ゲゲゲの鬼太郎 クロスオーバー集   作:SAMUSAMU

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『デジモンゴーストゲーム』三話もしっかりと面白かったです。この調子でデジモンというコンテンツが盛り上がってくれると、ファンとしてはうれしい。
しかし、あちこちのコメントで見かけるけど……これ話の流れとか、わりと『鬼太郎』だよね?
次回予告を聞くたびに、最後『見えない世界の扉が開く』って、勝手に脳内再生されるんだけど!
まあ、進化要素とかで差別化はされてるから全然問題はありません。
やっぱデジモンには挿入歌がないとね!

さて、今回の話。『ディスガイア4』というわりと明るい原作を元にしながらも、結構しんみりとしたお話。
人の『死』というものを題材にしているだけに、最後もちょっぴりビターかな?
ですが人間にとっても、その他の物事においても終わりというのは避けられないもの。

これは『ゲームエンド』ではなく『ゲームセット』なんだと。
どこかで聞いたことのあるコメントを思い出しながら、書き進めていきました。

どうか、最後までお楽しみください。




魔界戦記ディスガイア4 死神エミーゼル 其の②

「——猫姉さん! 鬼太郎! 来てくれてありがとう!!」

 

 千葉にある沢田淑子の家の前。犬山まなは猫娘とゲゲゲの鬼太郎の姿を見るや、表情に笑みを浮かべた。

 

 今朝方、まなは早くから大伯母である淑子の家に彼女を見舞いに来ていた。淑子は九十代のお婆さんだ。ここ最近は特に調子が悪いとずっと体調を崩していた。

 まなはそんな淑子の心配をしてここ一週間、毎日のように『薬』を持参して彼女の元を訪れていた。

 特別な霊草を煎じたその薬を服用し続けることで、淑子は何とか体調を持ち直す。このまま快方に向かい以前のように元気になれると、まなは心から信じていた。

 

 しかし——

 

『——僕たちは今宵、あの老婆の魂を刈り取る』

 

 そんなまなの前に『死神』を名乗る二人組が姿を現したのだ。片方は見たことのない人間のような少年であったが、もう片方の死神はまなが境港で遭遇した死神だった。

 

 境港の隠れ里。

 

 去年の夏。まなはその隠れ里に迷い込んだ際、そこで二百年もの間ずっと閉じ込められていたという少年少女たちと出会った。短い間だが友好を深め、彼らと共に隠れ里を抜け出して一緒に生きようと約束を交わしたのだ。

 そのときは鬼太郎の活躍もあって何とか死神を退けて里から脱出できた。これで全て解決、新しい時代での新しい生活が子供たちに待っていた——筈であった。

 

 けれど——子供たちは死んだ。

 

 外の世界に出たことで里の中では止まっていたという二百年分の時間が一気に襲い掛かったというのだ。瞬きの間に風化していった彼らの亡骸を、まなは瞳に焼きつけていた。

 

 ——淑子伯母さんも……ああやって死んじゃうの?

 

 まなは淑子の死とあのときの光景を結びつける。実際に子供たちが死んだのは死神のせいではないのだが、そんな違いは些細なものだ。

 死んだら何もかもが終わってしまうという絶望に、まなは表情を曇らせていく。

 

 ——い、嫌だ! 死んじゃやだ!! 死なせたくない!!

 

 故に死神たちの魔の手から淑子を守ろうと、鬼太郎たちに救援を頼み——それに応じる形で彼らも駆けつけてくれたのだ。

 

 

 

「ええ、大丈夫……安心しなさい、まな」

 

 駆けつけて早々、猫娘はまなを優しく抱き止める。不安な表情、今にも崩れ落ちてしまいそうなまなを支えてあげようとする彼女の気遣いがそこに垣間見える。

 

「まな……死神が現れたというのは、確かなのか?」

 

 一方の鬼太郎は冷静な表情。死神が本当に現れたのかまずは確認を取る。

 

「う、うん。一人は知らない子だったけど……もう片方はわたしのこと覚えてるみたいだったし」

 

 まなは片っぽの死神が境港の時と同じ相手であることを話し、さらにもう一人の死神の見た目がただの子供のようでもあったことを説明する。

 

「ふ~む? 人間の子供のような死神じゃと? それはおかしいのう……」

 

 すると、その話に鬼太郎の頭の上で目玉おやじが首を傾げた。

 

「死神族は皆ほとんど同じ見た目をしている筈じゃ。人間のような外観を持った死神など……聞いたこともないが……」

 

 目玉おやじの知っている死神というやつは、その全てが骸骨のような顔つきにしゃくれた顎を持った種族となっている。外見が人間のような死神の存在など、少なくとも目玉おやじの知識にはない。

 

「まなちゃん、本当に相手はただの死神だったのかい?」

 

 そのため、相手が本当に『正式な死神』であったかどうかを再度尋ねていた。

 

「間違いないよ! 淑子伯母さんの魂を刈り取るって……確かに言ってたもん!」

 

 だが、まなは断言する。相手が間違いなく死神を名乗っていたこと。沢田淑子の魂を回収するとはっきり明言していたことを。

 

「淑子さんか……彼女は今どうしてる?」

 

 鬼太郎はそこで沢田淑子の様子を尋ねた。

 鬼太郎たちと淑子には直接の面識がない。まなからは彼女の人柄など、かなり気が強い女性であることくらいしか聞かされていない。しかしいくら気が強いとはいえ、死神に命を狙われていると知れば心穏やかにはいられないだろうと、その心労を不安視する。

 

「今は家にいるようにお願いしてる。事情は……まだ何も話してないんだ……」

 

 まなは淑子には死神の件を話していないらしい。あくまで家にいるよう、お願いするだけに留めているという。

 

 考えても見れば、淑子は妖怪については何も知らないのだ。彼女は『妖花』の一件の当事者ではあるものの、厳密に言えばあれも妖怪の仕業ではなかった。

 

 淑子にとって今回の件は初めて妖怪に遭遇する、襲われることになる事件とも言える。

 

「……そうか。淑子さんは何も知らんのか」

「あっ、砂かけババアさん! 砂かけババアさんも来てくれたんですね!?」

 

 ふと、そこへもう一人——砂かけババアが遅れて馳せ参じてくれたことで、まなの表情がさらに明るくなる。

 砂かけババアは今回の件で例の薬、淑子の体調を癒すための薬を処方してくれている大恩人だ。鬼太郎に猫娘。さらに目玉おやじや、砂かけババアまで加わってくれるのであれば戦力としては十分。

 きっと死神など境港のときのようにやっつけてくれると、まなの顔色に希望が宿る。

 

 ただ——

 

「まな。済まんが……淑子さんと話をさせてくれんか?」

「えっ? 淑子伯母さんと……話?」

 

 砂かけババア自身からは沸るような戦意を感じられず、彼女は沢田淑子との面会を希望していた。

 

 

「わしの方から……直接話しておきたいことがあるんじゃ……」

 

 

 まなにも内緒で——二人だけで大事な話があると。

 

 

 

×

 

 

 

「……そうかい。アンタがあの薬をね……色々と礼を言うべきなんだろうけど……ゴホッ!」

「そう無理をなさるな……ほれ、水じゃ」

「ああ、ありがとう……それにしても、妖怪か……」

 

 まなの紹介で家へと上がらせてもらった砂かけババアが沢田淑子と対面する。一見すると人間でも通じる砂かけババアだが、彼女は自分が『妖怪』であることを正直に話し、淑子もそれを平然と受け入れた。

 さすがに九十歳にもなればその程度のことでは動じない。淑子は妖怪の存在をすんなりと受け入れ、相手が例の薬の製作者であることを知り、頭を下げた。

 

「大したもんだよ。あの薬のおかげで……あたしはこうして生き長らえてる。そうじゃなかったら……もうとっくにくたばっててもおかしくはないんだろうに」

「…………」

 

 淑子自身、自分の体調が本来であれば芳しくないことを察していた。あの薬がなければ今頃、自分は布団から体を起こすこともできないほどの重態だろうと。もっとも、それでも彼女は体を起こすのが精一杯の状態であった。

 どんなに効き目のある薬を飲んでいても、日に日に弱っていく自分の体調というやつを淑子は実感していた。

 

「それで? わざわざ薬師であるアンタが出張ってきたってことは……」

 

 そういった体の不調もあってか、淑子は砂かけババアが直に顔を出してきた意味を何となく察する。

 きっとこれ以上は——薬を処方する必要もないのだろうと、心しながらも相手の宣告を待つ。

 

「それなんじゃが……どうにもややこしいことになっとるようなんじゃ……」

 

 しかし、事態は淑子が思っているよりも少し複雑であると。

 砂かけババアは淑子の身に忍び寄っている死の使い——死神についても話をしていく。

 

 

 

「はぁ……死神……まさか、そんなもんにまで命を狙われるとは……」

 

 まなが伏せていた死神の話を聞いても、淑子は至って冷静であった。信じていないわけではないが、やはり今更死神の一人や二人、お迎えに来たところで新鮮な驚きなど何もない。

 そんな動じない淑子に、砂かけババアはさらに詳細な内容を話していく。

 

「……本来、死神は生身の人間に手を出してはならん規則の筈じゃ。連中はあくまで魂の運び手、肉体から魂を切り離す行為も、規定の範囲内で行われておる」

 

 死の神と——名前が不気味な響きのせいで誤解されがちだが、死神は決して『悪い』妖怪ではない。

 

 彼らは地獄からの正式な遣いであり、死した人間の魂が正しく地獄へと辿り着けるよう導く存在だ。迷える想いや、上手く成仏できない魂をあるべき形に戻すことこそが、彼らの存在意義。

 中には手柄欲しさに生きている人間に手を出すという不正行為を働くものもいる。今回姿を現した死神たちが、そういった規則違反に該当するかは——正直、砂かけババアには分からない。

 

 今の淑子は曲がりなりにも生者だが、それも薬の効果があればこそ。砂かけババアは自身の親切心が起こしてしまった今回の事態に、少し心苦しそうだった。

 

「淑子さん。鬼太郎であれば、死神を追い払うこともできるじゃろう……」

 

 複雑な心境を抱えたまま、砂かけババアは淑子へと語りかけを続けていく。

 まず前提として、鬼太郎であれば死神たちを退けられると断言。彼のことを仲間として信じているからこそ、そこに迷いはない。

 

「そして……ここに、一週間分の薬がある」

 

 さらに彼女は懐から薬を取り出した。それだけあれば暫くの間、淑子の健康を維持できるだろうと。

 

 反面、それ以上は用意できない——用意したところで意味がないということだ。

 

「一週間か……ふっ、思ってたよりは時間があるんだね……けど——」

 

 砂かけババアの話に淑子は皮肉な笑みを浮かべる。本人としてはそれだけ長い時間持つとは思っていなかったのか。

 

 彼女は差し出されたその薬に冷たい眼差しを向け。

 

 

 そして——自らの運命を選択した。

 

 

 

×

 

 

 

 日中の時間は瞬く間に過ぎ去り——『夜』がやって来た。

 

 人々が寝静まる頃合い、人ならざるものたちが活発に活動する時間帯。田舎の空には星々が点々と輝いている。光害の多い都会では滅多にお目にかかれない眩いほどの夜空。

 

「……まな、少し眠ったらどうだ? ずっと起きてるのはキミだって辛いだろ?」

「う、ううん! 起きてる!」

 

 しかし、そんな星空に見惚れている場合ではないと。鬼太郎を始めとした妖怪たち、人間の犬山まなでさえも淑子の家の外で見張りを続けていた。常に周囲に目を光らせて敵の——死神たちの襲来に備える。

 

「絶対っ! 死神の思い通りになんか、させないんだから!!」

「まな……」

 

 特にまなは気合が入っていた。淑子伯母さんの魂を死神なんかに渡してなるものかと、その意気込みで自身の眠気を吹き飛ばしていく。その力の入れ込みようを猫娘などが心配する。

 一方で、淑子や砂かけババアは家の中で待機している。淑子は命を狙われているとはいえさすがに歳なので、ずっと起き続けていることなどできない。

 既に布団に入って休んでいる淑子。それを砂かけババアが付きっきりで護衛するという役割分担だ。

 

 

 

 時間が進んでいくごとにさらに闇が深まっていく。

 

「……っ!? き、鬼太郎!? あれを見るんじゃ!!」

 

 時刻が丁度、丑三つ時を差し掛かった頃だった。目玉おやじが空の異変を察知して何かを指差す。

 

「……!」

「なによ、あれ……月がっ!?」

 

 鬼太郎たちが顔を上げると——空には『赤い月』が浮かんでいた。

 

 満点に輝いていた星空に突如として出現した『赤い満月』が、周囲の景観を一瞬にして塗り替える。

 血のように真っ赤でありながら、どうか幻想的な赤い月。辺り一帯の原っぱからは虫たちの声が一斉に途絶え、その鳴き声と入れ替わるように響いてくる——子供たちの恐ろしくも悲しげな、歌声のようなメロディー。

 

「…………」

「…………」

 

 その歌声に不思議と聞き入ってしまう一同であったが——。

 

「——別れは、ちゃんと済ませたのか?」

「——!?」

 

 刹那、その赤い月を背後に——大鎌を担いだ少年が姿を現したことで、意識を一気に現実へと引き戻される。

 

「やっぱり来たか……ゲゲゲの鬼太郎」

 

 まなの言っていたフードを被った少年だ。淑子へと死を宣告した彼が、鬼太郎たちのすぐ眼前に立っていた。

 

「……お主、何者じゃ? その容姿……日本の死神族ではなかろう」

 

 開口一番、その少年に対して目玉おやじが質問を投げ掛けた。明らかに日本の死神族とは違う容姿に、相手が『本物』の死神ではない可能性を期待したのだ。相手が『偽物』の死神であれば、むざむざ淑子の魂を渡す道理もないと。

 だが少年はまったく動揺した様子もなく、自らの立場と正体を明かす。

 

「ボクは死神……西洋死神エミーゼルだ」

「っ! 西洋死神……じゃと?」

「ああ、留学中の身だが……死神としてやることは変わらない」

 

 西洋の死神・エミーゼル。余所者ではあるが、既に日本地獄の認可の元で彼は死神としての任に就いている。

 異国の地でも変わらぬ自らの役目を果たすために、彼はここに改めて宣言する。

 

「死するべき命運にあるその魂……刈り取らせてもらう!!」

 

 大鎌を高々と掲げながら、目の前の邪魔者への敵意を滾らせて。

 

 

「ゲゲゲの鬼太郎! お前が『俺様』の邪魔をするというのなら……力尽くで排除するだけだ!!」

「……! 霊毛ちゃんちゃんこ!」

 

 

 振るわれるエミーゼルの大鎌に、鬼太郎もちゃんちゃんこを剣のように細めて対抗する。

 二つの意思と武器がぶつかり合い、闇の中で激しく火花を散らせていく。

 

 

 

「——鬼太郎!! ……っ!?」

「——おっと、そうはさせねぇぜ!」

 

 戦いが始まった。猫娘も鬼太郎を掩護しようと、爪を伸ばしてエミーゼルに飛び掛かろうとする。だがそれを阻止しようと、もう一人の死神が彼女の行く手を遮る。

 

「っ……死神っ!」

「へへっ、久しぶりだな!」

 

 特徴的なしゃくれ顎を持った妖怪、日本の死神族だ。境港で鬼太郎たちと遭遇した個体——106号。

 

「あの坊ちゃんの邪魔をさせるわけにはいかねぇんでな! お前はここで大人しく切り刻まれてろ!!」

 

 106号も邪魔者を排除しようと大鎌を構える。大鎌を持ったまま、体を竜巻のように回転させて真空の刃で猫娘へと襲い掛かる。

 

「くっ! こいつ……!?」

 

 猫娘はその攻撃から逃れるために死神から距離を置いていくしかない。爪による近接戦闘が主な攻撃手段である彼女にとって、死神のこの戦法はかなり厄介なもの。攻撃するために近づけば問答無用で弾き飛ばされてしまうため、迂闊な接近は命取りなのだ。

 鬼太郎はこの竜巻攻撃を『霊毛ちゃんちゃんこで相手の体を拘束する』ことで封じていたが、猫娘にはそのような戦法を取ることができない。相手の猛攻が止むまで、距離を取り続けるしかないと慎重に間合いを測っていく。

 

「猫姉さん!?」

 

 猫娘の危機的状況を前に、戦いを見守るしかできないまなが叫んでいた。一応は戦闘が始まると同時に避難しているように言われていた彼女だが、全てを鬼太郎たちに任せて自分だけ安全地帯に逃げるほど無責任ではない。

 彼女は苦戦する猫娘を心配するあまり思わず駆け寄ろうと、106号の攻撃範囲に足を踏み入れかけようとしてしまう。すると——

 

「——プリニー隊!!」

 

 鬼太郎と戦いながら、その様子を視界に収めていたエミーゼルが何かに向かって号令を掛ける。その命令に——どこからともなくワラワラと小さい『何者』かが出現する。

 

「——プリニーッス!!」

「——了解ッス!!」

「——頑張るッス!!」

 

「えっ、な、なに!? なんなの!? ……ぺ、ペンギン!?」

 

 それは、一見するとペンギンのような物体だった。

 ペンギン型のぬいぐるみのような小さい生物。やる気のなさそうな無気力な魚の目。背中にはコウモリの翼が生えており、それをパタパタとはためかせながら彼らはまなへ殺到していく。

 

「その人間を近づかせるな!! 事が終わるまで、どっか適当なとこに連れて行け!!」

『アイアイサーッス!!』

 

 エミーゼルから『プリニー』と呼ばれたペンギンたちは彼の命令に従い、まなを胴上げのように担いでそのまま戦線を離脱。どこかへと連れ去ってしまう。

 

「わっしょい! わっしょい!」

「ちょっ、なにするの!? 下ろして! 下ろしてよ!?」

 

 ペンギンのような訳のわからないものに連行され、まなの顔には恐怖以上に困惑が強く浮かんでいた。

 

「まなっ!」

 

 まなとペンギンたちが遠ざかっていくその光景に、鬼太郎は咄嗟に助けに行こうと駆け出していく。

 

「安心しろよ……あの人間に危害を加えるつもりはない」

「!!」

 

 しかしエミーゼルは鬼太郎を呼び止め、挑発的な態度で大鎌をチラつかせてきた。背中を見せれば、その瞬間にも大鎌を振るってくることだろう。

 鬼太郎は無用意に隙を見せることができず、まなを助けに行くことが出来なかった。

 

「生きている人間の魂に手を出すのは死神としての原則に反するからな……仕事が終わるまで、あの人間には大人しくしてもらうだけだ」

 

 もっとも、正式な死神であるエミーゼルはまなの——生者である彼女の魂には興味がない。

 死神が決して生きている人間に手を出してはならない基本原則に基づき、彼女には危害を加えないとはっきり明言する。

 

「……生きていると言うなら、淑子さんも同じだ。彼女はまだ……生きている」

 

 それに鬼太郎が疑問を投げ掛けた。生きている人間に手を出せないのであれば、沢田淑子の魂を狙うのは腑に落ちない。

 彼女はまだ生きているのだから、エミーゼルたちの行いは完全な越権行為ではなかろうかと。

 

「生憎だが……あの人間はとっくに寿命を迎えている」

 

 だがエミーゼルはあっさりと、今回の件に関する問題点を指摘する。

 

「あの肉体は既に死に瀕している。それなのにその肉体を無理に維持させているのは……どこの誰だ?」

「そ、それは……」

 

 その指摘には鬼太郎も口籠る。それは彼ら自身、問題があるのではと話していたことだ。後ろめたさがある手前、その件に関しては鬼太郎も容易に反論することが出来ない。

 

「……エミーゼルとやらよ。お前さんの言っていることは間違っておらん」

「父さん!?」

 

 すると、そこで目玉おやじが口を挟む。

 

「確かにわしらのやっていることは、自然の摂理に反することなのかもしれん」

 

 命を引き延ばすという行為。それに関して目玉おやじは自分たちの非を認める。認めた上で——エミーゼルに何とかならないかと交渉を持ち掛けていた。

 

「だが、せめて時間をくれないか? あの子……まなちゃんや淑子さんが、己の心の整理を付け……自らの運命を受け入れられるように……」

 

 そのための準備として、砂かけババアが既に淑子と話をしている筈だ。彼女たちがどのような結論を出したかはまだ聞いていなかったが、少なくともこの場は退いてくれないかと。目玉おやじは死神たちに願い出ていた。

 

「時間なら……既に与えたぞ」

 

 しかし、目玉おやじの頼みにもエミーゼルは首を振る。

 

「別れを済ませるように言った筈だ……これ以上は、待てない!」

 

 一日待っただけでも、彼なりに譲渡した方なのだ。これ以上は死神として見過ごすことができないと。生真面目な彼は鬼太郎たちの申し出を一蹴する。

 

「話は終わりだ! ここからはボク……俺様も死神として本気でやらせてもらうからな!!」

 

 そう叫ぶなり、彼は懐から仮面を取り出してそれを装着する。

 不気味な骸骨の仮面。まさに死神と呼ぶのに相応しい形相の仮面で、己の私情に蓋をするように顔を覆い隠す。

 

「——これでも食らいな、ゲゲゲの鬼太郎!」

 

 その仮面を起点にエミーゼルの妖気が集まっていき、次の瞬間——仮面からレーザーが放たれ、鬼太郎を襲う。

 

「——くっ! 指鉄砲!!」

 

 鬼太郎も何とか指鉄砲で対抗。

 二つの妖気弾が空中で激突し合い、さらに戦いは激化していく。

 

 

 

 

 

「——ちょっと!! そこ通してよ!!」

「ダメッスよ~……ここで大人しくしてもらわないと、俺たちがエミーゼル坊ちゃんに叱られるんスから……」

 

 ペンギンの集団——プリニー隊に連行されたまなは戦線からも離れ、どこか見知らぬ空き地へと放り込まれた。まなは急いで元の場所に戻ろうと立ち上がるが、その行動をプリニーたちが阻止する。

 

「危害を加えないように念押しされてるんスから……あんまり暴れないで欲しいッス!」

 

 彼らが言うように、プリニーたちは決してまなに暴力を振るおうとはしなかった。あくまでも彼女の動きを阻害しようと、集団でとおせんぼするだけに留めている。

 

「いいからどいてよ! この——!!」

 

 しかし、淑子のことで焦っているまなはプリニーたちの言葉に聞く耳を持たない。何とか彼らの通行止めから逃れようと——プリニーの一匹を持ち上げ、そのまま放り投げてしまう。

 

「あっ!? 危ないッス! 離れるッス!!」

「えっ?」

 

 すると、プリニー隊は大慌てで投げられたプリニーから距離を置いていく。

 

 

 次の瞬間——投げられたプリニーは大爆発を起こし、周囲のものを凄まじい火力で吹っ飛ばした。

 

 

「え、ええぇ~!?」

 

 いきなり自爆したプリニーにまなは目を丸くする。投げられたプリニーは原型こそ留めているが、真っ黒焦げにプスプスと煙を上げてしまっている。

 

「投げないで下さいッス! あっしらは投げられると……爆発するンスから!!」

「なんで!?」

 

 このプリニーという生物、衝撃を加えると『爆発』する性質を秘めているらしい。何故そのような仕組みになっているのか全然分からないが、これでは迂闊に彼らをどかすこともできない。

 

 まなの周囲は——まさに生きた爆弾が動き回っているようなもの。

 

 その全てが誘爆を引き起こせば、まなもプリニーたちもただでは済まない。まなは下手な行動が出来ず、その場での足止めを余儀なくされる。

 

「——まな! 下がっておれ!!」

 

 だが、そんなまなの元へと颯爽と駆けてくるシルエットが宙を跳ぶ。

 プリニーたちの頭上を行く彼女——砂かけババアが、彼らに砂を振りかけたのだ。

 

「それっ! 痺れ砂じゃ!!」

「へっ!?」

「ぎゃあああああああああッス!」

「し、痺れ……痺ればびでぶ~……ッス」

 

 砂かけババア特製の痺れ砂をまともに浴び、プリニーたちは一匹残らず泡を吹いて倒れていく。直接的な戦闘力はそこまで高くはないのか、あっという間に無力化されていくペンギンもどきたち。

 

「無事か、まな!? 何やら凄まじい爆発音が轟いてきおったが……」

「砂かけババアさん! ありがとうございます!! ……って、あれ?」

 

 砂かけババアはプリニーの爆発音を耳にしたことでこの場へと駆けつけ、まなを助けてくれたようだ。彼女のおかげでプリニーたちから解放されたと礼を言うまな。だが——

 

「砂かけババアさん……どうしてここに? 淑子伯母さんと一緒にいる筈じゃ?」

 

 淑子に付き添っている筈の砂かけババアが、ここにいること自体にまなは首を傾げる。

 どうして彼女が自分などを助けているのだろう。本当なら淑子の側から、片時も離れてはいけない状況だというのに。

 

「……まなよ。心して聞いてくれ……」

 

 まなが抱いた疑問に、砂かけババアは重苦しくも口を開く。

 

 彼女は沢田淑子という人間が選んだ『選択』。それによってもたらされる『結果』について、慎重に言葉を選んでいく。

 

 

 

×

 

 

 

「はぁはぁ……大丈夫か、猫娘?」

「鬼太郎こそ……結構苦戦してるじゃない」

 

 混戦の最中、鬼太郎と猫娘は合流し、互いに背中を預け合いながら目の前の敵と向かい合う。

 前方にエミーゼル、後方には死神106号。丁度挟み撃ちにされる絵面、一見すると鬼太郎たちが追い詰められているようにも見える。

 

「くそっ! しぶとい……これじゃ埒があきませんぜ、坊ちゃん!」

「……そうだな」

 

 だが、死神たちの方も正直あまり余裕がない。鬼太郎は勿論だが、猫娘相手にも決定打を与えれられていない戦況。このままではキリがないと、エミーゼルも106号も焦りを口にする。

 

「仕方ない……こうなったら奥の手でっ!!」

 

 そろそろ決着を付けなければという気持ちから、エミーゼルは本腰を入れることを決意する。今までも本気ではあったが、ここから先はさらに全開で己の妖力を解放する。

 

 

 

『——宵闇に彷徨える魂の使者よ……』

 

 エミーゼルは呪文らしきものを唱えた。その詠唱に呼応し、彼の頭上には『魔法陣』のようなものが展開され——彼はその陣を潜っていく。

 瞬間、黒い妖気の塊が彼を包んでいき、それは徐々に肥大化していく。

 

 そして——肥大化する黒い満月のようなその塊を、空中に現れた『巨大の大鎌』が真っ二つに切り裂く。

 

 

『——移ろう世の理を示せ!!』

 

 

 割れた闇の中から、まるで卵から何かが産まれ落ちるかのように——『巨大な怪物』が出現する。

 

「っ!?」

「ぼ、坊ちゃん!? な、なななな……何すかその姿は!!」

 

 その怪物——再誕したエミーゼルの姿に敵味方問わずに驚愕する。

 それは死神エミーゼルが、自身の妖力で己の才覚を最大まで強化した姿だ。それは強大な亡霊、あるいは道化師のような格好でもあった。

 

『いくぞ……これが俺様の力だ!!』

 

 その姿から、彼は三つの魔法陣を同時に展開。それぞれの陣から『火炎』『吹雪』『突風』の力を行使し——それを鬼太郎たちへと放っていく。

 

 

 

 

 

「——猫娘っ! こっちへ!!」

「——へっ? きゃあ!?」

 

 エミーゼルの切り札を前に、鬼太郎は猫娘の体を引っ張り自分の元へと抱き寄せる。気になる異性からのいきなりのアプローチに頬を真っ赤に染める猫娘だが、当然ながらそんな浮ついた感情はすぐに吹き飛んでいく。

 鬼太郎が猫娘を抱き寄せたのは、敵の攻撃から彼女を守るためだ。すぐに密着した猫娘の体と自身の体を覆い隠す大きさへと霊毛ちゃんちゃんこを広げ、敵の怒涛の攻撃を防いでいく。

 

「くっ……熱い!! ……いや、冷たっ!?」

 

 しかし、霊毛ちゃんちゃんこ越しにも伝わってくる敵の『火炎』と『吹雪』という相反する属性の攻撃。急激な温度差に晒されては、妖怪である鬼太郎たちの肉体にもダメージが通ってしまう。

 

「うっ! この風っ……!?」

 

 さらにそこへ『突風』まで吹き荒んでいく。

 まるで自然災害を相手にしているかのような技を前に、鬼太郎たちはひたすら耐え忍ぶしかない。

 

『はぁあああああ!!』

「おおっ!? いい感じっスよ、坊ちゃん!! そのまま鬼太郎なんかやっつけちまってください!」

 

 さらにエミーゼルは技の威力を強めていき、ちゃっかり安全地帯まで下がっている106号が勝利を盛り上げるように喝采を上げる。

 

 これで鬼太郎たちも一巻の終わりだと、既に勝ちを確信する死神たち——。

 

 

 

「……鬼太郎よ、よく見てみよ。あの技……どうやら規則性があるようじゃぞ?」

「えっ?」

 

 だが勝負はまだついてなどいない。鬼太郎の髪の中に隠れながら、目玉おやじが敵の技を冷静に分析する。彼が見る限り、エミーゼルの技にはある種の『規則性』が存在していた。

 

 エミーゼルは三つの魔法陣を展開し、そこからそれぞれの属性攻撃を操っているが——それを同時に制御しているわけではなかった。

 

『火炎』の魔法陣が起動しているときは『吹雪』の魔法陣が停止している。

『吹雪』の魔法陣が起動しているときは『突風』の魔法陣が停止している。

『突風』の魔法陣が起動しているときは『火炎』の魔法陣が停止している。

 

 エミーゼルは上手い具合に調節して相反する属性を操っているように見せているが——魔法陣を起動するタイミングは一つずつだ。

 

 そしてその制御を——彼は巨大な大鎌を用いて行なっている。あの大鎌から妖気を送り込み、魔法陣を操作しているのだ。

 ならば、あの大鎌がエミーゼルの手から離れれば——この技は停止する。

 

「猫娘っ! タイミングを合わせてくれ!!」

「!! OK、任せて!!」

 

 鬼太郎は猫娘へと協力を仰ぎ、彼女も鬼太郎の意図を理解して身構える。霊毛ちゃんちゃんこの影に隠れながらタイミングを見計らい——

 

 

「——ここだ!!」

 

 

 そこだと思える瞬間——鬼太郎は霊毛ちゃんちゃんの影に隠れながら、指鉄砲による狙撃を実行。

 

『な、なんだと!? し、しまった!!』

 

 鬼太郎の狙い澄ました一撃はエミーゼルの大鎌に命中、彼の得物を遠くへと弾き飛ばした。その途端、制御を失った魔法陣が一斉に停止し、全ての攻撃が停止する。

 

「ニャアアアア!!」

 

 その機を逃さずに猫娘がエミーゼルへと飛び掛かる。今のエミーゼルは丸腰、猫娘が接近戦を仕掛ければ容易に制圧できる。

 

「さ、させるか!!」

 

 だがそうはさせまいと、106号が猫娘の攻撃に割って入る。エミーゼルの身に何かあれが彼が責任を問われるのでかなり必死である。その必死さから、何とか猫娘の攻撃を防いでいく。

 

「甘いわよ!!」

 

 しかし猫娘の攻撃すらも陽動に過ぎないと。さらにそこから——ゲゲゲの鬼太郎が突撃を敢行。

 

 

「——霊毛ちゃんちゃんこ!!」

 

 

 彼は腕に霊毛ちゃんちゃんこを巻き付け——そのまま思いっきりエミーゼルの腹部を殴り付けた。

 

『ぶげっ!?』

 

 異形と化していたエミーゼルの体がその一撃によって吹っ飛ばされる。

 

 彼の体が二回、三回と地面をバウンドし——その衝撃で変身も解けていくのであった。

 

 

 

 

 

「ぼ、坊ちゃん!! しっかりしてくだせぇ!?」

「う……お、お腹痛い……」

 

 戦いは終わった。今の一撃でエミーゼルはお腹を痛め、106号も大慌てで彼に駆け寄っていく。死神たちから戦う気勢が失われたことを感じ取り、鬼太郎が再度彼らを説得する。

 

「エミーゼル……といったか。この場は大人しく退いてくれないか? これ以上、ボクもキミと戦う理由はない」

 

 鬼太郎は死神たちを倒したいわけではない。彼らが諦めて今夜の仕事を取り止めると言うのであれば、これ以上危害を加える理由はない。

 

「ふ、ふざけんな!! それじゃ……あの婆さんの魂が手遅れになっちまうぞ!!」

 

 だがエミーゼルも退くことは出来なかった。彼は腹パンされたお腹を押さえながら、死神として淑子の魂を見逃せぬ理由を大声で叫ぶ。

 

「いいか!? 魂っていうのは無理に留めれば留めた分だけ、業が積み重なっていくんだ!! 肉体だけ生かすなんて真似いつまでやってみろ!! どんなに綺麗な魂も腐り落ちて……それだけで地獄送りが確定しちまう!!」

「な、なに……?」

 

 驚愕の事実に唖然となる鬼太郎たち。彼らは淑子の『死』の運命こそ否定する気はなかったが、死んだ後のことまでは考えていなかった。

 だが、エミーゼルは淑子の死後のことまでを案じ、魂を急いで収穫しようとしていたのだ。

 

 

 淑子の魂が、手遅れになる前に——。

 

 

「——そうか。そいつは……困ったね」

「——っ!!」

 

 そのときだった。戦いを終えた妖怪たちの元に、一人の人間が姿を現す。

 

「……沢田、淑子さん……どうしてここに?」

 

 その人間こそ、鬼太郎や死神たちが話題に上げていた老婆——沢田淑子その人である。

 彼女はたった一人で、死神のいるこんなところまで足を運んできた。

 

「……アンタがゲゲゲの鬼太郎かい? 砂かけババアさんから話は聞いたよ。色々と……面倒をかけたみたいだね」

 

 淑子はその場に顔を出してすぐ、まずは鬼太郎に礼を述べた。二人はここが初対面の場ではあるが、互いに何者かの説明は一切不要だ。

 猫娘のことも、目玉おやじのことも。淑子にとって彼らへの挨拶は重要なことではない。彼女は自分の味方と呼ぶべき鬼太郎たちに背中を向け、死神たちの方へと向き直った。

 

「アンタたちかい? あたしを迎えに来た……死神とやらは?」

「そ、そうだ。一応……そういうことになってる」

 

 淑子の態度があまりにも堂々としていたため、エミーゼルの方が及び腰になってしまう。鬼太郎にやられたダメージもあってか、はっきりとしない答えを口にしてしまう。

 するとそんなエミーゼルを、淑子はギロリと睨みつける。

 

「一応? あたしゃはっきりしない返事が一番嫌いなんだよ!! 『はい』か『いいえ』かでしっかり答えな!!」

 

 そして、何と死神に対して説教をかましたのだ。これにはエミーゼルもビクッと、姿勢を正しながら即答するしかなかった。

 

「——は、はい!! その通りです!!」

 

 その答えを聞いて——。

 

「そうかい。それなら——やっておくれ」

「…………へっ?」

 

 何気ない呟きであったために聞き逃してしまったが——確かに淑子は己の選択肢を口にしていた。

 

 既に出ていた、その答えを——

 

 

「——あたしの魂とやらを回収してくれと……そう言ってるんだよ」

 

 

 

×

 

 

 

「——っ!!」

「…………」

「……淑子さん……そうか、それが……貴方の選択か」

 

 淑子の決断を聞き届け、鬼太郎たちがそれぞれの反応を示す。皆一様に驚きこそあれど、そこまでの動揺はない。淑子がいずれそうなるであろう運命を、彼らも覚悟していたのだ。

 それが遅いか早いかの違いでしかない。少なくとも、妖怪たちはそのように捉えることができる。

 

「——ちょっ、ちょっと待ってよ!?」

 

 しかし、割り切ることのできないものもいる。彼女——犬山まなのように、淑子が死ぬこと自体を認められず、異議を唱えるものもいるのだ。

 

「まなっ! 無事だったのか!?」

「うむ、大丈夫じゃ……あのペンギン?たちも、とりあえず大人しくさせたんじゃが……」

 

 まなをプリニーから助けた砂かけババアも一緒にその場へと駆けつけていた。

 彼女たちは既に沢田淑子の決断を知っている。砂かけババアが淑子の決意を聞き届け、砂かけババアからもまなへそれを伝えたのだ。

 

 

 淑子が『薬』を受け取らなかった。延命を望まなかったという決断を——

 

 

 だが、まなは淑子の決断に納得が出来ず——こうして本人へと、直接その真意を問い質しに来ていた。

 

「淑子伯母さん、どうして!? 死んだら何もかも終わりなんだよ!? 死んじゃったら……もう、誰とも会えないんだよ!? なのに……何で!?」

 

 年若いまなにとって『死』は終わりと同義だ。死んでしまえば人間はそこで終わってしまう。もう誰とも話すことができず、残されたものには悲しみしかない。

 どうしてそんな『死』を容易く受け入れられてしまうのか。今のまなにはそれが全く理解できなかった。

 少々錯乱気味なまな、そんな彼女に淑子は穏やかな口調で語りかけていく。

 

「もういいんだよ、まな。私は……自分の人生に満足してる」

 

 

 

 沢田淑子は、ずっと独りっきりで生きてきた。

 誰かと一緒になることもなく、親戚とも距離を置き、他人をずっと寄せ付けず——ずっと孤独に過ごした九十年。

 

 けれど、彼女に後悔などといった感情はない。誰よりも彼女自身が、自分の人生に納得している。

 

「——あの人が……ずっと帰って来てくれてたってことが分かったから……もう、思い残すことなんてないんだ」

 

 あの人——かつて淑子が愛した恋人・総二郎という人のことだ。

 

 

 七十年も昔。淑子が愛を誓い——裏切られたと思い込んだ相手。彼との離別があまりにもショックであったために、彼女はそれからずっと、人というものを信じることが出来なくなってしまっていた。

 裏切られるくらいなら、あんな思いをするくらいなら誰も信じない方がいいと。ずっと心を閉ざしていた。

 

 だけど違ったのだ。

 総二郎は決して淑子を裏切ったわけではない。遠い戦地での望まぬ従軍を強いられ、異国の地で志半ばにして朽ちてしまっていたのだ。その事実を淑子に伝えることもできず、二人はすれ違ったまま死別してしまった。

 

 その事実を——淑子は七十年後の現代になって知った。

 彼の想いを乗せて届けられた『妖花』によって。その妖花がどこから来たのかを調査したまなによって。

 

 

「そう……アンタのおかげだよ、まな。アンタのおかげで……私はあの人の本当の気持ちを知ることが出来たんだ……ありがとう」

 

 まなが彼の気持ちが綴られた手紙を、淑子の元へと届けてくれたのだ。その想いを知れたからこそ、彼女には何の後悔もない。

 

 自分の人生が——意味のあるものだったと。今際の際にも実感できたのだ。

 

 

 

「……わたしのせい? わたしのせいで……淑子伯母さんは生きるのが嫌になっちゃったの?」

 

 しかしそんな淑子の言葉も、まなはマイナスに捉えてしまう。自分が余計なことをしてしまったから、淑子は生きる理由を失ってしまったのかと。

 

「違うよ、アンタのおかげだ。……まなにも、いつか分かる日が来るさね……自分の定めってやつが……」

「——っ、来ないよ!! そんな日は来ない!!」

 

 さらなる淑子の説得にも、まなは必死に叫んでいた。涙を堪え切れず、顔をくしゃくしゃにして泣き崩れる。

 

「どうして……何でみんな……それを定めだって受け入れちゃうの!? どうして……そんな風に笑っていられるの!?」

 

 境港で死んだ子供たちもそうだった。

 一之進という子も『これは定めなのだ……』と、苦しそうな顔をしながらも笑顔を浮かべていた。

 

 それが——まなには心底から理解できない。

 

「分からないよ……わたしには……分からないよ……」

「まな……」

 

 もはや嘆くしかないまなに猫娘が寄り添う。何一つ納得できていないが、今は見届けるしかないのだ。

 

 

 

「——時間を取らせたね。さあ、やっておくれ……」

 

 まなとの会話を済ませ、淑子は死神たちに声を掛けた。

 既に彼女は覚悟を終え、別れも済ませた。ここから先は死神である彼らの——エミーゼルの仕事である。

 

「……いいんだな、本当に?」

 

 念を押すように問い掛けるエミーゼル。それに対し、もはや言葉は不要と淑子は黙って頷く。

 

「よし……沢田淑子。お前の寿命は既に尽きている。死神としてお前の魂を刈り取らせてもらう」

 

 宣告を口にしながらエミーゼルは大鎌を取り出し、腕を振り上げ、そして——

 

 

「——死神エミーゼルの名のもとに……その魂と現世との繋がりを……絶つ!」

 

 

 大鎌が振り下ろされた瞬間、淑子の体から白い球が——魂が解き放たれる。

 

『——ああ……これでやっと……』

 

 魂は安堵のため息を吐きながら、死神エミーゼルの手元へと引き寄せられる。

 彼はその魂をガッチリと確保。残された肉体の方は——糸が切れた人形のようにゆっくりと倒れていく。

 

「おっと! これで……よかったんじゃな。淑子さん……」

 

 空っぽになった肉体を砂かけババアが丁寧に受け止める。

 既に物言わぬ亡骸だが、この肉体こそが沢田淑子が確かに生きていたという証。

 

 九十年もの時を最後まで過ごした、彼女の人生の結晶であるのだから。

 

 

 

 

 

「う、う……うううっ……!」

「まな……まなっ……!」

 

 淑子が死に、まなはさらに悲しみに暮れていく。苦しむ彼女を猫娘がさらに強く抱きしめ、少しでもその悲しみを和らげようと温もりを与えていく。

 静寂の中、まなの涙する声だけが響き渡っていくが——

 

「——おい、ゲゲゲの鬼太郎!」

「……」

 

 そんな中、空気を読まずに鬼太郎へと突っかかるものがいた。エミーゼルの仕事を後ろで見届けていた、死神106号である。

 

「テメェ……何で境港でのとき、俺の仕事の邪魔をしやがったんだ? あのガキども……結局最後にはくたばったて言うじゃねぇか? だったら俺が魂を回収しても……何も問題はなかっただろうに!」

 

 こんなときだというのに、彼は去年の夏の件を蒸し返す。

 あのときの境港の子供たちも、隠れ里を出てすぐに死亡した。彼らも寿命が既に過ぎ去っていた人間だったからだ。そういう意味では淑子と似たようなケースであり、彼らの魂を回収するのは死神として正当な業務だったと言えたかも知れない。

 

「……お前は、まなの魂も一緒に刈り取ろうとしただろ」

「あっ……いや、それは……」

 

 だが106号の言葉に鬼太郎は怒ったように即答する。彼は死ぬべきではない犬山まなの魂まで刈り取ろうとしたのだ。それは立派な規定違反であり、降格処分を受けても仕方がない問題行動である。

 

「それに……ボクだって最初から諦めていたわけじゃないさ……」

 

 さらに鬼太郎は自身の思いの丈をぶつける。彼自身も、最初から全てを諦めていたわけではない。

 

 もしかしたら、もしかしたらあの子供たちが外の世界で生きられたかもしれない、その可能性に賭けたのだ。だから、まだ生きている間は死神にも手出しをさせず、子供たちを守ったのである。

 

「……ケッ! でも結局はあいつらは死んじまった……お前の余計なお節介のせいで、こちとらいい迷惑だぜ!」

「ちょっと、アンタね!!」

 

 鬼太郎の思いに死神106号は不貞腐れたような暴言を吐き捨て、それに猫娘が苛立ちを募らせる。まなが泣いているというのにお構いなしに、この死神は自分の都合ばかり口にする。

 彼の態度には他の妖怪たちも顔を顰めていく。

 

「106号……その辺にしとけ」

 

 それは同じ死神であるエミーゼルもだった。

 彼は106号の言葉に不快そうに顔を歪め、その態度を窘めていく。

 

「ハイ! 坊ちゃんが仰るのであれば!!」

 

 エミーゼルの言葉には106号も素直に頭を下げた。

 先ほどの鬼太郎との戦闘で意外にもエミーゼルの実力が高かったことが分かり、かなり下手になって彼へと擦り寄っていく。宮仕えぶりが、随分と板についてきたようである。

 

「地獄に帰るぞ……もたもたするなよ」

「は、ハイ! 畏まりました!!」

 

 そのまま、『地獄へ戻る』というエミーゼルの言葉にも文句ひとつ言うことなく従い、106号は彼の後ろを黙ってついて行く。

 

 

 

「…………」

「う、うう……」

 

 死神としての能力を駆使し、現世から地獄へと移動していく最中。一瞬だが、エミーゼルは泣き崩れる犬山まなへと視線を送った。

 しかしそれも一瞬だ。それ以上は迷うこともなく、死神たちはあっさりとその場から消え去って行く。

 

 まるで幻のように、まるで痕跡を残すことなく。

 ただ『沢田淑子』の人間の死という、結果のみを残して——。

 

 

 

 

 

 気がつけば夜も明け、憎らしいほど眩い朝日がその場に残っていた者たちを照らしていた。

 

 

 

×

 

 

 

 沢田淑子の『死』から——数日後。

 

 彼女の死亡が人間社会的にも認められ、正式な形で葬儀が行われることになった。葬式は生者が死者にお別れを告げるための大切な儀式。故人を偲ぶ人がどれだけいるかで、その人の人生が垣間見えるともいう。

  

 だが、沢田淑子の葬儀の参列者は——驚くほど少なかった。

 

 淑子は元々から人を寄せ付けない生き方をしていた。それでも昔の仕事仲間など古い知人はそれなりにいたのだが、そのほとんどが先立って逝去しており、生きている者たちも高齢で中々重い腰を上げることができない。

 また、実家である『沢田家』とはかなり昔から縁が切れており、そちら側の親族はほとんど顔を見せなかった。親族として葬儀の指揮を執り行ったのは——犬山純子だ。

 彼女は悲しみに暮れる間もなく、葬儀の手配などを粛々と指揮していく。

 

 そうして、お通夜や告別式を滞りなく終え——沢田淑子の遺体は火葬場へと送られる。

 

 

 

「ねぇ……お母さん」

「なに、まな……?」

 

 火葬場の煙突から上がる黒い煙を、喪服を纏ったまなと純子が見つめていた。

 

「どうして……淑子さんは……自分の死を、あんなにも簡単に受け入れちゃったのかな……」

 

 まなは純子に沢田淑子という人間の最後を全て話していた。彼女が薬のおかげで何とか命を保っていたこと。死神が彼女の魂を回収したこと。

 

 淑子が——自らの死を、穏やかな感情で受け入れたこと。

 

 全てを母である純子に語り、自分には分からない疑問を彼女へと投げ掛ける。

 

「……さあ、どうしてかしらね……」

 

 純子にも明確なことは何も分からない。淑子の心の内は結局のところ、彼女自身にしか理解できないのだ。

 だが理解できないながらも、純子は淑子の『死』そのものは受け入れているようだった。悲しそうな顔こそしてはいるものの、葬儀の最中も彼女は涙一つ見せなかった。

 若い頃から淑子には世話になっていただろうに、まな以上に彼女の死に思うことがあるだろうに。それを感情として表に出さないでいる。

 それがまなをひどく不安にしてしまい、思わず彼女は口走ってしまう。

 

「……お母さんは……悲しくないの?」

 

 それは、口にするにはあまりにも愚問な問い掛けだ。

 それでもまなの迂闊な問いに、純子は優しく諭すように答えてくれる。

 

「勿論悲しいわ……けど、覚悟はしてたからね……」

 

 そう、純子は既に覚悟を決めていた。淑子の体調が悪いという報せを受けていたときから、こんな日が来るのではないかと。

 いつでもそのときが来てもいいようにと、心を強く保っていたのだ。

 

 リスクやショックに対し、あらかじめ身構えていれば冷静に対処できる。

 それが——大人というものなのかもしれない。

 

「そんな……そんなの!!」

 

 しかし、覚悟などまるで定まっていなかった子供のまなにはそれが出来ない。この後に及んでも淑子の死を受け止め切れず、またも涙が溢れ出してくる。

 

「いいのよ、まな……泣けるうちは泣いておきなさい……」

 

 何度も何度も泣き続けるまなを、純子が優しく抱きしめる。

 母親として娘の悲しみを癒そうと、あるいは——自分自身の悲しみを癒してもらうために。

 

 同じ苦しみを抱えた母娘が、互いに互いの温もりで慰め合っていく。

 

 

 

 

 

「…………」

 

 涙が枯れ果てるまで泣き続けたまなは、一人外ベンチに腰掛けて休んでいた。

 

 純子や父である裕一が、今頃は火葬を終えた淑子の骨壷を受け取り、葬儀に参列してくれた数少ない人々にお礼の挨拶をしているだろう。まなもそこに同席すべきなのだろうが、生憎とそういう気分にはなれない。

 立ち直るにはもう少し時間が必要かもしれない。するとそんな彼女の元に、一人の少年がやって来る。

 

「……人間、お前大丈夫か? なんか、目の下にすっごい隈が出来てるけど……」

「あ、あなた……死神……!」

 

 フードを被った西洋死神・エミーゼル。淑子の魂を刈り取った張本人が、またもまなの前に姿を現したのだ。

 

「何しに来たの!? また……誰かの、命を奪いにっ!?」

 

 これにまなが不安と怒りを込めて声を荒げる。今の彼女にとってまさに死神は許せない敵。大切な人の魂を容赦なく奪っていく悪い妖怪である。

 

「な、なんでそうなるんだよ! い、言っとくけど……ボクら死神は、むやみやたらと人間を殺しまわっているわけじゃないんだからな!」

「…………」

 

 まなの敵意にエミーゼルはムキになって反論し、自分たちが決して無差別に人を襲っているわけではないと主張する。実際、彼は死神としての仕事を果たしただけだ。

 だが、彼の正当な言葉にもまなはジト目を送る。その視線に居心地悪そうにそっぽを向くエミーゼルだが——ふと、独り言のようにその呟きを洩らしていた。

 

「……あの淑子って婆さんだけどな……第一審で無罪判決が出たぞ」

「えっ?」

 

 エミーゼルが語り出したのは——淑子が死後どうなったかということ。

 生者であるまなでは知りようもない、地獄での裁判の結果を、エミーゼルはまなに話していた。

 

「あの婆さん……このご時世では珍しいくらい、清い魂の持ち主だったらしくてな……最初の裁判で天国行きが許されたよ」

 

 日本地獄において、死者は閻魔大王率いる十王の裁判によって生前の罪が裁かれる。その判決によってどのような地獄に落とされ、どれほどの刑罰を受けるかが決められるわけだ。

 

 だが、沢田淑子はその裁判で早々に——『お咎めなし』という判決が下された。

 

 これは厳しくも、清く正しく生き続けて来た彼女自身の功績だ。それにより、淑子は死後の快適な生活、天国への移住が認められることとなった。しかし——

 

「けどあの婆さんは……天国で暮らすより、転生する道を選んだ……まったく、物好きなことだ」

「て、転生……」

 

 輪廻転生——新しい魂に生まれ変わり、全く違う存在としての生を一から始めるということだ。

 転生先は完全にランダムであり、どのような人生を歩むことになるかも分からない。ある意味では苦行とも言える選択肢だが、淑子は迷うことなくその道を選んだという。

 

「……今頃は、この国のどこかで生を受けていることだろうさ……」

「……この国の……どこかで……」

 

 空を見上げながら語るエミーゼルにつられるよう、まなも空を見上げた。

 

 きっとこの空の下、淑子の魂を引き継ぐ『誰か』が祝福と共に産声を上げているかもしれない。その誰かと、もしかしたらどこかで出会えるかもしれない。

 

 そう思うと、なんだか少しだけ心が軽くなったような気になる。

 

「……あなたは……それをわざわざ教えに来てくれたの?」

 

 まなは、キョトンと目を丸くしてエミーゼルを見つめた。彼女は死神の彼がわざわざ自分のところまで来て、淑子のことを教えてくれたことに驚いている。

 何故、どうしてそんなお節介とも呼べる行動をしてくれているのかと。

 

「べ、別に……死神として当然のことをしたまでだからな!」

 

 まなの疑問にエミーゼルは素っ気なさそうに、これも死神の義務だと答える。だが——

 

「——何言ってんすか、坊ちゃん。普通の死神はそんな面倒なことしないっすよ!」

 

 それが死神の業務外の行動だと言うことは、しれっと現れた死神106号の態度からも察せられる。彼はやれやれと肩を竦め、エミーゼルのお節介な行動に呆れたため息を吐く。

 

「それなのに坊ちゃんてば……あのババアの裁判を優先的にやってもらうよう、お父上の権力まで使って閻魔大王に進言して……」

「そ、それは……!?」

「だいたい、坊ちゃんは甘過ぎっすよ! あのババアの魂だって、あの夜にとっとと刈っちまえばよかったんだ。なのに……わざわざ一日待ってやるんだもんな~……ほんと、死神としてどうかと思いますぜ、そういうのは……」

「ば、バカ! 余計なこと言うな!!」

 

 さらに106号は余計な愚痴を溢す。それを慌てて黙らせようとするエミーゼルだったが、少しばかり遅かった。

 

「えっ……それって……どういう……あっ!?」

 

 死神たちのその会話を聞き、ふとまなは思い出す。初対面のとき、エミーゼルに言われたあの言葉を——。

 

 

『せいぜい今日のうちに、別れを済ませておけ——』

 

 

 もしかしたら、あれはエミーゼルなりの気遣いだったのかもしれない。

 その気になればいつでも淑子の魂を回収できたのに、わざわざお別れの時間を設けてくれたのだ。

 

 死の神と物騒な名前の響きや、106号の素行のせいで死神という妖怪を誤解していたが、彼は——この少年死神には人並みの情があるのかもしれない。

 それが果たして死神として正しいのかどうかは分からないが、少なくともまなにはありがたいものに思えた。

 

「……ええっと……エミーゼルくんだっけ? ありがとね。淑子伯母さんのこと……色々と気に掛けてくれて……」

 

 その気持ちから、まなは思わずエミーゼルへとお礼の言葉を述べていた。

 未だに複雑な気持ちではあるものの、それでもこの少年のおかげで——きっと淑子の魂は救われたのだと、そう思うことが出来たから。

 

 そんな、まなのお礼の言葉に——

 

 

「っ!! べ、別に……人間のお前に……礼なんて言われても、嬉しくもなんともないからな!!」

 

 

 エミーゼルは年相応の少年らしく。恥ずかしそうに顔を真っ赤に染め、そっぽを向く。そしてそのまま、怒ったようにその場から立ち去ってしまう。

 

「ああ! 待って下さいよ、坊ちゃん! エミーゼル坊ちゃん!?」

 

 その後を106号が慌てて追いかけていく。

 こうして、死神たちはまなの元から風のように立ち去っていったのである。

 

 次の獲物、いや……。

 

 

 

 未練や妄執に縛られているかもしれない、迷える魂を救い上げに。

 死するべき運命にある魂を回収するため、今日も彼らは奔走する。

 

 

 

 それが死の神として、自分たちが為すべき使命なのだと信じて——。

 

 

 




人物紹介

 死神王ハゴス
  前回紹介し忘れてた、エミーゼルのパパさん。
  本人の登場はありませんでしたが、話の中で名前だけは出たので一応紹介。
  原作では魔界大統領という地位でしたが、今作では西洋地獄の重鎮の一人。
  息子の写真を常に懐に忍ばせているほどには親馬鹿。 
  変身を二回ほど残してたらしいが……原作では披露されず。

 プリニー
  ディスガイアシリーズでお馴染みのマスコットキャラ。
  中に罪人の魂が入れられた、ペンギン型の謎生物。
  投げると爆発するため、取り扱いにはご用心。
  罪人として一日二十時間労働を強いられ、日給はイワシが一匹。
  ……はて? これでどうやって転生のお金を貯めるというのだろうか?

必殺技に関して
 今回の戦闘描写においてエミーゼルが使った技の数々。
 原作ゲームの固有技がモデルになっていますので、一応は紹介。

 グリムスペクトル
  謎の仮面を装着してレーザーを放つ。
  おそらく元ネタは『BLEACH』の敵キャラ、破面たちが使っていた虚閃(セロ)。
  これ以外にも、ディスガイアは何かとパロネタ技が多いのが特徴。

 デルタオブデス  
  巨大なピエロのような怪物に変身。炎、氷、風の属性魔法で攻撃する必殺技。
  その攻撃範囲の広さから色々とお世話になりました。
  4のメインキャラは何かと変身したり、何かを呼び出したりします。


次回予告

「淑子さんが亡くなってからというもの、何かと元気がないまな。
 彼女を励まそうと、まなの友達がささやかながらもパーティーを計画中。
 父さん……彼女はいい友達を持ちましたね。
 けれど、そのパーティーの最中に謎の少女たちが……
 いったい、彼女たちは何者なのか!?

 次回——ゲゲゲの鬼太郎 『暴走姉妹 フーカ&デスコ』 見えない世界の扉が開く」

 今回は終始真面目な話でしたが、安心してください。
 次回はギャグ全開、シリアスをコミカルに消し飛ばす彼女たちの出番です。
 
 アプリポワゼ!! 颯爽登場、プリニカイザーXX!!
 ……果たして日本は沈没せずに耐えられるのか? 乞うご期待!


  
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