ゲゲゲの鬼太郎 クロスオーバー集   作:SAMUSAMU

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遅ればせながら、あけましておめでとうございます!!

今年も何とか、新しい年を迎えることが出来ました。去年の暮れも、尋常じゃない仕事の忙しさで執筆などほとんど進みませんでしたが……ようやく落ち着いて来たので、小説の投稿を再開させていただきます。
今年も本小説をよろしくお願いします。

ちなみに、どれだけ忙しくても『fgo』終章のレイド戦、そしてエンディングまではしっかりと去年のうちに完走させていただきました。
もう最高のエンディング!! 十年の集大成をこれでもかと見せつけられました。
このままサービス終了……なんてことになっても悔いは残らないような完結でしたが……ここに来てまさかの『アフタータイムのはじまり』!!
まだまだfgoで遊べる喜びを噛み締めつつ、余白の時間を楽しんでいきたいと思います。

今回のクロスオーバー先は『モノノ怪』。
始まりは『怪 〜ayakashi〜』というアニメ枠、そのうちの一つとして放送された『化猫』から爆発的な人気を得て、そこから正式にTVアニメシリーズとなった作品です。
さらには一昨年、去年、そして今年と劇場版アニメ三部作として順次公開されてもきました。

和風テイストながらもファンタジーな世界観、他に類を見ない独特な作画。
そして、あまりにもエグい……人間の欲望とエゴを前面に押し出した物語。

正直、人を選ぶ作品……今回はそんなモノノ怪の作風に合わせる形で話が進んでいきます。
ニチアサに相応しくない。どちらかというと『ゲゲゲの謎』に近い雰囲気のお話になっていますので……よろしくお願いします。




モノノ怪 其の①

 これは昔々の物語。

 

『ひっ!! た、助け……たずけっ……ぐふっ!?』

『熱い!? 熱いよぉおおおおおおおおおお!!』

『いやだぁあ!? 死にたくない、死にたくないっ!!』

 

 燃えている。

 山が、森が、村が、そして人が。灼熱の業火に包まれ燃えている。

 いや、正確には人間ではない。彼らは一様に赤い色の肌を持ち、額に二本の角を生やしていた。

 

 

 鬼である。

 

 

 人間たちから化け物、怪物などと恐怖や畏怖と共に叫ばれる存在。

 人々に災いを為すものとして疎まれる、悪しきものたち。

 

 その一方で、死後の世界——地獄では閻魔大王の下、罪人たちを罰する獄卒として、秩序を司る側に立つ存在でもある。

 いずれにせよ、それが恐ろしいものの代名詞として扱われることに変わりないわけだが——。

 

『や、やめて……殺さないで……!!』

 

 そんな恐れられる側である筈の彼らが、その表情を恐怖に歪めながら逃げ惑っていた。

 我が身可愛さから必死に命乞いをするその姿からは、人々から恐れられる怪物としての威厳など欠片も感じられない。

 

『…………』

 

 そして、そんな涙を流しながら懇願する鬼たちの命を、躊躇なく無慈悲に奪っていくものたちがいた。

 

 

 人間である。

 

 

 本来であれば、怪物を前に逃げ惑うしかない筈の人間たちが、鬼たちを追い回しその体に容赦なく刃を突き立てていく。

 勿論、そのようなことが出来る人間が只者であるわけがない。彼らは一様に『山伏のような装束に般若面を被る』という、独特な衣装で身を包んでいた。

 

『唵!!』

『キェエエエエエエエエエ!!』

『死ね、化け物っ!!』

 

 あるものは呪言を唱え、不可思議な力を行使し。

 あるものは奇声を上げながら、刀や槍を振り回し。

 あるものは火矢を放ち、集落ごと鬼たちを焼き尽くしていく。

 

 ありとあらゆる手段、手法を用いて鬼たちを蹂躙していく山伏の集団。

 

『おのれぇえええ!! 人間如きが……調子に乗るなよ!!』

『がはっ!?』

 

 それでも、全ての鬼たちが無抵抗で殺されているわけではない。鬼たちの中には如何にもな金棒を振り回し、人間たちへ反撃を試みるものもいた。

 同胞たちを殺された恨みのこもった強烈な一撃が、山伏の一人を紙切れのように蹴散らしていく。

 

『鉄砲隊……構え!!』

『はっ!!』

 

 しかし、圧倒的な数という戦力差に加え——人間は『鉄砲』という最先端の技術を導入し、それを鬼たちに向けて放っていった。

 

『ぐはっ!? な、なんじゃこりゃ!?』

 

 ずっと山奥に隠れ潜んでいたであろう鬼たちにとって、それは未知の力だった。

 自分が撃たれたという事実すら認識することなく、抵抗を続けていた屈強な鬼が血だらけになって倒れ伏していく。

 

『討ち漏らしがあってはならん。誰一人、生かして逃すな』

『おおっ!!』

 

 手強い鬼を片付け、残存勢力——残りの鬼たちを一匹残らず駆逐しようと、山伏の集団がさらに勢いづいていく。

 碌な抵抗も出来なくなっていく鬼たちを、一方的に蹂躙するその光景はもはや殺戮。

 まさに『鬼畜の所業』というに他ならない。

 

『ぐあああああああ!?』

『この子だけ……この子だけはお助けをっ!!』

『おっ父!? おっ母!!』

 

 鬼たちにも家族が、父親が、母親が、子供がいた。

 しかし、そんな単純な事実に理解を示す様子もなく、人間の鬼たちに対する虐殺は続いていき——。

 

 やがて、周囲一帯が静寂に包まれていく。

 

 

 

『ぐっ……人間め……この……恩知らずの裏切り者どもめ……』

 

 鬼たちの悲鳴すら聞こえなくなったその場に、一際大きな鬼の苦悶の声が鮮明に響き渡る。

 最後まで抵抗を続けてきたそのものこそ、鬼たちを束ねる長だった。瀕死の重傷を負いながらも、人間たちへの恨み辛みを腹の底より吐き出していく。

 

『あれほど……我らの力に頼っておきながら……今更になって斬り捨てると言うのか!?』

『そうだ。これからの人の世に、お前たち化け物の居場所などどこにもない』

 

 鬼の怒りは人間たちの『裏切り』に対して。

 一方で、般若面を被った山伏たちの長と思しき男は、鬼たちの滅びは必然だと語る。

 

 

 この時代よりさらに昔、人と鬼——妖怪は近しいところにあった。人間が本能的に闇を恐れたように、妖怪も陽の光を避けるように生きていた。

 昼と夜、その二つで棲み分けされた両者は、互いの領分を侵すことなく自然と共存することが出来ていたといえよう。

 

 しかし時代が進むにつれ、人間はその数を爆発的に増やしていき、反対に妖怪はその絶対数を著しく減らしていった。

 結果、この世は人間が我が物顔で支配するようになり、妖怪たちは日陰からも追いやられ——やがては消え去っていった。

 

 今宵、鬼たちがこのような憂き目に遭っているのも、そういった流れの一部に過ぎない。

 人間が繁栄し、妖怪が衰退する。そういった歴史の必然から、鬼たちは滅びるのだ。

 

 

『——許さん、許さんぞ!! この恨み、晴らさでおくべきかっ!!』

 

 無論、そのような理屈で自分たちがこのような目に遭わされるなど、納得出来るわけもなく。

 今際の際、鬼の長は一族の無念、その全てを代表し怨嗟の声を吐き出していく。

 

『呪ってやる!! たとえ何百年かかろうとも……必ずや貴様ら人間を滅ぼしてくれるわ!!』

『負け惜しみを……お前たち妖怪の恨みなど高が知れている』

 

 もっとも、そういった怨嗟の声すらも山伏たちの長はさらりと受け流す。

 彼らにとって、妖怪たちを駆逐する『作業』は何も特別なことではない。そのように恨み言を吐かれることも慣れたものだとばかりに、あっさりとトドメを刺していく。

 

『ぐっ……忘れるな!! 我らの怨嗟……この憎しみは……決して、消えはせぬ!!』

 

 そうして人間への憎悪を吐き捨てながら、最後の鬼も生き絶えていく。

 

 

 こうして、妖怪という種がまた一つ淘汰され、この地上から途絶えた。

 それはこの時代において決して珍しいことではなく、いずれはより多くの妖怪が彼らと同じような末路を辿っていくこととなる。

 そうして、人間たちへの憎しみを募らせた妖怪の怨念は、将来的に様々な騒動を引き起こす災いの種となるわけだが。

 

 

 その鬼たちが死の間際に抱いた人間たちへの怨嗟も——。

 その怒り、その憎しみ、その情念。それは遠い未来——。

 

 

 誰もが予想しなかった形で、より強大なものへと膨れ上がっていくこととなる。

 

 

 

×

 

 

 

「う〜ん!! 今年の夏休みも、もうすぐ終わりか……」

 

 自宅の居間のソファーに座り込み、間延びした声を上げながら、犬山まなは夏休みの終わりに感慨深い息を吐く。

 

 三年生である彼女にとって、今年は中学生最後の夏休みだ。

 受験に向けた夏期講習は当然だが、それ以外にも親戚の家に遊びに行ったり、友達とお出かけしたりと。今年は忙しくも充実した夏休みを過ごした。

 

「去年も一昨年も……こんな感じの夏休みだったのかな?」

 

 ただのその夏休みが例年に比べてどうだったかと、それを比較するだけの『記憶』を今のまなは持ち合わせていない。

 

 彼女は記憶喪失だ。

 中学一年生の初めから、中学二年生の終わりまでのおよそ二年間。その辺りの記憶が酷く曖昧で、自分がどんな夏休みを過ごしていたかなど、鮮明に思い出すことが出来ないでいる。

 不幸中の幸いか、全てを忘れてしまったわけではない。クラスメイトたちのことや、勉強などで学んだ知識などは覚えており、日常生活事態はなんとか不自由なく過ごすことが出来ていた。

 

「やっぱり、妖怪とか……そういうのと、何かあったのかな……」

 

 しかし、思い出に関すること——特に『妖怪』に関わることについては全く記憶がない。

 だが、妖怪のことをもはや常識の一部のように認識する世間の反応。それに同級生たちが時折自分に向けてくる、なんとも言えない視線。

 まなは、なんとなくではあるが自分と妖怪たちの間で『何かがあった』ということを薄々とだが感じるようになっていた。

 

「一度詳しく聞いてみようかな? でもな……」

 

 まな自身、失われた記憶について詳しく調べようと思ったことはなく、周囲の人たちもあえて踏み込んだ話をしないようにと、気を遣ってくれているようであった。

 

 しかしそろそろ、何かあったのか詳しく問い正すべきではないかと。

 最近は、特にそんなことを考えるようになっている。

 

 

 

「はい……はい……それはそうですが……」

「……お母さん?」

 

 ふと、そんなふうにまなが悶々と頭を悩ませているや、なんとも悩ましい女性の声が聞こえてくる。

 

 まなの母親——犬山純子だ。

 まなにとって、誰よりも頼りになる大人。父親である裕一がどこか抜けている性格な分、家のことの大半は母である純子が取り仕切っている。その上で、純子自身もキャリアウーマンとしてバリバリに働いていたりする。

 

 娘であるまなにとって、純子は『なんでも出来る完璧な女性』といったイメージの存在でもあった。

 そんな理想な女性像の母親が——電話の受話器片手に今まで見たこともないような、困惑の表情を浮かべているではないか。

 

「ですが……どうして今になって……いえ、そういうわけでは……」

「……?」

 

 ところどころ言い淀む母親に、いったい誰と電話しているのかとまなの脳裏に疑問が浮かぶ。

 

「ですから、いきなりそんなことを言われても……えっ? そ、それはそうですが……」

 

 どうやら電話先にいる相手は、純子にとって並々ならぬ相手であるらしい。

 純子自身、相手方の要求をなんとか断ろうとしているようだったが、それが上手くいかずに言いくるめられている——そんな様子であった。

 

「…………分かりました。では、そのように…………はぁ〜……」

 

 やがて、根負けしたよう向こう側の意思を了承した上で純子は電話を切った。受話器を置いた瞬間、彼女の口から盛大なため息が溢れ落ちる。

 

「誰と話してたの?」

「!! ま、まな……!? そ、そこにいたのね……」

 

 電話を終えた母親に、誰と話していたかをまなが率直に尋ねる。するとまなの存在に今気付いたとばかりに、純子は驚いた声を上げる。

 周囲に気を配る余裕がないほど、電話相手に気を取られていたということだろう。

 

「……まな。ちょっと話があるんだけど……いいかしら?」

「話って……さっきの電話と何か関係があるの?」

 

 その電話の件で純子はまなに話があると。娘である彼女に改まった態度で向き合っていく。

 

 

 

「今度の週末……私と一緒に来て欲しいところがあるのよ……」

「週末って……もう夏休みも最後じゃん!! そんな日にどこに行こうっていうの!?」

 

 純子の提案にまなは悲鳴に近い声を上げる。

 今週末——それはもう夏休みも終わる頃だ。宿題等の用事を終わらせている以上、最終日くらい家でゆっくりしていたいと思うもの。まなの反応も当然のものだっただろう。

 

「ええ、そうよね……それは分かってるんだけど……とにかく、一緒に来て欲しいの……」

 

 純子も、そんな日に娘を連れ出すことを悪いと思っているようだったが、だからといって断れる案件でもないらしい。

 苦渋の決断——母親にそんな顔をされては、まなとしても断るわけにもいかない。

 

「はぁ〜……それで、どこに行くの? お父さんは出張中だし……私たちだけってことだよね?」

 

 まなは小さくため息を溢しつつ、父親が不在であることにも言及していく。

 そう、一家の大黒柱である裕一は生憎と出張中。来週まで戻らないため、彼抜きで出掛けるということになるわけだが、果たしてその目的地がどこになるのか。

 

「実家よ……」

「実家って……境港!? 庄司叔父さんのところに行くの!?」

 

 そこで目的地が『実家』と言われ、まなの脳裏に真っ先に浮かび上がるのが——境港。

 鳥取県の境港には、犬山家——裕一の実家があり、そこにまなの伯父と伯母である庄司とリエのの二人が暮らしている。

 夫妻の元へ遊びに行くのは、まなの夏休みにおける毎年の恒例行事であり、いつもそれを楽しみにしている。

 

 だからこそ、何故純子が困ったような顔になるのか分からない。

 そもそも、今年は既に境港へ遊びに行っているのだ。それなのにもう一度、それも夏休みの最後に鳥取まで行こうというのだろうか。

 

「そっちじゃないわ……私の……沢田家の実家よ……」

「えっ? 沢田って……確か、お母さんの……昔の苗字?」

 

 しかしまなの考えを否定し、純子は実家は実家でもそれが犬山家ではない。

 犬山純子、彼女が嫁入りする前の名前——沢田純子としての実家であることを告げる。

 

 これにまなが驚いた顔になる。

 彼女の記憶にある限り、それは初めてのこと。生まれてこの方、彼女は母方の実家になど行ったことがないのだ。

 それが今になってどうしてと、そう思っているのは純子も同じだったのか。

 

 

「どういう理由かは分からないけど……お母さん……私の母が、まなに会わせろって……」

 

 

 何故、まなが沢田家に赴くことになったのか。

 純子は一応の理由を口にしながらも、困惑した表情で首を傾げるばかりであった。

 

 

 

×

 

 

 

「——ここが……お母さんの、生まれ育った町か〜!!」

 

 週末、犬山まなは純子の実家——母親の故郷を訪れていた。

 そこは東京から何度も電車を乗り継ぐことで辿り着く、山沿いにある小さな町であった。

 

 緑豊かな田園風景、山々が壮大に聳え立つ絶景。

 まさに絵に描いたような田舎の風景に心躍らせるまなは、どこかワクワクした気持ちでその地に降り立つ。

 

「…………ほんと、何も変わってないわね……ここは……」

 

 一方で、久しぶりに故郷を訪れたであろう純子の口から漏れ出たのは——憂鬱感を隠そうともしない、疲れたようなため息である。

 数十年ぶりの故郷に対する、郷愁の念など全く感じられない。その姿を見るだけでも、純子がこの地への帰郷を心底から望んでいなかったことが見て取れるだろう。

 

「お母さん、大丈夫? そんなに……この町に帰ってくるのが嫌だったの?」

 

 まなにとって誰よりも頼りになる筈の母の、心身共に疲れ切った姿。

 そうまでして、この町に帰って来たくなかったのかと。まなは娘として、純子の心境が心配になってしまう。

 

「そうね……あんまり、良い思い出がなくて……って、ごめんなさい。行きましょう……」

 

 娘の呼び掛けに、ぽろっと溢れ落ちる本音。しかし何も知らないまなに愚痴を言ってもしょうがないと、純子はすぐにで気持ちを切り替える。

 

 そして、この町にある目的地。

 自身の生家——沢田家に向かって歩き出していく。

 

 

 

「…………なんていうか、本当に……何もないところだね……」

 

 母親に連れられ沢田家を向かう道すがら、まなは改めて周囲の町並みを見渡していく。

 最初はその壮大な自然に感動したまなであったが、似たような景色が続けばその感動も薄れていくというもの。

 さらに言えば自然以外、何の変哲もない民家やこじんまりとしたお店などがポツンと建っているだけで、これといって目新しいものがあるわけでもない。

 加えて——。

 

「ねぇ……あれってもしかして……沢田さんのところの……?」

「今更戻って来て……いったい何のつもりかしらね?」

「隣の子は……娘さんかしら? まさか、沢田の家を継がせるつもりなんじゃ……」

 

 時々、町の住人らしき人々とすれ違うのだが、こちらへと向けてくる視線がどうにも冷たい。

 

 遠巻きにこちらを伺い見ながら、小声でヒソヒソと話している。ただ部外者であるまなに対してそのような対応になるのは、まだ分からなくもない。

 だが、元がこの町の住人である筈の純子が沢田家の人間だと、察した上でさらにその視線に懐疑的なものが宿るのはどういうわけか。

 

「なんなの、この扱い……なんか、釈然としないんだけど!!」

「そういうところなのよ……ここは昔からこう……閉鎖的っていうか、排他的な人が多くてね」

 

 まなはこのような扱いを受ける謂れはないと少しばかり腹を立てるが、純子はこれがこの町が持つ空気感なのだと諦めたように嘆息する。

 

 田舎の人間というのは自分たちのコミュニティを守るため、外から来た人間を警戒するものだが、この町は特にその傾向が強いとのこと。

 余所者は勿論、一度でもこの町のルールから逸脱したものを排斥され、コミュニティの輪から弾き出されてしまうのである。

 

「こういう空気が昔から嫌でね……私も成人したら、淑子伯母さんみたいにすぐ出ていくんだって!! 若い頃からお金とか貯金して、色々と苦労したものよ……」

 

 周囲のそういった視線もあってか、どうにも気まずい空気が流れかける。

 そんな重苦しくなりかけた空気を払拭しようと。純子は若い頃の苦労話などを、苦笑しながら語ることで、少しでも場の空気を和らげようと試みた。

 

 

「……? 淑子伯母さん……って、誰?」

 

 

 ところが、会話の流れでごく当たり前のように出て来た名前に、まなは疑問符を浮かべる。

 淑子伯母さん——少なくともまなの『記憶』にある限り、そのような親戚はいなかった筈だが。

 

「!! まな……淑子伯母さんのことも覚えて……い、いえ……何でもないわ!!」

 

 一瞬、純子は大きく目を見開いて動揺を見せるが、すぐに気を持ち直してその人物について簡潔に語る。

 

「私の伯母さん、まなにとっては大伯母にあたる人よ……もう、亡くなってしまったけど……」

「へぇ〜、そうなんだ……」

 

 その淑子伯母さんという人が既に亡くなっているという話を聞かされて尚、まなの中から悲しい感情が込み上げてくることはほとんどなかった。

 顔も知らない人が死んだと聞かされ、それを我が事のように悲しめる人間がどれだけいるだろうか。

 

 

 

 

 

 ——迂闊だったわ……まさか、淑子伯母さんのことも忘れていただなんて……。

 

 しかし純子は、まなが淑子のことを『覚えていない』だけで、二人が確かに交流していたことを知っている。知っているだけに、そのことを覚えていない事実に内心ショックを受けていた。

 

 沢田淑子。

 亡くなる際は九十にもなる高齢だったが、彼女は最後まで己の人生を全うした、強い女性だ。

 淑子とまなが対面したのは、二年前。淑子が体調を崩し、その見舞いのために純子が彼女のところを訪れた際、まなも同行したことで互いに初めて顔を合わせた。

 それから数える程度ではあるが、まなは何度か淑子の元を訪れては、体調を崩しがちだった彼女を幾度となく励ましたという。

 

 ——伯母さんのことを覚えていないのは……妖怪絡みの事件と同時期だったからかしらね。

 

 まなは、淑子が臨終の時にも立ち会っていたと聞く。

 それなのに彼女のことを覚えていないのは——その出会いと別れが『妖怪絡みの事件と密接に関わっているから』だと、純子なりに推察する。

 

 

 実際、まなが淑子と関わる際は常に妖怪、あるいはそれに近しいものがすぐ側に存在していた。

 

 出会いの際は『妖花』という花がどうして淑子の家の周りに咲き乱れるのかと、その原因を探りにゲゲゲの鬼太郎たちと共に南方まで旅に出たという。

 別れの際は『死神』と対峙し、寿命を迎えた淑子の魂を収穫しようとする彼らに最後まで抵抗するも、自らの運命を受け入れた淑子によって、まなは人の死とはどういうものかを知ることになった。

 

 そのどちらもが妖怪が深く関係した事件であったため、まなは淑子のことも記憶することが出来ないでいたのだ。

 

 

 ——気を付けないと……あの子を、これ以上傷つける訳にはいかないもの……。

 

 まなの失われた記憶を、純子はイタズラに掘り返そうとは思わない。下手にそのことに触れて、まなを深く傷つけてしまわないようにと細心の注意を払っている。

 娘の記憶に関しては『無理には思い出させない』というのが、夫である裕一とも相談した犬山家の方針であった。

 

 

 

×

 

 

 

「ここよ。ここが……私の生まれ育った家……」

「うわあ……おっきいな屋敷……お母さん、こんなところで暮らしてたんだ……」

 

 それから三十分ほど歩いた先で、純子とまなはようやく目的地へと辿り着いた。

 そこは山の麓近くにある、古めかしい日本家屋であった。周囲一帯の家々と比べてみても、明らかに『格』が違うのが見て取れるほどに、大きくて立派な屋敷だ。

 まなは、こんな大きくて立派な家で純子が生まれ育ったのかと感嘆の声を上げるのだが、純子はこれといって感情らしきものを見せない。

 

「ごめんください……誰かいませんか?」

 

 せっかく実家に帰ってきたというのに、ただいまの一言もなく。

 まるで他人の家をお邪魔するかのよう、呼び鈴を鳴らしながら誰かいないかと呼び掛ける。

 

 

「——はいは〜い〜、ちょっと待っててくださいね〜」

 

 

 すると純子の呼び掛けに応え、若い女性の間延びした声が返ってくる。

 ドタドタとお世辞にも礼儀正しいとは言えない足音を鳴らしながら、その声の主は玄関先まで顔を出しに来た。

 

「いらっしゃいませ〜。ええっと……犬山純子さんと、その娘のまなちゃんで合ってますか〜?」

「……え、ええ……そうですけど……」

 

 その人物の登場に、純子は戸惑い気味に言葉を返す。

 その人物——女性の服装からして、彼女がその家で働く使用人であることは窺い知れた。

 それがメイド服、クラシカルな丈の長いロングスカートであることも、その家の格式を考えればそこまで不思議なことではない。

 

 問題となるのは——その女性の風貌である。

 

「どうぞこちらに〜、お部屋までご案内しますんで〜」

 

 その若い女性、まだ二十歳にも達していないであろう彼女は、言葉遣いこそ褒められたものではなかったが、使用人としての仕事を全うしようと、純子とまなの二人を屋敷内へと案内していく。

 

 しかしどれだけ真面目に仕事を果たそうと——派手に金髪に染めた髪や、耳に付けたピアス。

 こんがりと焼けた小麦色の肌が、色々なものを台無しにしていた。

 

 所謂『褐色ギャル』というやつが、このような屋敷で働いていることにアンバランスさを感じてしまうのは、仕方がないことだろう。

 

「貴方……バイトの方? この家の人から怒られたりしないの? その……髪の毛とか……」

 

 純子は言葉を選びながらも、そんなことを尋ねてしまう。

 少なくとも、純子が家にいた頃の価値観からすれば、そのような風貌の人間を雇い入れるなど信じられないことなのだろう。

 

「あたし〜、これでも分家の人間なんで〜。小言は五月蝿いけど〜、それで追い出されるってことはないんすよ〜、ご心配は無用でぇーす〜」

 

 どうやら、そのギャルは分家の人間。

 遠縁ながらも沢田家と親戚筋であり、そのコネのお陰でそのような身なりでも雇って貰えているとのこと。

 

「申し遅れましたけど〜、使用人の野本(のもと)伊世(いよ)っていいます〜。滞在中は私がお二人のお世話をさせてもらいますんで〜、よろしくお願いしますね〜!」

 

 彼女は使用人として純子とまなの二人を世話すると、改めて挨拶をしてくれるのであった。

 

 

 

「……伊世さんって、高校生くらいかしら? どうして、この家でバイトを……?」

 

 屋敷内は広く、すぐには目的の部屋まで辿り着けない。廊下を歩いていく中、純子は伊世に何故使用人として働いているのかを問い尋ねていた。

 

「お金のためですかね〜。あたし〜、高校卒業したらすぐにでも上京したいんすよ〜。ここ口煩い人はいるけど、給金だけはいいんで〜」

 

 伊世は単純にお金のためにここで働いているとのことだ。一応は『東京に行く』という将来的なビジョンもあるらしい。

 

「純子さんなら分かると思うんすけど〜、ここってほんと何もないんで〜。こんなところさっさと飛び出して〜、自分の好きなように生きてみたいってのが……あたしの夢なんすよ」

「そう、そうね……よく分かるわ、その気持ち……」

 

 伊世の願望。ここではないどこかへ飛び出したいという気持ちは、純子にも覚えがあるものだ。

 なにせ純子も、そういう思いから実家を飛び出し、今という人生を手に入れたのだから。

 

「まなちゃんでしたよね〜……東京ってどんなところですか〜? やっぱりどこも煌びやかで〜、いい男もたくさんいて〜、選びたい放題な感じなんすよね〜!?」

「えっ……? い、いい男って……言われても……」

 

 ただ、伊世には『いい男を捕まえたい』という、年頃の女の子らしい願望もあるようで。都会育ちのまなに東京にはいい男がたくさんいるのだろうと、迫るような問いを投げ掛ける。

 しかし中学生の、それも恋愛経験の乏しいまなにそのような質問答えられるわけもなく、ただただ戸惑うばかりだ。

 

「ああ〜、羨ましいな〜!! あたしも早いとこ東京に出て〜、優しくて〜、イケメンで〜、金持ちな彼氏〜、ゲットしたいわ〜!!」

 

 もっとも、まなの返事など聞いていないのか。伊世は自分がいい男を捕まえる未来を夢見て、あれこれと妄想を膨らませていく。

 

「な、なんていうか……面白い人だね……」

「そうね、この町の子にしては……とても個性的だわ、ふふふ……」

 

 その身なりや、客人そっちのけで自身の妄想に耽ったり。

 伊世は使用人として礼儀がなっているとは言えなかったが、他の住人たちのようにヒソヒソと小声で陰口を囁かれるよりはよっぽど好感が持てると。

 まなは思わず笑みが溢れ、純子もこの町に戻って来て初めてその口元に微笑みを浮かべていた。

 

「——あらあら? 随分と懐かしい顔が……まったく、どの面下げて戻ってきたことやら……」

「——!!」

 

 だが、そんな和みかけてきた空気に水を差すよう、あからさまに侮蔑を含んだ言葉が吐き捨てられる。投げ掛けられたその台詞に、純子の表情が一瞬で強張ったものへと変わっていく。

 

「お久しぶりね、純子さん。随分と貧相な身なりになって……まあ、沢田の家を出ていった人間にはお似合いの格好でしょうけども……ふんっ!!」

「……お久しぶりです……益子おば様……」

 

 顔を合わせていきなり皮肉たっぷりな言葉を浴びせてきたのは——随分と大仰な着物で身を包んだ高齢な女性だった。

 

 純子が『益子(ますこ)おばさん』と呼んだその女性、歳は六十代といったところか。

 着ているものはそれなりに立派なものではあるのだが、年甲斐もなく派手な化粧を施していたり、所作や立ち振る舞いに粗さが目立ったりと。どことなく、彼女自身の品のなさが滲み出ている。

 もっとも本人はそんなことお構いなしに、気取った態度のままで純子たちと対峙する。

 

「そちらの子は……娘さんかしら?」

「は、初めまして……犬山まな……です」

 

 ふと、視界に捉えたまなに向かって益子は無遠慮に言葉を投げ掛けてきた。一応の礼儀として、まなは頭を下げて挨拶するのだが——。

 

「あらあら、生意気そうな子……若い頃の貴方そっくりね。蛙の子は蛙ってわけかしら……品位の欠片もないわ」

「…………むっ!?」

 

 いきなりこれである。

 あからさまにこちらを見下した言葉と態度に、まなの中で目の前の人物への反感が一気に高まった。

 

「まったく、ご当主様はどうして今更になって……本来なら貴方たちのような下賎な輩、この家の敷居を跨ぐことすら許されないというのに……」

「……………」

 

 もっとも、まなの反感もどこ吹く風と、さらに益子の皮肉は続く。

 それに対し、純子は無言のままで何も言い返さない。この親戚を前に何を言っても無駄だと悟っているようで、相手の気が済むまでいいように言わせておくつもりのようである。

 

「ああ、そういえば……貴方と同じように沢田の家から逃げ出したあの人……淑子さんと言ったかしら?」

「……!」

「独り身のまま寂しくお亡くなりになったらしいけど……ご当主様がわざわざ遺骨を引き取って、沢田家のお墓に入れてあげたとか……あんなアバズレ女の遺骸など、適当な尼寺にでも放り込んでおけばいいのにね……」

「……っ!!」

 

 しかし、益子は純子と似たような経緯で沢田家を飛び出した、淑子のことまで引き合いに出し、貶し始めたことで純子の顔色が変わる。

 

「お言葉ですがっ……!!」

 

 純子にとって、淑子は似たような境遇から実の親以上に世話になった相手である。

 その淑子の、それも既に鬼籍に入っている相手を侮辱する発言には流石の純子も黙ってはいられずに声を上げる。

 

「あら、なに? なにか文句でもお有りなのかしら?」

 

 益子の方も、純子が反抗的な態度を取ったとその目により一層、蔑視するような感情を抱いていく。

 

「お、お母さん……」

 

 一触即発。ピリピリと張り詰めていく緊張感に、まなはどうすればいいかと母親の側に寄り添うしかないでいる。

 

 

「あ〜……お話し中のところすみませんけど〜、そのへんにしといてもらえませんかね〜、益子おばさん〜?」

 

 

 ところが、そのまま口論になりそうだった二人の間に伊世が割って入る。

 

「あたし、お二人をお部屋にご案内して〜、早いとこお手洗いに行きたいんですけど〜?」

 

 彼女なりに場を収めようとしてくれているのだろう、冗談を交えながらやんわりと口を挟んでいく。

 

「使用人のくせに、出しゃばらないでちょうだい!!」

 

 途端、益子がヒステリックに声を荒げた。

 使用人という立場の伊世に口出しされるのが我慢ならないといったところか。しかしその程度のことで声を荒げるあたり、本人の器の小ささが見て取れる。

 

「いやいや〜、確かにあたしは使用人ですけど〜、別に益子さんに雇われてるわけじゃないんで〜。あたしの雇い主はあくまでご当主様なんで……あんたにそんなこと言われる筋合いないんだよ……」

 

 実際、伊世は益子のことなど何とも思っていないのだろう。彼女の言葉には明らかに益子を軽視するニュアンスが含まれている。

 

「っ……ふん!! まあいいでしょう。滞在中、せいぜい粗相がないようになさいな!!」

 

 伊世の言い分に益子は返す言葉を失ったのか。あからさまに怯みつつも、尊大な態度を崩さぬまま、荒い足取りでその場を逃げるように立ち去っていく。

 

 

 

「……すみませんね〜、あの人ほんとうるさいんで〜。居候の癖に態度がデカいっていうの〜?」

「……居候?」

 

 すごすごと退散していく益子の背中を見送りながら、伊世は純子たちに謝罪の言葉を口にする。

チャラチャラした見た目だが、客人に対する礼儀はしっかりと弁えているようだ。

 一方で、純子は益子が居候——本来であれば、ここにいる筈のない人物であることに眉を顰める。

 

「なんでも〜、旦那さんが外での事業に失敗したとかで〜。借金抱えた夫と離婚して、この町に逃げ帰って来たところ〜、沢田の本家が保護してあげたとか〜……なんだって、あんな人たちを受け入れて上げたのかは知りませんけど〜」

「……それであんなに偉そうなんですか?」

 

 益子の事情、離婚して出戻って来たという彼女の経緯を聞き、まなが呆れたように息を吐く。

 中学生のまなでも、益子の態度が居候として図々しい、厚顔無恥だということが理解出来てしまう。

 

「まあ〜、あの人のことは無視しちゃってください〜、どうせ口だけでしょうから〜」

 

 当然、伊世も呆れているが、だからといってそこを指摘してもしょうがないと。益子のことは相手にしないようにと注意を促しつつ、純子たちの案内を続けていく。

 

 

 

「とりあえず、滞在中はこの離れを好きに使っちゃってください〜」

「ありがとう、伊世さん」

 

 そうして、ようやく目的の部屋まで純子たちを案内した伊世。まなや純子が通されたのは、離れの屋敷であった。

 ここは純子の実家。にもかかわらず、母屋ではなく離れに通されたあたり、あくまで純子たちは『身内』ではなく『客人』として扱われているらしい。

 

「…………」

「お母さん……」

 

 純子は別にそのことを不満に思うわけではなかったが、それでも複雑な心境を隠せない様子だったのが、娘のまなからも丸わかりであった。

 

「ご当主様は仕事がちょっと忙しいみたいなんで〜、面会は夕方頃になるかと思います〜」

「そう……相変わらずなのね……あの人は……」

 

 そして肝心の当人、純子たちをここへ呼んだ沢田家の当主だが、暫くの間は手を離せないとのことで、すぐには面会出来ないらしい。

 人を呼んでおきながら仕事を優先する当主——実の母親の対応に、純子はさらに重苦しいため息を吐いていく。

 

「夕方か……それまでどうしよっか?」

 

 夕方までまだ少し時間があると、空いた時間をどう過ごすかをまなは考える。

 とはいえ、別にやるべきこともない。部屋で大人しく過ごしているしかないのだろうが——。

 

「……伊世さん。もしも手が空いてるようだったら、まなと外で時間を潰して来てくれないかしら?」

「えっ……?」

「はい……?」

 

 ここで、純子はまなに時間まで外で過ごすよう言ってきた。この提案にまなも、そのための案内役にと声を掛けられた伊世も目を丸くして驚く。

 

「この家にいても、またさっきみたいなことになりかねないし……外に出ていた方がまだ気が楽だと思うのよ」

 

 純子としては家にいるよりは外の方が安全だと、まなの心身を心配してのことだった。

 実際、益子のような人間が徘徊するこの家にいては、先ほどのように難癖を付けられることになるかもしれない。そう考える時点で、純子の実家に対する不信感は相当なものである。

 

「まあ、断る理由もないですけど〜、けどこの町に観光出来そうなところなんかないですよ〜?」

 

 これに伊世も理解を示してくれたが、さりとてこの町では時間を潰せる場所も限られる。目立った観光地もないため、いったいどこを案内すればいいかと首を傾げる。

 

「…………お墓参りに……行って来たらどうかしら……」

「お墓参り……って、誰の?」

 

 暫し考え込んだ末、純子はまなに墓参りに行くことを勧めた。

 これにまながいったい『誰の?』と、もっともな疑問を浮かべる。少なくとも、まなの思いつく限りで墓参りに行くような相手などいない筈だが。

 

「さっきも話題になった、淑子伯母さん……沢田家が遺骨を引き取って、お墓に入れてくれたらしいから……」

 

 しかし、それはまなが『覚えていない』だけであり、純子は娘と伯母である淑子が確かに交流していた事実を知っている。

 

 

「私の代わりにまな……貴方があの人のお墓参りに行ってくれないかしら?」

 

 

 故に故人が喜ぶと思い、まなに自分の代理という名目で彼女の墓参りに行くよう強く勧めるのであった。

 

 

 

×

 

 

 

「ここが沢田家のお墓です〜、まあ……見ての通りの場所だけど〜」

「ここが……ここに……淑子さんって人が……」

 

 案内役である伊世と共に沢田家を出たまなは、三十分ほど歩いたところにあるお寺。

 その境内にある沢田家のお墓までやってきた。周囲にある他の家々のものよりも古く、少しばかり大きいものの、それ自体はごく普通の墓だった。

『先祖代々之墓』と刻まれた墓石に向かってまなは手を合わせ、目を閉じてお祈りする。

 

「…………伊世さん。淑子伯母さんって……どんな方か知ってますか?」

 

 だが故人を偲んで祈ろうにも、まなには沢田淑子に関する記憶がない。故に彼女がどのような人物だったのか、一応は親戚筋である伊世に尋ねていく。

 

「う〜ん……あたしは会ったことないから知らないけど〜、ほとんど親戚付き合いもなく……ずっと一人で生きてきた……って、話だったかな?」

 

 とはいえ、伊世も淑子とは会ったことがない。それでも人伝で聞いた限りでまなに淑子のことを教えようと、自身の記憶を掘り返してくれる。

 

「なんでも若い頃、どっかの誰かと恋をして駆け落ちまでしようとしたとか〜、けど、その相手がいきなり音信不通になったとかで……それ以来、独身を貫いてきたって〜……」

「……そうなんだ……」

 

 駆け落ち。

 まだ恋もしたことがないまなにとって、まるで物語に出てくるような言葉だ。親を捨て、家を捨て、何もかも捨ててまでその人と一緒になりたいと願う。そのときの淑子の気持ちがどれほどのものだったのか、まなには想像すら出来ない。

 

「あたしが思うに淑子さんって、とても一途な人だったんじゃないかな……あたしだったら〜、いなくなった男なんて忘れて〜、すぐに次の男を探してたと思うし〜」

 

 高校生と年若い伊世にとっても、淑子の決断はとても真似出来るようなものではないと。

 少し茶化すような言動こそあれど、彼女の言葉には会ったこともない相手に対する確かな敬意が感じられた。

 

「どんな人だったんだろう……会ってみたかったな……」

 

 まなは淑子という人物に興味を抱いた。だが既に故人であるため、会いたいというその願いは叶わない——と、少なくとも今のまなはそう思っている。

 

 まなが淑子のことを『思い出す』日が来るのか。現時点ではなんとも言えないところである。

 

 

 

「……さてと、これからどうしよっか〜? 夕方まで、まだ少しばかり時間はあるけど〜?」

 

 そうして、墓参りという用事を済ませたところで、次にどうするかを伊世が尋ねてくる。

 夕方までまだ時間があるが、だからといって案内するような場所もないため困っている様子であ

る。

 

「そうですね……とりあえず、お寺でちょっと涼ませてもらいましょうか……」

 

 まなも、墓参り以外には特に目的もなかったため、残り時間はお寺の方で時間を潰させてもらおうと、伊世と一緒にお墓をあとにしようとする。

 

 

「——でゅふふふ!! こ、こんなところにいたんだな……!!」

 

 

 そんなときだった。二人の元に何やら怪しげな声が響いてきたのは。

 

「うげっ……!! この粘つくような嫌らしい声は……」

「……?」

 

 その声を聞いた瞬間、伊世は心の底から気持ち悪そうに顔を歪める。まなはどうして伊世がそのような表情をするのかが分からず、声の聞こえてきた方を振り返る。

 

「えっ……誰? ……っていうか、なに?」

 

 振り返った先で見たものに対し、まなは思わずそんなことを口走ってしまう。

 そこにいたのは人だ。人である筈だが、あまりにも——見るに耐えないものだった。

 

「きょ、今日は……あ、暑いんだな……」

 

 その人物、男性は汗をダラダラと流していた。季節柄、確かに気温は高いが本来ならそこまで汗だくになるような気候ではない。

 なのにその男性がそうなってしまうのは、彼が明らかな『肥満体』であったからだろう。

 

 その男、おそらくは三十代〜四十代といったところか。

 外見から既にその男性が同年代の平均体重、それを大きく超えていることが見て分かるほどに丸々と肥え太っていた。

 

「はぁはぁはぁはぁ……」

 

 その体型のせいか鼻息や息づかいも荒く、常に苦しそうに呼吸をしている。

 おまけに自身の体格に合っていないサイズの服を無理に着用しているためか、シャツなど今にも破れそうなほど、ぱっつんぱっつんに体を締め付けていた。

 

「……な、なんなのこの人……」

 

 とてもではないが好印象を抱けるような相手ではない男に声を掛けられ、流石のまなも対応に困ってしまう。

 

「益子おばさんの息子よ……名前は確か、安夫(やすお)だったかな?」

 

 まなが戸惑っていると、伊世がこっそりと耳打ちしてその人物の名前と立場を教えてくれた。

 どうやらその男、先ほども屋敷で顔を合わせた益子の実の息子だというのだ。つまり彼も、まなにとっては親戚になるわけだが——。

 

「お、お前が沢田……いや、犬山純子の娘のまなだな!?」

「そ、そうですけど……」

「ふぅ〜ん……」

 

 安夫はまなの名前を気安く呼び捨てた上、まるで品定めするかのよう彼女の頭からつま先までを舐め回すように見つめてくる。

 

「うっ……な、なんなんですか!! 私に何か用ですか!?」

 

 その粘っこい視線に耐え切れなくなったまなは、安夫に向かって何用かと悲鳴を上げるように問い掛けてしまう。

 

「ふ、ふんっ!! 礼儀も何もなってない、貧相なガキだが……まあ、悪くない。将来性はあるんだな……」

「は、はあああ?」

 

 ところが安夫はまなの質問になど答えず、何事かをぶつぶつと一人呟いている。

 

 もうこの時点で、まなの中で益子・安夫親子の印象は最低値まで引き下がった。

 しかし、次なる発言——それにより、この安夫という男に対する印象が、さらに大幅に下落していくこととなる。

 

 

 

「——ぼ、ボクの妻にしてやる……ありがたく思うんだな!!」

「…………………………はっ?」

 

 

 

 一瞬、相手の言葉を理解することをまなの脳が拒絶する。

 

「………な、なに言って……」

 

 だが段々と理解が追いついていくにつれ、まなの全身に怖気が走る。

 その言葉の意味するところ、それによる生理的嫌悪から鳥肌が止まらない。

 

「な、なんだ? まだ当主から何も聞かされてないのか? なんのためにお前が呼び出されたか……考えれば分かることなんだな!?」

 

 しかし、まなが抱いている感情など気にも留めず、安夫はまなが自分の妻——つまりはこの男と結婚などすることになるであろう『合理的な理由』を語っていく。

 

「沢田家の直系は今や当主と……その娘の純子、孫のお前だけになった。このままでは、由緒正しき沢田本家の血統が途絶えてしまうんだな!!」

 

『沢田家』は何百年もの間、その由緒正しき血統を現代まで残してきた格式高い家系だ。

 だがその本家筋の血脈は、今や数えるほどしかいなくなってしまったとのこと。そして、その数少ない本家筋の中で最も若い世代が——犬山まなだという。

 

「お、お前が沢田家に戻り、分家の中でも特に優秀なボクという男子が沢田家に婿入りする!! これで沢田家の栄華は約束されたようなものだっ!! こ、光栄に思うんだな!!」

 

 だから、その犬山まなを沢田家に戻し、自分が本家に婿入りすることで——沢田家は断絶の危機を免れる。

 それどころか、自分という『優秀な男子』が本家を盛り立てることで、沢田家はかつての繁栄を取り戻すだろうと——少なくとも安夫という男の中では、それが何よりも理想的な流れとなっていた。

 

 

「………………………」

 

 

 これに、まなは返す言葉を失う。

 どうしてそのような話になるのか、相手の思考がまるで理解出来ないのだ。

 

「——バッカじゃないの〜? 本家の血統がどうだの〜、考え方が前時代的なんだよ〜」

 

 すると言葉も出ないまなの気持ちを代弁し、伊世が代わりに反論を口にしてくれた。安夫と同じ分家の人間である彼女から見ても、彼の発想は時代遅れ感が否めないらしい。

 

「ていうか〜、なんでお前みたいなおっさんと、まなちゃんが結婚しなきゃいけないわけ〜? その発想が出ちゃう時点で気持ち悪いっていうか〜、普通に犯罪臭いし〜」

 

 というか、それ以前に安夫のような三十を越えたおっさんが、中学生の少女を相手にそのような感情を抱けてしまう時点でもう無理だと。伊世は心底から軽蔑するように吐き捨てる。

 

「し、使用人の分際で……口を挟むんじゃない!!」

 

 そんな伊世の言葉に対し、安夫はどこかで聞いたような台詞を喚き散らす。

 

「……親子揃って、それしか言えねぇのかよ……行こ、まなちゃん。こんなやつ相手にする必要もないし〜」

「えっ……? は、はい!!」

 

 既に似たようなことを安夫の母親である益子にも言われているため、伊世は反論する気力も湧かなかった。

 伊世はすぐにでもこのような輩からまなを遠ざけなければと、彼女の手を取ってその場を立ち去ろうとする。

 ところが——。

 

「…………」

「…………」

「ちょっと……? なんなのよ、アンタら……」

 

 二人の行く手は、強面の男たちによって遮られた。いきなりのことで伊世も面食らっている。

 

「ぼ、ボクのような重要人物が、護衛もなく一人で出歩くわけないだろう!! お前たち、その二人を取り押さえるんだなっ!!」

 

 その男たちは、安夫が金で雇った人間のようだ。

 護衛など必要な身分かどうかはさておき、安夫はその男たちの手を借りることで——まなたちを力ずくで取り押さえる。

 

「ちょっ……触んないでよ!? 離せって!!」

「伊世さんっ!? きゃっ!!」

 

 当然、平均的な女子である伊世やまなに屈強な男たちに抗う術などあるわけもなく。

 あっという間に拘束され、身動きを封じられる二人。

 

「ど、どうせボクのものになるんだから……今ここでわ、分からせてやっても構わないんだな……でゅふっ!!」

 

 そうして動けなくなった彼女たちへと、嬉々として近づいてくる安夫。

 いったい何をするつもりなのか、いやらしい笑みを浮かべながらまなに向かって手を伸ばす。

 

「ちょっ……マジでシャレにならないって!?」

「い、いやっ!?」

 

 伊世は安夫が何をしようとしているかを察し、青ざめた顔で叫ぶ。

 一方で、まだ中学生であるまなは、自分が何をされようとしているのか。具体的に想像は出来ないが、それが身の毛もよだつようなことだと感じ取ることは出来た。

 

 ——嫌だ!! 嫌だ!! 嫌だ!! 嫌だ!! 嫌だ!!

 

 ——怖い!! 怖い!! 怖い!! 怖い!! 怖い!!

 

 あまりの恐怖から、もはや声を上げることすら出来ない。

 

 ——誰か……誰か……助けっ!! 

 

 ——きた……ねこね……!?

 

 瞬間、助けを求める誰かの名がまなの胸中に浮かび上がるが——それもすぐに掻き消えてしまう。

 

 こんなときでありながらも、まなは恐怖ではなく、大切だった筈の人たちを思い出せない。

 悲しみという感情から、溢れ出る涙を止めることが出来ないでいた。

 

 

「でゅふふふ……なかなか唆られる泣き顔じゃないか……げふっ!?」

 

 

 そんなまなの泣き顔を前に、安夫は下卑た笑みを浮かべながら畜生にも劣るようなことをほざいていたが——その醜悪な横顔に向かって、強烈な『蹴り』が叩き込まれた。

 

「ぶひゃああああああ!?」

 

 豚のような呻き声を上げながら、その醜い脂肪の塊がゴロゴロと地面を転がる。

 

「なっ……なんだ貴様っ、がはっ!?」

「邪魔をするっ……ぐげっ!?」

 

 雇い主である安夫に危害を加えられ、殺気立つ護衛たちだったが——彼らも似たようにぶっ飛ばされ、無様に地べたを転げ回る。

 

「ふぃ〜……マジでやばかった……まなちゃん、大丈夫!?」

「はぁはぁ……」

 

 拘束を解かれた伊世はほっと胸を撫で下ろしながら、すぐにまなを心配して彼女へと駆け寄る。

 しかしまなの方は動揺から、自身の呼吸を整えるのに精一杯で周囲の状況を見渡す余裕もない。

 

 

「——白昼堂々、しかもこんな場所で女子供に手を出しやがるとは……妖怪だったら問答無用で消してたところだぞ……」

 

 

 そのときだ。まなたちを窮地から救ってくれたと思しき——『青年』の声が響き渡る。

 

「よ……よう、かい?」

 

 彼が自然な口調で『妖怪』という言葉を使用したことに、まなは驚いて顔を上げる。

 

「あんたたち無事か……って……お前、犬山まなっ!?」

「えっ……?」

 

 青年は襲われていた彼女たちを気遣うように声を掛けたが、そこに犬山まながいると分かるや、彼の口から驚くような声が飛び出す。

 まなは顔を上げ、自分を助けてくれた青年の容貌を確認し——それが、どこか見覚えのあるものだと気付く。

 

 

「あなたは……以前も、病院で助けてくれた……」

 

 

 記憶の糸を手繰り寄せ、その青年のことを思い出せたという事実にまなはホッと胸を撫で下ろす。

 

 今のまなにとって、その青年に助けられたのはこれで二度目だ。

 一度目はとある病院内で、妖怪に襲われていたまなを彼は助けてくれた。

 

 ただ『それより以前』の記憶が喪失したままのまなは、彼の名前までは知らないでいる。

 その青年に向かって何と礼を述べるべきかと、言葉が見つからずに黙り込んでしまう。

 

 

 

「…………」

 

 一方で、まなのことを知っている筈の青年も、彼女にどのように声を掛けるべきかと悩んでいた。

 彼は犬山まなという少女が妖怪——ゲゲゲの鬼太郎らと友好を深めた相手であることを知っている。

 彼は決して鬼太郎の味方、というわけではなかったが、妖怪とまなたちの絆が途絶えてしまっていることに関しては、何とも言えない複雑な気持ちを抱えていた。

 

「あ……あの……お、お名前は……?」

 

 そうやって、まなや青年が何も言わずに固まっていると、横合いから伊世が青年に声を掛ける。

 助けられた直後、さらにその青年の容姿がそれなりに整った——所謂『いい男』であったことからも、伊世は少しばかり頬を赤く染めていた。

 お近づきになりたいなというちょっとした下心もあってか、彼の名前を尋ねる。

 

 それに対し、青年は特に隠すこともなく名乗っていく。

 

 

「——石動……石動零だ……一応、ここへは仕事で来たんだが……」

 

 

 その青年の名は——石動零。

 かつて数多の妖怪たちを震え上がらせた、退魔の一族——鬼道衆の生き残り。

 

 仕事でこの地にやって来たという彼が、再び犬山まなと関わることになったのは偶然か、必然か。

 いずれにせよ、その日を境に——数百年前から止まっていた、とある一族の運命が動き出すことととなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんください……ごめんください……どなたか、いらっしゃいませんか?」

 

 同時刻、沢田家の玄関先で何者かの声が響き渡る。

 その人物は呼び鈴を鳴らしながら家のものへ呼び掛けを続けるのだが、生憎と誰かが出てくる気配はない。

 

「ごめんください……どなたか……」

「ああ、もう!! すぐに出ますっ!!」

 

 暫くして、ようやく家の奥から姿を現したのは——益子であった。

 

「伊世さんは何をしているのかしら!? 使用人が来客にも対応しないなんてっ!!」

 

 益子は来客に応対する筈の伊世がおらず、どうして自分が玄関先まで赴かなければならないのかと憤慨していた。

 

 実のところ、沢田家もそこまで余裕があるわけではない。

 使用人の人数も純子がいた頃に比べればだいぶ減り、今や一日に一人二人、使用人が勤務できていればいいほどであり、雇用の規模を縮小しているのが現状だ。

 

「まったく!! いったいどこの馬の骨ですか、こんな真っ昼間に……!!」

 

 もっとも、それで自分のような『高貴な人間』が来客如きで煩わされるなどあってはならないと。

 益子は自分が無駄に動かされているその怒りを、こんなタイミングでやってきた来客に向かってぶつけるつもりで、玄関先まで足を運ぶ。

 

「ちょっと貴方、少しは礼儀を弁えて…………」

 

 だが開口一番、怒鳴り込むつもりでいた益子であったが——その客人の姿を見るや、時でも止まったかのように動きを止める。

 

「あ、貴方は……?」

 

 常日頃から高慢ちきな態度を崩さない筈の益子の頬が、年甲斐もなく朱色に染まる。

 

 

 その人物——立ち振る舞いや、男物の派手な柄の着物を着こなしていることから、男性ということは察せられる。

 しかし、その妖艶な顔立ちに施された隈取りのような化粧から発せられる色気は女性顔負けであり、とてもではないが人間のものとは思えない、まるで人形のように美しく整えられていた。

 

 他にも耳が異様に長く、血の気がない肌に、白い長髪と。

 ところどころに常人ではあり得ない、人間離れした空気感を醸し出していた。

 

 おまけに派手な着物と共にその背中に背負われている、大きな薬箱。

 明らかに時代背景を間違えている、それこそ時代劇や歌舞伎の演目に登場しそうな役者のように傾いた出立ち。

 

 

 ——そ、そういえば……ご当主様が純子さんたち以外にも来客があると……。

 

 普通であれば、そのような怪しいものを家の中に入れたりしないだろう。

 しかし益子は、当主から『大事な来客がある』と聞かされていたこともあり、その人物こそがそれだと思い込む。

 

「よ、ようこそ、いらっしゃいました……あの、此度はどのようなご用件で?」

 

 さらに言ってしまうと、そこにはその美しい男とお近づきになってあわよくば、といった恥知らずな魂胆があったわけだが。

 そんな益子の下品な下心を見透かすような、どこまでも凛と響き渡る静かな声音でその男——。

 

 

 薬売りの男は、ここへ来た理由を淡々と口にしていく。

 

 

 

「——モノノ怪を、ここに現れるであろうモノノ怪を、斬らせていただきに参りました」

 

 

 




人物紹介

 犬山まな
  記憶を失って以降、初めての主役回。
  毎回チョイ役で出番はありましたが、今回は彼女がヒロインとしてガッツリ活躍していきます。

 犬山純子
  まなの母親。
  今回メインの舞台になる、彼女の実家『沢田家』に関しては本作の独自設定です。
  原作アニメで語られなかったところを、色々と膨らませて話を展開していきます。
 
 野本伊世
  沢田家の使用人、分家の人間だが本家への忠誠心などはない。
  モノノ怪の原作に登場した、加世や野本チヨを現代風にオマージュした結果、何故か褐色ギャルとなりました。
  まだ高校生で使用人としては至らない部分もあるが、人としては至極真っ当な感性の持ち主。

 益子
  嫌な親戚。旧時代的な価値観の持ち主で、分家のくせに無駄に偉そう。
  昔から純子に嫌がらせをしたりと、人としてはかなり終わっている部類。

 安夫
  益子の息子、純粋にクズ。
  徹底的に嫌悪感を出すため、自然とあのような口調や笑い方になりました。

 沢田淑子
  純子の伯母、まなにとっては大叔母。
  本シリーズにおいては既に故人。詳細は『死神エミーゼル』をご参照ください。

 石動零
  久しぶりの登場、6期における鬼太郎のライバルポジ。
  記憶が失っている筈のまなが彼のことを覚えている詳細に関しては『少年陰陽師』をご参照ください。
  今回の話におけるヒーローポジション。
  鬼道衆の生き残りとして、今回発生するであろうモノノ怪と向き合っていきます。


 薬売りの詳細に関しては次回にて。
 ちなみに、今回鬼太郎の出番はほぼありません。最後にちょっと顔を見せるくらいです。
 

 
 
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