「………ん」
===やあ、お目覚めかい?
「…?」
===その様子だとボクの声が聞こえるようだね。
「…」
(あれ…?わたしは…)
===フフフ、まだ意識が曖昧かい?無理もない、今キミの視界は真っ暗だからね。目覚ましの明かりを点けてあげよう。
「!…ここどこ?」
===殺風景な空間で申し訳ない。ここはテントの中さ。
「テント…?」
===そうだよ。キョロキョロ見回しても何もないでしょ?あるのはキミが今見てる前方奥のカーテンくらいだね。左右後ろは見ての通りただの壁だから。
「…」
===気になるかい?カーテンの隙間から中を覗いてごらん。
「…!?」
===驚いた?その先は舞台なんだ。パフォーマーたちによるショーがここで繰り広げられているのさ。お客さんもどんどん増えているんだよ。
「舞台…!」
===さしずめここは舞台裏ってところかな。備品も何も無い灰色の箱だけどね。
「わあ…!」
===フフフ、キミはこういうの好きなんだね?
「うん。サーカス、好き…」
===それは嬉しいね。でもキミは今お客さんじゃないから、そろそろ閉めようか。本題にも入りたいし。
「あ…」
(閉まっちゃった…)
===では改めまして。ようこそ、手品師のテントへ。キミのご来場を歓迎するよ。
「…夢?」
===フフフ、今更だね。夢だと思うなら夢なんじゃないかな。
「…そう思うことにする」
(なんか、現実感が無いし…)
===そうだね、目覚めるまではキミもこの世界の住人だ。
「あなたは、誰…?どこにいるの…?」
===ボクは案内人、ここのガイドさ。ワケあって姿は闇の中なんだ。でもボクからはキミの姿がちゃんと映ってるからね、安心していいよ。
「そうなんだ…」
===キミの名前が知りたいな。
「わたしは、真目(しんめ)譜理子(ふりこ)」
===譜理子ちゃんか。素晴らしい名前だね。フフフ、これは運命かもしれないね。
「運命…?」
===こちらの話さ。さて、譜理子ちゃん。今からルール説明をするよ。1度しか言わないからよく聞いてね。
「えっ…?」
===キミは今、キミの居た世界とは別の世界、仮にサーカス世界としよう。その世界に居るんだ。
「サーカス世界…?」
===ここから脱出する方法はひとつ。手品師を倒すこと。
「手品師…?」
===以上、ルール説明終わり。質問があるなら受け付けよう。
「ちょ、何が何だか…手品師って誰?倒すってどうやって?サーカス世界って何…?」
===質問が多いね。時には自分の力で答えを探すことも大事だよ?譜理子ちゃん。
(質問に受け付けるだけで答えないじゃん…)
「…わかった、探してみる」
===フフフ、素直な子は好きだよ。ほら、そんな譜理子ちゃんの元に早速手がかりが降ってきた。
「!…これは」
===その床にある物、譜理子ちゃんは知っているかい?
「うん…デュエルディスクだよね」
===その通り。装着してみる?
「してみる…えっと、こうかな?」
===サイズはピッタリだね。似合っているよ。
(でも何でデュエルディスク?…あれ?これってカード?)
===デュエルディスクの丸まった部分にカードが張り付いてるね。十字を描くように前後左右、裏向きで4枚。
「うん…」
(模様かと思った…)
===剥がしてみる?ペリペリって。
「剥がれるかな…あ」
===何のカードかな?
「これって…」
===真ん中に赤いクローバーのような模様が描かれてるね、三つ葉の。それ以外は白い背景だ。
「うん…何なんだろう?」
(どこかで見たことあるような…)
===気を付けて。何かが起こるかも。
「えっ…?」
「じゃーん!オレ参上!」
(!?…な、何が起こったの…!?)
===これはびっくりだね。カードが光ったと思った途端、人に化けたよ。
「お?オマエが対戦相手だな?よし!じゃあ早速デュエルだ!」
「ちょ、ちょっと待って…!あなたは誰…?それに今のは…」
「まあまあ細けーこたぁいいじゃねーか!ほら、ディスクを構えろよ」
「いやあの構える以前にデッキが…え?」
===セットされてるね。さっきまでは影も形も無かったけど。
(いつの間に…何で…?)
===デュエルの意思を示したいなら相手に向かって構えよう。
(もう、わかんないことだらけ…!とりあえず…)
「…こう?」
===そう。あ、キミは後攻みたいだね。
「よっしゃ!久々のデュエル、腕が鳴るぜ!」
(テンション高い…)
“DUELSTART”
===ほら、始まるよ。キミも5枚ドローしよう。
「あ、うん…」
(!…えっ、何このカード…?)
「先攻はオレだ!飛ばして行くぜ!」
「オレは《イグナイト・デリンジャー》と《イグナイト・ドラグノフ》をPゾーンに発動!」
《イグナイト・デリンジャー》
【Pスケール:青2/赤2】
(1):もう片方の自分のPゾーンに「イグナイト」カードが存在する場合に発動できる。
自分のPゾーンのカードを全て破壊し、
自分のデッキ・墓地から戦士族・炎属性モンスター1体を選んで手札に加える。
《イグナイト・ドラグノフ》
【Pスケール:青7/赤7】
(1):もう片方の自分のPゾーンに「イグナイト」カードが存在する場合に発動できる。
自分のPゾーンのカードを全て破壊し、
自分のデッキ・墓地から戦士族・炎属性モンスター1体を選んで手札に加える。
「!?カードの絵が…!」
===演出としては申し分ないでしょ?攻撃や召喚、効果発動の時とかもそれぞれモーションがあるんだよ。
(すごい…!アニメみたい…さすが夢)
「で、今発動した《イグナイト・デリンジャー》のP効果でPゾーンのカードを全て破壊し、《イグナイト・キャリバー》を手札に加える!」
「さらにオレは《イグナイト・マグナム》と《イグナイト・キャリバー》をPゾーンに発動!」
《イグナイト・マグナム》
【Pスケール:青7/赤7】
(1):もう片方の自分のPゾーンに「イグナイト」カードが存在する場合に発動できる。
自分のPゾーンのカードを全て破壊し、
自分のデッキ・墓地から戦士族・炎属性モンスター1体を選んで手札に加える。
《イグナイト・キャリバー》
【Pスケール:青2/赤2】
(1):もう片方の自分のPゾーンに「イグナイト」カードが存在する場合に発動できる。
自分のPゾーンのカードを全て破壊し、
自分のデッキ・墓地から戦士族・炎属性モンスター1体を選んで手札に加える。
「スケールはそれぞれ2と7!これでレベル3から6のモンスターがペンデュラム召喚可能だ!さあ行くぜ!」
「ペンデュラム召喚!!!」
「来い!《イグナイト・デリンジャー》!《イグナイト・ドラグノフ》!」
《イグナイト・デリンジャー》攻撃表示
ペンデュラム・通常モンスター
星5/炎属性/戦士族/攻2400/守1200
《イグナイト・ドラグノフ》攻撃表示
ペンデュラム・通常モンスター
星4/炎属性/戦士族/攻1700/守1300
===元気が良いね、相手の彼。
「うん…」
(ちょっとうるさい…)
===キミもあんな風に戦ってみようか。
「やだ。わたしには無理…」
(そういうキャラじゃないし…)
「先攻1ターン目は攻撃できねえ。オレはこれでターンエンドだ」
EX0 墓地0 除外0
相手 LP8000 手札2
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ア 空 イ
◇ ウ ◇ エ ◇
ア=《イグナイト・キャリバー》スケール2
イ=《イグナイト・マグナム》スケール7
ウ=《イグナイト・デリンジャー》攻撃表示
エ=《イグナイト・ドラグノフ》攻撃表示
TURN1→2 相手→譜理子
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
◇ 空 ◇
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
譜理子 LP8000 手札5
EX0 墓地0 除外0
===さあ、キミのターンだよ。
「ドロー…」
「…」
===おや?動かないのかい?
「だってこんなカード知らない…わかんない」
===そう言いつつもテキストにはしっかり目を通すんだね。前のターンからもずっと。
「知らないから知りたいし…やるからには勝ちたい」
===キミのそういうところ、好きだよ。
「おーい!いつまで考えてんだー!?」
===あら、待たせちゃってるね。一応言っておくと制限時間があるから気を付けてね。
「ごめんなさい、今動きます。スタンバイ、メイン」
「《シンメトリアル=W(ホイール)・ローラー》をPゾーンに発動」
《シンメトリアル=W(ホイール)・ローラー》
【Pスケール:青5/赤5】
(1):
「えっと、続けて《シンメトリアル=O(オブジェクト)・メイカー》をPゾーンに発動」
《シンメトリアル=O(オブジェクト)・メイカー》
【Pスケール:青3/赤3】
(1):
「スケールは3と5か。オマエもペンデュラム召喚、来るか!?」
(なんかちょっとわくわくされてる…?)
「…その前にO(オブジェクト)・メイカーのP効果発動。1ターンに1度、このカードを発動したターンの自分メインフェイズに、もう片方の自分のPゾーンに「シンメトリアル」カードが存在する場合に発動できる」
「《シンメトリアル=Oトークン》(サイキック族・光・星4・攻1200/守1200)1体を特殊召喚する」
《シンメトリアル=Oトークン》攻撃表示
星4/光属性/サイキック族/攻1200/守1200
「そしてW(ホイール)・ローラーのP効果発動。1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンに「シンメトリアル」カードが存在する場合に発動できる」
「自分の「シンメトリアル」モンスター1体と相手の表側表示モンスター1体を選択し、選択したモンスターのコントロールを入れ替える」
「何っ!?」
「わたしが選択するのはOトークンと《イグナイト・デリンジャー》」
「クソっ!デリンジャーが!」
(わっ!カードがワープした…!?どういう仕組みなんだろう…)
===いい動きだね。キミは飲み込みが早いみたいだ。
「あなたは知ってるの…?」
===フフフ、例え知ってたとしても展開は変わらないよ。ボクは案内人だからね。基本的には見物するのみさ。
「そう…」
(デュエルには中立ってことかな…?)
===キミがキミらしく戦うこと、ボクもそれを望んでるよ。
「うん…じゃあ」
「ペンデュラム召喚…!」
「《シンメトリアル=T(テーブル)・キーパー》…!」
《シンメトリアル=T(テーブル)・キーパー》攻撃表示
ペンデュラム・効果モンスター
星4/光属性/獣戦士族/攻1600/守1600
【モンスター効果】
(1):
===今の感情こもってたね、少し。
「…気のせい」
「おお!ペンデュラム召喚したか!さあどう来る!?」
(あの人のテンションに若干つられた感が…まあ、夢だしいいか)
「さらにわたしはT(テーブル)・キーパーをリリースして」
「《シンメトリアル=X(ホリゾンタル)・ライナー》をアドバンス召喚」
《シンメトリアル=X(ホリゾンタル)・ライナー》
ペンデュラム・効果モンスター
星6/光属性/幻竜族/攻 0/守 0
【モンスター効果】
このカード名の(2)のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):
(2):
(あ、T(テーブル)・キーパーが端っこに…反対側のそのスペースはEXデッキだったんだ。ってことは元々EXは0、メインだけのデッキか…)
「攻撃力0のモンスターをアドバンス召喚だあ?」
「X(ホリゾンタル)・ライナーのモンスター効果発動。1ターンに1度、両方の自分のPゾーンにカードが存在する場合に発動できる」
「自分のPゾーンのカード1枚を破壊し、デッキから「シンメトリアル=Y(ヴァーティカル)・ライナー」1体を自分のPゾーンに置く。破壊するのはO(オブジェクト)・メイカー」
《シンメトリアル=Y(ヴァーティカル)・ライナー》
【Pスケール:青1/赤1】
このカード名の(2)のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):
(2):
(わ…!デッキから自動でPゾーンに飛び出してきた…!それにシャッフルも自動…すごい、便利)
「Pゾーンの張り替えか!だがオマエはこのターンもうペンデュラム召喚はできねえぞ!」
「わかってる。Y(ヴァーティカル)・ライナーのP効果。もう片方の自分のPゾーンに「シンメトリアル」カードが存在する限り、相手モンスターの攻撃力と守備力はフィールドの「シンメトリアル」カードの枚数×200ダウンする」
「げっ…!?」
「フィールドの「シンメトリアル」カードはW(ホイール)・ローラー、Y(ヴァーティカル)・ライナー、X(ホリゾンタル)・ライナー、そしてOトークンの4枚」
「よって攻撃力と守備力は800ダウン」
《イグナイト・ドラグノフ》攻撃力1700→900 守備力1300→500
《シンメトリアル=Oトークン》攻撃力1200→400 守備力1200→400
「バトル、デリンジャーでOトークンに攻撃」
「ぐっ!こんくらいのダメージ何ともねえ!」
相手LP8000-2000=6000
《イグナイト・ドラグノフ》攻撃力900→1100 守備力500→700
(わあ、戦闘もアニメみたい…!迫力たっぷり…)
「メイン2、カードを1枚セット」
「ターンエンド」
EX0 墓地0 除外0
相手 LP6000 手札2
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ア 空 イ
◇ ◇ ◇ エ ◇
ア=《イグナイト・キャリバー》スケール2
イ=《イグナイト・マグナム》スケール7
エ=《イグナイト・ドラグノフ》攻撃表示
TURN2→3 譜理子→相手
あ=《シンメトリアル=X(ホリゾンタル)・ライナー》攻撃表示
い=《イグナイト・デリンジャー》攻撃表示
う=《シンメトリアル=W(ホイール)・ローラー》スケール5
え=《シンメトリアル=Y(ヴァーティカル)・ライナー》スケール1
◇ あ い ◇ ◇
う 空 え
◇ ◇ 裏 ◇ ◇
譜理子 LP8000 手札1
EX2 墓地0 除外0