蜘蛛の対魔忍の受難   作:小狗丸

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二十八話

 小太郎君達と一緒に行った、魔族の武装勢力を襲撃する任務は無事終了した。それというのも小太郎君があのアジトにいた魔族の中で一番強かった鬼族の戦士を倒してくれたのが大きく、そのお陰で他の魔族の士気が下がり、任務に参加した対魔忍見習いの学生達は死傷者を出すことなく、武装勢力の魔族を全て倒す事が出来たのだ。

 

 俺にしてみれば任務に成功した事よりも、小太郎君の成長した姿を確認できた事の方が大きかった。

 

 確かに小太郎君は今だに邪眼に目覚めてはいないが、体術と武術で下手な対魔忍よりも強いし、己自身も「駒」の一つとして戦いの流れを作る頭のキレもある。正直、強力な忍法が使えるが正面からの突撃するしか能のない対魔忍と小太郎君、どちらと組んで任務を行うかと聞かれたら、俺は小太郎君と即答するぞ。

 

 前世で遊んだ「対魔忍RPG」でも小太郎君は中々のリーダーとしての器を持っていたが、この世界の小太郎君はそれ以上の器を持っている様に感じられた。このまま成長したら彼は多くの仲間を作り、今の「対魔忍=猪武者」な現状も変えてくれるだろう。

 

 俺は転生特典で便利な忍法や邪眼を与えられたが、その根はただの小市民にすぎない。だから俺にできる事といったら対魔忍の任務をなんとか達成して生き抜くことしかできないが、小太郎君のような次世代のリーダーがいれば対魔忍の未来も少しは期待が持てるだろう。

 

 そう思って一安心した俺だったが、どうやらこの世界はやはりというか甘くないようだ……。

 

 

 

「……さくら先生? 何ですか、コレは?」

 

 小太郎君達と一緒に行った任務を終えてから数日後。いつものように五車学園の資料室で任務の報告書を作っていた俺は、そこにやって来たさくらから見せられた一枚の紙を見て思わず渋い顔となって彼女に質問した。

 

「これ? これは最近、東京キングダムで配られている五月女君の手配書だよ」

 

「………」

 

 さくらから見せられた紙には文章やら写真やらが書かれていて、それを見て大体の事は理解してはいたが、改めて言われるとヘコむよな……。

 

 その紙には俺に関する情報だけで最大二百万、俺を殺したら五千万、そして生かしたまま捕まえたら一億の賞金を支払うと書かれていた。これだけでも泣きたくなるのに、更に気が滅入るのは同じ紙に書かれている魔族が想像した俺の予想図だ。

 

 魔族が想像した俺の予想図は、紫色の変対魔忍スーツ(変態っぽい対魔忍スーツの略)を身にまとい、

 

 両腕に◯ビルスーツの◯ゴックのような鍵爪を装備していて、

 

 顔には◯タンドの◯・グレイトフルデッドのような目が八つあるデザインの仮面を被っている、見るからに怪しい変質者であった。

 

 何コレ? 俺ってば一体いつから下半身も備えたパーフェクト・ザ・グレイトフルデッ◯になったんだよ? プロシ◯ート兄貴は何処にいる?

 

 俺は自分の首に最大一億の賞金がかかっている事よりも、魔族達からこんな姿だと思われていることに涙を禁じ得なかった。

 

 ……というか俺の情報、一体何処から漏れたんだよ? 責任者出てこい。


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