福神と死神が!   作:十握剣

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Round7「掴んだぜ」

意識が遠く、朦朧とする。

 

何があったのか、なんて考えるまでも無い。

 

空中に居た一護が蚕神・金色姫の生糸による刺突(つき)でバランスを崩して落下した、それだけだ。

 

それだけで純粋に、それだけ時間を浪費させてしまい、今一護ひとりだけ未だに山中で空を見上げていた。

片手に握る漆黒に輝く刀身と鍔と柄、そして柄尻から伸びた黒き鎖。

 

斬魄刀【天鎖斬月】から言葉を発してきた。

 

『・・・・・いつまでそうしている、一護』

 

───解ってるよ、それくらい。

 

『・・・・市丸ギンが、動いたようだぞ』

 

一護は語りかけてくる己の半身にして分身に目を向ける。

 

『あの福の神を救うのではないのか?』

 

「・・・・・あぁ」

 

『・・・・・・・・・・・・・』

 

黙り込む斬月に一護は柄を強く握り返す。上体を起こす為に腹筋や腰に力を入れはじめようとすれば、再び斬月から声を掛けられた。

 

『なら行くぞ、あの金髪の女に言われた言葉如きで意思を揺るがすな、たわけ』

 

言った同時に、一護は既に空中にへと身を投げ出していた。黒い着物、死覇装(しはくしょう)を揺らし、死神の特殊歩法『瞬歩』で一気に駆け出す。

 

空に漂う“霊子(れいし)”塊を蹴り、飛翔する一護は真っ直ぐに仏女津市へと向かう。

 

「あぁ、本当にバカだなオレは。決めたことなのによう」

 

蒲公英(たんぽぽ)を、今一度咲かすと決めたのだ。ならば何を躊躇い迷うことがある。金色姫が一護が裏切ったと糾弾しようが関係無いだろう、自ら決めた事から目を逸らすんじゃない。

 

だったらまず片付ける事がある。

 

 

 

「市丸ぅぅぅぅうううううううううう!!!」

 

 

 

もう一人の死神との決着だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、なーんや。あの蚕神さんが捕まえてるやないの」

 

そう呟いたのは長い金髪を揺らした幼女の隣に居る男、死神・金盞花こと市丸ギンだった。

 

あの後すぐに加勢しようとしたのだが既に金色姫が桜市子を捕らえていたのだ。

何やらビルの一角に、執事一人倒れているが、まぁ良いだろう。金山神の金山姫は巨大金鋏から手工具の『銘切鎚』を力強く握り締め市丸と共に金色姫の元に降りる。

 

「な、なんか凄い数の老若男女がロリ衣装着て吊るされているけどん・・・・・金色姫が着せたのかしらん?」

 

「阿呆(アホ)かッ!? どんだけオイラは余裕ぶっ飛んてんだぁ!? それにそんな趣味無いわぁ!!」

 

クワァッ!!! と目を見開いて全力で否定する金色姫に若干心配な目線を送りつつ、紫色の髪が特徴的なロリ少女に目を向けた。

 

「まったく、貴女は高校生の筈でしょうん! そんな格好して恥ずかしくないのかしらん! ああ、見てる方が恥ずかしいん!!」

 

幼女(アナタ)にだけ言われたく無いですわ!! ってゴラァ! 何マジで恥ずかしそうに視線逸らしてるんですの!?」

 

金色姫によって作り出された生糸による蜘蛛の巣では、周囲には老若男女が吊るされた妙過ぎる光景に市丸は離れたビルから眺めている。

 

じぃー、と細目なのか瞑っているのか分からない市丸の目線に金色姫は気付くと、声を掛ける。

 

「な、なんじゃ死神」

 

顎に手を当てながら見ている市丸に金色姫は不思議そうに聞いてみると、

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・露出狂?・・・・・」

 

ドガシャアッッ!!! と瞬時に市丸が居た場所に数千本の生糸の槍が貫いていた。

 

(だぁれ)が性的倒錯者じゃっ!!!」

 

金色姫はそう否定的に言ってきていたが、今の金色姫の状態を見てしまえば誰しもそう発言しても可笑しく無い状況だった。

 

仏女津市の市街地でビルとビルとの間に芸術性輝き煌めく現代アートを作り出したとは言え、金色姫の格好は正に裸体に近い状態だ。

女性の主な大切な場所にはきちんと生糸で巻かれるように隠してあるが、男を瞬間的に狼化させるあの豊穣たる胸が隠してるようで隠していない上半身。

 

白く輝く玉のような艶やかな肌を隠すこと無く晒け出しいる金色姫は間違い無く裸に近い。

 

何より下手にそこらへんに居る女優やグラビアアイドルに比べれば、間違いなく勝ち取るだろう金色姫の妖艶で美麗なスタイルに、街中を歩いている異性同性の人たちには注目されるの間違いないことだった。

 

 

必死だったとは言え、確かにこりゃ不味い! と金色姫は桜市子(ターゲット)を捕らえたことで早く元に戻そうとした瞬間だった。

 

 

ゾクッ!!!!

 

 

何やら夥しくも野生に満ち溢れた気配を感じる。

 

金色姫は気配を感じた方向を向けば、群がる人間たちが道を譲りながらゆっくりとこちらに歩いてくる人物に目を奪われた。

 

 

 

「ま~~た派手にやっとるのぉ」

 

 

ボシュウウウゥゥ!!! と人たちが『うわっ!』『何だ急に風がっ!』『外国人!?』と騒ぎながら覇気を醸し出す黒人僧侶の周囲に烈風が回る中、急いでその場から離れて行っていた。

 

ただ一人、そこにある男が突っ立っていた。

 

 

「か弱き民草の危機かと思い来てみれば・・・よもや・・・・・・・・斯様な痴女に出くわすとわ!!」

 

「はっ!!」

 

どくどくどくどくどくっっ!! と大量に鼻血を滝のように垂れ流している黒人僧侶・ボビーが金色姫を前に仁王立ちしている。

 

これは何かマズイっ! と女の感かそれとも常軌に脱しているあの黒人僧侶の変態的気迫に危機を感じた金色姫は慌て始める。

 

そして黒人僧侶、ボビーは一気に内に溜まった気迫を解き放つ。

 

 

 

「やあああありぃぃぃ!!! いただきマンモスぅぅぅぅっ!!!」

 

「げえええええええっ!!!! 気迫でここまで幻を見せるか・・・!!」

 

ゴオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォオオオオ!!! と女の子のパンティを丸坊主な頭に見事フィットした半裸筋肉マッチョボビーの気迫の幻に、金色姫はただならぬ恐れを抱き、涙目になりながらプルプルと震えて確認を相手に取る。

 

「い、いただきって・・・・お前まさか・・・こ、こんな公衆の面前で・・・・!!?」

 

そこでボビーは苦い表情になりながらも、確りとした“男の顔”で両目を瞑り、こう記した。

 

 

 

 

 

───据え膳食わぬは男の・・・・恥っっっ!!!!

 

 

 

そこで何やらボビーの想像が浮き出て、金色姫とベッドで寄り添いながら葉巻を吐いているボビーが居り、某洋画劇場のダンディ野郎が据え膳食った“ワイルドな男”を醸し出して『終わったら帰れよ』と呟いている場面が見えた。

 

「既に事後のイメトレしとるっっ!!」

 

この男本気じゃあっ!! と必死に逃避を計ろうとした金色姫だったが、

 

「隙アリですわ!」

 

捕まれた感覚が告げられた瞬間まで気付かなかった金色姫は、撫子がしっかりと腹部に腕を回して掴んでいる。

 

「貴様・・・!? いつの間に!!・・・・・って!! わあああっ!?」

 

生糸による蜘蛛の巣から逃れた艶光路家の使用人たちをタワーのように肩車し、その頂(いただき)を座するのは艶光路撫子。ゆらゆらと揺らしながらもしっかりと金色姫を掴んだ撫子はゆっくりと背後にへと倒れるように重心をずらしていく。

 

「いきますわよ~・・・・・!!」

 

「え・・・ちょ・・・・待っ!!」

 

「くらええええええええええええええええええええええええええっ!!!」

 

そうゆっくりと、だが着々と金色姫に襲う恐怖が迫ってきていた。逃げよう、と思考が巡ることさえ急な脳の機能停止により、足掻くことも無く、撫子は背に力を入れる。

 

「撫子飯綱(いずな)落としいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!!」

 

「はにゃぁあぁあっっ!!!!」

 

ズゴオオオオオオオン!!! と今日はやたらと煩い轟音が仏女津市を覆った。

 

 

コンクリートで当然出来ている街道に飯綱落としを見事決めた撫子たちの周囲には、やはり市民たちが集まって来ているが、ここ最近になって仏女津市の市民たちは何やら耐性が付いたように、『ひ・・・人殺し!!』と普通(ノーマル)な市民が反応を示す人も居れば、『すげぇ~』とカメラで街道に頭打って気絶決め込んだ金色姫をパシャパシャと撮る異常(アブノーマル)の市民も居れば、『いやいや、特撮でしょ?』と現代が下手に進歩し過ぎてしまったことで生まれた価値観の市民で別れ、他にも思想が違う市民たちによって艶光路の使用人たちに促せられながら普通の日常に戻っていった。

 

そして肝心の桜市子は未だに金色姫の生糸で吊るされたまま撫子に思った。

 

(に・・・・・人間にやったら死んでるわよ)

 

タラリと冷や汗を流して市子がそう思っていれば、撫子はいい仕事をしたと言わんばかりに、自ら滴る頑張った汗を手で拭い。

 

「ふぅ、市子さんを仕留めるために練習しておいた技をここで使うとは思いませんでしたわ」

 

「オイ」

 

思わぬ情報に市子がツッコむが、撫子は何食わぬ顔で吊るされた市子の元にヒョイヒョイと飛び越えて行く。

 

市子を下ろす為に生糸を忍具にして武器にしている苦無(クナイ)で切っていってると、ビルの下の方から嵐丸と石蕗がやって来ていた。

 

「もう、遅いですわよ、嵐丸さん!」

 

複数のニセ撫子とニセ市子に驚いていた二人だったが、すぐに表情が曇った。

 

市子たちの方向を見て顔を曇らせたのだ。

 

すぐに違和感を覚えた二人だったが、襲い掛かる猛威に逸早(いちはや)く気付いたのが、

 

「撫子・・・・後ろっ!!」

 

「え?」

 

言われた方向を反射的に向いた撫子は、そこに狂ったような瞳孔で襲い掛かってきた神一柱(かみひとはしら)

 

白い線が伸びるように、真っ直ぐに小さい撫子を貫こうとする。

 

だが、

 

「ぐうっ!!」

 

撫子目掛けて放たれた一撃は、黒い何かによって塞がれた。

 

「たん・・・ぽぽォ・・・」

 

防ぐことはせず、真っ直ぐにその一撃を受けたのはもう一人の死神。

 

「意外と・・・・効くパンチだな、たんぽぽ」

 

髪は萱草(かんぞう)色、皺寄せる眉間、だが何処か安心させるような眼差しのその死神は、放った福の神の一撃に手を伸ばす。

 

「掴んだぜ、たんぽぽ」

 

死神・伽籃菜(カラナ)、真の名は、

 

 

 

 

 

──────黒崎一護。




市丸が活躍してるね~(´Д`)

でも次回は一護が活躍すっぞ!

ブリーチ原作では零番隊が現れ、貧乏神では碇が破茶滅茶になってるし(´Д`)

ただ、ボビーがたんぽぽと金色姫、鈴彦姫と恐らく雲外鏡に胸を押し付けていたのに大変吃驚しましたね、早く一護のイケメン力で女神たちを射殺していかないとなっ(´Д`)★
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