「…」
===ギリギリ生き残ったね。
「うん…」
===反応が薄いね。これだけダメージ受けたんだし、アニメみたいに派手なリアクションしないと。
「だから、わたしには無理…」
(そもそもそういうキャラじゃないし…それより)
(この状況を逆転できるカード、デッキにあるかな…?あっても引けるかどうか…)
「ドロー…」
(あ…やっぱりだめか)
===その様子だと引けなかったみたいだね。
「うん…」
(夢とはいえ、悔しい…)
「…モンスターをセッーーー」
~~~…って!
「えっ…?」
===どうしたの?
「何か声が聞こえたような…」
(気のせい…?)
~~~…返事して!
「!…」
(気のせいじゃない…確かに聞こえた)
~~~聞こえるなら返事して!お願い!
「聞こえる…あなたは誰?」
(姿が見えない…案内人さんと同じタイプ…?)
===誰かを探しているのかい?
「うん…」
~~~アタシはアイリス!ひとまず動きを止めてアタシの話を聞いて!
「アイリス…わかった、聞かせて」
~~~デュエルに負けちゃだめ!ここから出られなくなる!
「!…」
~~~この世界は夢じゃないの!紛れもなく現実!アナタは連れて来られてしまったの!
「連れて、来られた…?」
~~~ここは手品師が作り出した世界で、アナタのいた世界とは完全に別のところなの!
「別の世界…?」
(手品師、って案内人さんが言ってた…)
~~~ここに連れて来られた人間はね、1度でもデュエルに負けると2度と元の世界に戻れなくなっちゃうのよ!
「…えっ、嘘…?」
~~~嘘じゃないわ本当よ!そこの舞台見たでしょ!?あそこにいる観客全員がこれまでに連れて来られた人たちなの!
「!?」
~~~あの人たちは元の世界に戻れないまま永遠にここの観客として捕らわれてるの!今デュエルで負けるとアナタもそうなっちゃう!
「そ、そんな…!」
(嘘、やだ…!夢なら覚めて!)
~~~でも勝てば大丈夫!そして手品師を倒せば必ず元の世界に戻れるわ!アタシはアナタにそうなって欲しくないの!
「うう…」
(そう言われてもこの手札じゃ…)
~~~だからこの状況を逆転できる力をアナタにあげる!
「…えっ?」
(逆転できる力…?)
~~~その力を受け取るためにアタシと繋がって!
「繋がる、ってどうやって…?」
~~~目を閉じて今からアタシの言う言葉を繰り返して!
「う、うん…!」
~~~…って言うの!わかった!?
「わかった…!」
~~~じゃあお願い!
「…」
(目を閉じて…)
「I CONNECT WITH IRIS」
「!?」
(な…何この感覚…!?)
~~~これでアナタと繋がったわ!アタシの力も送ったけど、どう!?
「…よくわかんない。でも、なんとなくさっきまでと違う感じ…」
~~~うん!それならOK!もう目を開けても大丈夫よ!
「うん…」
===目の色が変わったね。
「…まだ勝負は決まってない」
~~~その通り!さあ、逆転するわよ!
「おい!いつまでモンスターをセットするか悩んでんだ!?負けたくねえ気持ちはわかるが、ここは潔く決断した方がオレはかっこいいと思うぜ!」
「わたしは負けない…負けられない…!」
「オマエのそのモンスターが何か知らねえが、貫通効果のあるP(パフォーマー)・クラブの前じゃどんなモンスターでも一緒だぞ?」
「わたしはモンスターを…」
~~~感覚を信じて!今のアナタには力があるわ!
「Pゾーンに発動。《シンメトリアル=H(ハンマー)・スインガー》…!」
《シンメトリアル=H(ハンマー)・スインガー》
【Pスケール:青3/赤3】
(1):
「おお?何だPモンスターだったのか、ってスケール3だと!?もう片方のPゾーンのV(ヴォイド)・テレポーターとスケールが一緒じゃねえか!」
「…」
「P効果も見たところ発動できねえやつだし、おいおいまさか間違えたとかじゃねえだろうな!?それとも諦めの意思表示か!?」
(見える…!差し込む光が…!)
「間違いでも、諦めでもない…!」
(その先に、わたしを…繋いで!)
~~~今こそ力を解放する時!
「わたしはスケール3のH(ハンマー)・スインガーとスケール3のV(ヴォイド)・テレポーターを」
~~~「「コネクト!!」」~~~
「何っ!?」
~~~「「繋がれし一対の境界点は、未知なる世界との架け橋を築く!虚空に描きし光の弧と共鳴せよ!!」」~~~
~~~「「アーク召喚!!!」」~~~
「煌めく二色の翼は幻の証明!今こそ具象せよ!!」
「《幻双煌翼竜ドラゴネシア》!!!」
《幻双煌翼竜ドラゴネシア》攻撃表示
アーク・効果モンスター
星6/光属性/幻竜族/攻2400/守2400
スケール3×2
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):
(2):
(す…すごい!何これ…!何が起こったの!?)
===わお。EXデッキから光と共にカードが飛び出してきたよ。
「アーク召喚だとお!?」
(なんか光が強くなったと思ったら、いつの間にか召喚口上唱えちゃってたし…!)
(しかもアーク召喚って…!)
~~~驚いてる暇は無いわ!時間が迫ってる!
「う、うん…!」
(気になることが多いけど、今はこっち…!)
「魔法発動、《ペンデュラム・サイン》。自分のPゾーンにカードが存在しない場合に発動できる。墓地のPモンスター1体を手札に加える」
《ペンデュラム・サイン》
通常魔法
(1):自分のPゾーンにカードが存在しない場合に、自分の墓地のPモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。
「!…そうか!さっきのアーク召喚でPゾーンのカードはEXデッキに送られてんのか!」
「わたしは墓地のU(アンブレラ)・ハンガーを手札に加える」
「続いてドラゴネシアの効果発動…!1ターンに1度、自分のPゾーンにカードが存在しない場合、自分のEXデッキの表側表示のPモンスター1体を選んでP効果を無効にしてPゾーンに置く」
「わたしが置くのはX(ホリゾンタル)・ライナー」
《シンメトリアル=X(ホリゾンタル)・ライナー》
【Pスケール:青1/赤1】
このカード名の(2)のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):
(2):
「そしてU(アンブレラ)・ハンガーをPゾーンに発動!」
《シンメトリアル=U(アンブレラ)・ハンガー》
【Pスケール:青5/赤5】
(1):
「スケールは1と5か…!だがモンスターを並べたところでP(パフォーマー)・クラブは倒せねえぞ!?1ターンに1度の実質的な効果耐性がある上に、もし破壊されたとしてもエンドフェイズには復活するからな!」
「知ってる…その上わたしのモンスターはP(パフォーマー)・クラブにしか攻撃できないことも」
「まあそういうこった!次のターンで終わっちまうのは残念だが、アーク召喚にはすげえ痺れたぜ!」
「わたしも興奮した…でも」
「ん?」
「終わるのは次じゃなく、このターン…!」
「ペンデュラム召喚!!」
「集まって!わたしのシンメトリアルたち…!」
「O(オブジェクト)・メイカー!T(テーブル)・キーパー!H(ハンマー)・スインガー!W(ホイール)・ローラー!」
《シンメトリアル=O(オブジェクト)・メイカー》攻撃表示
ペンデュラム・効果モンスター
星4/光属性/サイキック族/攻1200/守1200
《シンメトリアル=T(テーブル)・キーパー》攻撃表示
ペンデュラム・効果モンスター
星4/光属性/獣戦士族/攻1600/守1600
《シンメトリアル=H(ハンマー)・スインガー》攻撃表示
ペンデュラム・効果モンスター
星4/光属性/獣戦士族/攻1600/守1600
【モンスター効果】
(1):
《シンメトリアル=W(ホイール)・ローラー》攻撃表示
ペンデュラム・効果モンスター
星2/光属性/爬虫類族/攻 800/守 800
【モンスター効果】
(1):
「へっ、いいねえ!その足掻きに勝ちへの執念を感じるぜ!」
「このペンデュラム召喚はただの足掻きなんかじゃない…!ドラゴネシアのもうひとつの効果…!」
「このカードの攻撃力・守備力はフィールドのPモンスターの数×300アップする!Pモンスターはフィールドに合計8体…!よって2400アップ!」
《幻双煌翼竜ドラゴネシア》攻撃力2400→4800 守備力2400→4800
「おおなるほどな!攻撃力を上げるためだったってことか!だが攻撃したところでエンドフェイズにP(パフォーマー)・クラブが復活するだけだぞ?」
「そうね、だから…」
「復活の前に決める…!」
「何っ?」
「P(パフォーマー)・クラブの効果耐性って、相手の効果でフィールドから離れる場合に身代わりとしてEXデッキの炎属性Pモンスターを除外するんだよね?」
「そうだ。特殊召喚する際にリリースしたPモンスターをそのまま身代わりのコストにできるんだぜ?マジつえーだろ!?」
「うん…強いね。1枚でもズレてたら、負けてた」
「…あ?」
「U(アンブレラ)・ハンガーのP効果発動。1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンに「シンメトリアル」カードが存在する場合に発動できる」
「フィールドの表側表示モンスター1体を選択し、選択したモンスターの攻撃力・守備力はターン終了時まで0になる…!」
「!?…な、何だと…!?それじゃあ…!」
「対象に選ぶのはP(パフォーマー)・クラブ…!フィールドを離れないため身代わり効果は使えない!」
《イグニッションP(パフォーマー)・クラブ》攻撃力3000→0 守備力3000→0
「攻守が0に…!?」
「あなたのLPは4700、これで届いた…!」
「そんな馬鹿な…!あの状況からP(パフォーマー)・クラブ相手に…!オレのLPを一撃で削り切るだとお!?」
「バトル…!」
「ドラゴネシアでP(パフォーマー)・クラブに攻撃!」
「スプレンディド・スパークル!!」
「ぐおおおお!!!」
相手LP4700-4800=0
“WIN ≪譜理子≫”
アークモンスターについて補足します。
アークモンスターは融合モンスターやシンクロモンスターと同じように、アーク召喚に必要な素材としてPスケールが記されています。
例えば「幻双煌翼竜ドラゴネシア」の場合ですと「スケール3×2」なのでスケール3のPモンスターを2枚Pゾーンに並べて、その2枚を素材として墓地(EXデッキ)へ送り、EXデッキからそのモンスターをアーク召喚します。
アーク素材となったPモンスターは基本的にEXデッキへ送られます。
次元の裂け目がある場合でもそれは変わりませんが、魔法カードも除外されるマクロコスモスがある場合は除外されます(結果として除外されるだけでアーク召喚自体はできます)。
カードデザインは以下の挿絵のようにPスケールのそれと同じく左側が青で右側が赤です。実際のPモンスターと同じく境界線をもっと曖昧にしたかったのですが、そのような技術を持ち合わせていないので…大体こんな感じのデザインだと思って頂ければ幸いです。
【挿絵表示】