福神と死神が!   作:十握剣

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貧乏神が! の登場キャラではやはり一番好きのがたんぽぽなのですが?やはり一護とたんぽぽの組み合わせを早く書きたいですねぇ(笑)

恋愛とは、難しい、でも一護って絶対にギャルゲの主人公になれるくらい素質持ってると思います!

何あの『世界を敵に回しても女を護る』的なカッコ良さ!!!

黒埼一護大好きです!




蒲公英再花篇
Round1「仕事始めのグダグダ感ありますよね? そんな感じのグダグダ感」


 

『刃禅(じんぜん)』を終えた一護、もとい死神・伽籃菜(カラナ)は早くも人間界(現世?)にある市街地、仏女津市(ぶつめつし)に足を踏み入れていたのだっ♪♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「飛ばし過ぎだろおおおおおおおおぉぉぉぉぉおおおおおおおおおぉぉおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!!」

 

 

 

河川敷で珍しい髪色をした青年が叫んでいた。

 

「あぁ〜、あんまり騒がんといてよ、カラナくん。君の髪の色と眉間の皺の数だけでかなり目立つんやから」

 

大声を張り上げながら叫んでいるオレンジ色の髪をした青年、一護は隣で釣りをしている銀髪の男を睨む。

 

「いやふざけんなよ!! 前回(まえ)の話からすれば流れ的に修業とかバトルパート突入じゃねえのかよ!? 何普通に降り立ってんだよ現世に!」

 

「まぁまぁ、落ち着きぃ」

 

「落ち着いてられるかァ!! なにてめぇも釣りしてんだ!」

 

「あぁ〜・・・・・喉乾いたわ」

 

「・・・・・てめぇ」

 

一護は白いスーツを着込んだ銀髪の男、市丸ギン(“こっち”での名前は金盞花)にジリジリと拳をポキポキと鳴らして迫ろうとすると、

 

「一護、凄いぞ。もうこの時代はお前が居た時の時代になっている。コンビニがあった」

 

首まで伸びた長い黒髪を無造作にだらけさせた頭をした青年がコンビニ袋から安いバニラアイスを取り出しながら歩いて来た。

 

「お前も順応早ぇよ!! 何コンビニ行ってんだ!」

 

「暑いからアイスを買って来たのだ、そう騒ぐな暑苦しい。お前にもアイスを買ってきてやったのだから文句を垂れるな、・・・・・ほれ、苺バニラだ。お前の名前が入っているぞ」

 

「刀がアイスを食うのか、それと金はどーやって手に入れやがった、あとオレの名前入ってるから苺バニラか? 馬鹿にしてんだろ! それにオレはガリガリくん派だあぁぁぁ!!」

 

「具現化しているのだから霊力が減るに決まっている、物を食べれば霊力も回復するのでな。お金はそこの市丸ギンから預かったもので買った。お前がガリガリくん派なのは知らなかった、だがバニラを馬鹿にするなよ? このとろけるような甘味がなんとも・・・・・・・・・・」

 

そう言ってまたコンビニの袋からアイスを取り出した黒い青年はまたバニラを食べる。

この青年は一護の斬魄刀「斬月」が具現化した“刀”であり、始解状態の「斬月」ならばサングラスを掛けた渋カッコいい壮年の男性なのだが。今は卍解した『天鎖斬月』の状態なので若い青年のままなのだ。女と間違えてしまいそうな程美形に入る顔立ちなのでかなり目立つ。

 

 

「おおっ! 反応した」

 

 

そして自分の刀と喧嘩しそうになっていた一護はまだ釣りをしていた市丸に振り向く。

 

ズバアァァァァァンッ!!

 

と釣り針らしき物が黄色いヌイグルミらしき物を噛みついたまま川から見事に釣られ上げられた。

 

「アレは貧乏神がもつ道具(アイテム)の一つ『貧困さんいっらしゃ〜い』という道具らしい。神界(たかまがはら)から召喚する貧乏神道具(びんぼうがみアイテム)みたいだ」

 

そう言って天鎖斬月(長いので斬月に以下略☆ 大した長くねぇだろ、とかは思わないことだゾっ♪☆)は五つ目のバニラアイスを口にしていた。

 

市丸は釣り上げたその黄色い物体を河川敷の土の上に豪快に引き上げた勢いで降り下ろした。

グチャアッ! と水分を含んだヌイグルミの打ち付ける音が妙に生々しく『うわぁあ・・・』と一護は侘しく苺バニラを食べながら見ていると、市丸はそのずぶ濡れになったヌイグルミに指差して、

 

 

 

「“これ”君の使い魔や」

 

 

「はぁッ!?」

 

いきなり意味不明な事を言ってきた市丸に一護はクワッと目を見開いて驚く。

 

「死神界に置いてきた可愛らしい双子の義妹さんからのお届け物や、二人が作ったんやて」

 

釣竿『貧困さんいらっしゃ〜い』を肩に掛けて話す市丸。

そう、死神界で修業をした一護はまだ未熟である架梨(カリン)と幽子(ユズ)を置いて、人間界に降り立ったのだ(半場無理矢理)。

 

「そ、そうなのか」

 

一護は本当の妹である夏梨と遊子と瓜二つのあの双子を思い出して優しい笑顔になる。妹の想いの優しい兄貴は濡れてしまったヌイグルミを手にして、見てみると。

 

「ごほごほっ! ゲホッゲッえぅうっヴホッヴゥゥおおヴぁええェェェ!! いぎなりずいぢゅうどがまじがんべんッッ!!」

 

「コンじゃねえええかッッ!!?」

 

 

道端に捨てられてそうなライオンのようなヌイグルミを見て一護は叫んだ。

 

コンとは『尸魂界(ソウル・ソサエティ)』で企画された計画『尖兵計画(スピアヘッド)』に持ち上げられた戦闘用擬似魂魄「改造魂魄(モッド・ソウル)」の義魂丸のことである。

因みに肉体から魂を強制的に抜く丸薬が「義魂丸(ぎこんがん)」の事。

 

 

「それはコンやないで〜」

 

市丸はヌレグルミ・・・・ではなくヌイグルミに指差したまま一護に言う。

 

「その使い魔は藪蘭(ヤブラン)て言(ゆ)うんや、まさか知らんかった!?」

 

「知ってるとでも?」

 

そう言って一護はギュウウウゥゥゥと藪蘭(ヤブラン)と言うコンそっくりのライオン人形を絞(しぼ)る。

 

「ぎぃぃやああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「うるせえな」

 

そう言って一護は絞り終えると藪蘭は一護の手から逃れる。

 

「てめぇいきなり絞殺(こうさつ)を試みるたぁ、大した計画性野郎だぜ!」

 

そう言って藪蘭はびちょびちょの腕を一護に向ける。

 

「やめろよ、まだ水含んでだろ」

 

ぐぬぬぬ! と藪蘭が歯を食いしばっていると。

 

「ほな、僕は帰るから後は頑張りィ」

 

帰る方法を探す為に市丸は死神界に帰ると言うが、ぶっちゃけ信用に欠ける。

 

「まぁ、時間に気にする事無いんや、気長に“この世界”を満喫したらエエよ。詳しい連絡やらはその藪蘭に連絡出来るし《鬼道》を使えば簡単や」

 

そう言って市丸は掌からいきなり白布を伸ばし自分の周りに旋回させる。

 

「まだ人間界(こっち)に居(お)るから、近い内に会いに来るわ」

 

そう言って白布が勢い良く旋(まわ)り、市丸の姿を包むと、

 

「ほんなら、“頑張りや”」

 

そう言って市丸は白い布と共に『そこから居なくなった』のだ。

 

「確かあれは“千反白蛇(せんたんはくじゃ)”という移動術だったか」

 

全てのアイスを食べた斬月はコンビニ袋にゴミを入れながら説明した。

 

「・・・・・思ったんだけどよォ、何で斬月はそんな詳し────」

 

「作者の意図的な何かだろ」

 

言っちゃイケない事を口走る斬月を一護は細目で流す。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・グダグダだ」

 

そう言ったのはあの人でもこの人でも無く、誰でも無い一護だった。

残された一護、斬月、藪蘭見晴らしの良い河川敷で市丸があんな事をすれば目立つ、そして一護と斬月も目立つ訳で人が群がってきた所を一護が何とか言いくるめてその場から逃避する。

 

その後は何処に行く宛ても無く仏女津市をただ歩くしか目的が無い一護。

だいたい人間界に降り立った時点で何か目的があったのか? と一護は思考を巡らせる。

 

(ハッ! もしかしたら市丸の奴、この市街地に何か帰る方法があるかもしれない事をオレに気付かせる為にッ!)

 

そう言ってる間に斬月と藪蘭は電化製品がずらりと並ぶ電撃金庫店のハイビジョンテレビに夢中になっていた。

 

「むぅ、この黒い箱から映像が流れているのは・・・・・どういう仕組みに」

 

「典型的なボケかましてんじゃねーぞワカメ頭! それよりそこのジョシコーセーに話し掛けやがれ! おめぇの面ならイケる!」

 

「お前らァ・・・・・」

 

テレビに夢中になっている斬月の肩に乗りながら人の目を気にせず動きまくる藪蘭。

一護は急いで藪蘭を隠そうとするが周りの人達は全然気にしてなかった。

まるで人形が動き回る以上の異常を知っているかのように余裕の顔がチラホラと。

因みに斬月の服装は黒いスーツに上質なコート着込み、完全にホストか俳優の職に就いてそうな印象姿になてっいた。一護の服装は生成りの生地にメタルボタンが着いている白いシャツ、立体的なスカルの柄にバックにダークグリーンのボカシ染めコートを羽織っていた(この服装全て会社負担で購入)。斬月に劣らぬイケてる面を持ったMEN(メン)なのだ。

行き行く男子も同性なのに目が自然と一護と斬月を追い、行き行く女子は完全に二人を直視している者や頬を赤らめている者、声を掛けるにも度胸が必要としてオドオドしている者が居た。藪蘭はそれをエサに女子に触れ合う計画を企てていたのだが、

 

「ムッ・・・・・」

 

斬月は空を見上げて何かに気付いた。一護も何かの感覚に気付き同じ空を見上げると、

 

 

 

 

 

「熊谷っ! 早く逃げないと殺されるぞぉぉぉ!!」

 

「どうして逃げるの紅葉!!? ホラ! 怖くないわよ!?」

 

「・・・・・」

 

「怖くねぇって言ってんだろ!! 止まれぇえ!!」

 

ギャインギャアァン! と人面バイクに乗った女子が空を爆走していた。

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

「凄いな一護、この世界では人面を着装させたバイクで空を飛べるのだな」

 

そんな訳ねぇだろ、と一護はツッコミを入れようとするが断念する。

 

 

 

そうか、こういう世界か。

 

 

 

色々と真面目に考える方が馬鹿なんじゃないかと、宿探しをした方が良いと言う結論に一護は思考を落ち着かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

取り敢えず宿探し。

 

一護は歩きながらそう考えていると、

 

「一護よ」

 

斬月が疑問そうな声で一護に聞く。一護は振り向かずに耳だけを傾ける。

 

「死神界の修業もあったせいか、少しは顔に感情が出て来なくなってはいる、が」

 

そこで斬月は藪蘭を一護目掛けて投げる、一護はヒュンッと振り返りながら裏拳を藪蘭に繰り出し、『ふぎゃあぁ!?』と藪蘭は電柱に衝突する。

 

「なにしやがる」

 

一護は眉間に皺を寄せて斬月を睨む、すると斬月は片手を一護目掛けて縦一閃に降り下ろす。

 

ゾワッと嫌な感じに襲われた一護はすぐに横飛びして縦一閃(それ)を躱(かわ)す。

 

ズガンッとまるで刀によって斬られた跡が道路を抉(えぐ)っていた。

 

「幽かに感じる霊圧を辿っておるな」

 

斬月は見下ろすようにそう言い放つ。

すると一護も斬月の視線から逃れるように逸らす。

 

斬月は溜め息を吐きながら再び説教をしようとしたその時だった。

 

 

 

 

 

「危ねえ!!」

 

 

藪蘭が何かを見て叫ぶ。

斬月と一護は瞬時にそれに反応して直ぐにその場から離れる。すると、

 

カンッと白い刃のような物が静かに道路を貫いた音だけが響いた。

 

 

そして次の瞬間、刃が無くなった。

 

(これどっかで!)

 

一護は感じた霊圧と襲撃した刃を見て周辺に気配を探らせる。

 

「馬鹿者ッ! 臨戦体勢だ!」

 

直ぐに斬月は元の姿、黒刀『天鎖斬月』に戻って一護に飛ぶ。一護も藪蘭を片手に掴みながらもう片方の手で『天鎖斬月』を掴む。掴んだ手から衣服が黒色に変色し、卍解状態の死覇装に身に包んだ一護はすぐに構える。

 

 

 

 

「フフフフ、よぉく反応できました」

 

 

 

 

 

その声の源を見る一護、そこには銀灰色の長髪にミニスカート丈の振袖、黒いニーソックス、袖を通さずに肩に引っかけた羽織といった出で立ちで全身が黒一色の恰好をした女性が居た。

 

「てめぇ、いきなり何しやがる!」

 

「『いきなり何しやがる』だって?」

 

女性は笑顔を浮かべて飄々と一護に問いかける。

 

 

 

「わざわざ《襲撃》して理由(わけ)を話す奴がいるのかい、坊や」

 

綺麗な顔立ちをしたその女性は笑顔を浮かばせたまま、一護の懐まで“一瞬にして近寄った”。

 

(・・・・・ッ!!・・・・・)

 

「動作の乱れは心の乱れ、だよ坊や♪」

 

ズバッ! と容赦の無い斬撃が一護の左肩を一閃する。

だが一護は焦る事は無くすぐに次の動作に入り、天鎖斬月を鋒(きっさき)をすぐに銀灰色の髪をした女性の喉元に突き付けた。その間僅か一秒も掛からなかった。

 

「もう一度訊くぜ、・・・・『いきなり何しやがる』?」

 

一護は敢えてまた先程の問いをその女性に向けて言い放つと、女性は不適な微笑みを浮かべていた。

 

その時、一護はこのような局面でこんな不適な微笑みを浮かばせる相手を知っていた。

 

 

 

 

 

「良いねぇ」

 

 

 

 

 

女性の言葉と同時に一護はすぐに後方に下がった。

 

「凄く良いよ、その刃の鋭さ、揺るぎ無い活力」

 

カチャカチャと女性の手にもつ刀が震える。

 

「嗚呼・・・・!!」

 

女性は興奮するように頬を紅くさせ、息をハァハァと妖艶に荒くさせ、身を悶える。

 

「嗚呼・・・・!! 私と、私と死合いましょう、坊や!!」

 

ビュンっ! と地を蹴り一護に斬りかかるその女性は興奮に満ちた瞳で次々と鋭すぎる刺突の嵐が一護を襲う。

 

『乱斬り』と言っても良いその斬撃は止まる事無く一護の急所を狙い、刺突する。

 

そして気付く、この女性から『霊圧』を感じることに。

 

(一体何者なんだ、この女(ひと)はッ!)

 

一護は少し喰いながらも全てを往(い)なす、だがそれを見てまた興奮する女性はまた刺突の嵐の勢いが激しくなる。

 

 

 

「おふぁあっ!! てめぇ伽籃菜っ! ちゃんと避けやがれ」

 

銀灰色の髪をした女性は刀を一護の天鎖斬月を押しつけるようにして足で一護の体勢を崩す。

 

そして一瞬の隙を見逃さなかった女性は刀を一護の心臓目掛けて突き刺そうとするが、身体を捩り込ませながら避ける。だが藪蘭は一護から離れ、一瞬にして宙に浮いたと思えば。

 

 

グサッ

 

 

 

「うおおおおおおいっっ!! オレ刺さってる!!」

 

女性の白刃が見事に藪蘭の胴体を貫いた。

 

「てめぇ伽籃菜っ!! ちゃんとしやがれ!!」

 

「・・・・お前さっきらカラナ、カラナって誰に言ってんだ?」

 

「お前ぇだよっっ!!?」

 

あっ! そうだった、と一護もこっちの世界での名前を思い出す。

 

だが一護はすぐに銀灰色の髪をした女性に向き合い、構える。

 

「はぁ〜、一体どうすんだよ。これ」

 

そう言って一護は女性に話しかける。

 

「人に見られたらどうすんだよ、アンタ」

 

「大丈夫〝人が来ないようにしてるから〟♪」

 

何言って────、と一護が言おうとすると、藪蘭を一瞬にして引き抜いてまた一護に鋭利の鋒が飛ぶ。

 

訳も分からず対戦する一護。

 

ただただ藪蘭は虚しく道路に斬り捨てられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

場所が変わりこの原作の主人公である桜市子(さくら・いちこ)は街を歩き回っていた。

 

桜市子は一般人よりはるかに多くの幸福エナジーを持ち、人間界の『運』のバランスをどえらく乱す少女であり、そんな彼女を止めるべく、貧乏神である紅葉(もみじ)という少女にとり憑かれている。

 

『幸』と『不幸』の均衡を保つため、市子にとり憑いた貧乏神・紅葉は市子から幸福エナジーを奪う為に日々、切磋琢磨の如く頑張っている・・・・という嘘を言い張る訳も無く、そこはかとなく頑張っている紅葉の前に先程、同じ貧乏神にして同僚の綾目(あやめ)に会い、逃げ続けていた。

 

その逃避の際にこのラッキーガールにして莫大な幸福エナジーを持っている桜市子の風呂場を破壊して逃げたことに、毎度のことながら市子は紅葉と綾目に『一発ずつ殴ってやらなきゃ気が済まない』らしく、イライラしながら貧乏神を捜していた。

 

(あの貧乏神共は何処に行ったのよっ!)

 

「あら、桜市子さん」

 

そんな風に思いながら市子が歩いていると、ふと頭上から声を掛けられる。

 

「あっ!!」

 

「さっきはど〜も♪」

 

飄々と笑いながら市子に話し掛けてきたのは死に装束を着て、黒くて長い髪をした貧乏神・綾目だった。長い髪が風に揺れていた。

 

「どうも〜♪じゃないでしょ! そこから降りて・・・えっ!?」

 

市子の視線の先には綾目以外の貧乏神が二人居た。

一人は「貧」の字が入ったチャイナドレスを着た少女で右目に包帯を覆っていた。

もう一人は「貧」と書かれたフード付きのポンチョを着た少女で左腕をギプスで覆っていた。

 

「そう言えばあなたにはまだちゃんと自己紹介してなかったわね?」

 

そう言って綾目を初めに他の二人を紹介する。

 

「私は貧乏神の綾目、同じく杏子(あんず)と楓(かえで)よ」

 

笑顔で優しく説明する綾目だが、恰好が恰好なだけあり綺麗よりも不気味さが勝っていた。だが市子はそんな不気味さなんかよりも気にかかっていた物が貧乏神の彼女たちの手にあった。

 

「な・・・名前なんてどうでもいいわよ・・・・それよりあんた達の持ってるのは・・・・?」

 

その驚いている市子の表情と聞かれた質問を待っていたかのように綾目は笑顔で答えた。

 

「ああ、これ? これはね、竜胆嵐丸、艶光路撫子、招き猫タマ、破戒僧ボビー・・・・そして犬神桃央」

 

そこで一旦区切り、重みのある言葉で、

 

「あなたにとっても近い人たちの幸福エナジーよ」

 

「・・・・っな!?」

 

「あとからもう一人、黒百合という子が石蕗恵汰とその弟妹(きょうだい)の幸福エナジーを持ってくるわ」

 

そこまで言って市子は綾目に怒鳴る。

 

「あ・・・あんたね!! あまりふざけたこと言ってると・・・・・」

 

「あら☆ 嘘なんて言ってないわ」

 

そう言って市子の言葉を止める綾目。

 

「私たちと紅葉は昔から友達なの、だからなかなか人間界から戻って来ない紅葉のことがとても心配で心配で。だから皆で紅葉を手伝ってあげようってことになったのよ・・・・ねぇ桜市子さん」

 

そして綾目は妖しい目の色に変わり、試すように市子に訊ねた。

 

「あなたの幸福エナジーを全部くれたらお友達の幸福エナジーは返してあげる」

 

ぴくっと反応する市子。

 

「断れるワケないわよね・・・? だってあなたは幸福エナジーを全て失った人間がどんなことになるか知ってるものね?」

 

「・・・・っ!!」

 

市子は綾目から視線を逸らし、前に起きた出来事を思い出す。

そう、市子は前に自分が持つ幸福エナジーが周囲の幸福エナジーを奪ってしまってる事を紅葉から重々説明されたし、〝体験〟もしたのだ。

 

ふふ・・・・、と綾目勝ち誇ったように顔になると、さっきら感じる紅葉の不幸エナジーが集中している看板に向かって叫ぶ。

 

「紅葉!! そこにいるんでしょ!!? 出てらっしゃい!!」

 

綾目がそう言うと面倒くさそうな表情をした紅葉が現れる。

 

綾目は紅葉が出てきたことを確認すると、黒い微笑みを浮かばせて言い放つ。

 

「お膳立てはしてあげたわ、さあ紅葉、あとは」

 

 

 

あたなが桜市子から幸福エナジーを回収しなさい

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

今まさに桜市子対貧乏神の戦いが始まる直前の時、一護と襲撃者である銀灰色の髪をした謎の女性との戦いが空中戦にへと変わっていた。

乱刀する一護の黒刀『天鎖斬月』と銀灰色の髪をした女性の白刃が打ち合う響音が仏女津市を覆っていた。

体勢を崩さず、死神の力が戻った一護は空中に『霊子』を足下に集め〝空中を蹴り駆ける〟という人在らざる技を見せる死神・伽籃菜(一護)。そして同じく『霊子』で空中に立つ事が出来ている銀灰色の髪をした女性は微笑みを絶やさないで突っ込んできた一護を往なす。

 

ツガァァァン! と空中なのに往なされて顔を打ち付ける一護は、ぶはぁあ! とやっとこさ突っ込んだ勢いが止んで突っ伏した上半身を上げた。

 

「クソッ! 何か軽くあしらわれてねえかっ!?」

 

「あっ、気付いた? クスクス♪ やっぱり戦いになると坊やは飛躍的に何かが伸びてる気がするねェ」

 

そう言って白い刃が目立つ日本刀を彼女は垂直にして勢いを付けるように奥に引く、そして白刃の鋒が一護に狙いを定めると、

 

 

 

 

 

「〝虚化〟・・・・した方が良いよ」

 

 

 

その刹那。

 

 

 

ヒュンッ! と風が通ったような音がした瞬間。一護は『押し飛ばされて』いた。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

綾目は紅葉と桜市子を戦わせ、同僚でもある杏子と楓も参戦している中、悠然と座りながら見ていた。

そんな彼女の傍にはさっきまで居なかったのに銀髪の髪をした男が腰を下ろして綾目と話していた。

 

「どうや、君の考えてる通りになったん?」

 

「そうかもしれません、でもまだ実際どうなのか・・・・・あっ、楓たちが戻ってきました」

 

二人が話していると、紅葉と市子のバトルに参戦した楓と杏子が見事に返り討ちに合い、ぐすぐすと杏子は泣きながら、楓は頭を押さえながら帰ってきた。

 

「お帰りィ」

 

銀髪の髪の男がそれを言うと杏子は、ふぇぇ〜〜ん!! と泣きながら男に抱き着いた。イジメられた子供を慰めるような大人の表情で男は杏子の頭を撫でていた。

 

どうしたの? と綾目は分かりきった質問をするが楓は頭を押さえたまま答える。

 

「ゴメ〜ン・・・・無理だった! やっぱり桜市子ひと筋縄じゃいかないわ・・・」

 

「そう・・・────で、どんな感じだったの?」

 

綾目は人間界に着た『目的』を楓に聞く。

 

「う〜ん多分綾目の思ってる通りかも・・・・」

 

「・・・・・そう・・・仕方ないわね」

 

そこで少し落ち着いて着た杏子をまだ撫で続けている男は微笑みを浮かばせて綾目に聞く。

 

「〝そろそろ〟かィ?」

 

「ええ、そろそろ・・・終わりにしましょうか」

 

丁度その時だった。

 

 

 

 

『コラーーーッ!! 逃げるなこの貧乏神がーーーっ!!!』

 

『うふふふ☆ こっちよ〜捕まえてごら〜ん』

 

ゴゴッ! と建物を派手にぶっ壊して現れたのは話の中心的人物である紅葉と市子だった。

 

 

(なーんや)

 

 

そこで唯一、ニヤニヤと楽しみ笑っている男はチャイナドレスを着ている杏子の頭をポンポンと軽く叩いて立たせると、男も立ち上がり紅葉の『狙い』を感付く男は綾目たち貧乏神の前に一歩出る。

 

とぅりゃあああぁぁ!! と紅葉を倒す為に『蘇民将来』を降り下げると、桜市子の幸福エナジーによって色々と変わった十二支が一気に現れて綾目や楓たち貧乏神に放たれた。だが、

 

 

 

 

ブワッ!!!!!!

 

 

 

 

 

何故か急に冬の季節のように冷たい“何か”が重圧のような圧力にその場を支配される。

 

 

「・・・・・なっ!・・・・・」

 

そこで紅葉はすぐに気付いた、綾目たちと一緒にいるあの銀髪の男が居ることに。

 

 

「破道の三十一・・・『赤火砲』」

 

 

男は片手を向かってくる十二支に向けると死神の呪術である『鬼道』で向かい撃った。

 

火の玉を発火させ撃つ。赤火砲は十二支に見事直撃。バタバタと落ちていく。

 

「えっ・・・・!?」

 

市子も何がどうなったのか分からずに紅葉と一緒に綾目たちが座っていた屋根上に降り立つ。

 

「あのぉ〜、少しお聞きしたいことがありま〜す」

 

そこで紅葉がギプスを着けている手を上げながら綾目や銀髪の男に質問する。

綾目なチラッと男を見て、男も微笑んで紅葉を見る。

 

「エエよ、言うてみ」

 

男がそれを言った瞬間、ふぅ〜。と息を吸い込んでから稀に見る紅葉の焦った目が男を捉える。。

 

「何故“あなた”が人間界(こっち)に居るんですか?」

 

「心外やわァ〜。僕も仕事で人間界(こっち)に来てんだけやでぇ」

 

銀髪の男は白い着物を着込み、袖が長く手を隠すようにして少しづつ歩み寄る。

 

「あなたの仕事にこの桜市子に関わることがあると言うのですか、と聞いているのです!?」

 

紅葉の焦りようを見て、これは本当に〝危ない〟んだと理解する市子。

そして男に向かって大声を上げている紅葉を見て、男は微笑みながら言う。

 

「そないに敵視しないで欲しいわ、綾目たちと一緒に小っさい頃から会おうてたのに、冷たいわァ」

 

寂しそうな事を言う男だったが、顔は微笑んだままなので逆に不気味だった。

 

(小さい頃って、まさかコイツも神様?)

 

市子は男を警戒して様子を見る。こんな攻撃的な神様に会ったのは初めてなので少し心臓がバクバク鳴っている。

だが紅葉がずっと男を睨んでいるので会話が進まないと判断した綾目は男の脇からヒョイッと現れて先程の行為を訊く。

 

「ねえ紅葉、今はその話では無くさっきの行動について訊きたいのだけれど、あなたさっきわざと私たちに当たるように仕向けたわね? ねぇ・・・仕向けたでしょう?」

 

綾目がそう言うと紅葉は男を睨んだまま、

 

「さ〜てなんのことですか〜?」

 

口調こそふざけているが相変わらず銀髪の男を睨みを外さない紅葉。綾目も笑顔で『とぼけてると喉元抉るわよ?』と死神も身を縮み込ませるような言葉を吐く。

 

綾目にどういうこと? と聞かれた紅葉は、う〜〜ん・・・。と悩む。そこでやっと銀髪の男から視線を外した。

 

そして紅葉は自分の今の心境を自分でも少し分からない風に話す。

 

「その・・・・ご協力はホント有難いんですが・・・・何と言うか、数で攻めればそりゃ有利だろ──と言うか。市子(アイツ)にセコイと言われるのは癪(しゃく)に触る──と言うか。市子(アイツ)に・・・市子(アイツ)は・・・」

 

そこで紅葉も、ああ、そうか分かったぞ。といった感じに綾目や銀髪の男に向けて。

 

 

 

 

 

「市子は私の獲物なんで、邪魔しないでとっとと帰れ───と言うか」

 

 

 

その台詞を聞いた貧乏神の綾目たちと銀髪の男、そして何より市子が驚いていた。

 

「───とは言えいい機会っちゃいい機会なんで終わらせますよ今日ここで・・・」

 

そこでまた紅葉は腕に装着した巨大な注射器を構え、市子も少し照れながらも蘇民将来を構えると、綾目が、

 

「はい! じゃあ二人共そこまで〜〜♪」

 

「「は?」」

 

バトル展開的な今の空気を崩壊させる綾目の言葉で二人は心の底から『は?』と綾目に疑問を向ける。

 

「私たちが人間界に来た本当の目的は『紅葉の現状』と『桜市子の可能性を知る』ためだから。もしあなたがお友達のエナジーを見捨てるような人間だったら私たちは容赦なくあなたのエナジーを奪って帰るつもりだったわ」

 

呆然と市子は綾目の話を聞いていく。なぜこのような手段でやったのかは判明し、紅葉がきちんと上に報告を入れないのが原因の一つらしく、原因の紅葉は鼻をほじりながら反省の色を見せていなかった。

 

皆の幸福エナジーも奪って無い、と綾目が市子に言うとピンッと招待状らしき手紙を市子に渡した。今回の作戦の邪魔をされないようにある特定の場所に集まって貰っているらしい。

 

用件が全て終わった綾目たちは見守るようにして立っている銀髪の男が話し掛けてきた。

 

「あまり山吹姐さんを困らせちゃいかんよォ。紅葉ちゃん」

 

うぐっ、と紅葉は銀髪の男に臨戦体勢を取る。

 

「アンタやけにソイツに敵視してるけど、どういう関係なの?」

 

市子はそう言うと紅葉や綾目といった貧乏神がビクンッ! と反応する。

 

「ふふ、幸福エナジーを莫大に持っている人間の荒業ですね、よくぞそんな事が言えたもんだ」

 

「ねぇ、あなた死にたいの? 死にたいの?」

 

「馬に鹿と書いて馬鹿っ」

 

「無知ほど怖いモノは無いわね・・・」

 

四者四様の反応に市子は『えっ、何!?』と慌て始めるが銀髪の男は笑顔で説明する。

 

「ど〜も〜、この娘らとはこないな時から知ってる者です」

 

そう言って銀髪の男は人差し指と親指でいかにも豆粒並の小ささから〜、と微笑んで言うが。市子は苦笑いとどのような反応をすれば良いのか困っていた。

 

「笑って欲しいんですか、〝お兄さん〟」

 

ん? と紅葉が自然と出た言葉に市子は反応する。

 

「お兄さんって、コイツも貧乏神なの?」

 

またぞんざいな呼び方に綾目や杏子、楓が反応しようとすると紅葉がやれやれ、といった感じに肩を竦(すく)めて説明する。

 

「違いますよ」

 

「じゃあ何よ? 貧乏神の次は疫病神かしら」

 

ふんっ、と蘇民将来に司る十二支を『一撃』で凪ぎ払われたことに根に持っているのか、市子は片方の瞳を半目にして銀髪の男を睨み付ける。

 

「取り敢えず〝喧嘩を最も売ってはいけない〟神様なのは確かですよ」

 

えっ・・・、とそこで市子は紅葉に振り向く。そこには、ぷくくくく! 馬鹿だよコイツ! みたいな感じに頬を膨らませて笑っている紅葉が市子を指差していた。

 

「な、何よ。そんなこけおどしに引っ掛かるとでも────」

 

「『死神』様ですよ」

 

うえっ? と言葉が詰まった。

 

今なんと?

 

「八百万の神々ですら恐れられているあの『死神』様なんですよ。そちらの方は・・・」

 

「は、ちょ、はぁあ!!?」

 

「残念ながら本当なんですよ。兄貴っ! 兄貴の背中に刻まれたあの字を見せちゃってくだせぇ!!」

 

敵視してる割にはふざけまくる紅葉に《死神》と呼ばれた白い装束を着た銀髪の男は『エエよ♪』とノリに合わせて背中を見せる。

するとその男の背中には【死】の文字が刺繍され刻まれていた。

 

 

「本当だっっ!!」

 

(これだけで信じるのかい)

 

「これだけで信じるんですね、市子」

 

市子はぶわっとその字を見て焦りだし、銀髪の男はこの【死】の字だけで死神だと判断されたことに軽いなぁ、と思っていると紅葉も同じように思ったらしく言葉にして市子に疑問打つ。

 

「それと紅葉が何でお兄様を敵視してるのかは、紅葉が企んだ数々の奇策などを糸も簡単に見破ったり、山吹さんから頼まれてよく紅葉を捕縛された事があるからよ」

 

「うぉおい! 何勝手なこと言ってんだこの─────」

 

「なに紅葉? 私なにか間違ったこと言った? ねぇ・・・言ったかしら?」

 

綾目に理由をバラされてしまった紅葉はいちゃもん付けようと躍り出るが綾目に胸ぐらを捕まれて『いえ・・・なにも、言ってないっス・・・』と紅葉は汗を垂らしながら反論を打ち消した。

 

 

 

その後は何故か市子が『生意気(ナマ)ってすみませんでしたぁぁぁ!!』と全力で銀髪の男に謝ってきた。銀髪の男は微笑みを浮かばせて返事をしようとすると紅葉が代弁するように。

 

『君地獄決定♪♪ とお兄さんは言っています』

 

ぬおおああ!! と市子は紅葉をぶん殴り、また二人で戦い始める。

 

それを横に綾目は銀髪の男の袖をクイクイと引く。

 

「それで金盞(キンセン)お兄様、これからどうするんです?」

 

金盞(キンセン)と呼ばれた銀髪の男はにこやかに笑って綾目の頭に手を置いた。綾目は片目を閉じながらも悪い気分にはならずに、嬉しそうにしながら金盞の言葉を待つ。杏子や楓もどこか羨ましそうな目で綾目を見てる。

 

銀髪の男は静かに呟いた。

 

 

──〝仕事〟があるから行っといで───

 

ただ妖しく、微笑んだ。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

『だらァッ!!』

 

ガァッンッ!! と一護は『長く伸びた刃』を弾き返す。

そして一護の顔には白い髑髏状の仮面を着けた一護が居た。丁度両目を通るように頭上から頬の下まで縦じま二本の血のような色の波紋が彫られてある。

眼球が黒く染まり、瞳は黄色に変わり普通の人間の“眼”では無かった。

声もガラガラのように枯れたような響く声音になっており、不気味さが勝っている。

 

これが『虚化(ホロウか)』である。

 

この虚化した霊圧をまともに人間に与えてしまえば軽く昏倒状態に陥ってしまうほど強い重圧を放っている。だが平子たちとの修行やグリムジョー、ウルキオラの戦いにおいて飛躍的成長速度で虚化を御し得ることが出来、今も完全に自分の意思で虚化している。

 

『お前、その刀・・・いや斬魄刀か』

 

「うん?」

 

そして虚の仮面を被ったまま一護は天鎖斬月の鋒を銀灰色の髪をした女性に向けた。

 

『オレは知ってるぜ、その斬魄刀を・・・!』

 

「ん・・・・・」

 

銀灰色の髪をした女性は長い髪を揺らし、美しい顔で一護の話を訊く。

 

「それも〝剣を合わせる内に相手の考え〟が分かって言っているのかい?」

 

ぐっと一護は驚くように黒い眼球が揺れる。

だが言った本人である銀灰色の髪をした女性は『あっ・・・』と何かに気付き。

 

「まぁ・・・・今はこれ迄(まで)だね」

 

はぁ? と一護は髑髏状の仮面を無骨な音を立てて訊ねようとすると、

 

「なァんや、出るん早かったなぁ」

 

「ふふふ、お前が遊び過ぎてたから相手も怒ったのさ」

 

聞き覚えのある声がしたと思うと、一護の前に対峙している銀灰色の髪をした女性の後ろに銀髪の男、市丸ギンが『瞬歩』でいきなり現れた。

 

そして同時に一護に絡み付くように黒い触手のような物が現れた。

 

『がぁッ、はァ!?』

 

一護は訳も分からず虚化で上げた腕力で触手の縛りを弛ませようとする。

 

なんだこりゃァ!! と一護が吠える。だが市丸は眺めながら女性の背中からお腹に手を回すように抱き着く。女性も薄い微笑みを浮かばせて市丸の手に自らの手を添える。

 

「貧乏神の可愛い仔猫ちゃん達はどうしたんだい?」

 

「あの娘らなら“目標”の娘の家で同窓会やて」

 

「ならお前も行けば良かったろう、あの坊やなら一人で普通になんとかなるよ・・・?」

 

「イイや、無理や」

 

『てめぇらさっきらイチャイチャしてんじゃねぇぇぇぇよ!!!』

 

仮面で隠れているが一護の顔は赤くなっていた。市丸と女性は二人で互いに微笑んでみると、今度は女性の首に市丸の唇をキスさせ、片方の手は女性を寄せるようにお腹を押しつける。そしてもう片方の手は自由を奪うように女性の両手を掴んで次々と首に接吻(キス)をしていく市丸。

 

ぶはァあッッ!? と一護はなるべく見ないようにしながらもちゃんと見える位置で黒い触手を振り解(ほど)いていたのだが、一護にとって刺激の強い場面を目撃してしまい虚の仮面に罅(ひび)が入る。

黒い触手をそれを見逃さず、一護の顔面と首に触手を巻き付ける。

 

ぐぅっ! と抵抗をすればするほど絞めが強くなり仮面に亀裂が入り、呼吸が出来なくなってくる一護。

 

(ヤ、ベェ・・・)

 

余所見さえしなければこんな相手など敵では無い一護だったが、油断が招いた死角で今正に意識が無くなり《完全虚化》に入りそうになった瞬間だった。

ピキピキと仮面が割れ始め、黒い眼球で横を見るとさっきまで市丸に抱き着かれていた女性の姿は何処にも無く、ただ市丸が脇差しのような短い斬魄刀(カタナ)を横に持ち上げている所だった。

 

 

「まァ・・・・遊びも此処までやね」

 

そして市丸は己の斬魄刀を一護に巻き付いている黒い触手に向けて振り下した。

 

あのような短い刀で届く筈が無い。

 

 

もし黒い触手にそのような物を考える事が出来れば警戒する筈も無く、そのまま一護を絞殺しようとしただろう。

 

だが一護は市丸の刀、斬魄刀の能力を知っている。だから一護は身体をなるべく黒い触手から離れ、巻き付かれている顔面と首をなるべく黒い触手と離れるようにした。

 

最良の選択。

 

一護がいち早く取った行動で身体の一部分も無くならずに済んだ。

 

 

ズバァァァァァッ!! と黒い触手を斬り断つ音が一護の耳に、目に届く。

 

まるで悲鳴をするように奇怪な声で叫んだ黒い触手はうねるようにして空に逃げる。

 

そして一護は幽かに聞こえた。

 

 

 

 

 

───死ニタクナイッッ!

 

 

 

『ッッ!?』

 

 

一護は何処からその声を聞いたのか判断出来ないまま声の元を探そうとする。

だがすぐに判明する、その声の元は、

 

 

〔ギギギガガガギナタタババガガガギャガガ死ニタクナイイイイイ死ニタクナイ死ニタクナイ死ニタクナイ死ニタクナイ死ニタクナイギギギガガガギナタタババガガガギャガガアアアアアアアアアアアア!!!!〕

 

黒い触手からだった。

 

そして、その黒い触手を逃がさないように市丸は行く手を阻むように瞬歩で前に立つと。

 

「神サマが“死”を恐れますか? 滑稽・・・やね」

 

グチャアッ!! と市丸の斬魄刀で両断する。

だがまだ逃げようとする黒い触手に市丸は溜め息を洩らし、斬魄刀を柄を胸垂直に構え、鋒を黒い触手へ向ける。

 

「やめろッ!」

 

一護は虚の仮面を取り外し、市丸の前に立つ。

だが、市丸の刃は止まらなかった。

 

 

 

 

「射殺せ・・・神鎗(しんそう)」

 

そして薄い瞼から開けた血の色のような赤い眼が一護を見据え、そして死神の死の刃が通る。

 

 

 

「〝無踏連刃(ぶとうれんじん)〟」

 

 

 

 

 

 

間断(また)ない刺突が一護をも呑み込んだ。




黒埼一護も好きなのですが、やはり市丸ギンも大好きなのですよ(;´д`)
小説を読んでれば分かると思いますが、市丸が登場してます!

声優の遊佐浩二(漢字大丈夫かな?)も京都出身というわけで、市丸ギン口調もとい京都弁で書いていますが、やはり分かんないもんです。

京都出身の方や、京都に住まわれている方々に失礼な京都弁を使っているかもしれません(((・・;)
どうもすみません(汗)


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