ゲゲゲの鬼太郎 クロスオーバー集   作:SAMUSAMU

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さて、本小説も初投稿からおよそ一年が経ちました。
時の流れは早いもの、今年もあと二か月。色々と波乱の一年になりますが、最後まで気を抜かずに行きましょう。

一周年記念というわけではありませんが、本日は『もっけ』という、知る人ぞ知る、隠れた名作からのクロスオーバーです。

知らない人のために概要をサラッと。

もっけは月刊アフタヌーンに連載されていた漫画が原作、コミックスは全九巻。
アニメの方も2007年に放送されています、全24話。
とある霊感体質で悩む姉妹の日常を描いた作品で、一話読み切り形式の連作短編。
アニメの方も、一話一話で話が独立している短編式。
申し訳ありませんが、自分は原作漫画は未読。今作のクロスオーバーもアニメの方を参考に書かせてもらっています。

この『もっけ』という作品、とにかく話の一つ一つが緻密でかなり凝った作りになっております。アニメの方も視聴率は芳しくなかったらしいですが、視聴した人たちからの評判はかなり良い。
今の時代に見ても色あせない、不思議な魅力の詰まった作品。
このクロスオーバーで興味を持った方がいれば是非、漫画、アニメの方も視聴してみてください。

ちなみに、今作の話は『もっけ』は原作アニメの最終回からの続き、鬼太郎の時間軸は二年目の夏になっております。


もっけ 其の①

 新しい元号が発表された。その名も『令和』である。

 

 昭和から平成、そして令和へと時代は移り変わる。時代が新時代を迎えるよう、新しい技術や革新的なアイディアは常に日進月歩、人々に文明的な生活を促してきた。

 だが、そんな世の中であるにもかかわらず、今の日本ではとある存在がトレンディーな話題の的になっていた。

 

 そう『妖怪』という——いかにも古めかしい存在だ。

 

 それは去年、八百八狸によって政権が奪われた辺りからだろう。

 人間たちが妖怪の存在を徐々に認知するようになり、多くの目撃情報、被害報告が各地で報告されるようになっていった。

 そして、今年になってからの姑獲鳥騒動。動画配信サイトによる妖怪動画の猛プッシュにより、その知名度が決定的なものとなる。

 

 この現状は『妖怪大辞典』という書物の巻頭にも記されていた。二十一世紀は彼ら妖怪の時代になると。

 まさにその予言通り、世はまさに大妖怪時代。

 

 だが——忘れてはならない。

 

 妖怪という存在は、何も昨日今日とパッと出てきたわけではないということを。

 彼らはいつだって人々の営みの傍らに寄り添い、ずっとすぐ側で共に時代の流れを過ごしてきた。

 

 見えていないだけで、常に彼らは『そこ』に存在していた。

 

 

 そんな妖怪たちと、ずっと昔から付き合っていた人々もいるのだということを忘れてはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 栃木県のとある農村部。夏真っ盛りの夏休み期間中。

 都会の喧騒から離れた田舎、山々や小川の流れ、豊かな自然が昔の姿のままで残るその地を人間の少女が駆け抜けていく。

 

「——はぁはぁっ、ただいま!!」

 

 彼女の名は檜原(ひばら)瑞生(みずき)。今年で小学六年生となる、活発で元気な女の子だ。

 家で引き籠もっているよりも、外で男の子たちと一緒に野原を駆け回ることが多い彼女は今日も元気に遊び尽くし、夕暮れ時になってから我が家に帰ってきた。

 

「——おかえり瑞生。先にお風呂入っちゃいなさい」

 

 そんな瑞生を暖かく迎え入れたのが、彼女の実の姉である檜原(ひばら)静流(しずる)である。

 中学三年生の彼女は今年が受験シーズンだが、それでも姉としてしっかりと妹の世話を焼き、この家の家事全般をこなしている。それでいて成績も優秀。少し引っ込み思案な部分もあるが、誰に対しても優しく清楚。まるで大和撫子を体現したような少女で、同学年の男子生徒たちからの人気も高い(本人はそのことに無自覚だが)。

 

 静流と瑞生。二人の姉妹はとある理由から親元を離れ、この土地で二人支え合って暮らしている。

 年相応に喧嘩することもあるが、仲直りも早く。実に仲の良い姉妹として周囲からも温かい目で見守られていた。

 

 

 

 

「……あれ? お姉ちゃん、電話なってるよ!」

 

 帰宅早々、姉に言われた通り風呂に入ろうとしていた瑞生。だが風呂場で服を脱ぎかけたところで彼女は廊下の方から電話のコール音が鳴り響いていることに気づく。

 自分は出れない状態なため、慌てて姉に声を掛ける。

 

「あ、はいはい、今出るわ……もしもし?」

 

 妹の呼び掛けに料理中だった静流は慌ててガスコンロの火を止め、電話の受話器を手に取った。電話相手の言葉に一言二言「……はい……はい」と相槌を打つ。

 

「わかりました。すぐに代わりますので……」

 

 どうやら通話相手は自分ではない、別の人間に用向きがある様子だった。静流は受話器を脇に置き、その人物を呼び出すため庭先へと小走りで向かう。

 

「お爺ちゃん!! 電話、お爺ちゃんにだって!!」

「——おう……今行く」

 

 静流が呼んだのは庭先で花の手入れをしていた彼女の祖父だ。この家の家主にして、遠くで暮らす両親の代わりに静流と瑞生の面倒を見てくれている保護者である。

 すっかり白色に染まった髪、時折腰を押さえたりしている老人。しかし背が高く、些かの衰えも見せない鋭い眼光。齢七十は越えているであろうに、年齢による呆けなど微塵も感じさせない威厳ある佇まい。

 寡黙で厳格、ちょっと怖いながらも頼り甲斐のある。少女たちにとって自慢の祖父であった。

 

「もしもし……ああ、お前さんかい」

 

 静流と電話を代わった祖父。彼は通話相手が誰なのかを知り、僅かばかりに目を細める。

 

 

 そして、そのまま——電話向こうの相手と込み入った話を進めていく。

 

 

「……お爺ちゃん、まだ話してる。珍しいね」

「そうね……」

 

 既に瑞生も風呂から上がり、静流も夕食の献立を準備し終え、姉妹が二人揃ってちゃぶ台に付く。いつでも夕食を食べられる状態だが——未だに祖父の長電話が終わらない。

 普段からあまり無駄話をしない、いつも寡黙な祖父にしてはかなり珍しい状況だ。

 

「もしかしたら……『お仕事』の話かもしれないわ。お腹減ったのなら先に食べててもいいのよ、瑞生?」

 

 静流はその電話が祖父の仕事関係かと思い、瑞生だけでも先に食べているよう勧める。遊び疲れて腹ペコだろう妹を、これ以上お預け状態で待たせるわけにはいかないと。

 

「いや……待つ、待ってる!!」

 

 だが瑞生はそこですぐにはがっつかず、祖父が来るまで大人しく待つことを選んだ。きっとお腹を空かせているだろうに、彼女はきちんと我慢することにしたのだ。

 

「そっか……じゃあ、もう少し待ちましょう」

 

 そんな妹の様子を、姉としては微笑ましい気持ちで見守る。

 少し前までの彼女であれば、もしかしたら食欲に負けて先に食べていたかもしれない。妹の何気ない成長をこんな些細なことからでも感じる静流であった。

 

 

 そして、それからさらに数分後。

 

 

「——そうか、恩に着るよ、岩永の嬢ちゃん。この借りはいずれまた……」

 

 ようやく話が終わったのか祖父が電話を切り、食卓へと戻ってくる。

 

「悪いな、二人とも」

 

 さすがに待たせ過ぎたと自覚したのか孫娘に謝る。

 

「ううん、大丈夫よ、お爺ちゃん……さっ、食べましょう!」

「いただきま~す!!」

 

 姉妹は特に気にした風もなく、皆が揃ったところで手を合わせた。

 家族三人、いつもの食卓風景が穏やかに始まる。

 

 

 

 

「——それでね! 今日もいっぱい遊んだんだ! 高津と笠間も一緒にさ!」

「——へぇ……そうなの。楽しかったのね、瑞生」

「…………」

 

 食事をしながら元気よく話をするのはいつも瑞生の役割のようなものだ。彼女はその日の出来事など、いつだって楽しそうに語ってくれる。それに相槌を打ちながら、話を促していくのが姉である静流。それを見守りながら祖父が静かに黙々と食事を進めていく。

 

 これが檜原家の団欒風景だ。去年、祖母であるお婆ちゃんが亡くなってからはずっとそのように過ごしてきた。

 その光景に特にこれといった劇的な変化はない。

 

 強いて違いを上げるとするならば——

 

「それで……今日もなんだけど、友達が動画で見たって、言ってたよ!?」

「見たって……何を?」

「何をって……妖怪だよ、妖怪!!」

 

 ここ最近になって、瑞生が『妖怪』の話題を嬉々として語るようになったことだろうか。

 

「久佐子ちゃんがね、河原で緑色で、頭に皿乗せてた奴が歩いてる動画をスマホで見せてくれたんだ。ひょっとして河童じゃないかって、他のみんなも大騒ぎだったんだ! はははっ!!」

「そう……最近多いわね。うちの学校でも、結構話題になってるのよね……」

 

 静流も中学校の同級生たちが話していた内容を思い返し、複雑そうに呟く。

 そう、それらは最近何かと話題に上げられる妖怪の噂。近年になって急速に増えつつある怪異の目撃情報の多くだ。

 

 ちょっと前までは、誰も妖怪の存在など信じていなかったというのに、今では流行のように話題にならない日がないほど。人々の間で日常的な噂話として定着しつつある。

 瑞生はその状態が個人的には嬉しいのかいつも楽しそうに話しているが、静流はどうにも複雑な気持ちを隠せずにいる。

 

 今の人と妖が近しい現状——果たしてそれが『両方にとって』良いことなのかと、少し真剣に悩んでいる。

 

「——瑞生」

 

 すると、楽しそうにお喋りする瑞生に向かい、祖父がジロリと睨みを効かせる。それまで嬉しそうにお喋りを止めようとしなかった瑞生が、ゴクリと祖父の眼光に緊張して無言になる。

 大人しくなった彼女へ、祖父は静かに語りかけていた。

 

「おめぇ……自分の『体質』について周りに喋ってねぇだろうな?」

「う、うん……言ってないよ」

「そうか、ならいい。あんまり調子に乗ってうっかり口を滑らすんじゃねぇぞ?」

 

 祖父はさらに念を押すよう、浮かれる瑞生に釘を刺していく。

 

「確かに、最近の連中は活発に動いとる。普通の人間にも奴らの姿が見えるようになっちまうのも仕方がねぇ。だがな……周りが見えるようになったからと言って——おめぇが『憑かれやすい』体質だってことに変わりはねぇんだ」

「……」

 

 祖父の言葉に押し黙る瑞生。祖父はさらに姉の静流にも、ついでとばかりに話の矛先を向ける。

 

「静流、おめぇもだ」

「えっ?」

「おめぇは他の連中が見えないものまで見えちまう、『見えやすい』ってことに変わりはねぇ。周りに見えているものと、おめぇが見ているもの。それが同じとも限らんということだ。言動には注意しろよ、下手に目立っちまうからな……」

 

 

 妖怪たちの動きが活発になり、人々の注目を集めるようになってから現代人の意識は確かに変化している。以前までは見えもしない存在など、人々はいないものとして扱ってきた。

 だが見えるようになったことで、人々は妖怪などの怪異を——『良いもの』『悪いもの』を別として認識するようになっていったのだ。

 

 もっとも、世の中の風潮がなんであれ、檜原家の——静流と瑞生の怪異に対する認識に変わりはない。

 何故なら彼女たちは世間が騒ぎ出すずっと以前から、常に怪異との関係を余儀なくされてきたからだ。

 

 姉である静流にとっては『見鬼(けんき)』、見えるものとして——

 妹である瑞生にとっては『憑巫(よりまし)』、憑かれるものとして——

 

 それぞれ違った『霊的体質』によって様々な体験を経てきた。それこそ、物心ついた頃からである。

 そう、彼女たちにとって怪異などの存在は特別ではない。そこにいて当たり前のものでもあったのだ。

 

 

「まったく……どいつもこいつも悪戯に騒ぎやがって……」

 

 それは姉妹の祖父であるこの老人も同じだ。

 元を辿れば、静流たちの霊感体質も祖父の血筋から受け継いだもの。彼は今でこそほとんど引退している身だが、昔は『拝み屋』として活動し、多くの怪異、妖異と接してきた。

 静流たちが親元を離れてこの祖父の元で暮らすことになったのも、彼のそういった経験。怪異に対する正しい対処方法、知識を学ぶためでもあった。将来的に静流や瑞生が一人でも怪異に対処できるよう、孫たちの自立、成長をこの祖父はいつも促してきた。

 

「迂闊に触れては、それこそ取り返しのつかないことになっちまうだろうに……」

 

 しかし、そんな経験豊富な祖父から言わせるのであれば——そういった怪異たちに対する一番の対処法は『極力関わらないよう、距離を置くこと』である。

 見えてしまっても放っておく、取り憑かれないようそういった『出やすい』雰囲気の場所には近寄らない。

 それが祖父がこれまでの人生で培ってきた、人ならざるものたちへの処世術である。

 

 だからこそ——この祖父にとって、今の世の中の流れは実に苦々しいものであった。

 

「まったく、ネット社会ってやつは情報の広がりが早すぎる……」

 

 また昔と違い、今の時代はSNSやら、動画配信やらのせいで情報の拡散が恐ろしいくらいに早い。祖父の頃は口伝やら書物が基本であったため、そこまで噂になる方が珍しかったのだが。

 そういった時代の変化も、現状を祖父が望まぬような方向へと動かしている。

 

「これも時代か、年寄りにはついて行けんよ……なあ、婆さん?」

 

 否が応でも時代というものを感じさせられ、この祖父にしては珍しく弱気な発言。

 居間に設置されている仏壇に目を向け、先立たれた妻へと軽く愚痴を溢していた。

 

 

 その日の夜。

 

 

「——瑞生、そろそろ寝なさい! わたしもそろそろ寝るから!!」

「——は~い!」

 

 一家の団欒も終え、各自が思い思いの時間を過ごす就寝前。

 受験勉強に集中していた静流が、ふと時計の針に目をやったところ、もう結構な時間が経っていた。居間でTVに夢中になっていた妹に早く寝るよう声を掛け、自身もそろそろ就寝すべく用を足しに廊下へと出ていた。

 

「……あれ? お爺ちゃん、また誰かと電話してる……」

 

 すると、そこには夕飯前のように誰かと電話をしている祖父の姿があった。

 こんな夜更けに珍しいなと、不思議に思いながらも特に気にかけるようなこともなかったのだが——

 

「——おう、静流か……ちょうどええ」

 

 ちょうど電話を終えたのか祖父の方から声を掛けてきた。自分に用向きがあるらしく、静流は話を聞くために足を止めた。

 

「今週末、予定を開けとけ。少し遠出になるが出かけるぞ」

「いいけど……出かけるって、どこに?」

「東京だ」

「えっ!? 東京!!」

 

 その話に瑞生が興奮気味に割って入ってくる。

 

「わたし、東京行くなら渋谷とか原宿とか行ってみたい!!」

 

 ずっと田舎暮らしだからか、大都会への憧れを口にしてきた。

 だが、そんな孫娘の言葉に呆れ気味に祖父が首を振る。

 

「東京つっても山ん中だ……都会なんざ、今のお前たちを連れて行けるわけなかろうが」

「え~!!」

 

 祖父の反対意見にぶうたれる瑞生だが、こればっかりは仕方がない。

 

 怪異というやつは、山の中や田舎の方が多いイメージがあるかもしれないが、実のところ、都会などの人が多く賑わっている場所の方が凶悪で、危険な性質のものが多く跋扈している。人の欲望や情念に引き寄せられて集まってくる傾向が強いからである。

 そのため、静流や瑞生には都会での生活は刺激が強すぎる。少なくとも、未熟な今のままでは無理だ。祖父が二人を自身が暮らす穏やかな農村部で預かっているのも、それが理由の一つだったりする。

 

「本当なら、日吉さんとこにお前たちを預けたいんだが……留守みてえだからな。仕方ねぇから付いて来い」

 

 本来、祖父がこういった遠出をする場合はお隣さんである日吉家の人たちに孫を預けるのだが、生憎と家族揃っての旅行で家を空けているとのこと。

 止むを得ず、祖父は孫娘たちを連れて東京の——『依頼人』に会うために出かけるとのことだ。

 

「依頼って……拝み屋の仕事? けど……昔馴染み以外は引き受けてないって……」

 

 祖父の話に静流が首を傾げる。

 拝み屋として既に引退しかけている祖父は昔ほど精力的には活動しておらず、除霊仕事なども知り合いの間でしか行っていない。静流たちが知る限り、今回のように山の中とはいえ、東京へ出かけるなどといった話は初めての筈だ。

 すると、静流の疑問に祖父は——

 

「昔馴染みさ。随分と昔に……会ったきりになっちまったがな……」

 

 彼にしては珍しい、どこか感傷的な面持ちで遠い目をしている。

 

「……?」

 

 そんな祖父の態度に益々疑問を深める静流だったが、瑞生の方は彼の様子にあまり違和感を覚えていないのか。

 

「ふ~ん……それで? 東京のどこに行くって?」

 

 彼女は祖父に興味なさげに目的地について問い掛ける。

 孫娘のその質問に、祖父の方も特に気負うことなく答えていた。

 

 

 

「——オベべ沼ってとこだ。噂じゃ、かわうそって妖怪が出るらしいが……まあ、騙されんように気を付ければ問題ねぇだろ」

 

 

 

×

 

 

 

 檜原家がオベべ沼への訪問を決めていた、まさにその頃。

 

「——ふん~ふふ~ん♪ 明日は猫姉さんとショッピング……週末は一年ぶりの別荘、楽しみだな!!」

 

 日本の首都。東京都調布市に住む女子中学生・犬山まなもまた、オベべ沼にある別荘への小旅行を楽しみにしていた。

 現在、中学二年生である彼女はまだまだ受験勉強に本腰を入れる時期ではなく、純粋に今年の夏休みが楽しみな年頃。明日は大好きな猫姉さんと買い物、週末は家族と別荘へと。日々のスケジュールが嬉しい意味で埋まっている毎日だ。

 自室でスマホを弄りながら、明日の予定を確認しつつもそろそろ寝ようかなと、まなは就寝の準備に入ろうとしていた。

 すると——

 

「まな……まだ起きてる? ちょっといいかしら?」

「お母さん? どうしたの、こんな時間に?」

 

 部屋の扉をノックし、母親である純子がまなに声を掛けてきた。

 夜も深いこんな時間に母親が自分のところまで来るのが珍しかったため少し驚くも、まなは特に疑問を抱くことなく母を部屋まで招き入れる。

 

「ごめんね、こんな時間に。ちょっと……話しておきたいことがあって」

「別にいいけど、なになに? 話って?」

 

 純子は改まった態度で近くにあった椅子に座り込み、まなはベッドから身を起こして話を聞く態勢になる。純子はやや躊躇いを見せつつも、まなに向かって今週末の予定について話していく。

 

「週末の別荘についてなんだけど、お客さんを呼びたいと思ってるのよ……」

「お客さんって……誰を呼ぶの?」

 

 まなの記憶にある限り、家族水入らずで過ごす犬山家の別荘に人を招くというのは初めての話である。

 そのことを特に不快に感じはしなかったが、いったい誰を呼ぶのかと当然のように疑問を抱くまな。

 

 すると、純子は少し悪戯っぽく微笑みながら——まながまったく予想していなかったことを口にする。

 

「招待するのは……貴方のお友達よ、まな」

「……へっ?」

 

 母親の言葉に思わず呆気にとられるまな。さらに純子はまなにとって予想外の言葉を送る。

 

「ほら、いつか話してくれてたじゃない? 猫姉さん……って、貴方のお友達なんでしょ? その人たちをうちの別荘にお呼びしようと思うの」

「え……ええぇええええ!? ね、猫姉さんを!?」

「ええ、いつもまながお世話になってる方たちなんでしょ? 鬼太郎さんにも、ちゃんと挨拶しておきたいな……って思ってたところなんだけど、どう?」

 

 確かに、まなは両親の前で大好きな猫姉さんの話をそれとなく話題に上げたこともあるが、まさか純子の方からそんな話を振ってくるとは思わず、あまりにも急すぎる話に面食らう。

 けれども——

 

「う、うん!! わたしは全然構わないよ!!」

 

 まなとしては問題ない。それどころか嬉しい話である。

 今までは機会がなかったため、猫娘やゲゲゲの鬼太郎を両親に紹介することもなかったが、まなとしては両親に彼らのことを知っておいてもらいたいと思っていた。

 彼ら——妖怪のこと。知って仲良くなって欲しいと、鬼太郎たちと良き隣人関係を築いてもらえるのなら素直に嬉しいと思った。

 

「それじゃあ……明日猫姉さんと買い物に行くし、そのときにでも誘ってみるね!!」

 

 早速、明日お出かけするときにでも誘ってみると、笑顔で母親に報告する。

 

「!! そう、明日も会うの……本当に、仲が良いのね……」

 

 そのとき、まなの話を聞いた純子が驚き、少し複雑そうな表情になっていた。だがそれも一瞬、すぐに笑顔を浮かべ直す。

 浮かれ気分だったまなは、母親のそんな微妙な変化に気づくことがなく。

 

「それじゃ、まな……おやすみなさい」

「うん! おやすみ!!」

 

 

 そのまま、微笑んだまま純子はまなの部屋を立ち去っていく。

 

 

「……いや~、まさかお母さんたちから会いたいなんて言ってくれるなんて……ちょっとビックリしたけど、楽しみだな!!」

 

 母親が退室し、すぐにまなは浮かれた調子でそのようなことを呟く。

 大好きな両親と、大好きな妖怪たちが仲良くなってくれる。そんな光景を思い浮かべ、さらにテンションが昂るまな。興奮しすぎて「今からちゃんと眠れるかな……!」と、遠足前の眠れぬ夜を過ごすような子供の気分で布団を被った。

 明日も早いしそろそろ寝るかと部屋の明かりを消し、目を瞑って眠る態勢に入り——

 

 そこでふと、何でもない疑問がまなの脳裏に浮かび上がる。

 

 

「——あれ? わたし……鬼太郎のことまで、お母さんに話したことあったっけ……?」

 

 

 小さな疑問であったため、特にそれ以上深く考え込むこともなく。

 

 

 まなはそのまま、意識を夢の世界へ旅立たせていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

「純子さん……どうだった?」

 

 まなが寝静まった頃、リビングでは純子とまなの父親・裕一がやや沈痛な表情で顔を合わせていた。娘が起きないようにと二人は声を忍ばせ、夫婦として、まなの親として話し合う。

 

「誘ってみるって……嬉しそうにしてたわ」

「……そっか」

 

 先ほど、純子の方から話した『鬼太郎たちに挨拶しておきたい』という提案。娘の方は特に不信感を抱くことなく、嬉しそうに快諾してくれたようだ。

 あとは相手方次第にはなるが、これで鬼太郎たちが今週末、あの別荘へとやって来ることになる。

 

「大丈夫だよ、純子さん、まななら。君を責めたりはしない……きっと許してくれるさ」

「……あの子は……何も知らなかったのよ。それを……私は……」

 

 二人は何か真剣な悩みを話し込んでいるのか。落ち込み気味の純子を、裕一が慰めている。

 それは犬山家ではわりと珍しい光景だ。基本的にこの家は『母は強し』『かかあ天下』な側面が強く、弱気な夫を勝気な純子が引っ張っていくような関係にあった。

 だからこそ——『涙ぐむ妻をいつも弱気な夫が慰めている』。

 そんなあべこべな光景をまなが目撃していたのなら、きっと驚いて心配してしまうだろう。

 

 娘をそんな不安な気持ちにはさせたくないと、純子はまなの前では気丈にも笑顔で振る舞っていた。

 けど、今だって純子は不安で押し潰されそうな気持ちでいっぱいだ。そんな妻を支えようと、裕一が明るく元気付けるように声を掛ける。

 

「大丈夫さ! 子供の成長は早いって言うし。まなは……ボクたちが思っているより、ずっと強い子だよ。あの子を……信じよう!」

「ええ……そうね、あなた」

 

 その言葉で勇気づけられたのか、純子も多少は元気を取り戻し、夫に対して心からの微笑みを浮かべる。

 

 純子のその笑顔に安堵する裕一。

 彼はふいに、過去を懐かしむ口調でその名前を口にしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「——檜原さんか……あの方に最後に会ったのは……沢田の御婆様のお葬式の日以来だね……」

 

 

 

×

 

 

 

「——指鉄砲!」

「——ぎゃあ!?」

 

 真昼間。太陽が照りつける炎天下の中、ゲゲゲの鬼太郎の指鉄砲が炸裂し、人間に悪さを働こうとしていた妖怪『通り悪魔』を吹き飛ばす。

 

 通り悪魔とは——人間に取り憑き、その人の心を乱して悪事を唆すと言われる妖怪である。

 通り悪魔に憑依された人間は恐ろしい殺人鬼に変貌するとも、自ら命を絶ってしまうとも言われている。『通り魔』の語源とも呼ばれ、江戸時代などでは無差別殺人や、乱心騒ぎなどの元凶ともされている恐ろしい怪異である。

 伝承において決まった形がないともされているが、一説によると白い襦袢(じゅばん)と呼ばれる和服を纏う、奇怪な白髪の老人とも言われている。

 実際、鬼太郎が遭遇した通り悪魔は老人の姿をしており、その手に槍を握りしめ、自分の邪魔をする鬼太郎へと襲い掛かってきた。

 幸い本体の戦闘力は大して高くなかったため、鬼太郎はその妖異を難なく撃退することができたが。

 

「ゲゲゲの鬼太郎ぅうう~! よくも儂の邪魔をぉおお~!」

 

 しかし大分手加減したためか、通り悪魔は満身創痍に疲弊しつつ、鬼太郎へと怨嗟の視線を向けてくる。

 

「人間なんざの味方をしおってぇええ~! この妖怪の恥さらしが!!」

「……大人しくしろ、通り悪魔。これ以上人に危害を加えないと約束するなら……ボクもキミを傷つけたりはしない」

 

 鬼太郎は通り悪魔の罵倒を表面上は涼しい顔で受け流しつつ、相手が大人しく退散するなら見逃すと忠告まで入れる。

 ところが、通り悪魔は鬼太郎の言い分を鼻で笑い飛ばした。

 

「ふん! 妖怪が人間に悪さをして何が悪い!? 大体、儂が取り憑こうが取り憑くまいが……人は結局のところ悪に走るのだぁああ~。儂はただきっかけを与えてやってるに過ぎんのだぞ!? 何故それが理解できん!!」

 

 通り悪魔が主張する通り、人間は彼に取り憑かれなくとも凶悪な犯罪を毎日のように起こしている。

 このご時世、通り悪魔のせいで悪さを働く人間などほとんどいない。

 

 人は——人の意思で犯罪を起こし、他者を殺め、自らの命すらも己の意思で容易く投げ打つのである。

 

「だが、それでお前の行為が正当化されるわけじゃない。大人しく引き下がれ……でないと!!」

 

 鬼太郎もそれは理解しているため、相手の言葉を真っ向から否定はしない。しかし、今回の一件は明らかに通り悪魔が元凶である。彼への敵意を緩めるつもりはなく、厳しい口調で問い詰めていく。

 

「ちっ!! これで勝ったと思うなよぉおお~、いずれ思い知らせてくれる!」

 

 鬼太郎の迫力に圧されたのか。通り悪魔は負け惜しみを口にしつつ、その場から大人しく撤退していく。

 

 

 しかしこれぽっちも反省した様子がなく、またいつ現れるか油断できないような口ぶりでもあった。 

 

 

 

 

 

 

「——ただいま戻りました、父さん」

「うむ、ご苦労じゃったな、鬼太郎」

 

 ゲゲゲハウスへと帰ってきた鬼太郎。彼は父親である目玉おやじに今回の依頼について報告していた。

 

 今回、手紙で助けを求めてきたのは若い人間の女性だった。

 どうやら騒ぎの元凶であった通り悪魔は彼女の周囲でたびたび問題を起こし、それに危機感を抱いたその女性の母親が妖怪ポストに手紙を出し、鬼太郎に助けを求めてきたとのこと。

 母親の心配は見事に的中し、ついに通り悪魔は女性に取り憑き、その手で母親を殺めさせようとしていた寸前だった。

 間一髪のところで鬼太郎の助けが間に合い、母娘ともに無事だった。しかし肝心の通り悪魔を取り逃し、またいつ悪さを働くかわからないような雰囲気でもある。

 

「とりあえず、一反木綿とぬりかべにお願いして、しばらく様子を見ることにしました。あの二人なら、通り悪魔に遅れをとることはないと思います」

 

 そのためしばらくの間、依頼人には一反木綿とぬりかべの護衛を残してきたと鬼太郎は父に報告を入れる。二人とも、特に一反木綿は依頼主の母娘が美人だったこともあり、喜んでその頼みを引き受けてくれた。

 通り悪魔の直接的な戦闘力はそれほど高くない。あの二人がいれば大丈夫だろうと、一息入れる鬼太郎。

 

「けっ! ただ働きでそこまで面倒みてやるとは……毎度毎度ご苦労なこった!」

 

 その鬼太郎に対し、いつものようにねずみ男が悪態をつく。毎回ただ働きをしてくる鬼太郎に不満がある様子で、その場に寝っ転がって鼻糞をほじくっている。天敵である猫娘が留守にしているせいか、いつにもまして横柄な態度だ。

 

「ふん! お前さんと一緒にするでないわい。ご苦労じゃったな、鬼太郎。酒でも飲むか?」

 

 そんなねずみ男の性根と態度をだらしがないと説教くさい口調になりつつ、子泣き爺が鬼太郎に労いの酒を振る舞おうとしていた。こっちもこっちで昼間から酒を飲んだくれており、かなりだらしがない。

 

「こりゃ、子泣き! ねずみ男!! お前たち、いい加減にせんとチューするぞ!!」

「い、いや、それは勘弁じゃ!!」

「ひぃ!!」

 

 そんな男衆を、砂かけババアはお決まりの口癖で脅しつける。彼女にチューされては敵わんと、二人は揃って砂かけババアから距離を置いていく。

 

「ははは……」

 

 ここまではいつもの光景、いつもの流れだ。仲間たちと過ごす穏やかな日常に、鬼太郎も笑みを溢していた。

 

 だが——

 

 

「——ふん!! 話に聞いていた通りだな、ゲゲゲの鬼太郎!! いいように人間に使われおって情けないやつだ!!」

 

 

 そこへ見知らぬ声が響き渡る。

 馴染みの顔ぶれが揃ったゲゲゲハウスに見知らぬ相手——イタチらしき小動物がさも当然のように机の上でふんぞり返っている。

 編み笠を被ったそのイタチは、酷く気に入らない様子でゲゲゲの鬼太郎へと眼を飛ばしてきた。

 

「まったく、貴様には妖怪としての誇りがないのか!! 恥を知れ、恥を!!」

「……え~と……キミはいったい?」

 

 通り悪魔と似たようなことを言われて少し辟易する鬼太郎だったが、すぐに彼が何者なのかと問い掛ける。

 

「ああ、こやつは鎌鼬じゃよ、鬼太郎。ワシの昔馴染みじゃ」

 

 鬼太郎の疑問に答えたのは砂かけババアだった。彼女はそのイタチが『鎌鼬(かまいたち)』という妖怪で、自分の知り合いであることを紹介する。

 

 

 カマイタチ——以前もそれと同じ名前を持つ妖怪と鬼太郎たちは戦ったことがある。妖怪城を使って人間の妖怪化を企んだ一味、たんたん坊に、二口女。そして、かまいたちである。

 だがその『かまいたち』と『鎌鼬』は別個の個体であり、種族としてもだいぶ違いがあるとのこと。

 元々『カマイタチ』という単語はとある現象を指す言葉である。突如巻き起こった風により、皮膚があたかも刃物で斬られたかのように傷つくことだ。

 これには様々な俗説があり、昔の人はこれを超常的な自然現象による説や、鎌を携えたイタチの仕業と称したり色々と考察をした。

 

 その結果、まったく別種の妖怪でありながらも、同じ『カマイタチ』という名前で呼ばれる妖怪が出てくるようになったのだ。

 

 妖怪城の『かまいたち』は自然現象の方から派生した妖怪であり、イタチの姿をしてはいない。

 しかし、こちらのカマイタチは、動物の仕業という伝承から派生し、『鎌鼬』と呼ばれるようになった。

 同じ呼び名、似たような能力を持つものの両者はまったくの別物。お互いこれといって交友関係はないそうだ。

 

 

「旅の途中にフラッと立ち寄ったらしくてな……まあ、口は悪いが根は良いやつじゃ、ワシが保証しよう」

 

 先ほどから、ずっと憎まれ口を叩く鎌鼬をフォローするように砂かけババアが鬼太郎にそっと耳打ちする。面倒見の良い彼女がそういうのであれば大丈夫なのだろうと、鬼太郎もとりあえず腰をおろす。

 しかし座り込んだ鬼太郎へ、さらに鎌鼬は生意気な口調で罵声を浴びせていく。

 

「聞いとるぞ、ゲゲゲの鬼太郎! 貴様最近じゃ、人間のガキと特に仲良くしておるそうじゃないか!!」

「……まなのことか?」

 

 人間の子供。心当たりのある人物と言ったら犬山まなしか思い浮かばない。

 

「名前なんざどうでもいい! まったく……人間の、しかもガキなんぞと馴れ合いおって! 貴様には妖怪としての尊厳が——」

 

 鎌鼬はさらに不機嫌そうに、鬼太郎へと小言をぶつぶつと呟いていく。

 

「——なに言ってんでさー、兄貴」

 

 しかしその言葉を途中で遮るよう、一陣の風と共にゲゲゲハウスにもう一匹の鎌鼬が姿を現す。先に顔を見せていた厳めしい表情のイタチとは別に、こちらはなんとも呑気そうな顔立ちをしている。

 

「兄貴だって、随分前に人間の女の子の面倒を見ていた時期があるじゃないだか~」

「ばっ! 余計なことを言うな! 子分の分際で!!」

「あ、痛っ! 痛いっすよ、兄貴!」

 

 二匹のイタチは兄貴分に弟分という関係らしく、余計なことを口走った子分に兄貴であるイタチが容赦なく拳でど突く。すると、その子分の言葉に茶を啜っていた砂かけババアが口を開いた。

 

「ほう、人間嫌いのお前さんがのう。随分と珍しいこともあるもんじゃ……」

 

 彼女はその鎌鼬が人間を毛嫌いしていることをよく知っていた。そのため、彼が人間の女の子と関わりを持っていたことがよほど意外だったのか、目を丸くして驚く。

 

「ふ、ふん……昔の話だ! とっくに縁切りも済ませた。今更、あんな小娘になど何の用もないわ……」

 

 突っぱねた口調ではあるものの、イタチはどことなく寂しげな表情だ。

 何か思うところでもあるのか。どこか遠い目で、その女の子と過ごした日々を懐かしんでいる様子を見せていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「——鬼太郎、ちょっといい……って、なに、こいつら? イタチ?」

 

 それから——しばらくした夕暮れ時。猫娘がゲゲゲハウスへと戻ってきた。

 彼女は今日一日、まなに付き合っていたらしく、女性同士でショッピングを楽しんでいたのだが——

 

「どうかしたのか、猫娘?」

 

 帰ってきた猫娘が浮かない表情をしていたことが気にかかり、鬼太郎が彼女に声を掛ける。

 猫娘は多少躊躇いつつも、自身の要件を鬼太郎へと伝えていく。

 

「鬼太郎、今週末なんだけど……予定空いている?」

「週末? 今のところ、急ぎの依頼は来てないけど……」

 

 通り悪魔の件以外は特にこれといった用事もないため、鬼太郎はそのように答えた。

 

「実は……まなから別荘まで遊びに来てくれないかって誘われてるのよ」

「別荘……?」

「ほら! 去年、オベベ沼であの子と出くわしたじゃない? かわうそもいたあの沼よ」

「ああ、あそこか……」

 

 去年、猫娘と鬼太郎はオベベ沼に住む、かわうそという妖怪に遭遇した。

 猫娘はそのかわうそに育てた野菜を騙し取られたり、鬼太郎に恥ずかしい格好を見られたりと色々と大変な目にあったのだが。

 結果として、かわうそという新しい仲間をゲゲゲの森へと招くことになり、話は丸く収まった。

 

「あの沼の辺りに犬山家の別荘があるらしくてね。まなのお母さんが、そこで私たちに挨拶をしたいって言ってきてるらしいのよ……」

「なんじゃと!? それは本当か、猫娘よ!?」

 

 その話に目玉おやじが誰よりも反応する。

 いつも仲良くしている人間の女の子・犬山まな。その子の母親が保護者として自分たちに挨拶をしたいと言ってきているのだ。

 同じ鬼太郎の保護者という立場上、目玉おやじも何かしらの共感を得たのだろう。

 

「それで……どうかしら? まなのご両親に……その、会ってみる?」

「そ、そうだな…………父さん、どうしましょうか?」

 

 しかし猫娘が戸惑っているように、鬼太郎もどうすればいいか分からずに困惑する。

 

 妖怪である自分たちが、人間の家族に挨拶をする。

 それも依頼ではない、友人の両親にだ。

 

 

 それは鬼太郎たちにとって初めての体験であり、彼らもどうすべきかと返答に困ることになっていた。

 

 

 




人物紹介
 
 檜原瑞生
  姉妹の妹。アニメ本編だと小学五年生ですが、本作では六年生になっております。
  怪異に憑依されやすい体質の持ち主。基本、怪異の姿を見ることはできない。
  少しそそっかしく、子供特有のわがままな一面もありますが……まあ小学生だし。
  
 檜原静流
  姉妹の姉。アニメ本編だと中学二年生ですが、本作では中三と受験生に。
  怪異を見ることのできる体質の持ち主。そのせいで、色々心配事を抱えるタイプ。
  優しい思いやりのある姉。
  もっけという物語は、基本この姉妹が中心となって話が進んでいきます。

 檜原の爺さん
  瑞生と静流の祖父。名称は不明。
  特異な体質である姉妹を預かる、拝み屋の老人。ただ高齢のため、現在はほぼ引退している。
  作品の特徴上、直接的なバトルシーンなどはありませんが、それでもかなりの実力を秘めているのではと、そう思わせるだけの貫禄がある。
  アニメ第三話『オクリモノ』での怪異への対応……マジでカッコいい。
  こういう年の取り方をしてみたいものです……。

 鎌鼬
  アニメ本編、第十話の『カマイタチ』での主役怪異。
  みんなが知っているであろう、カマイタチの妖怪。
  口では憎まれ口を叩くものの、面倒見がよく子分に慕われている漢。
  今作でも、その漢ぶりを遺憾なく発揮してもらいたいと思ってます。

 通り悪魔
  こちらは厳密にはもっけのキャラではありませんが、実際の伝承にある妖怪。
  通り魔の語源とされており、江戸時代などの記録にその伝承が記されている。


 さて、ここまで読んでもらっていかがだったでしょうか?
 本作の内容は、鬼太郎六期の話の根幹に関わってきますので、もしよろしければ次回の投稿までにもう一回、鬼太郎本編を見直してみてください。
 特に……『名無し』関連について。
  
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