真目譜理子とサーカス世界   作:tres

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8.「Control」

(一気に削られたなあ…最初のデュエルの時もそうだったかな)

 

(っていうか、あれだけフィールドのカードが増えたのに手札の枚数変わってないとか…まあ、伏せカードも手札も正体が判明してるだけマシではあるんだけど…)

 

(…あ、どうしよう…手が震えてきた)

 

===引くのが怖いのかい?

 

「こ、怖くなんか…!」

 

(ない、はず…だったのに…)

 

「…怖いよ、負けたくない…」

 

(LPが減っただけなのに…どうして、こんなに…)

 

===泣かないで。まだ負けると決まったわけじゃない。

 

「…わかってる、それはわかってるの…」

 

===可能性を信じて。キミには力があるはずだよ。

 

「可能性…力…」

 

(アイリス…)

 

「む、どうした?泣いておるのか?」

 

 

 

「…いいえ、ちょっと目がかゆくなっただけです」

 

「そうか。大勢は決したが、貴様のその強い目。闘志は失っておらんようだな」

 

(そうだ…わたしにはアイリスがついてる…)

 

(見えなくても話せなくても、この力がある限りアイリスは…わたしと共に繋がってる…!)

 

(だから、今は泣いちゃだめ…!信じなきゃ、わたしたちの可能性を…!)

 

「ドロー…!」

 

 

 

(うん…!欲しかったカード…!)

 

「スタンバイ、メイン」

 

「《アシンメトリアル・L(ランプ)》を赤のPゾーンに発動」

 

《アシンメトリアル・L(ランプ)》

【Pスケール:青-←4/赤1】

このカード名のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードの発動時、もう片方の自分のPゾーンにカードが存在しない場合に発動できる。デッキから炎属性以外の「アシンメトリアル」Pモンスター1体を選び、自分のEXデッキに表側表示で加える。

 

 

 

「L(ランプ)のP効果発動。このカードの発動時、もう片方の自分のPゾーンにカードが存在しない場合に発動できる」

 

「デッキから炎属性以外の「アシンメトリアル」Pモンスター1体を選び、自分のEXデッキに表側表示で加える」

 

「わたしは水属性の《アシンメトリアル・Q(クオーツ)》をEXデッキに加える」

 

「続けて魔法発動、《シンメトリアル・リターン》。EXデッキから同じ種族でカード名が異なる「シンメトリアル」Pモンスター2体をデッキに戻すことで、デッキから2枚ドローする」

 

《シンメトリアル・リターン》

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分のEXデッキの表側表示の同じ種族でカード名が異なる「シンメトリアル」Pモンスター2体を対象として発動できる。そのモンスター2体をデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから2枚ドローする。

 

 

 

「わたしが戻すのは同じ岩石族のP(プレート)、Q(クオーツ)の2枚…」

 

「ほう、ドローするカードを引きおったか」

 

(お願い…このドローに全てがかかってるの…!どうかわたしを勝利に導いて…!)

 

「2枚ドロー…!」

 

 

 

 

 

(!…来た!)

 

「わたしは《アシンメトリアル・J(ジェット)》を青のPゾーンに発動」

 

《アシンメトリアル・J(ジェット)》

【Pスケール:青7/赤-←4】

このカード名のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):

 

 

 

「墓地の《ペンデュラム・リアクション》の効果発動。両方の自分のPゾーンにカードが存在する場合に墓地のこのカードを除外して発動できる」

 

「相手フィールドにセットされたカード2枚を選び、そのカードを手札に戻す。わたしはあなたから見て真ん中と左のカードを手札に戻す」

 

「墓地から発動する効果もあったとは…見落としておったか」

 

(L(ランプ)とJ(ジェット)のスケールはそれぞれ1と7…!全てのシンメトリアルとアシンメトリアルをカバーする最高の振れ幅…!)

 

 

 

「ペンデュラム召喚!」

 

 

 

「《シンメトリアル=O(オブジェクト)・メイカー》、《アシンメトリアル・R(リング)》、《アシンメトリアル・N(ニードル)》、《アシンメトリアル・K(カイト)》、《アシンメトリアル・S(シールド)》…!」

 

《シンメトリアル=O(オブジェクト)・メイカー》表側守備

ペンデュラム・効果モンスター

星4/光属性/サイキック族/攻 0←1600/守 0←1600

 

《アシンメトリアル・R(リング)》表側守備

ペンデュラム・効果モンスター

星3/炎属性/雷族/攻1500/守 0←600

【モンスター効果】

このカード名のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):

 

《アシンメトリアル・N(ニードル)》表側守備

ペンデュラム・効果モンスター

星3/地属性/炎族/攻1200/守 0←900

【モンスター効果】

このカード名のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):

 

《アシンメトリアル・K(カイト)》表側守備

ペンデュラム・効果モンスター

星5/風属性/雷族/攻2500/守 0←1000

 

《アシンメトリアル・S(シールド)》攻撃表示

ペンデュラム・効果モンスター

星5/水属性/水族/攻 0←1500/守2000

【モンスター効果】

このカード名のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):

 

 

 

(さあ、今度こそアシンメトリアルの本領発揮)

 

「ふむ、《アシンメトリアル・S(シールド)》以外は守備表示。そして唯一攻撃表示である《アシンメトリアル・S(シールド)》は攻撃力0…何を考えておる?」

 

「すぐにわかります。K(カイト)とS(シールド)のモンスター効果発動。1ターンに1度、このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる」

 

 

 

「相手は自分フィールドのモンスター1体を選び、ターン終了時までこのカードとコントロールを入れ替える」

 

「何だと?それは2体とも同じ効果ということか?」

 

「はい。その際、相手は元々の持ち主が自分となるモンスターを選択しないといけません」

 

「ふむ、即ち送られたアシンメトリアルを送り返すような真似は出来ぬということか。貴様に奪われたモンスターはターン終了時に我輩のフィールドに戻るのだな?」

 

「戻ります、アシンメトリアルも同じくわたしのフィールドに。どちらかがフィールドを離れたとしてもそれは変わりません。どうしますか?」

 

「ならば効果にチェーンだ。《マジェスペクター・フォックス》をリリースして速攻魔法発動、《マジェスペクター・サイクロン》。《アシンメトリアル・K(カイト)》を破壊する」

 

《マジェスペクター・サイクロン》

速攻魔法

(1):自分フィールドの魔法使い族・風属性モンスター1体をリリースし、

相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを破壊する。

 

 

 

「さらにチェーンして《マジェスペクター・ユニコーン》の効果を発動。《マジェスペクター・ユニコーン》と《アシンメトリアル・S(シールド)》を手札に戻す」

 

「2体とも我輩のフィールドに移る前にフィールドを離れたことで、その効果は不発に終わる」

 

「はい、わたしにチェーンはありません。S(シールド)は手札に戻り、K(カイト)は破壊されます」

 

(ユニコーンがいなくなった…残るはP(パフォーマー)・スペードだけ…!)

 

「N(ニードル)のモンスター効果発動。1ターンに1度、このカード以外の自分フィールドの「アシンメトリアル」カード1枚を対象として発動できる」

 

「そのカードを破壊する。わたしはPゾーンのL(ランプ)を破壊」

 

「その後、このカードのコントロールを相手に移す」

 

「ふむ。だがコントロールを移したところで貴様のモンスターは《マジェスティックP(パフォーマー)・スペード》に攻撃せねばならんのは、分かっておるな?」

 

「わかってます。破壊する効果の発動は任意ですが、破壊した場合のコントロールを移す効果は強制なので」

 

「成程。目的はPゾーンを開けるためか」

 

「その通りです。片方のPゾーンが開いたことによりJ(ジェット)のP効果発動。1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンにカードが存在しない場合に、自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる」

 

「デッキから風属性以外の「アシンメトリアル」モンスター1体を選び、手札に加える」

 

「わたしはO(オブジェクト)・メイカーをリリースして、デッキから地属性の《アシンメトリアル・P(プレート)》を手札に加える」

 

「リリースされたO(オブジェクト)・メイカーのモンスター効果発動。デッキからPモンスターの《シンメトリアル=M(ミラー)・ダイヴァー》を墓地へ送る」

 

「今度はシンメトリアルを墓地へ送ったか。次はそのカードを活用するということだな?」

 

「いえ、墓地へ送ったカードに意味はありません」

 

「む?では目的は手札に加えた…」

 

 

 

「!…そうか!同じ効果ということは…!」

 

「はい。わたしにはこのターンの通常召喚の権利が残ってます」

 

「R(リング)をリリースして《アシンメトリアル・P(プレート)》をアドバンス召喚」

 

《アシンメトリアル・P(プレート)》

ペンデュラム・効果モンスター

星5/地属性/岩石族/攻 0←1000/守2500

【モンスター効果】

このカード名のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):

 

 

 

「P(プレート)のモンスター効果発動。1ターンに1度、このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる」

 

「さあ、選んで下さい」

 

 

 

 

 

「あなたのフィールドにいる元々の持ち主が自分となるモンスターを」

 

「ぬう…!貴様、よくも我輩の切り札を…!」

 

「P(プレート)のモンスター効果でわたしのP(プレート)はあなたのフィールドに」

 

 

 

「あなたの《マジェスティックP(パフォーマー)・スペード》はわたしのフィールドに移ります」

 

(ごめんね、P(パフォーマー)・スペード。今はわたしに力を貸してね)

 

「だが《マジェスティックP(パフォーマー)・スペード》は次のターン我輩のフィールドに戻る。貴様の微々たるLPなど一瞬で削り取ってくれよう」

 

「…いえ、次のターンは訪れません」

 

「何?」

 

「永続魔法発動、《アシンメトリアル・センサー》」

 

「このカードは相手フィールドの「アシンメトリアル」モンスターの数によって得られる効果が増えます」

 

《アシンメトリアル・センサー》

永続魔法

(1):相手フィールドの「アシンメトリアル」モンスターの数によって以下の効果を得る。

●1体以上:

●2体以上:

●3体以上:

●4体以上:

●5体:

 

 

 

「あなたのフィールドにアシンメトリアルは2体。わたしは2体以上の場合に得られる効果を発動」

 

「1ターンに1度、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる」

 

 

 

「そのモンスターと同じ属性、または同じ種族のモンスター1体をデッキから墓地へ送り、ターン終了時までそのモンスターのコントロールを得る」

 

「対象に選ぶのはP(プレート)。そしてP(プレート)と同じ種族の岩石族モンスター、Q(クオーツ)をデッキから墓地へ送る」

 

「攻撃力0のモンスターなど取り返して今更何になる?」

 

「勝ちへと繋がるんです。《シンメトリアル・リターン》の効果で引いたもう1枚のカード…」

 

 

 

「わたしは《シンメトリアル=X(ホリゾンタル)・ライナー》を赤のPゾーンに発動…!」

 

《シンメトリアル=X(ホリゾンタル)・ライナー》

【Pスケール:青-←1/赤-←1】

このカード名の(2)のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):

(2):

 

 

 

「X(ホリゾンタル)・ライナーのP効果。もう片方の自分のPゾーンに「シンメトリアル」カードが存在する限り、自分フィールドのモンスターの攻守はフィールドの「シンメトリアル」カードの枚数×200アップする」

 

「!」

 

「フィールドの「シンメトリアル」カードはX(ホリゾンタル)・ライナー、J(ジェット)、P(プレート)、センサー」

 

「そしてあなたのフィールドに移ったN(ニードル)の合計5枚、よってわたしのモンスターの攻守は1000アップ」

 

《マジェスティックP(パフォーマー)・スペード》攻撃力3000→4000 守備力3000→4000

《アシンメトリアル・P(プレート)》攻撃力0→1000 守備力2000→3000

 

 

 

「バトル、P(パフォーマー)・スペードでN(ニードル)に攻撃」

 

「そうか、これが守備表示でペンデュラム召喚した理由か…!」

 

「はい。N(ニードル)の守備力は0。P(パフォーマー)・スペードの効果で攻撃力分、貫通ダメージを与えます」

 

相手LP4800-4000=800

 

《マジェスティックP(パフォーマー)・スペード》攻撃力4000→3800 守備力4000→3800

《アシンメトリアル・P(プレート)》攻撃力1000→800 守備力1000→800

 

 

 

「あの圧倒的不利な盤面をここまで覆すとは…」

 

「最後です。P(プレート)で攻撃」

 

「うむ、見事なり」

 

相手LP800-800=0

 

 

 

“WIN ≪譜理子≫”

 

 

 

 

 

「ふうああ、はああ…」

 

(勝った…勝てた…!)

 

===おめでとう。アクシデントに見舞われながらもよく頑張ったね、キミの逆転勝利だ。

 

「うん…」

 

(ほんと…アイリスとは話せないしステータスは弱体化してるし…最初はどうなるかと思った)

 

(でも、勝てて良かった…!)

 

「むう、我輩の敗北か。おい貴様」

 

「は、はい…」

 

「素晴らしい戦いであった。いずれまた手合わせを願いたい」

 

「…はい、ぜひまたデュエルしましょう」

 

(でも、やっぱり消えちゃうんだよね…?)

 

「うむ。この先も貴様の健闘を祈る」

 

「…っ!」

 

(3回目の光も…変わらず眩しい、な…)

 

 

 

 

 

「…」

 

===何か考え事かい?

 

「考え事…ううん。何だろう…むしろ逆かな、すっきりしてる感じ」

 

「余計な心配事や不安が消えて、頭の中がクリアになってるっていうか…勝ち負けがそんなに大事かなって思ったり」

 

===あらあら。

 

「あ、もちろん負けるつもりなんて全くないし、怖くないと言えば嘘になるけど…」

 

「ただ、あれほど感じてたプレッシャーや恐怖をあまり感じてないの。次からはいつものわたしで戦えるような、そんな気持ち」

 

===それはきっと覚悟を決めた人間の心理だね。キミがこの現実と向き合い最後まで諦めずに戦うことを決意した証拠だよ。

 

「そう、なのかな…?」

 

===そうだよ。今のキミならどんな相手が来ても大丈夫さ。

 

「うん…」

 

(次の相手はもうわかってる…それより)

 

 

 

『ねえ、アイリス』

 

(やっぱり返事はない、か…でも)

 

『わたし今、どんな相手が来ても最後まで諦めず戦えるって思えるの。わたしがこんな気持ちになれたのはね、アイリスのおかげ』

 

『アイリスの力が無かったら、アイリスと繋がれなかったら…わたしはとっくに負けてた』

 

『だから、ありがとう』

 

(返事がなくてもわかる…アイリスは確かにここにいる)

 

(そしてアイリスがくれたこの力で…)

 

(手品師を倒して必ず元の世界に戻ってみせる…!)

 

 

 

===めくった最後の1枚、キミなら見なくてもわかるかな。

 

「うん、青いハート」

 

===正解。一応目を通してあげてね、最後のカードだし。

 

「…」

 

(うん、青いハートだ…真ん中にひとつ)

 

===さあ、光るのも最後かな。


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