さくらからパーフェクト・◯・グレイトフルデッドの絵……じゃなくて俺の手配書を見せられて正直かなり凹んだその日の夜。俺は不思議な夢を見た。
夢の中の俺は何もない真っ白な大地をただひたすらに歩いていて、しばらくするとどこから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
【歴史ノ中心人物ノ一人「ふうま小太郎」ガ、貴方ノ影響ニヨリ、本来ノ歴史ニハナイ大幅ナぱわーあっぷヲ果タシマシタ】
それは俺がこの世界に転生をしてきた時に電磁蜘蛛を与えてくれたり、転生特典の強化ボーナスとやらで両眼を邪眼にしてくれた光の玉から聞こえてきた声だった。
【コレニヨッテ貴方ヲ、歴史ニ影響ヲ与エル因子ト認メラレマシタ】
その声は相変わらず録音された音声を再生する機械のような抑揚のない声だったが、どこか俺を祝ってくれているように感じられた。
【結果、貴方ノ人生ノ難易度ガ「イージー」カラ「ノーマル」ニ変更サレマシタ。コノ人生ノ難易度ハ貴方ノ意思デハ変更スル事ハ出来マセン】
………。
……………。
…………………。
「って! ふざけるなぁっ!?」
夢の中で聞こえてきた声の聞き捨てのならない発言に、俺は思わず叫んで飛び起きた。目を覚ますと俺は大量の汗をかいていて息も荒く、慌てて周りを見回して今いるのが学生寮にある自室だと確認してようやく安心する事ができた。
「はぁ……! はぁ……! ゆ、夢か……! 全く、何て夢だよ。俺の人生の難易度が上がる? 一体どういうことだよ?」
ただでさえ危険だらけに対魔忍の世界で、まだ学生なのに社畜のような扱いを受けているっていうのに、この上更に酷い目に遭うのかよ? というか難易度イージーって何? 俺的には難易度ハードの人生を送っていたつもりだったのに、まだイージーだったの?
「本当、俺の手配書といいあの夢といい、最近ろくな事がないな……ん?」
「すぅ……。すぅ……」
俺が額に手を当てて悩んでいると、隣から誰かの寝息が聞こえてきた。首を横に向けて寝息が聞こえてきた方を見るとそこには……。
「んん……」
何故か寝巻き姿で普段使っている刀を抱きかかえている銀華が、俺の横で安らかな寝顔をして眠っていた。
「……………はい?」
銀華? 一体どうして彼女が俺の部屋で、というか同じベッドで眠っているの? というかどこから入ってきた? 俺は寝る前は必ず部屋の戸締りをして最低二回はチェックをしている。そしてドアには元から付いている鍵だけでなく、なけなしの給料(ただしまだ見習いなので、普通の対魔忍より安く日給五万円)で三つ追加の鍵を取り付けているのに?
俺は不思議に思って上半身を起こしてドアの方を見た。すると視線の先では……。
取り付けていた鍵が全て綺麗な断面で見事にぶった切られたドアが虚しく開いていた。
「……………」
これって間違いなく銀華の仕業だよね? なんか最近後輩兼任務のパートナーが俺に急接近しすぎていて怖いんですけど?
俺の安息の地は一体何処だ?