「う……! ウガーーーーーッ!」
『『……!?』』
武装難民達にエロい格好をしていると言われてプルプルと体を震わせていた獅子神だったが、突然大声を出して俺と武装難民達は思わず彼女の方を見る。
「も、もう殺す! 絶対殺すーーー!」
や、ヤバい! 獅子神さんってば、恥ずかしさのあまり脳のキャパシティを完全に越えて暴走していらっしゃる!
俺はとっさに、すでに刀を抜いていて武装難民達に飛びかかろうとしていた獅子神を、後ろから羽交い締めにして止めた。
「放してください! アイツら魔族なんですよね!? だったら対魔忍として皆殺しにしないと! 今すぐに!」
『『ヒ、ヒィイ……!?』』
俺に羽交い締めされても暴れている獅子神の、もはや殺気と言ってもいい怒りは凄まじく、武装難民達は腰を抜かさんばかりの勢いで彼女から距離をとろうとする。これ、俺が手を離したらこのビルが血の海になるんじゃないの?
「落ち着け! 俺達が戦うのは人間に害を与える魔族や悪党だけだ! 魔族だからって無差別に殺していいわけないだろ!? それに今回は無断で縄張りに入った俺達が悪いんだし、お前魔族関係なく彼らを殺そうとしているだろ!?」
「ムギーーーーー! アイツラ全員ムッコロス!」
うわっ。いよいよヤバいな。獅子神の奴、恥ずかしさと怒りのあまり言語機能に支障が出るくらい暴走している。
「ちょっ! 武装難民の皆さん、急いでここから逃げて! 少ししたら彼女を落ち着かせてここから帰りますんで!」
『『は、はい! ど、どうぞごゆっくりぃ!』』
暴れている獅子神を羽交い締めしながら俺が武装難民達に逃げるように言うと、武装難民達は即座に部屋から逃げ出して行く。対魔忍なのに魔族の武装難民達を守る俺って……。
それから俺は羽交い締めにされながらも暴れる獅子神をなんとかなだめようとするのだが、中々上手くいかなかった。
「いい加減に落ち着けって獅子神! あいつらが言ったことなんて気にするなって! 俺はお前の格好は、その……(エロ)格好いいと思うぞ?」
「聞こえた! 今小声でエロって言った! やっぱり五月女先輩もそう思っていたんだ! いいですよね、五月女先輩は格好いいツナギ姿で! クラスの女子達も五月女先輩の格好いいって言っていましたもの!」
「マジで!? 俺にまさかのモテ期到来!? って! そうじゃなくて俺だって、この装束にするのに色々苦労したんだぞ! ぴっちりスーツは対魔忍の伝統だとか言う対魔忍の先生達に何回も頭下げたりして!」
「そんな伝統ドブに捨ててしまえばいい!」
「全くもってその通り! ……あっ」
「あっ!」
暴れる獅子神をどうにか止めようとしていると、俺の手が獅子神のバイザーに当たり、その拍子でバイザーが落ちてしまった。
あ、あれ? 俺、何かやってしまった? バイザーが落ちた瞬間、獅子神の動きが止まって、ただならぬ雰囲気なんだけど?