真目譜理子とサーカス世界   作:tres

1 / 45
1.「Welcome to」

「………ん」

 

===やあ、お目覚めかい?

 

「…?」

 

===その様子だとボクの声が聞こえるようだね。

 

「…」

 

(あれ…?わたしは…)

 

===フフフ、まだ意識が曖昧かい?無理もない、今キミの視界は真っ暗だからね。目覚ましの明かりを点けてあげよう。

 

「!…ここどこ?」

 

===殺風景な空間で申し訳ない。ここはテントの中さ。

 

「テント…?」

 

===そうだよ。キョロキョロ見回しても何もないでしょ?あるのはキミが今見てる前方奥のカーテンくらいだね。左右後ろは見ての通りただの壁だから。

 

「…」

 

===気になるかい?カーテンの隙間から中を覗いてごらん。

 

「…!?」

 

===驚いた?その先は舞台なんだ。パフォーマーたちによるショーがここで繰り広げられているのさ。お客さんもどんどん増えているんだよ。

 

「舞台…!」

 

===さしずめここは舞台裏ってところかな。備品も何も無い灰色の箱だけどね。

 

「わあ…!」

 

===フフフ、キミはこういうの好きなんだね?

 

「うん。サーカス、好き…」

 

===それは嬉しいね。でもキミは今お客さんじゃないから、そろそろ閉めようか。本題にも入りたいし。

 

「あ…」

 

(閉まっちゃった…)

 

===では改めまして。ようこそ、手品師のテントへ。キミのご来場を歓迎するよ。

 

「…夢?」

 

===フフフ、今更だね。夢だと思うなら夢なんじゃないかな。

 

「…そう思うことにする」

 

(なんか、現実感が無いし…)

 

===そうだね、目覚めるまではキミもこの世界の住人だ。

 

「あなたは、誰…?どこにいるの…?」

 

===ボクは案内人、ここのガイドさ。ワケあって姿は闇の中なんだ。でもボクからはキミの姿がちゃんと映ってるからね、安心していいよ。

 

「そうなんだ…」

 

===キミの名前が知りたいな。

 

「わたしは、真目(しんめ)譜理子(ふりこ)」

 

===譜理子ちゃんか。素晴らしい名前だね。フフフ、これは運命かもしれないね。

 

「運命…?」

 

===こちらの話さ。さて、譜理子ちゃん。今からルール説明をするよ。1度しか言わないからよく聞いてね。

 

「えっ…?」

 

===キミは今、キミの居た世界とは別の世界、仮にサーカス世界としよう。その世界に居るんだ。

 

「サーカス世界…?」

 

===ここから脱出する方法はひとつ。手品師を倒すこと。

 

「手品師…?」

 

===以上、ルール説明終わり。質問があるなら受け付けよう。

 

「ちょ、何が何だか…手品師って誰?倒すってどうやって?サーカス世界って何…?」

 

===質問が多いね。時には自分の力で答えを探すことも大事だよ?譜理子ちゃん。

 

(質問に受け付けるだけで答えないじゃん…)

 

「…わかった、探してみる」

 

===フフフ、素直な子は好きだよ。ほら、そんな譜理子ちゃんの元に早速手がかりが降ってきた。

 

「!…これは」

 

===その床にある物、譜理子ちゃんは知っているかい?

 

「うん…デュエルディスクだよね」

 

===その通り。装着してみる?

 

「してみる…えっと、こうかな?」

 

===サイズはピッタリだね。似合っているよ。

 

(でも何でデュエルディスク?…あれ?これってカード?)

 

===デュエルディスクの丸まった部分にカードが張り付いてるね。十字を描くように前後左右、裏向きで4枚。

 

「うん…」

 

(模様かと思った…)

 

===剥がしてみる?ペリペリって。

 

「剥がれるかな…あ」

 

===何のカードかな?

 

「これって…」

 

===真ん中に赤いクローバーのような模様が描かれてるね、三つ葉の。それ以外は白い背景だ。

 

「うん…何なんだろう?」

 

(どこかで見たことあるような…)

 

===気を付けて。何かが起こるかも。

 

「えっ…?」

 

 

 

 

 

「じゃーん!オレ参上!」

 

(!?…な、何が起こったの…!?)

 

===これはびっくりだね。カードが光ったと思った途端、人に化けたよ。

 

「お?オマエが対戦相手だな?よし!じゃあ早速デュエルだ!」

 

「ちょ、ちょっと待って…!あなたは誰…?それに今のは…」

 

「まあまあ細けーこたぁいいじゃねーか!ほら、ディスクを構えろよ」

 

「いやあの構える以前にデッキが…え?」

 

===セットされてるね。さっきまでは影も形も無かったけど。

 

(いつの間に…何で…?)

 

===デュエルの意思を示したいなら相手に向かって構えよう。

 

(もう、わかんないことだらけ…!とりあえず…)

 

「…こう?」

 

===そう。あ、キミは後攻みたいだね。

 

「よっしゃ!久々のデュエル、腕が鳴るぜ!」

 

(テンション高い…)

 

 

 

“DUELSTART”

 

 

 

===ほら、始まるよ。キミも5枚ドローしよう。

 

「あ、うん…」

 

(!…えっ、何このカード…?)

 

「先攻はオレだ!飛ばして行くぜ!」

 

「オレは《イグナイト・デリンジャー》と《イグナイト・ドラグノフ》をPゾーンに発動!」

 

《イグナイト・デリンジャー》

【Pスケール:青2/赤2】

(1):もう片方の自分のPゾーンに「イグナイト」カードが存在する場合に発動できる。

自分のPゾーンのカードを全て破壊し、

自分のデッキ・墓地から戦士族・炎属性モンスター1体を選んで手札に加える。

 

《イグナイト・ドラグノフ》

【Pスケール:青7/赤7】

(1):もう片方の自分のPゾーンに「イグナイト」カードが存在する場合に発動できる。

自分のPゾーンのカードを全て破壊し、

自分のデッキ・墓地から戦士族・炎属性モンスター1体を選んで手札に加える。

 

 

 

「!?カードの絵が…!」

 

===演出としては申し分ないでしょ?攻撃や召喚、効果発動の時とかもそれぞれモーションがあるんだよ。

 

(すごい…!アニメみたい…さすが夢)

 

「で、今発動した《イグナイト・デリンジャー》のP効果でPゾーンのカードを全て破壊し、《イグナイト・キャリバー》を手札に加える!」

 

「さらにオレは《イグナイト・マグナム》と《イグナイト・キャリバー》をPゾーンに発動!」

 

《イグナイト・マグナム》

【Pスケール:青7/赤7】

(1):もう片方の自分のPゾーンに「イグナイト」カードが存在する場合に発動できる。

自分のPゾーンのカードを全て破壊し、

自分のデッキ・墓地から戦士族・炎属性モンスター1体を選んで手札に加える。

 

《イグナイト・キャリバー》

【Pスケール:青2/赤2】

(1):もう片方の自分のPゾーンに「イグナイト」カードが存在する場合に発動できる。

自分のPゾーンのカードを全て破壊し、

自分のデッキ・墓地から戦士族・炎属性モンスター1体を選んで手札に加える。

 

 

 

「スケールはそれぞれ2と7!これでレベル3から6のモンスターがペンデュラム召喚可能だ!さあ行くぜ!」

 

 

 

「ペンデュラム召喚!!!」

 

 

 

「来い!《イグナイト・デリンジャー》!《イグナイト・ドラグノフ》!」

 

《イグナイト・デリンジャー》攻撃表示

ペンデュラム・通常モンスター

星5/炎属性/戦士族/攻2400/守1200

 

《イグナイト・ドラグノフ》攻撃表示

ペンデュラム・通常モンスター

星4/炎属性/戦士族/攻1700/守1300

 

 

 

===元気が良いね、相手の彼。

 

「うん…」

 

(ちょっとうるさい…)

 

===キミもあんな風に戦ってみようか。

 

「やだ。わたしには無理…」

 

(そういうキャラじゃないし…)

 

「先攻1ターン目は攻撃できねえ。オレはこれでターンエンドだ」

 

 

 

EX0 墓地0 除外0

相手 LP8000 手札2

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

ア   空   イ

◇ ウ ◇ エ ◇

ア=《イグナイト・キャリバー》スケール2

イ=《イグナイト・マグナム》スケール7

ウ=《イグナイト・デリンジャー》攻撃表示

エ=《イグナイト・ドラグノフ》攻撃表示

 

TURN1→2 相手→譜理子

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

◇   空   ◇

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

譜理子 LP8000 手札5

EX0 墓地0 除外0

 

 

 

===さあ、キミのターンだよ。

 

「ドロー…」

 

 

 

「…」

 

===おや?動かないのかい?

 

「だってこんなカード知らない…わかんない」

 

===そう言いつつもテキストにはしっかり目を通すんだね。前のターンからもずっと。

 

「知らないから知りたいし…やるからには勝ちたい」

 

===キミのそういうところ、好きだよ。

 

「おーい!いつまで考えてんだー!?」

 

===あら、待たせちゃってるね。一応言っておくと制限時間があるから気を付けてね。

 

「ごめんなさい、今動きます。スタンバイ、メイン」

 

 

 

 

 

「《シンメトリアル=W(ホイール)・ローラー》をPゾーンに発動」

 

《シンメトリアル=W(ホイール)・ローラー》

【Pスケール:青5/赤5】

(1):

 

 

 

「えっと、続けて《シンメトリアル=O(オブジェクト)・メイカー》をPゾーンに発動」

 

《シンメトリアル=O(オブジェクト)・メイカー》

【Pスケール:青3/赤3】

(1):

 

 

 

「スケールは3と5か。オマエもペンデュラム召喚、来るか!?」

 

(なんかちょっとわくわくされてる…?)

 

「…その前にO(オブジェクト)・メイカーのP効果発動。1ターンに1度、このカードを発動したターンの自分メインフェイズに、もう片方の自分のPゾーンに「シンメトリアル」カードが存在する場合に発動できる」

 

「《シンメトリアル=Oトークン》(サイキック族・光・星4・攻1200/守1200)1体を特殊召喚する」

 

《シンメトリアル=Oトークン》攻撃表示

星4/光属性/サイキック族/攻1200/守1200

 

 

 

「そしてW(ホイール)・ローラーのP効果発動。1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンに「シンメトリアル」カードが存在する場合に発動できる」

 

「自分の「シンメトリアル」モンスター1体と相手の表側表示モンスター1体を選択し、選択したモンスターのコントロールを入れ替える」

 

「何っ!?」

 

「わたしが選択するのはOトークンと《イグナイト・デリンジャー》」

 

「クソっ!デリンジャーが!」

 

(わっ!カードがワープした…!?どういう仕組みなんだろう…)

 

===いい動きだね。キミは飲み込みが早いみたいだ。

 

「あなたは知ってるの…?」

 

===フフフ、例え知ってたとしても展開は変わらないよ。ボクは案内人だからね。基本的には見物するのみさ。

 

「そう…」

 

(デュエルには中立ってことかな…?)

 

===キミがキミらしく戦うこと、ボクもそれを望んでるよ。

 

「うん…じゃあ」

 

 

 

「ペンデュラム召喚…!」

 

 

 

「《シンメトリアル=T(テーブル)・キーパー》…!」

 

《シンメトリアル=T(テーブル)・キーパー》攻撃表示

ペンデュラム・効果モンスター

星4/光属性/獣戦士族/攻1600/守1600

【モンスター効果】

(1):

 

 

 

===今の感情こもってたね、少し。

 

「…気のせい」

 

「おお!ペンデュラム召喚したか!さあどう来る!?」

 

(あの人のテンションに若干つられた感が…まあ、夢だしいいか)

 

「さらにわたしはT(テーブル)・キーパーをリリースして」

 

 

 

「《シンメトリアル=X(ホリゾンタル)・ライナー》をアドバンス召喚」

 

《シンメトリアル=X(ホリゾンタル)・ライナー》

ペンデュラム・効果モンスター

星6/光属性/幻竜族/攻 0/守 0

【モンスター効果】

このカード名の(2)のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):

(2):

 

 

 

(あ、T(テーブル)・キーパーが端っこに…反対側のそのスペースはEXデッキだったんだ。ってことは元々EXは0、メインだけのデッキか…)

 

「攻撃力0のモンスターをアドバンス召喚だあ?」

 

「X(ホリゾンタル)・ライナーのモンスター効果発動。1ターンに1度、両方の自分のPゾーンにカードが存在する場合に発動できる」

 

 

 

「自分のPゾーンのカード1枚を破壊し、デッキから「シンメトリアル=Y(ヴァーティカル)・ライナー」1体を自分のPゾーンに置く。破壊するのはO(オブジェクト)・メイカー」

 

《シンメトリアル=Y(ヴァーティカル)・ライナー》

【Pスケール:青1/赤1】

このカード名の(2)のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):

(2):

 

 

 

(わ…!デッキから自動でPゾーンに飛び出してきた…!それにシャッフルも自動…すごい、便利)

 

「Pゾーンの張り替えか!だがオマエはこのターンもうペンデュラム召喚はできねえぞ!」

 

「わかってる。Y(ヴァーティカル)・ライナーのP効果。もう片方の自分のPゾーンに「シンメトリアル」カードが存在する限り、相手モンスターの攻撃力と守備力はフィールドの「シンメトリアル」カードの枚数×200ダウンする」

 

「げっ…!?」

 

「フィールドの「シンメトリアル」カードはW(ホイール)・ローラー、Y(ヴァーティカル)・ライナー、X(ホリゾンタル)・ライナー、そしてOトークンの4枚」

 

「よって攻撃力と守備力は800ダウン」

 

《イグナイト・ドラグノフ》攻撃力1700→900 守備力1300→500

《シンメトリアル=Oトークン》攻撃力1200→400 守備力1200→400

 

 

 

「バトル、デリンジャーでOトークンに攻撃」

 

「ぐっ!こんくらいのダメージ何ともねえ!」

 

相手LP8000-2000=6000

 

《イグナイト・ドラグノフ》攻撃力900→1100 守備力500→700

 

 

 

(わあ、戦闘もアニメみたい…!迫力たっぷり…)

 

「メイン2、カードを1枚セット」

 

「ターンエンド」

 

 

 

EX0 墓地0 除外0

相手 LP6000 手札2

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

ア   空   イ

◇ ◇ ◇ エ ◇

ア=《イグナイト・キャリバー》スケール2

イ=《イグナイト・マグナム》スケール7

エ=《イグナイト・ドラグノフ》攻撃表示

 

TURN2→3 譜理子→相手

 

あ=《シンメトリアル=X(ホリゾンタル)・ライナー》攻撃表示

い=《イグナイト・デリンジャー》攻撃表示

う=《シンメトリアル=W(ホイール)・ローラー》スケール5

え=《シンメトリアル=Y(ヴァーティカル)・ライナー》スケール1

◇ あ い ◇ ◇

う   空   え

◇ ◇ 裏 ◇ ◇

譜理子 LP8000 手札1

EX2 墓地0 除外0


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。