作者も仕事が忙しかったり、親戚が遊びに来たり、冠位戴冠戦ではしゃいだりと。
色々あって、更新に一ヶ月もかかってしまいました。
今回のクロスオーバーは『天気の子』がメインとなっております。
新海誠監督が手掛ける、災害三部作の二作目。
『君の名は。』は既にクロスしておりますので、気になった方はそちらもチェックしていただけると。『すずめの戸締まり』に関しても、そう遠くない内に書く予定です。
今回のお話、時間軸は天気の子の本編終了後から数日後の物語となっています。
原作を知らない方でも大筋の内容が分かるように書いているつもりですが、やっぱり原作を観てもらうとより分かりやすくなるかと。
色んな配信サービスで無料配信とかやってると思うので、未視聴の方は是非この機会に!
また、今回は今までにない形での多重クロスとなっております。
具体的に言うと、ゲゲゲの鬼太郎×天気の子×〇〇〇〇〇〇〇〇です。
そして、この〇に該当する作品――実は既にクロス済みの作品です!!
一番最後まで読み進めて行くと、何の作品か分かるようになっておりますので……どうか最後までお楽しみください。
「っ!!……ダメです、船長!! やはりこの天候では……引き返しましょう!!」
荒れ狂う大海原を一隻のフェリーが航行していた。
荒波に揉まれながらも目的地へと突き進んでいるわけだが、これ以上は沈没の恐れがあると。船員の一人がここから先の航海は危険だと、今からでも引き返すことを提案する。
「駄目だ!! これ以上遅らせれば……島民の皆さんの暮らしが……」
しかし、その船の最高責任者である船長はそれだけは出来ないと。
何がなんでもこの荒れた海を突破し、目的地である『離島』へと辿り着かなければならないことを主張する。
というのも、このフェリー。島へ物資を運ぶことを役目とする貨物船であり、食料品や生活物資などを大量に扱っていたのだ。
島国である日本には大小含めておよそ7000近くの島があるとされ、そこで暮らす島民の暮らしを支えるためにも、こうした運搬船の存在は必要不可欠なものである。
ところが——。
「もう十日は経つんだ!! これ以上、運航を引き伸ばすことは……!!」
船長の悲痛な叫びのとおり、ここ数日の間、この船は運搬船としての役割を果たすことができず、ずっと運航を先延ばしにしていた。
その理由こそが、この荒れた天候である。
降り止まない暴風雨によって、大時化する海を航行することが出来ず、貨物船どころか全ての船の運航がストップしていたのである。
そのため荷物の運搬は勿論、人の出入りすらも困難になった離島では住民たちが完全に孤立してしまっていた。
彼らのためにも、せめて必要な物資だけでも届けなくてはと——船長は荒れた海の真っ只中を突き進む決意を固めたのである。
「大丈夫だ!! この嵐さえ、突破すれば…………見えた!!」
優秀な船員たちの活躍もあってか、貨物船は荒れ狂う海をなんとか渡りきり——とうとう、目的地である離島が目視出来るところまで辿り着いた。
あとは島の港に船を着けることが出来ればと、より慎重に作業を進めるようにと指示を出そうとした——。
「せ、船長!! 前方に巨大な影が……!! 海の中から……何かが迫り上がって来ます!」
「なんだとっ!?」
まさに、そのときだった。
船員の一人から何か、得体の知れない『巨影』が船の前方に見えるとの報告が上がる。船長自身も双眼鏡を使い、そこに何があるのかと自身の目で確認を取ろうとした。
『——ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオ』
その瞬間、その巨影は海上へと姿を現す。
それの鳴き声はどこか透明感がある一方で、身震いするような悍ましさを含んだ不思議な音響だった。嵐の大海原に浮かぶそれは、明らかに人智の超えた存在。
見るも禍々しい——巨大な海洋生物の骸骨であった。
「な、なんだあれは!? 骸骨……鯨の骸骨だと!?」
海の男である船長は、それが鯨の骨——所謂『鯨骨』であることを理解する。しかし本来ならただの物言わぬ骸である筈の、骸骨という死体が明らかに意思を持って動いている。
いったいあれはなんなのだと、理解不能な存在を前に困惑を隠しきれない。
その妖怪——名を『
見た目通り、鯨が白骨化した化け物であり、別名『骨鯨』とも呼ばれている。肉や皮を持たないため、撃退しようと銛を投げてもまるで手応えがなく。昔の漁師たちからも、鯨が怨霊化したものだと恐れられてきた。
その禍々しい風体からも、それが確かに悍ましい怪物であることが伝わってくる。
『——ヴォォオオオオオオオオオオオオオオ』
さらには『鯨』という生き物として元から巨体である性質上、それは海面に姿を現しただけでも凄まじい津波を引き起こし、貨物船がその波に呑まれかけて危うく転覆しかける。
「せ、船長!! 化け物が……骸骨の化け物が……こちらに突っ込んできます!!」
「!! 避けろ!! 取り舵いっぱい!!」
加えて、化け鯨は貨物船に向かって唸り声を上げながら突っ込んでくる。
即座に回避行動を取れと命令を下す船長ではあったが、到底間に合うようなタイミングではなかった。
あわや、貨物船はその役目を真っ当することなく海の藻屑へと成り果てようとし——。
『ヴォォオオオッ!?』
まさに、化鯨と貨物船が正面衝突しかけたその直前だった。
上空から暗雲を切り裂くように、青白い光が化鯨に向かって飛来してきた。
その光は僅かにその巨体を掠め、化鯨を怯ませる。化鯨の動きが止まったおかげで回避運動がギリギリで間に合い、貨物船は何とか危機を脱することが出来た。
「た、助かった……のか?」
「い、いったい何が……あ、あれは!?」
九死に一生を得たという安堵感を噛み締めつつ、いったい何が起きたのかと。船員の一人が青白い光が飛んできた方角へと双眼鏡を向ける。
そこで彼が見たもの——それは激しい嵐の空を、高速で飛来する白いヒラヒラとした物体。
布切れのように安定感のないその物体の上には——ちゃんちゃんこを纏った少年が乗っている。
「き、鬼太郎だ!! ゲゲゲの鬼太郎が来てくれたぞ!!」
その特徴的な見た目、ここ最近の活躍から『彼』が何者であるかをすぐに理解し、船員たちが喜びの声を上げる。
ゲゲゲの鬼太郎、自分たち人間の味方をしてくれる稀有な妖怪。
きっとあの化け物を退治してくれるのだと、船員たちの顔に希望の光が灯っていく。
「あれが……なんて大きい!!」
「うむ、あれぞまさしく化鯨じゃ……気を付けい、鬼太郎よ!!」
荒れ狂う嵐の中を突き進んできた鬼太郎は、一反木綿に乗りながら化鯨と相対することとなった。
鬼太郎がここにきた理由、それは貨物船の船員たちが察したとおり——化鯨を止めるためだ。
ここ数日間、海が荒れて船が出航できないでいた、その原因こそが化鯨にあった。その暴走を食い止め、荒れた海を元に戻すためにも鬼太郎はここまでやって来た。
「化鯨!! もう止めるんだ、これ以上は!!」
しかし、だからといって問答無用で倒すのではなく、まずは説得を試みるのがゲゲゲの鬼太郎のやり方だ。
彼は人間の味方でも、妖怪の味方でもない。自分が正しいと思えることをしているだけなのだから。
『ヴォォオオオオオオオオオオオオオオ!!』
もっとも、化鯨は鬼太郎の説得に耳を貸す素振りもなく、遠吠えを上げながらその巨体でさらに激しく海を荒らしていく。
「うああああああああああ!?」
「そ、総員!! 何かに掴まれ!!」
化鯨が暴れ回る影響でさらに荒れる大海原。波は貨物船を飲み込まんとする勢いで大きくうねり、大波にさらわれまいとなんとか踏ん張っていく船員たち。
「やるしかないのか……指鉄砲!!」
鬼太郎は化鯨に自分の言葉が届かないことにショックを受けながらも、海上の貨物船を守るためにも闘志を奮い立たせる。
指先に自身の妖気を集中させて放つ、指鉄砲を先ほどよりも威力を上げて射出する。その威力は対鯨用で使用される捕鯨砲などよりも遥かに強力、爆発力を伴った一撃となり化鯨の巨体を撃ち抜かんと迫る。
『オオオオオオオ!!』
「よ、避けた!?」
しかし鬼太郎必殺の一撃を、化鯨はその巨体に見合わぬ速度で回避する。あれだけの大きさを持ちながらも機敏な動きをする化鯨。
それだけ俊敏な動きが出来るのも、その体が『骨』だけで構成されているからだ。最初の指鉄砲がその巨体を掠めるだけだったよう、肉も皮も持たない化鯨相手には攻撃を直撃させるだけでも至難の技だ。
もっと至近距離へ近づかなければ、致命の一撃を与えることは出来ないだろう。
「あんれ〜!? ……化鯨のやつ、どこ行きおったばい?」
だが、そのようなこちら側の思考を先読みするかのよう、化鯨の姿が海面から消えた。
海中へと潜ったのだろう。一反木綿は上空から目を凝らし、海の中に潜んでいるであろう化鯨の姿を探す。
「……っ!? 一反木綿!! 後ろだ!!」
「……へっ?」
不意に、妖怪アンテナの反応と共に鬼太郎が一反木綿へと警告を飛ばす。
だが鬼太郎の呼び掛けに反応するよりも早くに——海中から飛び出して来た化鯨の巨体が『空に浮かぶ一反木綿』の目の前まで迫っていた。
『ヴォォオオオオオオオオオオオオオオ!!』
なんと化鯨——その巨体で鬼太郎たちがいる上空まで『跳躍』してみせたのだ。
まるでイルカショーの曲芸のような大ジャンプ。そのままクルリと一回転、唖然としている一反木綿へと尾びれでの強烈な一撃を叩き込む。
「ふぎゃっ!?」
「つっ……!!」
「おおおっ……!?」
その一撃をまともに食らってしまい、一反木綿は勿論、彼に乗っていた鬼太郎や目玉おやじまでもが海の中へと叩き落とされてしまう。
「——ぷはっ!! き、鬼太郎しゃん!? どこ行ってしもうた!?」
海へ墜落しながらも数秒後、すぐにでも一反木綿が再び上空へと舞い戻って来たが——その背中に鬼太郎の姿はない。
先ほどの攻撃で逸れてしまったようだ。一反木綿はすぐにでも鬼太郎の捜索に海へ戻るつもりでいたが——。
『ヴォォオオオオオオオオオオオオオ!!』
化鯨がその大口を開け、海水もろとも周囲の空間を一気に飲み込み始めた。
目的は——海に落ちた鬼太郎を捕食することだろう。
「あわわ……鬼太郎しゃんが、食われてしもうた!?」
その豪快な食事シーンを前に狼狽する、一反木綿。きっと鬼太郎も化鯨の体内に飲み込まれてしまっただろうと。
まさかの結末に、真っ白い一反木綿の表情が真っ青へと染まっていく。
「あわわ……うん? あ、あれは……!?」
しかし一反木綿がよくよく目を凝らせば、視線の先に彼の——ゲゲゲの鬼太郎の姿があった。
「くっ……このくらい……!!」
「おお!! 鬼太郎しゃん、無事だったばいね!?」
彼は荒波に揉まれながらも、化鯨の肉体——正確には、その肋骨の辺りにしがみ付いていた。
そう、鬼太郎を食べようとしたところで、化鯨には獲物を消化する胃袋もない。所詮は骨だけの体、食事も何もあったものではないということに、化鯨自身が気付けていなかったのか。
おかげで鬼太郎は化鯨の懐へと飛び込むことが出来た。当然この機会を逃す手はなく、一気に決着を付けるべく、その力を全開で解き放っていく。
「——体内電気!!」
密着状態から放たれた体内電気は、海水に浸かっていたということもあり、化鯨の全身へとくまなく衝撃を行き渡らせていく。
『——ヴォォオオオオオオオオオオオオオオォオオ!?』
どれほどの巨体であろうと、内側からの攻撃には堪えるものがあったのか。
悲鳴のような凄まじい唸り声を上げながら、化鯨の巨体が海中へと没していった。
「やった……あの化け物を倒したぞ!!」
「流石はゲゲゲの鬼太郎だ!!」
鬼太郎によって化鯨が倒される、その光景を目撃していた貨物船の船員たちは喝采の声を上げる。
これで自分たちの仕事を全うできる。孤立する離島に必要物資を送り届けられることが出来ると、彼らが喜ぶのは当然のことだった。
「うああああああ!? な、波が……押し寄せて……!?」
「まずい!! このままでは沈ん……おお、おおおっ!?」
ところが、イタチの最後っ屁というやつか。化鯨の巨体が海中へと沈んでいく——その余波により、一際大きな波が発生。
そしてその波に舵を取られたことで、貨物船のバランスが大きく崩れてしまった。
このままでは沈むと、操舵手も必死に舵を取るがもはや転覆は避けられない。
自分たちの航海もここまでかと、船長を始めとした何人かが覚悟を決めた——まさにその直後だ。
「な、なんだ……?」
「と、止まった……?」
転覆しかかっていた船がピタリと止まる。
とても自力で立ち直れるような状況でなかったにもかかわらず、貨物船はなんとか持ち直したようだ。
「うわあああ!? あ、新手の化け物がっ!?」
しかし、助かったという幸運に安堵する間もなく、船員たちは船の窓から目撃する。
貨物船に組み付いている——『黒い巨大な何か』を。
黒い巨大なそれはまるでタコのようで、どこかすっとぼけた瞳でこちらをじっと見つめてくる。
そのまま船を転覆させ、人間たちを海の底へ連れて行く腹づもりなのか。
『——よいしょっと……やれやれ、まさか人間を助けることになるとはな……』
だが真っ黒いタコのようなそれは、転覆しかけていた貨物船をゆっくりと元の位置に戻してくれた。
どうやらこの謎の生物が、傾きかけた貨物船を支えてくれた張本人だったようだ。
彼は人間を助けてしまったことに不満げな愚痴を溢しながらも、自身の頭上に座る少年——ゲゲゲの鬼太郎に声を掛けていた。
『これでよかったか〜、鬼太郎?』
「ああ、助かった……ありがとう、海坊主!!」
×
「——ゲゲゲの鬼太郎殿!! 此度の助力、感謝する!!」
鬼太郎たちに助けられた事実を最大限の敬意で表した船長は、そのまま離島の港へと船を進めていく。
化鯨が海底深くへと没したことで海の荒れもだいぶ収まってきたし、あとは彼らだけで務めを果たすことが出来るだろう。
「海坊主……今回は本当にありがとう……」
鬼太郎は一反木綿と共に貨物船を見送りながら、自分や人間たちに手助けしてくれた妖怪——海坊主への礼を重ねて口にしていた。
そう、化鯨を体内電気で倒した鬼太郎だったが、あのままでは化鯨の沈没に巻き込まれそのまま深海へと引き摺り込まれていただろう。
だが、海坊主——この真っ黒いタコのような巨大な妖怪が、海の中で鬼太郎を助けてくれたからこそ、こうして無事生還できたのである。
さらには大波に飲まれかけて転覆しかけた貨物船を支え、人間たちを助けてくれたのも彼だ。
今回の戦いの功労者は間違いなく、海坊主だと言っていいだろう。
『まあ、人間たちを助けたのは余計だったかもしれんが〜』
もっとも、鬼太郎はともかく人間たちを助けてしまったことに海坊主は少しばかり複雑そうな顔になる。
『化鯨のやつがおかしくなっちまったのも〜、人間たちが海の環境を変えちまったせいだって言うしな〜』
「…………」
そもそもな話、化鯨があのような行動を取るようになった原因——それが人間側にあるとのことなのだ。その言い分が正しかったのか、これには鬼太郎も返す言葉がなかった。
化鯨という妖怪は、そのおどろおどろしい見た目とは裏腹に本来は心穏やかな妖怪だという。
普段は深海の奥底に眠る『鯨の墓場』という場所を守っているらしく、わざわざ沖合まで顔を出して、人間たちの船を襲うような妖怪ではなかったとのこと。
ところがここ数年、海の環境が少しづつ変化していったことで化鯨の様子がおかしくなり始めたという。
温室効果ガスの影響により起こり始めた『地球温暖化』、それによる海水温の上昇。
海の生物は陸の生物よりも、こういった環境の変化に敏感だ。僅か1℃〜2℃の温度変化でも海の生態系に大きな乱れが発生する。
他にも『廃棄物による海洋汚染』など。人間が暮らす都市部から、流れ流され海へと放出されていく廃棄物が、海洋生物たちに深刻な影響を与えている。
特にプラスチックなどは自然分解もされないため、いつまでも海に残り続ける。そう遠くない将来、海のプラスチックゴミが海の生物たちの数を上回るという試算まで出ている。
それらの問題が、心穏やかな妖怪である化鯨にもストレスとして蓄積されていった。
『極め付けは、この天気だ〜』
「ああ、この雨か……」
そこへさらにドドメとなったのが——度重なる『豪雨』である。
海坊主と鬼太郎がこうして話している間も、絶え間なく振り続ける雨。実のところこの雨、もう一ヶ月以上は降り続けているという話だ。
これは例年に比べても明らかに異常事態だと、人間社会でも大きく問題視されていた。
『俺でも気が滅入っちまうからな〜、化鯨がああなっちまうのも分かるんだ〜』
降り止まない大雨は海坊主たちのような海の生物にも、決して少なくない影響を与えていた。
大量の雨水が流れ込んでくることによる、塩分濃度の低下。それによる海水の淡水化。
雨水に含まれる栄養素の流入による、プランクトンなどの過剰繁殖。
水温も激しく変化し、河川から削り取られた土砂などが海を濁らせていく。
そういった問題がいくつも重なっていき、ついには限界を迎えた化鯨が気が狂ったように暴れ出してしまったということだ。
『まあ鬼太郎のおかげで、あいつも少しは頭が冷えただろうから〜、暫くの間は大人しくしてくれるだろうよ〜』
そうして暴れ出した化鯨を止めるためにも、ゲゲゲの鬼太郎はこの海までやって来た。
彼の活躍もあってか、化鯨も肉体の消滅までいかずにどうにか気を鎮めてくれたと——今回の依頼主であり、友人として化鯨が正気を取り戻すことを望んでいた海坊主は満足げだ。
「………………」
もっとも、海の環境が変動し続ける限り、化鯨はいずれ再び暴れ出すだろう。
力づくで化鯨を倒したところで、根本的な解決にはならないと鬼太郎の表情には翳りがあった。
『俺も今の海には正直居づらいからな〜、もうちょっと過ごしやすいところに移り住むつもりだ〜』
とりあえず、化鯨の問題が一応の解決にいたったことで、海坊主が今後の身の振り方について話す。
現在、雨が降り続けているのは東京都内とその近海だけとのこと。海坊主はまだ環境の変化がそこまで激しくない海域へと移動するとのことだ。
『鬼太郎も気を付けろよ〜、なんだかこの雨〜……とっても嫌な感じがするんだ〜』
去り際、海坊主はこの雨が普通とは『何か』が違うと呟きを溢した。
いったい何がどう違うかなど、詳しいことは何一つ分かっていないようだったが、彼は自身の直感に従い、嫌な予感のする雨から逃れるためにもこの海域から立ち去っていった。
「父さん……やはり、降り止みませんね……雨は……」
「ふむ、化鯨が原因ではなかったか……」
海坊主が去っていった後も、鬼太郎は暫くの間はその場に留まり——空を見上げ続けた。
相変わらずの暗雲。降り止む気配もない大雨に、鬼太郎の気持ちもどんよりした曇天のように落ち込んでいく。
鬼太郎は降り止まないこの雨が、化鯨の仕業ではないかとも考えていた。しかしそれは希望的観測に過ぎなかったようだ。
化鯨の怒りを沈めたことで海そのものは穏やかさを取り戻したようだが、天気の方は全く晴れる様子がない。
「はぁ〜、気が滅入るばい……いつになったら、この雨は止むとね……」
陽気な一反木綿も、いつまで続くかわからない曇り空にかなりテンションが低めだ。
いい加減そろそろ晴れ渡るような青空が拝みたい。その気持ちは人間も妖怪も同じであった。
×
『記録的な豪雨が続く東京都、雨雲はその範囲を関東全域にまで広げ——』
『気象庁はこの異常な天候が今後も続くだろうとの見通しで——』
『尚、これが妖怪の仕業かどうかは調査中とのことで——』
「…………」
その老齢な男性は、待合室に設置されたテレビから流れてくるニュースキャスターの言葉に耳を傾けながらも、缶コーヒーを片手に窓から外を眺めている。
例に漏れず、その日も雨が降っていた。東京都全域を覆う雨雲は、日によって振り方に大小の差はあれど、絶え間なく降り続けているという点について変わりはなく。
老齢な男性の心情も、曇り空のようにずっとモヤモヤし続けるばかりだった。
「安井さん!!」
そんな老齢な男性に、スーツ姿の男性が駆け寄って来る。
老齢な男性とは対照的に比較的若い青年だ。しかしその髪型はリーゼントと、今の時代には珍しい古風なもので周囲の人々から好奇な視線を集めている。
「よお、高井……奴さんの取り調べはどうだ? ちゃんと進んでるか?」
そのリーゼントの男性・高井に老齢な男性・安井が尋ねる。
「ええ、ようやく認めましたよ。あのスカウトマン……未成年だと分かった上で働かせていたと……」
「そうか……もう二度とそんなふざけたことを出来ないよう、こってり絞ってやんな」
二人は先日別件で関わることになった、とある風俗業のスカウトマンの事情聴取を進めており、先ほど男はようやく自身の罪を観念して吐いたとのことだ。
キャバクラなどのスカウトマンに違法性があるかどうかは曖昧なところも多いが、未成年を勧誘するのは明らかな違法行為であり——当然、警察が動くには十分な理由であった。
そう、先ほどのやり取りから分かるよう、
定年退職間近な経験豊富なベテラン刑事である安井。若くて行動力に溢れるものの、その強すぎる正義感故に感情が先走り気味な高井のコンビ。
二人の相性はそれなりによく、刑事ドラマのように難事件を颯爽解決、というわけにはいかないものの、多くの事件を地道ながらも解決へと導いてきた実績があった。
「なあ、高井よ……お前さん帆高くんが言っていたこと……どう思うよ?」
「はぁ? い、いきなりなんですか……」
ふと、その日の仕事がひと段落したところで、安井は後輩である高井にとある事件で身柄を拘束することになった少年——
突然のことで目を丸くする高井。帆高という少年について苦い記憶が蘇って来たのか、その表情を露骨に歪めていく。
十日ほど前のことだ。
安井と高井の二人はとある事件を追う最中、森嶋帆高という少年の身柄を抑えることになった。
もともと、森嶋帆高には親元から行方不明者届が出されていた。彼は実家のある離島を無断で飛び出し、船に乗って大都会・東京まで家出して来たのである。
もっとも、それくらいであれば思春期の少年によくある冒険譚の一つとして片付けられるだろう。窮屈な日常から飛び出し、何ものにも縛られずに自由に生きてみたい。
十六歳というその子の年齢を鑑みても、ある種健全な反抗期の行動——と言えなくもない。
だがそれ以上に、警察が帆高を追っていたのは彼に掛けられた容疑によるもの。
それは『銃刀法違反』『殺人未遂』という、未成年だからといって到底許されるべきではない罪状を彼が犯していたからであった。
街の監視カメラに写っていたもの、それは先ほども話題に出ていたスカウトマンの男——『彼に帆高が拳銃を向け、至近距離から発砲していた』というものだったのだ。
幸い、銃弾はスカウトマンの男には当たらずに済んだようだったが、一歩間違えれば大惨事となっていた光景に警察関係者も肝を冷やし、急ぎ森嶋帆高の保護・確保に動いた。
結論から言えば、帆高は偶然その拳銃を拾っただけであり、拳銃の方も無事回収出来たことで事件は一応の解決となった。
「あのガキにどれだけ手を焼かされたか!! 脱走なんてしやがって……どんだけの人間が迷惑を被ったと思ってんすか!!」
しかし、高井はその際に帆高が犯した軽率な行動を思い出しながら怒気を滲ませていく。
一番最初に帆高の身柄を確保した警察は、彼がどういった経緯で拳銃を拾ったなどを詳しく事情聴取しようとした。連行の際、手錠などを掛けなかったのは彼が未成年だった故の温情だった。
ところが帆高は、警察官たちのそういった油断をつくように警察署から脱走。
逃走の最中、線路上に侵入して電車を止めたり。逃げ込んだ先の廃墟で警察官たちに追い込まれるとその建物内に隠していたのか拳銃を取り出して発砲と、さらに罪状を重ねていったのだ。
不幸中の幸いか、死者などを出すことなく帆高の身柄を抑えることが出来たが、彼の軽はずみな行動のせいで警察関係者は勿論、全く関係のない人たちにまで被害が広がったのである。
それだけのことをしでかしてまで、彼がいったい何をしたかったのか。
『——陽菜さんを……探しに行かせて欲しいんです!!』
それは陽菜——
どうやら帆高は陽菜と、彼女の小学生の弟である
警察は帆高のこともそうだが、陽菜と凪の二人のことも保護しようと考えていた。それは彼女たち姉弟に両親がおらず、ずっと子供だけで暮らしているという環境であったからだ。
彼女たちのような未成年は本来なら施設に入るべきだと、警察は陽菜を説得するつもりだったわけだが、どういうわけか彼女の姿はどこにも見当たらず。
「安井さん……まさかあのガキが言ってたこと、本気で信じてるんですか? あんなの、現実と空想の区別も付かない、小僧の戯言ですって!!」
それに関して、高井は帆高が口にしていた『世迷言』を思い返す。
『——陽菜さんと引き換えに、この空は晴れたんだ!!』
『——それなのにみんな何も知らないで、馬鹿みたいに喜んで……!!』
彼は天野陽菜が、東京の空を晴らすのと引き換えに『消えて』しまったなどと言っていた。
そう、一ヶ月以上続いているこの雨だが、実はほんの一時だけ。雲一つない晴天となった瞬間があった。それは一日にも満たない時間だったが、久しぶりの青空に人々は歓喜していた。
もっともすぐにまた空は曇り、それからずっと雨は降り続けているが。
「けどな……また雨になった後になって、陽菜ちゃんが無事な姿で見つかったんだ。これをただの偶然と考えるのは……なんとも釈然としないんだよな……」
その雨の止んでいたタイミングというのが——陽菜の行方が分からなくなっていた間なのだ。
この世界から彼女の存在が消えていた間、確かに東京の空は晴れ渡っており、警察が彼女を保護した後になって、この地は再び雨雲で覆い尽くされることとなった。
帆高の言っていたように、まさに陽菜という少女と引き換えに晴れを手にしたような感覚だ。
そして陽菜が無事に『戻って来てしまった』からこそ——雨が止まないのだと、そんな考えが安井の脳裏に過ぎる。
「偶然っすよ!! 偶然!! そんなまるで生贄みたいなことあるわけが……」
しかし尊敬する先輩である安井の気掛かりも、高井はあくまでただの偶然だと片付ける。
そんな、まるで生贄を差し出したから晴れになったなどという、人身御供のようなことが起こりうるわけがないと。
現実的な観点から、高井はそれを否定しようとするが——。
「そうか? 妖怪なんてもんが蔓延るこの時世だ……そういったことがあり得ないなんて、いったい誰に言えるよ?」
「っ!! そ、それは……」
だが、安井は今のような世の中——『妖怪の被害で警察が出動する』ような世の中であれば、そういった非現実的なことが起こっても不思議はないと。
これに高井も返す言葉がない。実際、数年前まで現代人は誰も妖怪の存在など信じていなかったが、今ではそれが当たり前の社会となってしまった。
所詮常識などふとしたきっかけで脆く崩れ去るものだと、とっくに思い知らされているのだ。
「それに陽菜ちゃん……晴れ女として有名だったていうじゃないか? そんな彼女なら、確かに自分の身と引き換えに、この空に晴れをもたらすことも出来るんじゃないかってな……」
さらに安井の考えを裏付けるよう、天野陽菜には『100%の晴れ女』としての噂があった。
それは所謂、都市伝説の類だった。雨が一向に止む気配のないこの東京都内において、確実に晴れをもたらすこと出来る謎の少女の存在——それこそが、天野陽菜ではないかと噂されている。
その存在はネットはおろか、テレビのニュースでも大々的に報道され、一時かなりホットな話題となって人々の間を駆け巡った。
「もしもそれが事実だとしたら……高井、お前はどう思うよ?」
安井はそういった話が全て事実だと仮定した上で——高井に『どうするべきか?』と問いを投げ掛ける。
「仮にだ……仮に誰か一人の犠牲で、東京都民……いや、この国の全ての人々が救われるのなら……それも仕方がないんじゃないかってな……」
安井は言葉を濁しつつも、それで全てが丸く収まるというのであれば『そうすること』もやむなしと。
彼女——天野陽菜という少女を犠牲にするという選択肢を提示する。
「——そんなこと、出来るわけないじゃないですか!!」
ところが、これに高井が考える間もなく真っ向から意を唱えた。
「たとえその話が本当だったとしても……あんな子供に全部を背負わせて、自分たちだけ何食わぬ顔で生きていくなんて……そんなこと、許される筈もないでしょう!!」
仮にたった一人の犠牲の上で世の中が上手く回るというのなら、それが社会全体のためになるというのなら——そうすることが賢い選択なのかもしれない。
しかしそのような行為、高井の中の警察官としての正義が決して許さなかった。そんな高井の若さ故の青臭さとも取れる発言に——。
「…………だよな! お前さんの言う通り……そんなこと、やっていいわけがないんだよ……子供に何もかも全部を背負わせるなんて、大人のすることじゃない……」
安井は安堵したような笑みで応える。
どうやら、安井も本気で陽菜を犠牲になどと考えていたわけではなかったようだ。先ほどの話もあくまで例えであり、人生の先輩として後輩を試すという意図もあったのだろう。
「だが、そう思わん連中もいるだろう。あの子を犠牲にしてでも……もう一度青空が見たいって……変に暴走するような奴らが出てこないとも限らん」
「っ!!」
もっとも、それが完全に与太話だと言えないのが人間社会の怖いところ。
天野陽菜が都市伝説の『100%の晴れ女』であることは、ネットなどで少し調べれば誰でも知ることが出来る。
そこから彼女に祈らせる——あるいは『生贄』にすることでこの空を晴らせるのではと考え、それを実行に移そうとする輩が現れないとも限らない
実際、人間にははるか昔から『人身御供』などといったものを神への最上級の奉仕などといって——大勢のために少数を切り捨ててきた『文化』が歴史として存在しているのだ。
「そのときは、俺たちがあの子を守ってやらにゃいかん……それが偶然でもあの子たちに関わることになった、俺たちの責任だ……」
「安井さん……」
しかし、現代でそのようなことが罷り通るなどあってはならないと。
安井は高井に、万が一にでもそのようなときが来てしまったら子供たちを守ってやれるよう。警察官として、大人として覚悟を決めるように忠告を促していた。
「まっ、あんま深く考えるな。さっきの話だって、何も確証があるわけじゃない……この雨だって、数日後には何事もなく晴れてるかもしれんしな」
「え、ええ……まあ、そうですよね!!」
とはいえ、これまで語ったことも全て安井の憶測でしかない。降り止まない雨とて、いつかは自然と晴れるときが来るだろうと。
楽観的かもしれないが、寧ろその方が現実的な意見だ。あるいは、そうであって欲しいという願いもあってか、安井の言葉に高井も力強く同意していく。
いずれにせよ、休憩の合間での雑談もここまで。
お互いそろそろ仕事に戻ろうと、次なる事件に向けて気持ちを切り替えていくのであった。
「ん……なんだ? やけに騒がしいな……」
「……?」
だがふと、警察署内の空気が妙に騒がしくなっていることに安井が気づいた。高井の視線も、慌ただしく動き回る同僚たちの方へと向けられていく。
「おい……何かあったのか?」
「あっ、安井刑事!! それが……なんと言いますか……」
安井は制服警官の一人を呼び止め、何があったのか詳細を尋ねようとした。
経験豊富なベテラン刑事に呼び止められた若い警察官は敬礼をしながらも、なんと説明すべきか迷っているようではっきりと言葉に出来ないでいる。
「……もしかして、また妖怪でも暴れてるのか?」
制服警察の反応に安井はもしやと、妖怪による被害がまた発生したのかと頭を抱えた。
ここ最近は妖怪との無用な衝突を避けるため、『妖対法』による機動隊の出動などが必要最低限となっていたが、その分、妖怪絡みの事件が起きる度に自分たちのような所轄の警察官が駆り出されることが多くなり、現場にそれなりの負担が掛かっている。
今回もそういった妖怪に関する案件かと、予想するだけで憂鬱な気分になってしまう。
「いえ、妖怪ではないのですが……」
ところが、安井の問いかけに制服警官は『妖怪ではない』とはっきり断言する。もっとも、警察が困惑するような事態ではあるらしく、続く言葉にもその動揺がはっきりと現れていた。
「なんでも……妙な連中が東京中で複数目撃されているらしく……うちの署でも人員を回すように言われまして……」
「妙な連中……?」
「……??」
はっきりしない言い回しに、安井も高井も首を傾げるしかない。
雨の降り止まないこの東京で、いったいこれ以上何が起きようというのか。
その意味を、彼らは後になって知ることとなる。
×
「よお、非行少年!! 元気にしてたか!?」
「す、須賀さん……!?」
その日、とある施設内にて。少年・森嶋帆高と、とある人物との面会が行われていた。
帆高は先の騒動で犯してしまった様々な罪状——銃刀法違反や殺人未遂、公務執行妨害や鉄道営業法違反などなど。
それらの罪への判決が家庭裁判所で下された結果——少年鑑別所へと一時的に収容されることとなった。
よく『少年院』と間違われることもある『少年鑑別所』だが、両者は明確に別の施設である。
少年院とは罪を犯してしまった未成年の矯正教育。青少年たちが健全に社会復帰出来るよう、教育を通じて更生を促すことを目的とした施設である。
一方で、少年鑑別所はその前段階。家庭裁判所での判決が下される前に少年たちが一時的に収容される施設であり、そこでは少年たちの行動観察などが行われる。
本来であれば、既に家庭裁判所での判決が下されている森嶋帆高がこの施設に長くいる必要はない。しかも彼の場合、『保護観察処分』という寛大な措置が下された。
罪状的には少年院に入れられてもおかしくはなかったのだが、銃の所持なども故意によるものではなく、事件としての重要性も低く、非行性も薄いと判断されたようだ。
あとは保護観察所の指導監督のもと、何事もなく社会生活を送りながら更生を目指していけばいいだけなのだが。
「お前……まだ東京にいたんだな。島にはいつ戻るんだ?」
「分かんないっすよ……なんか海が荒れてて、船が出せないとかで……」
保護観察中、帆高は保護者である両親の下で生活しなければならない。もとより家出少年であるため、早急に実家のある離島へと帰らなければならないのだが。
その離島へ行くための船、それが一切動いていないというのだ。そのため、船が出れるようになるまではこの施設でその身を預かるという、少しばかり特殊な待遇で未だにこの地に留まっていた。
「あの……須賀さんはどうして? ここって、家族とか親族以外の人とは面会出来ないって……言われたんですけど……」
そうした己の境遇を報告する帆高だったが、ふと彼は目の前の人物がどうしてここにいられるのかという、率直な疑問を浮かべた。
というのも、基本的に少年鑑別所に収容された相手と面会が叶うのは親族などに限られる。
しかし眼前の人物は帆高の両親でもなければ、親戚でもない。そんな彼にどうして自分との面会が許されたのだろうかと疑問符を浮かべる。
「そりゃ、俺はお前の雇い主だからな。知らなかったか? 学校の先生とか、職場の上司なら面会が許されるパターンもあるんだよ」
だが帆高の疑問に対し、須賀と呼ばれた男性はなんでもないことのように答える。
確かに少年鑑別所で面会が許されるのは家族に限られるのが原則だが、何事も例外は存在する。今回の場合、須賀は雇い主——帆高の職場の上司として特別に面会の許可が降りたとのこと。
そう、この須賀という中年男性こそ、家出中の帆高の面倒を見てくれていた人物でもあった。
故郷である島を離れ、大都会で一人当てもなく彷徨っていた無謀な少年は、
もっとも会社といっても、そこは小規模な事務所だ。しかも雇用契約などが曖昧であることをいいことに、須賀はかなりの安月給で帆高をこき使っていた節がある。きっと労基に訴えられれば、間違いなく何かしらの罪に問われることだろう。
だがそれでも、帆高にとって須賀の下で過ごした時間は大変貴重なものだった。
自分という存在が誰かに必要とされているような、厳しく指導されることに期待感を持たれているような。
島という小さな世界の中、漠然とした日々を過ごしていた彼にとってそれは何もかもが新鮮な体験だった。
「けど俺、クビになって……それに須賀さんにも迷惑が掛かって……」
だからこそ、帆高は須賀から『一方的にクビを宣告された』ときはとても悲しかった。
須賀が帆高を追い出そうとしたのは彼が家出少年で、警察が未成年誘拐として須賀に疑いの目を向けていたからだ。
このままでは誘拐犯にされてしまうと。我が身可愛さから、須賀も一度は帆高を突き放したのである。
「まあ、否定はしねぇよ……実際、今回の一件で娘を引き取る話も白紙にされちまったからな……」
「……!!」
その事実を、須賀は決して否定しなかった。加えて彼の場合、警察沙汰になると個人的にもまずい事情を抱えていた。
実は須賀圭介には
しかし妻である
現在、どうにかして立ち直った須賀は萌花と暮らすため彼女の引き渡し請求を申請していた。
そんな中、万が一にでも自分が誘拐犯などと間違えられ、警察に捕まったりでもしたら。
娘と暮らすどころではない。もう二度と、会わせてもらうことすら叶わなくなってしまうと——それを恐れるあまり、彼は帆高を厄介ものとして追い出してしまったのだ。
「けど、仕方ねぇさ……あのときはお前だって必死だった……それだけは確かに伝わって来たからよ……」
ただ結果だけを述べるのであれば——結局、須賀は警察の厄介になってしまった。
罪状は公務執行妨害。幸い、書類送検という寛大な処分で収まったものの、その影響で慎重に進めて来た娘の引き渡し請求など、全て御破算になったのは言うまでもないだろう。
そんなことになってまで、どうして須賀が公務執行妨害——『警察に捕まりそうになった帆高を助けるため、刑事に歯向かう』なんてことをしてしまったのか。
実のところ——須賀本人にも、理由など分かってはいなかった。
どうしてあの瞬間、あの場面で自分はあんなことをしてしまったのか。
——俺も……明日花に会えるのなら……きっと帆高みたいに……。
もしかしたら、須賀は帆高を自分自身に重ね合わせてしまったのかもしれない。
帆高は消えてしまった天野陽菜にもう一度会いたい。ただそれだけのために、警察の元から脱走するなど、自分の人生を棒に振るような行為に走ってしまった。
それを若さ故の過ちだと、何も知らない人間は少年の行為を浅はかさだと笑うだろう。
だがもしも、もしも須賀が帆高の立場だったら。
亡くなった最愛の妻にもう一度会うことが出来るのならば——きっと何もかかなぐり捨てて、帆高のように突っ走っていたことだろう。
そう思ったからこそ、須賀は帆高に手を貸してしまったのかもしれない。
自身の軽率な行動に後悔がないわけではなかったが、きっと何度やり直しても自分は同じことをするだろうという妙な確信もあった。
「まあ……俺のことはあんまり気にすんな!! 陽菜ちゃんも無事だったんだし……今度こそお前は島に帰れよ!!」
そのため、須賀は既に気持ちを切り替えており、帆高に対しても今度こそ実家のある島へ大人しく帰るようにと伝えた。
帆高が『消えてしまった』と言っていた天野陽菜も、結局は無事な姿で保護された。
その後、陽菜と彼女の弟である凪もそれまで通りの生活が許されるようになったとも聞く。これ以上、帆高が無理にこの地に留まる理由はない筈だ。
「親御さんとちゃんと話して……それでも、まだこっちでやりたいことを探したいってんなら……そんときはまたこき使ってやっからよ!!」
「ははは……ま、まあ……そのときは、お手柔らかにお願いします……」
帆高のことを一度は突き放したときとは違い、須賀は彼の今後のことを考えた上でそういった言葉を投げ掛ける。
帆高も、なんだかんだ須賀には世話になったことを思い返し、この人の元でならもう一度働いてもいいかなと、彼の冗談混じりの誘いに笑みを浮かべる。
「——面会時間終了です」
すると、そのタイミングで規則上二人の面会に立ち会っていた少年鑑別所の職員からも面会時間の終了を事務的に告げられた。
「それじゃあ……またな、帆高」
「ええ……いつか、また……」
互いに名残惜しいという気持ちを残しつつも、どうせいつかはまた会えるだろうと。
帆高も須賀も、どこかスッキリとした表情で再会の約束を交わしながら、その日はそれで別れとなる——筈であった。
「——!?」
「——!!」
ところが、その刹那。
何の問題もなく面会を終えようとした二人の耳に——凄まじい轟音が鳴り響いてくる。
「な、なんですか……いったい!?」
これには面会時間の終わりを事務的に告げるだけだった職員も、何事かと音の響いてきた方へと急ぎ走り出した。
「須賀さん……」
「行くぞ、帆高……」
その職員の後を追うような形で、帆高と須賀も轟音が響いてきた方へと足を向ける。
本当なら勝手な行動をするべきではなかったのだろうが、二人とも人並み以上に好奇心が強いためか。
いったい何が起きているのか、それを自分の目で確かめに行くこととなった。
「うわぁ!! なんだこりゃ……!?」
「た、建物に……穴が……」
そうして、駆けつけた先で二人が目撃したもの。それは少年鑑別所という名の建物に——ぽっかりと穴が空いた惨状だった。
まるで爆弾か何かで吹き飛ばされたような大穴。実際、辺り一体に爆煙のようなものが立ち込めていた。
「おいおい……なんだよ、これっ!?」
「誰か消防……警察にも連絡をっ!!」
現場には他の職員たちも集まっていたが、彼らも何が起こっているのか事態を把握していない様子だ。それでも関係各所へと素早く連絡を入れる辺り、流石の対応の速さといったところか。
「キミ!! 部屋に戻っていなさい!! 貴方も、関係者以外はすぐにここから……」
さらに職員の一人が、勝手に現場へ駆け付けてきた帆高に自室待機を命じる。
少年鑑別所に収容される立場である帆高が勝手なことをして言いわけもなく。また部外者である須賀にも、ウロチョロされては困ると厳しく叱責する。
「いや……何が起きてるかくらいは知っておきたくて……」
「はいはい……まあ、しゃねぇわな……」
これに二人揃って不満そうな表情になったが、だからといって反抗するわけにもいかず。
仕方なく、職員の指示に従ってその場から下がろうとするのだが——。
「…………っ!? な、なんだ……あれ…………」
「…………!?」
爆煙が晴れた先——彼らは『それ』を目の当たりにし、絶句する。
『————』
壁が崩れた瓦礫の上に立っていたもの、それは明らかに人間ではない。
それどころか生物の気配すらない——明らかに人工的に作られた、無機質な人型の物体だったのだ。
「ろ、ロボット……?」
それの姿を目撃した帆高が思わず口にする。
今どきの男の子である帆高には、それが漫画やアニメにおいて自立して戦う戦闘マシーン。まさにロボットに見えたのだ。
もっとも、健全な男子高校生である帆高の美的センスからいって、それはお世辞にもカッコイイと呼べるようなデザインをしていなかった。
『————』
無機質な眼球パーツがジロリと人間たちの方へと向けられる。感情などまったく感じられない、表情などピクリとも動かない顔面。
ずんぐりむっくりな体型。余分なパーツを持たずに設計されたのだろう、人型であること以外、これといった詳細などは何も伝わってこない。
唯一特徴的と言えるのは、頭部のパーツが美豆良——日本古来から伝わる髪型をしていることくらいか。
科学技術の塊でありながらも、どこか古めかしいそのデザインはロボットというよりは、カラクリ人形と言った方がしっくりくるだろうか。
『————!!』
「……!?」
そんな無骨なカラクリ人形だが——突如、その眼光がギラリと光を放つ。
その無機質な視線と、何故か帆高の視線がかち合ったのだ。気のせいかと思った帆高だが次の瞬間にも、カラクリ人形が彼の方へゆっくりと近づいてくる。
「あ……ちょっ、ちょっと……!!」
咄嗟にその歩みを止めようと、男性職員の一人が立ち塞がってその進路を阻もうとする。
『邪魔デス』
「……えっ? 喋って……うわあああ!?」
どうやら音声機能が内蔵されていたようで、カラクリ人形が無機質に言葉を発した。
機械が言語を発したことに驚く職員だったが、それに対して受け答えをする間もなく。カラクリ人形は立ち塞がるその職員を無造作に持ち上げ、そしてぶん投げてしまった。
「痛っ!? いたた……」
ぶん投げられた職員は重傷にはならなかったものの、打ちどころが悪かったのか。腰をやられてしまい、直ぐには立ち上がれない状態へと追いやられる。
「な、何をする!?」
「こいつ……!!」
「取り押さえろ!!」
カラクリ人形の暴挙に、戸惑い気味だった職員たちの対応が瞬時に侵入者に対するものへと変わる。その場の職員総出で飛び掛かり、カラクリ人形の動きを食い止めようと奮闘する。
「こ、こいつ!! ビクともしないぞ!?」
ところが、職員が三人がかりでカラクリ人形の胴体や腰にしがみついて尚、その歩みには一切の揺らぎがなく。
まるでラグビーやアメフトの選手が相手選手を引き摺りながらも前へ進んでいくかのよう、その屈強さに並みの人間などまるで障害にもなっていない。
そうして、カラクリ人形は目的と思しき人物——森嶋帆高の方へと向かっくる。
「な、なんで俺に……!?」
「下がってろ、帆高!!」
帆高はどうしてカラクリ人形が自分の方に向かってくるのか、その理由に検討も付かずに困惑していた。
そんな帆高に下がっているように言い、須賀がカラクリ人形の眼前へと立ち塞がる。
「こいつ……帆高に近づくんじゃねぇ!!」
須賀にも、それが何者であるかなど理解もできなかったが、彼は無謀にも帆高を守ろうとカラクリ人形に向かって殴りかかっていく。
「い、いってぇえええええ!?」
「ちょっ!! 須賀さん、大丈夫ですか!?」
しかし当然というべきか、金属製と思しき物体をぶん殴って生身の拳が無事な筈もなく。殴った須賀の方が悶絶してしまい、痛がる拳をさする彼に慌てて帆高が駆け寄っていく。
大人たちの必死の抵抗も虚しく、カラクリ人形は帆高の目と鼻の先まで近づいてきた。
そのまま至近距離にて改めて帆高を観察すること数秒後、カラクリ人形は問いを投げ掛けるように言葉を発した。
『——コノ少年カラ、彼岸ヲ渡ッタ形跡ヲ感知』
『——アナタハ、天気ノ子デスカ?』
「…………はっ? えっ……て、天気の……子?」
一瞬、カラクリ人形が何を言っているのか。その意味を理解しかねる帆高だったが——その単語の意味を噛み締めることで、彼の背筋にゾクリと冷たいものが走る。
天気の子。
その言葉が何を意味するか、それは分からなかったが——それが誰のことを言っているのかだけは、帆高にも理解出来てしまったからだ。
——こいつ……まさか、陽菜さんを探して……!?
帆高にとって『天気の子』と呼ばれるのに相応しい人物は誰か。
それは間違いなく『100%の晴れ女』と呼ばれる彼女——天野陽菜以外には存在しない。
そして帆高は、誰よりも陽菜の力が本物であることを知っていたし——彼女が本来であれば『空が晴れるのと引き換えに消えてしまっていた』という事実を知っていた。
何せ帆高は陽菜が消えてしまうのが嫌で、彼女を『彼岸』から連れ戻したのだ。
そんな陽菜を探しているということはつまり、このカラクリ人形の目的は——。
「キミ!! そいつから離れなさい!!
「帆高!! 早く逃げろ!!」
帆高が悶々と思考している間も、職員や須賀がカラクリ人形から帆高を引き剥がそうと必死の抵抗を試みている。しかし、どれだけ大人たちが力を振り絞ってもやはりビクともしない。
『警告。コレ以上当機ノ邪魔ヲスルノデアレバ、貴方タチヲ力ヅクデ排除シナケレバナリマセン』
ついにはカラクリ人形から、これ以上邪魔をするなという警告が発せられる。
その宣言通り、抵抗を止めない邪魔者たちを排除しようと。
口をあんぐりと開けるカラクリ人形は——そこに収蔵されていた『爆弾』と思しき物体を発射しようとする。
「っ!? 伏せろっ!!」
きっとこの建物の壁を吹き飛ばしたのも、その爆弾によるものだろう。
まさかの事態に須賀がその場の全員に向かって衝撃に備えるようにと叫ぶも、もう間に合う筈もなく。
理由も分からない、理不尽な暴力によって人間たちが揃って消し炭にされることとなって——。
「——お止めなさい、機巧兵」
ところが、爆弾が発射されるかと思われたその刹那。
何者かの凛とした声が響いたことで、カラクリ人形——
間一髪、なんとか消し炭にされる未来が回避されたことで皆がホッと息を吐きつつ、声の聞こえてきた方を振り返る。
「えっ……お、女の子?」
その声の主は、なんとも見目震わしい女の子であった。
腰まで長く伸びた髪。高価な冠を頂き、雅な衣を重ね着するその姿は、どことなく平安時代の貴族女性をイメージさせる。
実際、女の子自身から発せられる風貌や佇まいからも、彼女が高貴な身分であることが伝わってくる。
しかし何より不思議なのが、少女の背後。
彼女の後ろ、どういう構造になっているか不明だが『巨大な歯車』のようなものが宙を浮いていた。いくつもの重なった歯車は絶え間なく動き続け、常に少女の動きに連動するようその背後から付いてくる。
どうでもいいことだが、狭いところ通るとき、寝るときなどとても大変そうだ。
『姫様、天気ノ子ト思シキ者ヲ発見、イカガイタシマスカ?』
「えっ……」
そんな歯車を背負った謎の女の子を姫様と呼び敬う機巧兵は、帆高を『天気の子』とみなした上で、彼をどうするべきかと意見を伺っていた。
「はぁ……よく見なさい。その人の子は男子……天気の子、いえ……巫女は代々女性が選ばれるもの……その者は天気の子にはなりえません」
しかし、彼女は帆高が男性であることから天気の子——巫女にはなり得ないと。そんなことも分からない機巧兵に呆れたようなため息を吐く。
「認識装置は問題なく作動している筈です。どうしてそのような誤作動を……そもそもこの惨状はなんです? 手荒なことは控えるよう申し付けていたのに……雨に長時間濡れたせいで思考回路に問題が? やはりこの雨、ただの雨ではありませんね……早急に天気の巫女を探し出さなければ……」
少女は機巧兵の問題行動を前に、何事かをぶつぶつと呟き始めた。
完全に自分の世界に入り込んでいるのか、周囲の奇異な視線などまるで気にも留めない。
「あ、あの……貴女はいったい……キミ!!」
そんな彼女に向かって、呆然としながらも職員の一人が大きな声で呼び掛けていく。
「ん……? ああ、申し訳ありません。つい考え事をしていましたもので……」
そこでようやく少女は人間たちの方に意識を向ける。
「大変申し訳ありません、私の機巧兵が随分と迷惑を掛けてしまったようで……」
「え……? ええ、まあ……そうですね……」
意外にも、彼女は自分の配下である機巧兵とやらが起こしてしまった被害を率直に認め、素直に頭を下げてきた。
謝罪をするその姿にもある種の気品が感じられ、謝られている職員たちの方が何故か萎縮してしまう。
「壊してしまったものは私共の方で修理させていただきます……機巧兵!!」
さらに口だけの謝罪に留まらず、彼女は機巧兵が壊してしまった壁を直そうと——手を叩いて合図を送る。
『了解シマシタ、姫様』
『迅速ニ壁ヲ修復シマス』
『修理、修理』
するとその合図に応じ——さらに複数の機巧兵が姿を現した。
「なっ……まだこんなにいるの!?」
機巧兵とやらが一体だけでないことに驚く職員たち。しかし、彼らは人間たちへの敵対行動などは取らず、少女の命令通りに崩れてしまった壁の修復に勤めていく。
その手際の良さ、瓦礫を軽々と撤去する力強さには人々が手を貸す必要もないようで。瞬く間に壁の修繕をこなしていく光景を、職員たちは呆然と眺めていることしか出来ないでいた。
「あの……お名前を伺っても宜しいでしょうか?」
そんな中、職員の一人が勇気を振り絞って少女の身元を明らかにしようとする。
見た目は子供としか思えない少女。少年鑑別所で勤務する職員としてか、その行為に然るべき指導をしなければならないという義務感が働いたのか。
実際は何も出来ないかもしれないが、せめて名前くらいは聞いておかなければと思ったのだろう。
「……そうですね。確かに名乗るのが礼儀というもの……」
職員の問いかけに少女の方も納得したのか。
彼女は自らの名と身分、そして目的を宣言するよう静かに告げていくのであった。
「——我が名はココロワヒメ、発明と車輪を司る神!!」
「——我らが主神・カムヒツキ様の命により、天気の巫女を贄と捧げる役目を仰せつかった。人の子らよ、この雨を晴らしたくば、私たちに協力なさい!!」
「こ……ココロワヒメ……? お、お姫様!?」
「か、神様って……えっ? はっ?」
その少女——ココロワヒメが自らを『神』と名乗ったことに大人たちが呆気に取られる。
「——っ!?」
その一方で、森嶋帆高はココロワヒメが発した言葉の内容——『天気の巫女を贄と捧げる』という目的に人知れず戦慄する。
天気の子、巫女とやらが誰のことを指しているのか。
それを理解しているからこそ、帆高は口には出さずに心の中でその少女の名を悲痛な思いと共に叫んでいた。
——なんで……どうして、陽菜さんがっ!!
——まだ……終わってなかったのかよ!?
彼は、自分たちを取り巻く絶望が未だに終わっていなかったこと。
神なんてものまでもが、彼女が『戻ってくる』ことを望んでいなかった現実に悲嘆に暮れるしかなかったのである。
というわけで、前回に引き続き『天穂のサクナヒメ』が再び登場ということになりました。
実は前話の段階でサクナヒメ自身にも再登場のフラグを匂わせておきました。
それを早速回収という形で、今作は話を進めて行きたいと思っています。
人物紹介
森嶋帆高
天気の子の主人公。
離島での暮らしに窮屈さを感じ、大都会へ家出してきた高校生の少年。
作中での行動で賛否が分かれる主人公。
ヒロインと世界を天秤にかけた結果……ヒロインを選んだ。
天野陽菜
天気の子のヒロイン。
祈ることで100%、空を晴らすことの出来る晴れ女。
しかしその力の代償により消えてしまう……筈だった少女。
帆高より年上とお姉さんぶっていたが、実は年下で本当は中学生。
天野凪
陽菜の弟。
小学生ながらも女の子にモテまくり、その歳で既に元カノとか普通にいる。
そのあまりのモテっぷりから、主人公の帆高からセンパイとか呼ばれている。
須賀圭介
帆高が働くことになった会社の社長……めっちゃ小さな会社だけど。
かなりいい加減な性格ながら、面倒見はそれなりに良い方。
帆高同様、過去に家出した経験があり、そのとき出会った明日花という女性と結婚。
萌花という一人娘をもうけるも、奥さんは事故で失い、親権も祖母に取られた。
現実的な観点から一度は帆高を突き放すも、クライマックスには帆高のため警察に喧嘩を売った。
安井刑事・高井刑事
ベテランの老刑事・安井と若いリーゼント刑事・高井とのコンビ。
帆高視点から見ると終始悪役だが、刑事としての仕事を全うにこなしていただけ。
今回のお話で、彼らが決して悪人ではないことをフォローしていきたいです。
スカウトマン木村
作者が天気の子で、唯一嫌いなネームドキャラ。
妻子を持つ身でありながら、未成年である陽菜を風俗で働かせようとしていた。
真っ当に罰を受けていただくため、警察に捕まった描写を挟んでおきました!!
化鯨
今回のゲスト妖怪、その①。
話の流れ上、帆高が『島に帰れないようにするため』海を荒らしてもらいました。
基本的には善良な妖怪なのだが、人間たちが環境汚染するせいで狂暴化しちゃった。
海坊主
ゲスト妖怪、その②。
海においての鬼太郎のお助けキャラとして登場させていただきました。
ココロワヒメ
もう一つのクロス作、天穂のサクナヒメから颯爽登場。
主人公であるサクナヒメに対する、ヒロイン枠……二人の百合百合な関係が尊い。
発明と車輪を司る神であり、背中に常にデッカい歯車を背負っている。
彼女が主役として登場する、次回作『ココロワと想世の歯車』が今から待ち遠しい。
機巧兵
ココロワヒメが設計した、機械仕掛けのカラクリ人形。
原作では一切喋らないのですが、小説では台詞があった方がいいと思ったので、音声機能を付けさせてもらいました。