦局の不利をすぐには覆すことが出来ず、アメリカ軍はひたすら後退を続けていた。

 

 朝鮮戦争でアメリカが苦戦した理由は色々あるが——その内の一つに『兵の練度不足』が挙げられる。

 

 第一次、第二次と続いた二度に渡る大戦。さらに終戦から五年もの月日が経過していたのだ。既に古参の兵たちはそのほとんどが退役しており、朝鮮戦争でかき集められた兵士たちは、碌に実戦すら経験したこともない、新兵ばかりであった。

 

「それにしても……本当に若い新兵ばかりだな……」

「皆、戦争に疲れているのですよ……元帥閣下……」

 

 常にその身を最前線に置き続けてきた、齢七十歳のマッカーサーは自軍の様子を眺めながら嘆くようにボヤいたが、側近である将校はそれも仕方がないと宥める

 誰も彼もが戦争に疲れていた。それは勝ち続けてきたアメリカとて例外ではないのだ。

 

「まあいい……すぐに日本に戻るぞ」

「ハッ!!」

 

 しかし嘆いてばかりもいられないと、その日の夕刻にもマッカーサーは朝鮮半島から日本に戻ろうとしていた。

 朝鮮戦争の指揮もそうだが、日本の統治もまた彼の任務であった。マッカーサーは早朝には日本から朝鮮へ、夕方には朝鮮から日本へと。両国を行き来するという、慌ただしい日々を送っていたのである。

 

 

 

「…………ん?」

 

 そうして、日本に戻るためバターン号・専用の飛行機に乗り込もうとした、そのときに事件は起きる。

 

「コートよ……あれはなんだ?」

「ハッ? あ、あれとは……いったい?」

 

 マッカーサーが側近に対して疑問をぶつける。問い掛けられた方はそれがなんなのか分からず、彼が顎で出し示した方を振り返る。

 彼らの視線の先では、整然と並び立った兵士たちが直立不動で敬礼をしていたのだが——。

 

 

「…………」

 

 

 その兵士の中に——明らかに戦場に不釣り合いな、一人の少女がいた。

 

 歳は十歳ほど。黄金のように輝く金髪に、空のように碧い瞳。成長すれば間違いなく美人になるだろう。そんな将来性を秘めた美しい少女が、武骨な軍服に袖を通していたのだ。

 少女は敬礼をすることもなく、ただ静かにマッカーサーたちを眺めている。虚空を見つめるようなその瞳には、司令官に対する敬意も関心も感じられない。

 

「何故……あのような年端もいかぬ娘が軍にいるのだ!? これはどういうことか!!」

 

 その少女の存在にマッカーサーは憤慨する。

 何故、あのような子供が当然のように軍にいるのかと。少女に向かってズカズカと歩み寄りながら、その周辺にいた兵士たちへ咎めるように声を荒げた。

 

「げ、元帥閣下……!!」

「こ、これは……その……」

 

 軍の最高司令官から直接問い詰められ、兵士たちは怯えて萎縮してしまい、まともに返答が出来ないでいる。

 その一方で、最高司令官がすぐ側まで寄ってきたというのに少女は微動だにせず、その視線は虚空を漂ったままだった。

 

 

「——お待ちください、閣下……」

 

 

 すると、怒り狂うマッカーサーに向かい、やんわりと意見するものが現れた。その人物が現れた途端、それまで虚空を見つめていた少女の瞳が真っ直ぐその人物へと向けられる。

 

「貴様、少佐……名前は? どこの部隊だ?」

 

 マッカーサーはその人物の階級章を確認し、少佐である彼の名前と部隊名を問う。元帥という雲の上の存在からの問い掛けに対し、その少佐は臆さずに自らの素性を答えていく。

 

 

「陸軍特別攻撃部隊。隊長のギルベルト・ブーゲンビリアであります」

「……ブーゲンビリアだと? それに……特別攻撃部隊とは……まさか……?」

 

 

 まずは、その人物のフルネームを聞いたところでマッカーサーは眉を顰めた。

 

 ブーゲンビリア——アメリカ陸軍内ではちょっとばかし名の知れた家名だ。優秀な軍高官を代々輩出してきた由緒正しい名家である。

 見ればギルベルトと名乗った男性、まだ二十代そこそこといったところだ。その若さで少佐などという地位に付いていることからも、彼がエリート街道を歩んでいることが察せられる。

 

 次いで、その部隊名を——『特別攻撃部隊』などという大仰な響きに、マッカーサーの顔が苦虫を噛み潰したように歪む。

 聞き慣れない部隊名なのか、周囲の兵士たちは『……?』などとクエスチョンマークを浮かべているがそれも無理からぬこと。

 

 

 特別攻撃部隊。

 それは最近になって新設された『ある特別な任務』のために活動する部隊である。その存在は外部からは徹底的に秘匿されており、マッカーサーですら、本当に実在するかどうか疑わしく思っていた部隊なのだ。

 

 

「話には聞いていたが、本当にそんな小娘が……? 正気なのか、参謀本部の連中は……」

 

 そんな存在すらも怪しかった部隊の『要』となるであろう少女を前に、部隊設立を認可した上層部の判断をマッカーサーは非難する。

 それはたとえマッカーサーでなくとも、その話を聞いたのなら『正気か?』と、それを決定した人間たちの正常な判断能力を疑うような内容だったのだ。

 

「既にご存知のことかと思いますが、我々の作戦行動は全て参謀本部から認可を得たものです」

 

 しかしマッカーサーの懐疑的な発言にも微動だにせず、ギルベルトは直立不動のまま元帥へと言い返す。

 

「いかに元帥閣下といえども、任務内容に関しては口出し無用。作戦内容の口外も出来かねますことを、あらかじめご理解ください……」

「き、貴様っ!! それが元帥に対する口の聞き方か!!」

 

 ギルベルトの言葉は、上官に対するものにしては慇懃無礼なものであった。その態度に、マッカーサーの横に控えていた将校が怒りを露わにする。

 いかに特別な立場を与えられていようと、たかが少佐如きが元帥にそのような口の利き方、軍隊という縦社会からして到底見過ごせるものではないと。

 

 軍将校は怒りのあまり握り拳を固めて、そのままギルベルトに殴り掛かろうと拳を振りかぶっていた。その鉄拳制裁に、ギルベルト自身は避けるような素振りを見せなかったのだが——。

 

 

「————!!」

 

 

 刹那、話題とされている例の少女が軍将校の『敵意』に反応を示した。

 まだ十歳ほどの女の子が、猫が飛び掛かるかのよう姿勢を低くしたかと思えば——次の瞬間にも、ギルベルトに殴り掛かろうとしていた軍将校に襲い掛かったのである。

 

「へっ……? グハッ!?」

 

 数多の死線を潜り抜けてきた筈の将校がまるで反応も出来なかった。気が付けば、少女の蹴りが将校の顎にクリーンヒットしており、短い悲鳴を上げながら彼の両膝が地面に突く。

 そこから、さらに少女は膝を突いた将校の背後へと回り込み、懐からナイフを取り出した。そしてあろうことか、そのナイフを将校の首へと当て——そのまま喉を引き裂こうとしたのだ。

 

 瞬きの間に、少女は一人の人間の命を刈り取ろうとした——。

 

 

「——やめろ!!」

 

 

 その直前、少女の蛮行を阻止しようとギルベルトが叫んだ。彼の叫び声に反応し、少女がピタリとその動きを止める。

 

「その人を離しなさい」

「…………」

 

 ギルベルトが発した命令に、少女はすぐに将校から手を離した。そしてまるで何事もなかったかのよう、ギルベルトの元へと戻っていき、彼の背後にて待機する。

 

「はぁはぁ……」

「申し訳ありません、お怪我はありませんか?」

 

 今まさに死にかけた将校が、膝を突いたまま呆然と息を切らす。あと一歩、ギルベルトが少女を止めるのが遅かったら命はなかっただろうと、冷や汗が止まらない。

 ギルベルト自身もかなり慌てていたようで。少女が将校を殺さなかったことを心底から安堵し、皮肉ではなく本心から将校の身を心配する。

 

「…………」

「…………」

「…………」

 

 その間、周囲の兵士たちは唖然となっていた。

 少女の暴走をギルベルト以外、誰一人察知することすら出来なかったのだ。少女が動いたと思った——次の瞬間には、将校の命が彼女の手の中に握られていたという事実。

 まさに瞬きする間もなかった。少女の驚くべき戦闘能力に戦慄する兵士たち。

 

「——なるほど、話に聞いていた通り、大した性能だ……」

 

 だが兵士たちが絶句する中、マッカーサーだけはこれといった動揺を見せることなく、少女の『性能』に対する素直な感想を述べる。

 

「確かにこれなら、並の兵士など相手になるまい。十分な戦果も期待出来よう……」

 

 そして、本来であれば戦場にいるべきでない少女を戦力としてカウントし、その存在を認めてその場から立ち去ろうとする。命令系統が異なるギルベルトの部隊の作戦行動に対しても、口を出すつもりはないということだろう。

 

「だが、たった一人の兵士が戦況を左右することなどあり得ぬ」

 

 しかし去り際、マッカーサーは忠告する。

 

「戦争とは物量……つまるところ、生産力がものをいう。より多くの弾、より多くの兵力を動員する方が勝つ……それ以上でも、それ以下でもない」

 

 戦争とは、国と国との衝突。その国の持つ軍事力をぶつけ合い、最終的にはより大きな方が勝つ——単純にして明快な図式だ。

 勿論、戦略や戦術次第である程度の数的不利を覆すことは出来るかもしれない。だがそれも、一定の物量があってこそ初めて成り立つ。アメリカという国が戦争に勝ち続けられるのも、そのずば抜けた生産力によって膨大な軍事力を支えているからである。

 

 この朝鮮戦争も、西と東——どちら側の勢力がより多くの兵力を戦場に送り込むことが出来るか、それによって勝敗が左右される。

 少なくとも、たった一人の参戦でどうにか出来るほど、国家間の争いは甘いものではないということだ。

 

「心得ております……」

 

 ギルベルトもそれは承知しているようで、非の打ち所のない敬礼でマッカーサーへの敬意を表し、その出立を見送っていく。

 

 

 

 

 

「も……申し訳ありません、元帥閣下……とんだ醜態を晒してしまい……」

 

 東京に向かうため、マッカーサーと共にバターン号に乗り込んだ軍将校が恐縮した様子で頭を下げる。少女相手に醜態を晒してしまった、自身の不甲斐なさを心底から恥じているようだ。

 

「よい。あの娘が噂通りのものなら、決して個人で敵うような相手ではない」

 

 もっとも、マッカーサーは特に気にしていないのか、側近の謝罪にチラリとも視線を向けない。既にその思考は次なる作戦に向けられており、先ほどのいざこざになどほとんど関心を向けていないように見える。

 

「そ、それにしても……!! あのギルベルトとかいう小僧……いかにブーゲンビリア家の跡継ぎとはいえ……元帥閣下にあのような無礼な態度!! 後ほど厳重に抗議すべきかと……」

 

 しかし軍将校は先ほどの相手、ギルベルト少佐に腹を立てる。彼自身の態度もそうだが、その指揮下にいるあの少女にしてやられたという屈辱感もあるのだろう。

 厳重に抗議して処罰を下すべきだとマッカーサーに進言する。そんな部下からの忠言に対し——。

 

 

「あの娘……いったいどのような経緯で、今のような境遇に至ったのであろうな……」

「……はっ?」

 

 

 マッカーサーは全く別のこと、あの少女の境遇について思いを馳せていた。

 

「貧困で親に売られたか……それとも、戦災孤児か……いずれにせよ、碌な人生を送ってはいないだろう……」

 

 あの少女が噂通りの『出自』を持つのであれば、ここに至るまでの道のりは決して幸福なものではなかっただろう。

 きっと他人には想像も出来ないような体験をして——その上で、ああして感情のない兵器として戦場に立つことを強いられているのだ。

 

「あのような子供を生み出さぬためにと、我々は……私は軍人として戦ってきたつもりだ。それなのに……あんな子供を最前線に立たせることを黙認せねばならんとは……全く不甲斐ないことだ……」

「か、閣下……!」

 

 マッカーサーの嘆くような呟きに将校がハッとなる。

 誰もがあの少女の異常性に怯えるあまり、当然のように気遣うべき彼女の境遇にまで考えが及んでいなかったのだ。だがマッカーサーは彼女を兵器ではなく、一人の少女——子供としてその身を案じていた。

 その器の広さに、感極まったように震える軍将校。

 

「この戦いを生き残ることで……あの娘にも、今とは違う未来が訪れることを願わんばかりだが……」

 

 しかし、元帥であるマッカーサーですら口を出せない以上、あとは見守ることしか出来ないと。せめて彼女がこの戦争を生き残り——戦うばかりではない人生に至れることを切に願わんばかりであった。

 

 

 果たして、あのような人の心があるかどうかも分からない彼女に、そんな未来が本当に訪れるのかと疑問を抱きながらも。

 

 

 

 

 

 そして時は流れる。

 

 

 

×

 

 

 

 1964年夏、アメリカ西海岸。

 

「ええっと……それで……つまりですね。僕が今ここに入れるのは……彼女のおかげであって……だから……その気持ちを伝えたくて……」

 

 とある建物内にて、椅子に腰掛けた一人の男性がしどろもどろになりながらも、己の伝えたい気持ちをなんとか言葉にしていく。

 すると彼の言葉を聞き取りながら、一人の女性がその内容をタイプライターを用いて文章へと変換していた。

 

 彼女の手によって書き上げられていくもの、それは『手紙』だった。

 男性は彼女の元に訪れた顧客だ。彼女は依頼で——彼の想い人への手紙を『代筆』してもらっているのである。

 

 

 1960年代。アメリカは世界で最も豊かな国などと謳われていたが、実態としては貧困の喘ぐ国民が数多くいた。まともな教育を受けることが出来なかった貧困層は、文字を書くことも困難だったという。

 そういった人たちのために、この会社では代筆サービスを行なっている。字が書けない人のため、代わりに手紙を執筆してくれているのだ。

 

『キミのおかげで今の僕がある。キミは僕の人生において欠かすことの出来ない——』

 

 しかし、言われたことをそのまま書きおこしている訳ではない。彼の言葉の中から本当に伝えたい想いを掬い上げ、それを手紙に綴っていく。

 それこそが、自動手記人形——彼女たちが『良きドール』と言われる所以であった。

 

 自動手記人形——随分と昔、機械人形の権威であるオーランド博士によってそれは作られた。

 彼は後天的に盲目となってしまった妻のため、人の肉声によって文字を書き記す——『代筆をこなしてくれる人形』を製作したのだ。

 小説家であった妻はその人形のおかげで執筆を続けることができ、数々の名作を世に送り出した。

 

 その後、その機械人形自体も使われるようにはなったのだが、それと同時に『代筆屋』のことを『自動手記人形』とも呼ぶようになったという。

 基本的に機械人形の方は高価なものであり、一般家庭にはあまり普及されなかった。自動手記人形といえば『手紙を代筆してくれる女性たち』——それが世間一般的なその当時の認識となっていた。

 

 

「——最後の言葉は……『愛している』でよろしいでしょうか?」

「お、お願いします!!」

 

 そうして、顧客の要望である恋文を代筆することになった彼女は、最後の言葉を『愛している』で締め括る。少しストレート過ぎる内容に依頼主の頬がやや赤くなっていたが、それこそが伝えたい想いなのだから構わないだろう。

 

 

 きっと言葉では伝えにくいその想いを、手紙という形でなら届けられると信じて——。

 

 

「では旦那様……改めて内容を確認し、よろしければこちらにサインを……」

「は、はい!! ありがとうございます!!」

 

 こうして、一通の手紙を書き終えた代筆屋の女性が事務的な手続きを済ませ、顧客であるその男性に手紙を手渡す。想いが綴られたその手紙を想い人に渡せるかどうか、それは彼自身の勇気次第だ。

 いずれにせよ自分に出来ることはここまでだと、代筆屋の女性は自分を指名してくれたお客様に深々と頭を下げる。

 

「この度は当社の自動手記人形サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます」

 

 自動手記人形としての訓練を受けた女性は、基本的に高等な教育を受けたものが多い。上流階級でも通じそうな礼儀正しいお辞儀で、従業員である自動手記人形の彼女がお客様を見送っていく。

 

 

「——またのご利用お待ちしております。自動手記人形、ヴァイオレット・エヴァーガーデンです」

 

 

 稲穂が実ったような金髪が輝き、どこまでも碧く澄んだ瞳が今日も想いを届けたい人々を見つめていた。

 

 

 

 

 

「お疲れ様、ヴァイオレット!! 今日も指名がいっぱいだったわね!!」

「カトレア……はい、今日もお疲れ様でした……」

 

 その日の業務を終えた二人の女性が、社内にある従業員用の休憩室で互いの労を労う。

 彼女たちが所属するC.H社には、数多くの自動手記人形が勤めているが、その中でも二人の女性——カトレア・ボードレールとヴァイオレット・エヴァーガーデンは超が付くほどの売れっ子である。

 

 自動手記人形、代筆屋である彼女たちの仕事は多岐に渡る。

 字が書けない人に代わって手紙をしたためるのは勿論だが、他にも小説の清書、歌詞の作成。古文書の清書や専門書類の作成。スピーチ原稿の執筆なども業務の内に含まれている。

 清書だけであれば誰がやっても大差ないだろうが、手紙などそれを執筆するものの個性が色濃く出るような仕事は、特に自動手記人形たちそれぞれによって人気に差が出る。

 

 

 カトレア・ボードレール。

 艶やかに長い黒髪に、胸元を惜しげもなく開いた大胆な衣装。ペンダントやバングル、ブレスレットなどの貴金属で自身を煌びやかに着飾った美女だ。彼女のしたためる恋文は非常に情熱的だと、特に若年層から高い支持を受けている。

 

 ヴァイオレット・エヴァーガーデン。

 金髪碧眼。人間離れしたその美貌はまるで精巧に造られた人形のよう。シンプルなワンピースドレスと服装はいたって清楚で、唯一の装飾品である胸元のエメラルドブローチが深い輝きを放っている。

 正確無比なタイピング、お客様への丁寧な対応。繊細で美しい文章を綴ると、世代を越えて愛されている自動手記人形である。

 

 

「ヴァイオレット、今日は夕食どうする? 三番街の方に新しいレストランが出来たんだけど……一緒に行かない!?」

「そうですね……今夜は特に予定もありません。私で良ければ、ご一緒させてください」

 

 二人の自動手記人形は互いに対象的な雰囲気を持ちながらも、友人として仲は良いのだろう。カトレアが夕食に誘い、それにヴァイオレットも快く応える。

 既に本日の業務を全て終えているのだから、彼女たちを阻むものはない筈である。

 

 

「——なんだ? お前らこれから飯かよ。なら、俺も連れてけって!」

 

 

 だが、そんな彼女たちの会話の輪の中に一人の男性が入ってきた。

 

 燦々と輝くような金髪に、瞳が青空のように澄んだ青年。ゆったりとしたシャツにサスペンダーで吊るしたレザーパンツ。ヒールの高いブーツに十字架をあしらったりと、ところどころにおしゃれを施した、一見すると女性ウケしそうな優男。

 しかし、纏う空気はどことなく粗暴で、口調などもややぶっきらぼうであった。そんな彼が口を挟んできたことで、カトレアがあからさまに不機嫌そうに顔を歪めていく。

 

「ちょっと、ベネディクト!! アンタ、ちゃんと手洗ったんでしょうね……消毒もしてない手で、ヴァイオレットに触らないでよね!!」

「お前っ……それが朝から晩まで街中を駆けずり回ってきた働く男に言う台詞かよ!? もっと俺の働きを讃えろ!! 労え!!」

「お生憎様!! 私たちも一日中ずーっと、働いてたのよ!! アンタみたいな体力バカと違って、頭を使った繊細な仕事をね!!」

「はっ!! ヴィーはともかく、お前に繊細な仕事なんか務まんのかよ、ガサツ女が……!!」

「な、なんですって!? このデリカシーゼロ男!! そんなんだからアンタは!!」

 

 男性——ベネディクト・ブルーとカトレアは、顔を突き合わせるやギャアギャアと言い合いを始めた。側から見ると険悪な関係にも思えるが、すぐ側にいるヴァイオレットは特に狼狽した様子もなく、見慣れたように二人の口喧嘩を眺めている。

 

 

「——二人とも、痴話喧嘩なら家の中でしてよね……見せつけられるこっちの身にもなってよ、もう……」

 

 

 実際、そのやり取りに呆れたようなため息を吐きながら——眼鏡を掛けた女性が顔を出す。

 短く切り揃えられたラベンダーのような紫色の髪。眼鏡のレンズ越しにこちらを覗き込んでくる瞳は左右で色が違う。右目が赤く、左目が金色——所謂、オッドアイという奴だ。

 神秘的な容姿の彼女だが、書類を大事そうに抱えながらの立ち振る舞いはまさに敏腕秘書といった体である。

 

「ラックス!! 別に誰も痴話喧嘩なんて……!!」

「そ、そうだぜ……誰がこんな女なんかと……!!」

 

 そんな秘書風の女性——ラックス・シュビラの指摘に、二人の男女が慌てたように言い訳を始める。痴話喧嘩というのはそれなりに深い間柄の男女だからこそ成り立つもので、自分たちはそんなではないと。

 

「はいはい……そういうのいいから……」

 

 もっとも、そんな言い訳に全く聞く耳を持たないラックス。

 実のところこの二人、仲が悪いふうに装っているが陰では付き合っていると。会社の同僚であれば皆が気付いている事実なのだが、本人たちは必死に隠しているつもりなのである。

 

「はぁ……それはそれとして……ヴァイオレット!!」

「どうかしましたか、ラックス?」

 

 そんないつになったら素直に交際の事実を認めるんだろうと、素直になれない二人に溜息を吐きながらも、ラックスはヴァイオレットに声を掛けていた。

 秘書として、自分が仕える相手からの呼び出しを彼女に伝えるために。

 

「社長が呼んでるわ。貴女に大事な話があるって……」

 

 

 

 

 

「仕事終わりにごめんね、ヴァイオレットちゃん……」

「いえ、まだ業務時間内ですので問題ありません、ホッジンズ社長」

 

 社長——クラウディア・ホッジンズは申し訳なさそうに、呼び出しに応じてくれたヴァイオレットに謝罪を述べていた。社長という役職を勤めながらも、そこに偉そうな態度は微塵もない。

 

 少し長めの赤髪を軽く後ろに纏めたその伊達男は、三十代後半といったところ。おしゃれなスーツを慣れたように着こなしながらも、年相応にくたびれた印象も受ける。社長という激務に疲れているのか、デスクの上の膨大な量の書類に頭を抱えているようだ。

 

「社長……早く話を進めて、引き続き業務に戻ってください。社長のお仕事はまだ終わっていませんので」

 

 もっとも社長の傍に佇む、秘書であるラックスがホッジンズを見る目は冷ややかであった。その書類の山も、全て彼の職務怠慢が原因だとばかりにジト目の視線を送っている。

 

「わ、分かってるよ、ラックスちゃん……ははっ、ははは……」

 

 秘書からの厳しい指摘にホッジンズは渇いた笑みを浮かべる。年が一回りは離れているであろう若い秘書に、社長でありながらも頭が上がらない様子だった。

 

「オホン!! ところで……俺が呼んだのはヴァイオレットちゃんだけなんだけど……」

 

 そんな気まずさから、なんとか社長としての威厳を保とうとホッジンズは一度咳払い。だがそこでチラリとヴァイオレットの後方、壁際に立つ二人の人間へと目を向ける。

 

「別にいいだろ。俺たちがいたら不味いってのかよ?」

「そうよ!! ヴァイオレットとだけ秘密の話なんて……なんかズルいわ!!」

 

 そこにいたのは、ベネディクトとカトレアの二人だ。呼ばれてもいないのに社長室へと上がり込み、ヴァイオレットとの話に同席しようというのだ。

 

「はぁ~……まあ、いいか……」

 

 そんな一切遠慮のない社員たちに、ホッジンズはやれやれとため息を吐きながらも、とりあえずヴァイオレットをここへ呼ぶ出すことになった要件を伝えていく。

 

 

 

「これは、まだちょっと先の話なんだけどね……今年の10月にオリンピックが開催されることになってるのは知ってるよね?」

「はい、今年は日本の……トウキョウという都市で行われるとか……」

 

 ホッジンズが口にしたのは四年に一度の祭典、国家間の垣根を越えて開催される国際的なスポーツイベント——オリンピックのことであった。

 開催国は自国ではないものの、その話題性からヴァイオレットは勿論、その場にいた全員がその大会のことを知っている。

 

「じゃあ……そのオリンピックが開催された……その一ヶ月後に、パラリンピックが開かれることは知ってるかな?」

「……あん? パラリンピック? なんだよ、そりゃ……?」

「……?」

 

 しかし続け様、ホッジンズが口にした聞き慣れない大会名にベネディクトが疑問を口にする。思い当たる節がないのは彼一人ではないようで、カトレアも不思議そうに首を傾げていた。

 

 

 オリンピックのことを知っていても、パラリンピックは知らない。そういう人間がいても、それは仕方がないことだ。

 というのも、パラリンピック——その名前が正式名称になったのは、1960年。前回のローマオリンピックが第一回目——つまりは初めての開催だったのだ。

 

 パラリンピックという大会名が付けられる以前も、障害者競技大会は確かにあったのだが、そこまで大きな大会ではなかった。元々は戦争で怪我を負った負傷兵のリハビリのため、病院内で行われた小さな大会がパラリンピックの原典だと言われている。

 そこから徐々に知名度を上げていき、最近になってようやく国際的な大会として認知され始めたのだ。オリンピックに比べると注目度も、知名度もまだまだ一般的ではなかったのだ。

 

 

「それで……そのパラリンピックの大会に、ヴァイオレットちゃんも同伴してくれないかっていう依頼が来てるんだけど……」

 

 そのパラリンピック——障害者を対象とした大会に、ヴァイオレット・エヴァーガーデンに来て欲しいという依頼があったと。ホッジンズは少し言葉を詰まらせながらも本題を伝えていく。

 

「それは……私に競技者として参加して欲しいということでしょうか?」

 

 それを聞くや、ヴァイオレットは僅かに思案した後、室内でありながらも装着していた黒手袋を外していく。

 

 手袋の下からは肌色の素肌ではなく、無骨に黒光りする機械の腕が露わとなった。

 

 鋼の義手だ。服のおかげで大部分が隠れているが、彼女の両腕は肘先まで機械の腕となっていた。初めてそれを目の当たりにするものなら驚いて息を呑むところだろうが、この場にいるものたちは皆が平然としていた。

 彼らは既にヴァイオレットの事情を全て知っている。今更驚くようなことではない。

 

「でしたらお断りします。私のようなものが……そのように名誉ある大会に参加する資格などないかと……」

「資格だなんて……そんな言い方……」

 

 義手を付けているという点において、ヴァイオレットは障害者として認定されるのだろう。それ故、彼女はその依頼が——『大会に参加してくれ』という要請だと思い、即座に断りを入れる。

 自分にはその資格がないと、自身をへりくだった言い方だ。その言いように、ヴァイオレットと友人でもあるラックスが気遣うように声を掛けるが。

 

「いや、違うんだよヴァイオレットちゃん。選手としてじゃなく、通訳として来て欲しい……表向きはそういった話になってる」

「通訳……ですか?」

 

 だが、ヴァイオレットの誤解を解きながら、ホッジンズは彼女に『通訳』としての仕事依頼が来ていると説明する。

 自動手記人形である彼女たちは職業柄、英語以外の言語に精通しているものが多い。多国の人間宛に手紙を翻訳して書く必要もあるためだ。そのため、代筆以外にも単純な通訳として仕事が舞い込んでくることも珍しくはない。

 

「ヴァイオレットちゃんは……確か、日本語も出来るって言ってたよね?」

「はい……エヴァーガーデン家の養子とさせていただいたおり、一通りの言語を勉強させていただきました」

 

 ヴァイオレットという女性は孤児だった。彼女は十三歳のとき、エヴァーガーデン家という由緒正しき家と養子縁組を結んだ。エヴァーガーデン家はヴァイオレットに淑女としての教育を施したのだが、その教育課程で多種多様の外国語を学ぶ機会があったという。

 それもエヴァーガーデン家の主人が、若い頃に外交官をやっていたという経歴からだろうか。そのおかげで、ヴァイオレットは数多くの外国語を習得することが出来たという。

 

 数ある言語の中でも、特に日本語は習得難易度がトップレベルで難しいとされる言語だ。自動手記人形は数多く入れども、日本語の翻訳をこなせるものは少数派だろう。

 貴重な日本語を話せるヴァイオレットという自動手記人形に、通訳としてお呼びが掛かってもそれ自体は決しておかしいことではない。

 

「表向きって……他に何か理由があるわけ?」

「…………」

 

 しかし、ホッジンズがわざわざ『表向き』などという言葉を用いたことにカトレアが疑問を呈する。実際、カトレアからの指摘にホッジンズはますます表情を曇らせながら、なんとか言葉を紡ごうとしていた。

 

「ヴァイオレットちゃんの義手って……その、かなり高性能なやつなんだよね……?」

 

 ふいに、彼が話題としたのはヴァイオレットの義手についてだ。

 

「はい、この義手はエスターク社の一点物。当時の最先端技術を結集して製造された……採算度外視の特注品だと聞いています」

 

 ヴァイオレットは自身の義手について説明する。

 ヴァイオレットの義手は特別製で、彼女が十三歳のとき——彼女が長い眠りについている間に付けられたものだった。

 彼女自身が望んだわけではなかったが、それは当時からしても最高品質の義手であり、今の時代に一般的に出回っているような既製品と比較しても、比べようもないほどの精密さと耐久性を備えているというのだ。

 

「障害者の人たちを対象にした大会ってだけあって……選手たちの中には義手や義足を付けている人も結構いるんだ……」

 

 ヴァイオレットのように義手や義足を付けている人間自体、決して珍しくないだろう。

 

「けど……やっぱり、ヴァイオレットちゃんの義手は世界的に見ても珍しいくらいに高性能なんだよね……」

 

 だが、その中でもやはりヴァイオレットの持つ義手は破格であり、その性能は群を抜いているとのこと。

 

「だから……それを見せつけることで……自分たちの技術力を世界中に知らしめようって……そういった考えを持った人たちがいて……なんていうか……」

 

 そうした事情を説明しようとするホッジンズだったが、肝心な部分で言葉を詰まらせてしまう。彼は実に言いにくそうで、それ以上は察してくれとばかりにチラチラとヴァイオレットの様子を伺っている。

 

「……社長?」

 

 しかし、肝心のヴァイオレットは社長が何を気遣っているのか、それが分からずに首を傾げている。

 

「う~ん……? それって、つまり……」

「なんだそりゃ……ようはヴィーを見世物にしようってのかよ!? ふざけんな!!」

 

 すると察しの悪いヴァイオレットに代わり、カトレアやベネディクトの二人がホッジンズの言わんとしていることを理解し、その顔に怒りといった感情を浮かべる。

 

 つまるところ、この依頼はヴァイオレットという人間が持つ義手の性能——ひいては、ヴァイオレット自身の性能をお披露目するための、いわばデモンストレーションのようなものだ。

 各国の代表選手、それに随伴する関係者たちに自国の技術力を見せつけるため、ヴァイオレットを利用しようというわけだ。

 

「そんなの断っちゃってよ、社長!!」

 

 当然、友人がそのような扱いを受けて面白いわけがない。カトレアが真っ先に依頼を断るように社長へと直談判する。

 

「今回の依頼主は……我が社の大株主の一人です。断ったら断ったで……色々と面倒なことになりかねません……」

 

 ところが、そうもいかない事情をラックスが赤裸々に告白する。

 

 社長のホッジンズが言い渋っていたり、秘書のカトレアも決していい顔をしていないことから。ヴァイオレットを見世物のようにするその依頼が彼らの本意でないことは分かるだろう。

 だが、彼らより上——このC.H社を資金的に支えている株主たちが、ヴァイオレットという女性をパラリンピックという場に担ぎ上げようとしているというのだ。

 

 もしも彼らの意向を無視し、その機嫌を損なうようなことがあれば——最悪、社長のクビがすげ替わるなんてこともあり得るかもしれない。

 

「誤解がないように言っておくけど、仕事自体は至極真っ当なものだよ。通訳としてのヴァイオレットちゃんが必要とされてることに、変わりはないからね」

 

 ただ、仕事内容そのものはまともなものだと、ホッジンズが断りを入れる。

 依頼主の思惑などを考えればあまり良い気分はしないかもしれないが、言葉が上手く通じない異国の地に赴くことになる選手たちの立場からすれば。ヴァイオレットのような通訳の存在は非常に頼もしいことだろう。

 

「けど、ヴァイオレットちゃんがどうしても嫌だというなら……この仕事は俺が断る。誰にも文句は言わせない」

 

 だからこそ、ホッジンズは全ての事情を話した上で——この依頼をどうするかの選択肢をヴァイオレットに委ねる。

 

 もしも、ここでヴァイオレットが『NO』と言うのであれば、自分が依頼を断るとホッジンズはキッパリと言い切った。

 自身のクビを賭けてでも、ヴァイオレットに望まぬ仕事はさせないと。上に立つ者として、従業員である彼女を守ろうとする強固な意志が確かに感じられる。

 

「…………」

 

 ヴァイオレットは今回の依頼内容、その裏側にある思惑をようやく理解したのか。僅かに思案するように押し黙るが——。

 

 

「——お客様がお望みならば、どこへでも駆けつけます」

 

 

 それでも、自らの意思で彼女は選択する。

 

 

「——それが、私たち自動手記人形の職務ですから」

 

 

 自分の力を借りたいと望むお客様がいるのならば、それに応えようと——この仕事を引き受けると力強く頷いたのだ。

 

 

 

 そうして、数ヶ月の猶予期間を経て。

 ヴァイオレット・エヴァーガーデンは パラリンピックの開催国——日本へと足を踏み入れることになった。

 

 

 




人物紹介

 ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン
  原作の主人公。前話の最後に登場しましたが、改めて紹介。
  自動手記人形という名はあくまで職業の呼び名ですが、機械の義手もあって彼女が本物の機械人形と勘違いされたりするほど、感情表現が乏しい。
  生い立ちなど書くとネタバレになってしまうのでまだ詳しいことは語りません。
  ちなみに、1964年時点で大体24歳くらいを想定しています。

 ギルベルト・ブーゲンビリア
  原作とアニメでだいぶ扱いが違う人物の一人。
  今作ではアメリカ陸軍という設定、階級は1950年の時点で少佐。
  彼に関しては、ぶっちゃけ出番は少なめですが……果たして?

 カトレア・ボードレール
  ヴァイオレットと同じく自動手記人形を務める女性。
  アニメ版だと大人っぽいですが、原作だと割と子供っぽい。
  原作だと……ものすごく腕っぷしが強い。
   
 ベネディクト・ブルー
  ポストマンの男性。社長であるホッジンズと旧知の間柄。
  アニメ版だと女性慣れしていない様子だが、原作だと結構経験豊富そうな印象を受ける。
  原作だとヴァイオレットのことをヴィーと呼び兄貴分を気取っている。
  ちなみに、とある人物と実の兄妹じゃないかという説が流れているが……。
  
 ラックス・シュビラ
  アニメ版未登場、原作の『半神と自動手記人形』から登場。
  元々は世俗と離れた暮らしを強要されていたが、社長秘書として勤めていくうち、徐々に社会の荒波に呑まれ、色々と成長していく。

 クラウディア・ホッジンズ
  元軍人、ヴァイオレットたちが勤める会社の社長。
  クラウディアと女性のような名前がコンプレックス。
  そのため、地の文でもホッジンズと家名の方が強調されています。

 ダグラス・マッカーサー
  資料によって評価が二分する、史実のアメリカ軍人。
  過去話を語る際、史実感を出したくて登場してもらいました。


次回から、ゲゲゲの鬼太郎とヴァイオレット・エヴァ―ガーデンとの本格的なクロスが始まります。
配信中の『ゲゲゲの謎』チェックするなら今のうちです!!
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