真目譜理子とサーカス世界   作:tres

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4.「Asymmetry」

(か…勝った…!)

 

「くっそー…!まさか負けちまうとはな!悔しいぜ…!」

 

「…」

 

「でもオマエとのデュエル、すげえ面白かった!またオレとデュエルしてくれよな!」

 

「うん…またきっと」

 

「じゃあな!この先も負けんじゃねえぞ!」

 

 

 

「!?」

 

(眩しい…!この光は…!?)

 

 

 

 

 

「…う」

 

(収まったかな…?何だったんだろう…)

 

「…えっ?」

 

(あれ?いない…?)

 

===彼なら光に包まれて消えちゃったよ。

 

「!…」

 

===心配しないで、魔法が解けただけ。

 

===それよりおめでとう。素晴らしいデュエルだったよ。

 

「…ねえ、案内人さん」

 

===何かな?

 

「負けたら元の世界に戻れないって、本当…?」

 

===本当だよ。

 

「どうして言ってくれなかったの…?」

 

===言ったはずだよ。脱出する方法はひとつって。

 

「でも負けたらどうなるかなんて聞いてない…!」

 

===聞かれなかったからね。負けたらどうなるかなんて。

 

「…どうせわたしが聞いたところで自分の力で答えを探せ、って返したでしょ…」

 

===フフフ、どうだろうね。でも考えてごらんよ、あの時ボクがそれを言ってたらキミはどうなってたと思う?

 

===未知の世界で未知の相手に未知のカードを使ってのデュエル、しかも負ければ永遠にこのサーカス世界の住人。その状況下でキミは本来の実力を発揮できたと思うかい?

 

「…夢であって欲しいって思い続けてたかも」

 

(今でもそう思ってるけどね…)

 

===余計なプレッシャーをキミに与えなかった。これはボクなりの優しさだよ。

 

===それにキミ自身、夢だと思うことで平常心のままデュエルできたんじゃないかな。

 

「…やっぱりこれは、夢じゃないんだよね…?」

 

===そう思うならそうなんじゃないかな。

 

(初めの時と同じような答え…)

 

「ところで気になったんだけど…」

 

===何かな?

 

「…疑問に思わないんだね。わたしが何でこんなこと聞いてるのかって…」

 

===目の色が変わったからね。

 

(そのセリフ…デュエル中にも言ってた…)

 

「それってーーー」

 

~~~ねえ、アナタ!

 

「うん…?」

 

~~~あ、返事しなくていいわ!そのまま聞いて!

 

「…」

 

~~~アナタとアタシが繋がったことでね、声に出さなくても話ができるようになったわよ!

 

「!…」

 

~~~試しに何か話してみて。

 

(話してみてって言われても…あ)

 

(でもなんとなく、わかるかも…)

 

 

 

『こうかな…どう?』

 

~~~うん!伝わってるわよ!

 

『すごいね…!これもアイリスの力?』

 

~~~そうよ!すごいでしょ?これで誰にも聞かれずに話ができるわ!まあ元々アタシの声はアナタにしか聞こえないんだけどね。

 

『案内人さんとの話は聞こえてたの?』

 

~~~いいえ、アタシには聞こえなかったわ。でもアナタの声から何を話してたのかは、だいたいわかってたわよ!

 

『そうなんだ…』

 

(ということは、やっぱり案内人さんもわかってるよね…わたし自身、声に出してたし…)

 

~~~何か聞きたいこととかある?

 

『うん…あ、ちょっと待って』

 

 

 

「ねえ、今も制限時間ってあるの?」

 

===あるよ。ちなみにあと20秒くらい。

 

「!?…過ぎたらどうなるの!?」

 

(何でそんな大事なこと…!)

 

===そんな切迫した声出さないで。自動的に次のデュエルが始まるだけだよ、ランダムにカードがめくれてね。

 

「あ…始まるだけ?」

 

(案内人さん的には言う必要が無かった、ってだけか…)

 

===めくりたいなら今のうちだよ。

 

「うん…」

 

(じゃあ反対側のカードで…!)

 

~~~質問はいいの?

 

『うん。聞きたいことは色々あるけど、今は何よりもデュエルに絶対勝たなくちゃいけないから…!』

 

 

 

 

 

(!…やっぱりこのマークはどこかで…)

 

===真ん中に茶色の菱形が描かれてるね。背景もさっきと同じく真っ白だ。

 

「…あっ」

 

(そっか、トランプだ…!トランプのダイヤ…!)

 

(じゃあ最初に引いたあの三つ葉のクローバーはトランプのクラブだったんだ、ってカード違いじゃん…裏面は一緒なのに)

 

===さあ、また光るよ。

 

 

 

 

 

「おー、なんやウチの出番か?」

 

「…」

 

(今回は女の人…さっきの人よりは、やりやすそうかも)

 

「ん?アンタが相手?こらまたちっこいなー、まあええけど」

 

(…でもちょっと失礼)

 

「無駄話もなんやし、ほな、やろか」

 

「そうね…」

 

===落ち着いてるね。

 

「まあね…」

 

(緊張感はさっきと段違いだけど…)

 

(とにかく負けられない…絶対に…!)

 

 

 

“DUELSTART”

 

 

 

===どうしたの?キミの先攻だよ。

 

「うん…」

 

(最初の手札、デュエルの展開を大きく左右する5枚…)

 

(どうしよう…すごいドキドキしてる)

 

~~~緊張してるみたいね。手札を見るのが怖い?

 

『…正直、かなり…』

 

~~~でも安心して。そのデッキはさっきのと比べ物にならないくらい強くなってるわ。

 

『えっ…?』

 

~~~アタシの力がアーク召喚だけにとどまるワケないでしょ?

 

『…そう、だよね』

 

~~~そうそう!さ、頑張って戦いましょ!

 

(うん…大丈夫、わたしにはアイリスがついてる…!)

 

===フフフ、2回戦の始まりだね。

 

 

 

(…ちょっと偏ってる)

 

「スタンバイ、メイン」

 

(でも、悪くない組み合わせ)

 

「《シンメトリアル=H(ハンマー)・スインガー》を召喚」

 

《シンメトリアル=H(ハンマー)・スインガー》

ペンデュラム・効果モンスター

星4/光属性/獣戦士族/攻1600/守1600

【モンスター効果】

(1):

 

 

 

「カードを3枚セット」

 

「ターンエンド」

 

(動くのは、次のターン…!)

 

 

 

EX0 墓地0 除外0

相手 LP8000 手札5

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

◇   空   ◇

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

TURN1→2 譜理子→相手

 

あ=《シンメトリアル=H(ハンマー)・スインガー》攻撃表示

◇ ◇ あ ◇ ◇

◇   空   ◇

◇ 裏 裏 裏 ◇

譜理子 LP8000 手札1

EX0 墓地0 除外0

 

 

 

「表情硬いなあアンタ。もっとリラックスしてデュエル楽しもうや」

 

「それは…難しいかな」

 

(こんな状況じゃなければ…わたしだって楽しくデュエルしたい)

 

「ほーん、ならしゃーないな。ウチのターン、ドロー」

 

「3枚の伏せカードかあ、怖いなあ。しかもそのH(ハンマー)・スインガー、破壊したらウチのカード巻き込む効果持っとるやん」

 

 

 

「ってなわけでちょっと封じさせてもらおか、《アモルファージ・プレスト》をPゾーンに発動や」

 

《アモルファージ・プレスト》

【Pスケール:青3/赤3】

このカードのコントローラーは、

自分スタンバイフェイズ毎に自分フィールドのモンスター1体をリリースする。

またはリリースせずにこのカードを破壊する。

(1):自分フィールドに「アモルファージ」モンスターが存在する限り、

お互いに「アモルファージ」カード以外の罠カードの効果を発動できない。

 

 

 

(アモルファージ…!確か色々封じてくる系の…)

 

「そんで《アモルファージ・ガストル》をPゾーンに発動、チェーンも何も無いか?」

 

《アモルファージ・ガストル》

【Pスケール:青5/赤5】

このカードのコントローラーは、

自分スタンバイフェイズ毎に自分フィールドのモンスター1体をリリースする。

またはリリースせずにこのカードを破壊する。

(1):自分フィールドに「アモルファージ」モンスターが存在する限り、

お互いに「アモルファージ」モンスター以外のモンスターの効果を発動できない。

 

 

 

「うん…」

 

「そんじゃあ行くで」

 

 

 

「ペンデュラム召喚!」

 

 

 

「《アモルファージ・ヒュペル》!《アモルファージ・キャヴム》!」

 

《アモルファージ・ヒュペル》攻撃表示

ペンデュラム・効果モンスター

星4/地属性/ドラゴン族/攻1750/守 0

【モンスター効果】

(1):P召喚・リバースしたこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、

お互いに「アモルファージ」モンスターしかエクストラデッキから特殊召喚できない。

 

《アモルファージ・キャヴム》表側守備

ペンデュラム・効果モンスター

星4/地属性/ドラゴン族/攻 0/守2050

【モンスター効果】

(1):P召喚・リバースしたこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、

お互いに「アモルファージ」モンスターしかエクストラデッキから特殊召喚できない。

 

 

 

「ペンデュラム召喚時、何も無いか?」

 

「ない…」

 

「よっしゃ。これでお互いアモルファージ以外のモンスターと罠の効果の発動ができず、アモルファージモンスターしかEXデッキから特殊召喚できんようになった」

 

「…」

 

「バトルや、ヒュペルでH(ハンマー)・スインガーに攻撃」

 

(大丈夫…魔法は封じられてない)

 

「速攻魔法、《シンメトリアル・スイッチ》発動。自分フィールドの「シンメトリアル」モンスター1体をリリースし、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する」

 

「ちっ、速攻魔法があったんか」

 

「その後、デッキからリリースしたモンスターよりレベルが2つ低い「シンメトリアル」モンスター1体を手札に加えるか特殊召喚する」

 

《シンメトリアル・スイッチ》

速攻魔法

(1):自分フィールドの「シンメトリアル」モンスター1体をリリースし、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。その後、デッキからリリースしたモンスターよりレベルが2つ低い「シンメトリアル」モンスター1体を手札に加えるか特殊召喚する。

 

 

 

「わたしはH(ハンマー)・スインガーをリリースしてプレストを破壊」

 

「そしてデッキから…」

 

(この4枚の中だと…このカード)

 

「H(ハンマー)・スインガーよりレベルが2つ低い《シンメトリアル=M(ミラー)・ダイヴァー》を手札に加える」

 

「まあええわ、再戦闘や。ヒュペルでダイレクトアタック」

 

(これで罠も発動できるようになった)

 

「罠発動、《ペンデュラム・スイープ》。ヒュペルを除外する」

 

《ペンデュラム・スイープ》

通常罠

(1):フィールドのPモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを除外する。

 

 

 

「ひえっ!除外はきついわあ…」

 

(まずまずの流れかな…?モンスターの効果とEXは封じられたままだけど…)

 

「んー微妙な感じやなあ、カードを1枚セットしてターンエンドや」

 

 

 

EX1 墓地0 除外1

相手 LP8000 手札1

◇ ◇ 裏 ◇ ◇

ア   空   ◇

◇ イ ◇ ◇ ◇

ア=《アモルファージ・ガストル》スケール5

イ=《アモルファージ・キャヴム》表側守備

 

TURN2→3 相手→譜理子

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

◇   空   ◇

◇ ◇ 裏 ◇ ◇

譜理子 LP8000 手札2

EX1 墓地2 除外0

 

 

 

「ドロー」

 

(!…これは…前のデュエルの時には入ってなかったよね?ってことは、これもアイリスの力…?)

 

(シンメトリアルってカード名からその発想はあったけど…こっちもちゃんとあったんだ)

 

(面白いくらい何もかも違うんだね。まさかPスケールまで…)

 

「スタンバイ、メイン」

 

 

 

 

 

(シンメトリーじゃないなんてね…!)

 

 

 

「《アシンメトリアル・P(プレート)》をPゾーンに発動」

 

《アシンメトリアル・P(プレート)》

【Pスケール:青5/赤2】

このカード名のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):

 

 

 

「P(プレート)のP効果発動。このカードの発動時、もう片方の自分のPゾーンにカードが存在しない場合に発動できる」

 

「デッキから地属性以外の「アシンメトリアル」Pモンスター1体を選び、自分のEXデッキに表側表示で加える」

 

(候補は、6枚…あ、同じレベルのアシンメトリアルは効果も同じなんだ…)

 

(P効果2種類とモンスター効果2種類の4パターン…覚えやすい)

 

(…それにしてもこのモンスター効果、これは何か専用サポートあるよね…?)

 

(って、早く選ばないと…後のことを考えるとここは…)

 

「わたしは水属性の《アシンメトリアル・Q(クオーツ)》をEXデッキに加える」

 

「続いて《シンメトリアル=M(ミラー)・ダイヴァー》をPゾーンに発動」

 

《シンメトリアル=M(ミラー)・ダイヴァー》

【Pスケール:青5/赤5】

(1):

 

 

 

「ほお?スケール張んのもええけどアンタのEXデッキのモンスター、ペンデュラム召喚で呼ばれへんで?」

 

「うん、だから呼べるようにする。M(ミラー)・ダイヴァーのP効果発動」

 

「1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンに「シンメトリアル」カードが存在する場合に発動できる」

 

(アシンメトリアルは名前にシンメトリアルを含んでいるから、発動条件を満たしてる…!)

 

 

 

「フィールドの表側表示のカード1枚を選択し、選択したカードの効果をターン終了時まで無効にする」

 

「うえっ!?」

 

「無効にするのはキャヴム。これでEXデッキの封印は解除…!」

 

 

 

「ペンデュラム召喚…!」

 

 

 

 

 

「…あ?なんや、モンスター出てへんで?」

 

「呼べない…」

 

「は?…ってよく見たらスケール同じやんけ!身構えて損したわ」

 

===どっちもスケールが5になってるね。これじゃペンデュラム召喚は不可能だ。

 

「…」

 

(左の青のPゾーンに発動したP(プレート)のスケールは赤の2じゃなくて、青の5になる…)

 

(さすがにスケールは選べなかったか…)

 

~~~あー…もしかして左右のスケールが違うPモンスター初めてだった?言っとけば良かったわね。

 

「アホやなあ、効果無効にした意味なくなってもうたやん」

 

 

 

「ううん…意味は、ある」

 

(わたしには、見える…!)

 

===フフフ、でもそれを想定していないキミじゃないでしょ。

 

~~~ペンデュラム召喚はできなくても、今のアナタならそれができるわよね!

 

「わたしはスケール5のP(プレート)とスケール5のM(ミラー)・ダイヴァーを」

 

 

 

 

 

「コネクト!」

 

 

 

「なんやて!?」

 

 

 

 

 

「アーク召喚!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その鋭利なる双剣で敵を追い詰めろ!《シャープハント・デーモン》!」

 

 

 

《シャープハント・デーモン》攻撃表示

アーク・効果モンスター

星5/闇属性/悪魔族/攻2250/守1250

スケール5×2

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):

(2):

 

 

 

 

 

~~~うん!ちゃんと呼び出せたわね!

 

『…ねえ、アイリス』

 

~~~何かしら?

 

『アーク召喚の時、わたしの意思とは無関係に勝手に召喚口上唱えてるんだけど…』

 

~~~自然とそういう状態になるみたいなのよ。アタシもその辺はよくわかんないのよね。

 

『そうなんだ…』

 

「ハハ、おもろいもん見せてくれるやんけ…!でもわかっとるやろな?アンタのモンスターは効果発動できんようなっとるで?」

 

「うん…でも、モンスターは破壊できる」

 

「バトル、《シャープハント・デーモン》でキャヴムに攻撃。シャープ・スラッシュ!」

 

(あ、攻撃名も自然と…)

 

「そうは行かへんで!罠発動や、《アモルファージ・ライシス》!」

 

《アモルファージ・ライシス》

永続罠

「アモルファージ・ライシス」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):「アモルファージ」モンスター以外のフィールドのモンスターの攻撃力・守備力は、

フィールドの「アモルファージ」カードの数×100ダウンする。

(2):自分のPゾーンのカードが破壊された場合に発動できる。

デッキから「アモルファージ」Pモンスター1体を選んで自分のPゾーンに置く。

 

 

 

「アモルファージ以外のフィールドのモンスターの攻守は、フィールドの「アモルファージ」カードの数×100ダウンする」

 

「フィールドにアモルファージは3枚、よって300ダウンや!」

 

《シャープハント・デーモン》攻撃力2250→1950 守備力1250→950

 

 

 

「う…でも《シャープハント・デーモン》の効果で1ターンに1度、このカードの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは代わりに相手が受ける」

 

相手LP8000-100=7900

 

「ええ効果持っとんなあ。発動する効果とちゃうからガストルでも止められへんわ」

 

(破壊できなかったのは、痛いかも…)

 

「ターンエンド」

 

 

 

EX1 墓地0 除外1

相手 LP7900 手札1

◇ ◇ ウ ◇ ◇

ア   空   ◇

◇ ◇ ◇ イ ◇

ウ=《アモルファージ・ライシス》

ア=《アモルファージ・ガストル》スケール5

イ=《アモルファージ・キャヴム》表側守備

 

TURN3→4 譜理子→相手

 

あ=《シャープハント・デーモン》攻撃表示

◇ ◇ あ ◇ ◇

◇   空   ◇

◇ ◇ 裏 ◇ ◇

譜理子 LP8000 手札1

EX4 墓地2 除外0


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