早く書きたいです!
突き破るような刺突の嵐。
一護は『天鎖斬月』を神技(しんぎ)の如く白刃をずらしながら避ける。
だが、この嵐のような刺突は一護目掛けて放たれている筈もなく、『黒い触手』のようなものに向けての間断(また)ない攻撃。一護は必死にその黒い触手を助けようと藻掻(もが)くが、市丸も巧く行かせないよう、黒い触手に行けば行くほど心臓に近付く刺突を増やした。
─────クソッ!
一護は苦い顔をしながら黒い触手を見る。
市丸の斬魄刀【神鎗(しんそう)】に何の効力があるのか知らない一護だったが、確実に『死』が込められた一撃一撃に黒い触手は瞬く間に塵になるほどに突き散らされた。
─────静寂。
何も無くなかった場所を眺める一護。
『・・・・一護』
斬月が心配そうな声色で一護に声を掛けるが、反応はしない。
「どないしたん?」
市丸は微笑みながら鞘に斬魄刀を収める。
「市丸・・・・・」
一護は市丸を見るが怒りや悲しみの眼ではない、困惑している眼をした一護が空中で振り返る。
空気中にある霊子を足場に集結させ、その上に乗る死神の特有の歩法に一護は何も意識しないで無意識の中でやっている。
そんな一護に市丸は妖しく微笑むだけ。
「さっきのって・・・・」
一護が問い掛けるように聞こうとすると、市丸は鞘に収めた【神鎗】を空中に放り投げる、すると。
ピカッッと光ったと思うとそこには、先程まで一護と戦っていた綺麗で艶やかな銀灰色のした長髪を揺らした女性が現れた。
「んなァっ!?」
流石に一護もこれに驚き、斬月は刀状のまま溜め息を吐いているように見えた。
刀が溜め息を吐くなんて奇観以外のなにものでもないのだが、構わず斬月が話す。
『・・・・・してやられたな。一護』
続いて一護も斬月と共に溜め息を吐く。
刀と共に溜め息を吐くその様子は奇怪千万過ぎる光景だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
その後に、人目をきにせず戦えたのは市丸が施した何かしらの術式らしく、警察沙汰や騒ぎも何も無かったのが何よりの証拠になり、一護は苦々しくも納得する。
そして一護がさっきまで対戦していた女性の正体は市丸の斬魄刀である《神鎗》だったのを市丸から告げられ狼狽。
斬月と同じく斬魄刀を具現化した姿だった。
「いやァ、ご免ね」
「チィッッ!!」
何も反省していないこの銀髪細目の男は白いスーツの姿では無く、虚圏(ウェコムンド)に居た時の白い着物になっており。市街にあった出店で一護と斬月、そして己の斬魄刀である神鎗と共に説明会を始めようとしていた。
一護も説明してもらいたい事が沢山あるのだが、まず一番に訊きたい事を市丸に怒鳴るように詰問する。
「まず訊きてぇんだが・・・・・何でこの死覇装(ふくそう)なんだ!?」
一番はテーブルを思いきり叩き、ゴガンッ! と大きな音を立てて市丸とついでに神鎗も睨む。
一護の今の格好は卍解状態した死覇装のままで、全身が黒い着物だ。そして卍解の元たる天鎖斬月も勿論のように黒い服にフードが付いている状態だ。
こんな格好で街中一歩でも歩けば目が向けられるのは必然的であり、今の状態でも視線が一護たちから離れていない状態だ。
格好も加えてそうだが、この四人もそれぞれ個性豊かな顔立ちだ。
一護はいかにも最近の若者らしい外見なのだが意外にも整った顔立ちで、何より髪がオレンジ色なのが何よりも目立つだろう。
斬月は完全に上位に入る程の綺麗な顔つきだ、俳優顔負けのイケメンなので女性もしくは同性からも声が洩れてしまう程に目立っていた。
そして市丸も整った顔つきでの微笑み、受け取る側の気持ちによりその微笑みが光のように爽やかに見えれば、陰りがあり寒気を誘う不気味な微笑みに見えるその微笑(びしょう)が魅力なのか、やはり目立つ。何より服装が。
市丸の横に座る神鎗も黒い羽織を羽織って、白い肌を艶かしく目立たせ、銀灰色の長髪が日本では珍しくもあり最後にはやはり美麗過ぎる顔で斬月と同じく異性同性の心を綺麗に斬り取り、籠に積めていった。
やはり端から見てれば『何かのテレビ撮影か、イベント関連だろう』と集まってきていた。
出店もすぐに満席になった、だがこんなにも多いのに対して一護たちからしては全然有り難くない事なので市丸はテーブルの卓上を何やら上下左右に指をなぞらせた瞬間に周囲の人たちが一護をまるで“最初から眼中に無かった”かように各々の行動に移っていった。
そして千客万来だった出店は通常の数客に変わっていった。
そして市丸はテーブルに置いてあったお冷やを飲みながら微笑み、開口する。
「今のは鬼道の一種や、服は恐らくやけど死神化した時に替わってしもうたんろうねぇ。詳しくは解らんな。そして君が訊きたいんはさっきの“黒い”のやろ?」
カランっとお冷やの氷が掠れる音が鳴り、市丸は一護を見る。
そうだ、と言わんばかりに市丸を睨む。
市丸も肩を竦(すく)めるような動作をしてお冷やを置くと先に斬月が聞いてきた。
「市丸ギン、お前は何が目的なのだ」
だが聞いてきた言葉が予想していたのと違った。
「目的・・・? ボクが?」
市丸は斬月を試すようにとぼけて見せると、斬月も睨み付けるような目で市丸を見る。
「一護とお前の関連性を考えてもみろ、関連すると言えばお前と斬り合う場面だった筈だ」
確かにそうだった。
市丸と初めてあったのが尸魂界(ソウル・ソサエティ)の中枢区“瀞霊廷”の西門である白道門であった。
一護と市丸は互いに刃を交じり合った記憶を思い出す。
「そんなお前が、極僅かな間で完全に一護を信用してる訳が、何処から沸いて出てくるのだ?」
斬月の言葉に市丸は納得するように『ほぉ~』と息を漏らす。斬月は特に声を荒げること、まして怒る事も無く市丸に訪ねた。
修行の中、市丸も少なからず一護の手助け程度に付き合い、そしてこの世界の事を教わった。
貧乏神や疫病神、死神のこと。そして福の神。
八百万の神々についてもだ。
色々と良くしてくる市丸に疑問に思うのはしょうがないかもしれない。だが斬月は相棒であり片割れでもある一護の意思を尊重してずっと黙っていた。
だが今回の件は間違いなく市丸が“仕向けた”のは事実だった。
「そこの銀髪の女、それはお前の斬魄刀だろう。ならば繋がりなど一目瞭然だ」
「まぁ、そうやろね」
市丸は慌てる様子も無く、ただ聞いていた。
それに対して斬月も遠回しに言う程時間を潰すのは勿体無いと考えたのか、それとも市丸(コイツ)に向かって長々と疲れてまで喋る自分に嫌になったのか、斬月は単刀直入に最初に言った言葉を再び言い放つ。
「もう一度言う。市丸ギン、お前は何が目的なのだ?」
微笑みを崩さぬ男に斬月は肘テーブルに置き、両手を交差しだらけさせて口に押さえ付けるように答えを待つ。
すると市丸は珍しくも瞼を閉じていると言ってもいい細い両目を開いて、口開く。
「目的なんて、無いわ」
「「は?」」
真剣な顔になってからてっきり真剣な答えが返ってくると思っていた一護と斬月は呆けたような声を出してしまった。
クスクスと小さく笑う神鎗だが、どこか気分が沈んでいた。
「目的なんて無(なぁ)い、ボクは死神としての仕事をしてるだけや。」
ゾワリと総毛立つような声色で一護の周りを締め付けた。
「ただ、これだけ言えば解るかなァ?」
また目を細め、いつもの閉じたような目になって、目縁を上げる。
「僕は蛇や、肌は冷やい、情(こころ)は無い、舌先で獲物捜して這い回って・・・・」
そこで区切り、一護を見る。
「気に入った奴はまる呑みする、そういう生きものや」
※
一護と斬月、そして市丸と神鎗はとある場所にへと向かっていた。
先ほどまでいた出店からかなり離れている所だ。
市丸からの話を聞いて『どう捉えるかは・・・キミたちが判断しィ』とそれだけを伝えて、あとは質問に答えていった。
市丸が散々にした『黒い触手』のようなモノはどうやら元は神だったモノらしい。
『堕神(オチガミ)』と呼ばれるソレは死神が対処する仕事の一つ。
輪廻転生を織り成す生類の妨害、または生(もと)に戻る車輪を軌跡を壊すモノを含む全てを《抹消》するのがこの世界の死神の仕事らしい。
元来『堕神(オチガミ)』はかなり希少なことでしか起きない神災的のようなもので、個体で捉えるより『災厄を誘う元凶』といった感じで迅速に堕神を殺(け)さなければない。
「この世界もキミが居た時の日本と同(おんな)じや、人々は祭事を蔑ろにしィ、祠や神社の手入れ掃除も怠け、挙句の果てには壊す」
壊す、それは祭り上げている神を殺すと同意だ。
「そこから『堕神』が生まれる、いや“生まれさせられる”が正解や」
白く長い着物の袖を靡かせて、悠々閑々に歩く市丸に神鎗、一護、斬月と続いて歩く。
「今向かってるん場所はさっきの黒い触手の本体? ん~・・・・元凶んとこや」
こんなにのんびり口調だったか、と一護は思いながら周りを気にする。
それに気付いた神鎗が一護の腕に抱き着く。
「うおっ!!」
一護が驚くと神鎗も主と同じく、妖しい微笑みを浮かばせて耳打ちする。
「この世界じゃ和服を着た人を見ても普通だよ、もっと派手な変神(へんじん)とか居るしね」
「変“人”だよな? つ、つか耳から離れろよ!/////」
「恥ずかしいのかい? 女に抱き着かれたことないのかな? 顔赤いよ」
「うるへんだよ!!」
「ああ、変だな一護」
からかうように神鎗は一護に纏まり付く。後ろから斬月が溜め息を吐きながら赤裸々に吠える一護に背中を見ていた。
照り付ける太陽の下を歩き続け数分、黒い着物を着ている一護だが何故か普通の感覚なのに気付く。
「なぁ、斬月。暑くないないか?」
「あぁ、別段と暑くはないな」
「俺もだ」
「やはり、何かはあるのだろう。こうして私が一護と肩を並べて精神世界の外を歩けてる時点でおかしいのだからな」
そこで一護は斬月が少しふてくされているのに気付いた。偶然に。
そしてぼそぼそと斬月が何か言ってるのにも気付き、耳をその言葉に意識すると、かなり聞こえるか聞こえないかの声で、
「・・・摩天楼が恋しい(ボソッ)」
「・・・・・・・・・・」
天を衝かんばかりの摩天楼が宙にプカプカと浮かび、青い空に覆っていた一護の精神世界がやはり気に入っているのか、斬月は浮いている雲を見て、摩天楼の事を思い浮かばせていた。
そして相変わらず悠々閑々と歩いていた市丸がとある橋の下に目を向けて、歩を止めた。
一護も市丸の視線の先を見てみると、そこには黒い学生服を着て黒人のお坊さんみたいな人と首にスカーフを着け夏場にしても薄着過ぎる青年、そして何やら猫耳のような髪をした小さな女の子と一緒に酒を呑んでいた。
関係性が皆無に等しいと思うほどのあの集団に一護は疑問に思いながら市丸に振り向くと、
「あそこに行こか~」
一護の眉間にまた皺が増えた。
※
「なんじゃなんじゃあ!! 今日は客人が多いのう!」
「おいおい坊さん! 多いってまだ一人しか来てねぇじゃねぇブァッハッハッ!!」
「アハッハッハッハ!」
黒人の坊主(どうやら僧侶)が酒瓶を振り回しながら何故か橋の下に出来上がっているホームレスベッド(棄てられた布団)にダイビングしながらそう叫んでいると、その黒人坊主目掛けて炊飯器(これも捨てられた物)を投げつける赤いスカーフを首に巻いた青年も楽しそうに叫んでいた。
最後に笑っていたのは黒い学生服を着ている少年からだ。
「楽しそうやねぇ」
市丸が微笑みながらそこら辺に置いてあったダンボールの上に座る。
市丸が座ったことで一護は市丸に近寄る。
「これから『堕神』の本体ってとこに行くんじゃねぇのかよ?」
「その『堕神』なら僕が倒したよ」
ん? と横から会話に入ってきた人物に目を向ける。そこには先ほど黒人坊主とスカーフ青年と呑んでいた学生服の少年が振り向きながら答えた。
「こんちは~♪」
「お、おう」
一護は若干酒のせいでもあるのか、少年は顔を少しだけ赤くさせて一護の正面と向き合う。
「僕は~そだね~。伊佐(イサ)って言うんだぁよ。よろしくね」
土下座のように頭を下げる伊佐に一護は慌てて止めようと伊佐の肩に手を置く、すると瞬時に一護はブワッと身体中から冷や汗が流れでた。
ガバッと一護はゆっくりと頭を上げる伊佐の顔を見る。
普通な髪型に普通の顔、普通の声に普通の目をした普通の伊佐に一護は必死に目を向ける。
どこもおかしくない、でも“おかしい”とこの少年から伝わった。
そして伊佐はまるで酔ったように立ち上がると、まだふらついて一護の方に転ぶ。
一護は難なく伊佐を抱き止めるようにすると、まるで酔っているとは思えない平淡の声で一護に囁(ささや)いた。
「僕も“死神”だよ? よろしく~♪」
最後は皆にも聞こえるように笑いながら言う。
一護はすぐに市丸に振り向くと、黒人坊主から注がれた酒を呑んで、微笑んでいた。
オリキャラ登場┐('~`;)┌
すみません(;´д`)ゞ!