蜘蛛の対魔忍の受難   作:小狗丸

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三十七話

 結局春休みは浩介にドローンやパソコンを使った事務作業を教えたり、筋トレの面倒を見るのがメインで終わった。

 

 自分の訓練があまり出来なかったのは少し心残りだが、浩介にドローンやらパソコンやらをすすめたのは俺なのだから一応基本的な事が出来るところまで面倒は見るべきだろう。それにこれがきっかけとなって浩介が自信を持てば「対魔忍アサギ3」のフュルストのフラグも消えるかもしれないので、そう思えば浩介の面倒を優先するのも苦にはならなかった。

 

 実際パソコンを使った事務作業を覚えた浩介は春休みの終り頃になると、自宅で任務を終えた対魔忍が提出してきた小学生の作文レベルの報告書のチェック……というか主に誤字脱字の訂正を泣きそうな顔でしていたアサギを手伝っていた。それによってアサギは純粋な感謝の言葉を浩介に言って、本人も満更ではなさそうな顔をしており、この調子でいけばフュルストに騙されることもないだろう。

 

 ……まあもっとも、浩介に事務作業を教え始めたばかりの頃「報告書の作成? それが何の役に立つんです?」と馬鹿にするような目をして言われた時には、一度本気で見捨ててやろうかと思ったが。

 

 とにかくそんなことをしているうちに春休みが終わって俺は高校一年生に、銀華は中学三年生にと進学した。しかし学年が一つ上がっても俺達の扱いが変わることはなく、俺と銀華は始業式が終るといつもの如く対魔忍の任務が与えられるのであった。

 

「頼人先輩。私達に対魔忍の任務が出ました。今夜にも出てほしいそうです」

 

 始業式が終り、学生寮にある自室に帰ろうとすると、俺のクラスにまで来た銀華が自分の携帯に送られた任務のメールを見せてきた。

 

 最近、任務等の連絡は全て銀華に送られるんだよな。それに任務の日当も何故か彼女から渡されているし、もしかして俺ってば徐々に私生活を銀華に管理されていってる? ……まさかね。

 

「そうか。それで任務の内容は?」

 

「いつもと同じ魔族の武装勢力の偵察です。武装勢力への襲撃は別の部隊が行うそうなのですが……」

 

 俺が聞くと、銀華は自分の携帯に送られた任務のメールの内容を説明してくれたのだが、途中で言葉が切るとその表情を嫌そうに歪めた。……これってまさか。

 

 銀華はあまり表情を表に出さない性格で、そんな彼女がここまで嫌そうな表情を浮かべるのは珍しい。俺は銀華がこのような表情をする理由に一つ心当たりがあり、嫌な予感を感じつつも彼女に質問する。

 

「銀華、一体どうしたんだ?」

 

「……………頼人先輩ももう気づいているでしょう? 今回の襲撃部隊には『あの先輩』がいるんです」

 

 あー……やっぱりか。

 

 銀華の言葉を聞いて俺は嫌な予感が当たっていたことを知り、内心でため息を吐くのであった。


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