ハイスクールD×G 《シン》   作:オンタイセウ

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 感想欄をご覧になった方はご存じかと思われますが、ちょっとしたけんかみたいの事をしてしまいました……グレンさん、本当にごめんなさい。
 そんなグレンさんですが、この作品になんと評価9を入れていただいております。前回前書きに書こうと思っていましたが、完全に失念しておりました。


VS14 他人の喧嘩に手は出すな

「なんでこうなっちゃうんですか」

 

 思わずイッセーはリアスに問う。

 さっきまで自分たちは、部室内で教会のエクソシスト二人との会談をしていたはずだった。なのに、何をどうしたら自分の親友と仲間がその二人を相手に喧嘩をしないといけないのだろう。

 

「それはダイスケと祐斗に言いなさい……」

 

 今、彼らは運動場の一角に結界を張り、そこをバトルフィールドとしている。その中央には聖剣を構えるゼノヴィアとイリナ、そして魔剣を携える木場と神器を展開したダイスケがいる。

 先刻のダイスケによる言葉の絨毯爆撃によって自尊心をずたずたにされた二人が、ダイスケに喧嘩を売った。それにエクスカリバーを破壊したい木場が乗っかった。それをリアスが「教会の人間と悪魔が手合いする」という条件でガス抜きをしようとしたのである。

 

「ダイスケ君、邪魔はしないでね」

 

「人の喧嘩に乗っかっといて、なにが邪魔するなだよ。なんだったら、先にテメェからヤってやろうか?」

 

「イリナ、例え片方が人間でも、奴だけは徹底的にやるぞ」

 

「ええ、ゼノヴィア。あの背徳者に信仰の力を見せ付けてやりましょう」

 

 お互いに殺気ムンムン。しかも片方はタッグだというのに、仲は険悪。しかも仲間討ちしかねない雰囲気だ。

 

「いいこと? これは一応ただの“手合い”よ。相手を殺すのはダメ。それも、悪魔も教会も関係ない私的な決闘。何度も言うけど、殺し合いは絶対にダメよ。わかっているわね、四人とも」

 

 リアスの言葉に、四人は答えない。

 

「……暗黙は了承と受け取るわよ。……はじめ!!」

 

 その言葉を切っ掛けに、四人は闘いをはじめる。木場はゼノヴィアに、ダイスケはイリナへ向かう……はずだった。

 

「取り敢えず、お前は寝てろ」

 

「―――なッ!!」

 

 ダイスケはいきなり、木場の顎に強力な一撃を与える。その衝撃で脳震盪を起こし、防御に難のある木場は一撃で気絶する。

 

「ダイスケ!! 何やってるんだよ!?」

 

 イッセーが驚いたのも無理はない。タッグを組んでいるはずの仲間をノックダウンさせたのだから。

 

「これは元々俺の喧嘩だ。そこに木場が割り込んできただけだろ」

 

 唐突すぎる展開に、エクソシストの二人も足を止める。

 

「それに、木場の神器で生み出す魔剣はオリジナルの聖剣や魔剣には敵わない。コイツが自分で言ったことだ。勝ち目のない戦いに、何の策もなく立ち向かうのはバカのやることだ」

 

 そう言ってダイスケは、木場の体を小猫に向けて放り投げ、小猫はそれを見事にキャッチする。

 

「……それだけですか?」

 

 木場をキャッチした小猫は、ダイスケに問う。

 

「言わねぇ。ああ、そうだ。塔城、後で俺が「悪かった」って言ってたって伝えておいてくれ」

 

「……嫌です。そういうのは自分で言ってください」

 

 その返事を聞くと、再びダイスケはイリナとゼノヴィアに向かう。

 

「いいのか? 二対一になったぞ?」

 

「そこの伸びている彼に手伝ってもらったほうがいいんじゃない?」

 

「心配ねぇよ。なんでか知らないけど、「お前らには絶対に負けない」って勘でわかるんだ」

 

「だったらその勘―――」

 

「―――間違ってるって教えてあげるわ!!」

 

 同時に斬りかかるゼノヴィアとイリナ。その二つの剣戟を両手のガントレットで受けるダイスケ。

 

「これで両手が塞がれたな。イリナ!!」

 

「もっちろん!!」

 

 そう言うとイリナは、擬態の聖剣を紐に変えてダイスケを捕縛しようとする。だがそれよりも早くダイスケが動いた。

 

「ふんッ!!」

 

 掴んだ聖剣を支えにして背中から崩れ落ちるように二人の後ろへ滑り込んだのだ。そのせいでゼノヴィアとイリナは前方へバランスを崩してしまう。

 そこへすかさずダイスケは体勢を立て直し、二人の腹を目掛けて順に蹴りを食らわせる。

 

「がッ!?」

 

「きゃあ!?」

 

 後方へ飛ばされる二人だが、そこは流石聖剣を持つことを許された剣士、すぐに体勢を立て直す。だが―――

 

「刃物にはやっぱ飛び道具っしょ」

 

「!?」

 

 ダイスケはゼノヴィアに向けて熱弾を放つ。音を遥か超え、ほぼ光速に近い速度で飛んでくるそれを、ゼノヴィアは野性的感のみでエクスカリバーの刃の腹で防御する。だが予想以上に威力があったために完全に競り負けてしまい、そのまま後方へと飛ばされて運動場の一角に植えられた木に激突する。

 

「カハッ……!」

 

「ゼノヴィア!? ……こいつッ!」

 

 すかさずイリナは擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)を鎖鎌に変化させ、分銅をダイスケへと投げつけてその腕に巻きつけた。

 

「捕まえたわよ、この異端者!」

 

 致命傷を与えるべく、イリナはその手に持った鎌刃を光らせ、鎖をたぐり寄せる。それにダイスケは抵抗するものだとその場にいる誰もが思った。

 だが、逆にダイスケは鎖を己の体に巻きつけて自分からイリナに近づいていく。

 

「こ、コイツ! でもこれでどう!?」

 

 慌ててイリナは鎖鎌を連結刃に変化させる。

 それと同時にダイスケの体に巻きついていた鎖は刃がついた鋼線と化し、そのまま肉体を締め付け、尚且つ数多くの切り傷を生んでいく。それでもその歩みを止めることはできない。

 ついにイリナに対抗策を立てさせることを許さないまま、連結刃を掴んで背負い投げの要領で投げ飛ばした。

 

「うぅ……!?」

 

 背中から地面に叩きつけられたイリナは、後頭部に受けた衝撃の所為で立てずにいる。ダイスケはそれを確認すると、自身に絡みついた連結刃を振りほどいて、倒れるイリナの喉元に手甲の鉤爪を突き立てようとした。

 

「もうお止めなさい! 勝負はついたわ!」

 

 しかし、リアスの言葉がグラウンドに響き、ダイスケが止めを刺そうとする手を止める。

 

「……もうちょっとやらせてくれてもいいでしょう」

 

「これはお互いの力量を知るためのものよ。このままいったらあなた、事故に見せかけて止めを刺しちゃうでしょう?」

 

 その指摘に「チッ」と舌打ちをするダイスケ。図星だったようだ。そのままイリナから手を離し、開放する。

 

「なるほど、大口を叩くだけの事はあるということか……」

 

「人間だからって手を抜いたのが間違いだったわね……」

 

 聖剣を杖がわりにその身を支えるゼノヴィア。イリナも悔しげに身支度を整え、二人はこの場を立ち去る気が満々だ。

 

「ま……まて!」

 

 そこへ意識を取り戻した木場が、二人を引き止めようとする。

 

「『先輩』、次はもう少し冷静になって立ち向かってくるといい。彼に止められたのは正解だった。頭に血が上った状態で勝てるほど、エクスカリバーは弱くはない。リアス・グレモリー、先程の話、よろしく頼むよ」

 

 朱乃は既に結界を解いている。もう戦いを続けるわけにはいかない。木場は憎々しげにゼノヴィアを睨む。それを無視し、ゼノヴィアはイッセーに視線を向ける。

 

「兵藤一誠だったか、赤龍帝の宿主。君に一つ言っておこう。『白い龍』は既に目覚めている。気をつけておけ」

 

 その言葉に衝撃を受けるイッセー。だがその姿を歯牙にもかけず、二人はこの場を立ち去った。

 その姿が完全に見えなくなっても、残されたオカルト研究部のメンバーは黙っているしかない。その内、木場が立ち上がってダイスケの胸ぐらを掴んだ。

 

「おい、木場! やめろ!!」

 

「祐斗、放しなさい!!」

 

 イッセーとリアスの言葉も、木場の耳には入っていない。

 

「なんで、僕の邪魔をしたんだ……!? 君も聞いているんだろう。僕がエクスカリバーを憎む訳を!!」

 

 普段の木場からは想像できない激昂した姿。それを見て、イッセーは止めようとするその足を思わず止めてしまう。だが、ダイスケの顔はそんなことどこ吹く風だ。

 

「聞いてるよ。そんで、お前の気持ちもわかる」

 

「だったら、なんで!?」

 

「……お前の同志は、お前を全力で助けた。それはなんでだ? お前に純粋に生きていて欲しかったからじゃないのか? なぁ、今お前が奴らにやってやらなきゃならないことは、本当に復讐か? それで、無駄に命を散らすことか?」

 

「そんなこと、あの場にいなかった君に分かることじゃない!!」

 

「そうだな。お前の言うとおりだ。それに復讐そのものも別に悪いことじゃないさ。それでお前の中で納得と決着が付くんならな。だけど、今のお前で勝てる相手か? さっきだってあいつら、人間相手だから本気を出しちゃいなかった。やるんだったらせめて冷静になって、もっと強くなってからだ」

 

 その言葉を聞くと、木場は悔しげにダイスケの胸倉から手を離す。そして、その場から立ち去ろうとする。

 

「待ちなさい。どこへ行こうというの、祐斗」

 

 木場はその言葉に一度立ち止まるが、またすぐに歩き出す。

 

「待ちなさい、祐斗! 私の元を離れるなんて許さないわ! あなたは私の騎士(ナイト)なのよ! はぐれになってもらっては困るわ! ……留まりなさい!!」

 

「……僕は同志たちのお陰であそこから逃げ遂せた。だからこそ、彼らの恨みを僕の魔剣に込めなければならないんだ……」

 

 それだけ言うと、木場はその場から姿を消した。

 

「祐斗、どうして……」

 

 そのリアスの顔を、イッセーは見てはいられなかった。そして同時に、彼の胸の中にある決意が芽生えたのだった。ただ、誰もが木場に気を取られていた所為であることを見逃していた。

 エクスカリバーでズタズタに切り裂かれていたダイスケの傷が、所々破れた制服の下で既に全て消えていたのである。

 

 

 

 

 

 

「あのイケメン馬鹿、本当にどこに行ったんだ?」

 

 かの騒動から数日たったある休日。ダイスケは休日と言うことで空いた時間を利用して町中で木場を個人的に探していた。

 正直な話、木場の復讐とやらに興味は無いし、木場の過去に干渉する気も無い。だが、このまま木場がはぐれとなれば迷惑を被るのはリアスだ。大公からの命令で、これまで愛情を持って接してきた相手をリアスが手にかけることになる。

 曲がりなりにもグレモリーに世話になっているダイスケだ。そのような事態は避けたいのが信条である。

 しかし一向に見つからない。以前レイナーレと対決した旧教会跡の廃墟や、はぐれと遭遇した場所といったこれまで裏の世界に関わった場所はみんな調べたが木場の痕跡は見つからなかった。

 

「まあ、この町からは出ないだろうし……」

 

 目的のエクスカリバーはこの町のどこかということは確実だ。だから木場がこの町の外に出ることはあり得ない。

 形態で探せばいいと言われるかもしれないが、先日以来木場はダイスケからの着信を無視している。まあ、あのようなことが起これば心を閉ざすのも無理はない。

 直接会ったとしても、木場がダイスケの言うことを聞くことはないだろう。が、その時は殴ってでもリアスの元に連れ帰る算段だ。しかし――

 

「腹、減ったなぁ――」

 

 すでに正午を越え、飲食店を外から見て木場がいないか探しているが空腹に食事の匂いはキツい。我慢して探しているというのに余計に腹が減る。

 

「あー、もう! 今日はあの馬鹿のことはいいや! 飯食おう、飯!」

 

 そう言ってダイスケは手近にあった立ち食いそばののれんをくぐろうとする。すると、妙なものが視界に入った。

 路上にどこか見覚えのあるローブ姿の二人組が見える。その二人の姿は現代日本の中では非常に浮いており、道行く人は奇異の視線を不審人物二名に向けている。

 しかもこの二人、何やら口論をしておりその声にもダイスケは聞き覚えがあった。さらに止めとしてもっと見覚えがある三人組が反対方向からやって来る。

 

「あ」

 

「あ」

 

「あ」

 

 三者三様、何とも間抜けな声を上げて知己と出会ったことを示す声を上げる。

 一方は教会からやってきた件のエージェント二名。そしてもう一方はイッセー、小猫、そして何故かいるシトリー眷属の匙の三名。このメンツが面を合わせたということは、間違いなく裏の世界の面倒事が起きる。

 

―――折角の食事のチャンスが潰れてしまった。ダイスケの顔にそう書かれていた。

 

 

 

*

 

 

 ゼノヴィアと紫藤イリナが現れた次の休日。

 休日の街中で支取蒼那の兵士、匙元士郎は暴れていた。それを小猫が逃さないように押さえている。

 

「いぃぃぃやぁぁぁぁだぁぁぁぁぁぁぁ!!! 俺は帰るんだァァァァァ!!!! あいうぉんとごーほーむ!!!」

 

 悲鳴を上げて逃げ出そうとする匙。彼が人目も憚らずに悲鳴を上げているのには、正当な理由があった。

 それは、彼を駅前に呼び出したイッセーがゼノヴィアとイリナと協力して、エクスカリバーを破壊しようと提案してきたからだった。ちなみに小猫はこのことをすぐに快諾した。イッセーからしたら以外だったが、木場のために、とすぐに察したからだった。

 だが、匙はそれを聞いてすぐに顔を青ざめて逃げ出そうとし、小猫に即効で捕縛された。

 

「なんで俺がお前らと一緒に行かなきゃならないんだよ!? 俺はシトリー眷属なんだ! お前らとは関係ないだろォォォ!?」

 

「お前ぐらいしか他に手伝ってくれそうな悪魔を知らないんだよ。それに、お前だって神器持ちなんだろ? 駒四個消費の」

 

「そりゃそうだけどさ! だからってお前の協力をする義理なんて俺にはない!! 大体、聖剣が相手なんて命がいくつあっても足りねぇよ!!! 殺される!! 聖剣以前に会長に殺される!!」

 

「そんなに厳しいの? 会長って」

 

「お前ん所のリアス先輩は厳しいながらも優しいだろうが! でもな! ウチの会長は厳しくて厳しいんだ!!」

 

「あーそうか、そりゃよかったな」

 

「良くねぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

 匙は抗議を続けるが、イッセーと小猫は全く聞く耳もたない。イッセーがゼノヴィアとイリナに協力しようとするのには訳がある。

 彼女たちは言った。

 

『上はエクスカリバーが堕天使に利用されるくらいなら、全て消滅してしまってもいいと決定した。私たちの役目は、最低でも堕天使の手からエクスカリバーを無くす事』

 

 つまり、これは彼女たちは最悪エクスカリバーを破壊してでも回収するということだ。イッセーはこれに乗ろうとした。この奪還作業を手伝い、木場がそのうちのひと振りでも破壊できれば、少しでも想いを遂げられるだろうという寸法だった。

 片方はエクスカリバーを破壊し、自分と過去の仲間の復讐を果たしたい。片方は堕天使からエクスカリバーを破壊してでも奪還したい。意見は一致。まさに一石二鳥、一挙両得だ。だが、これを完遂するにはリアスや朱乃に知られてはいけない。

 三竦みの関係を壊しかねないデリケートな話だ。そんな危険なことに、リアスは自分の下僕に首を突っ込んで欲しくはないだろう。アーシアを奪還しに行く時もかなり反対していたほどだから、尚更だ。

 アーシアにも知られてはいけない。彼女は嘘を突き通すのが苦手な上に、すぐに顔に出るタイプだ。それに、イッセーが危険なことをしようとしたら全力で止めるだろう。

 

「ひょっとしたら、話し合いがこじれて俺ら三人だけで天使勢力に喧嘩を売る結果になるかもしれない。その上、これが切っ掛けで関係が悪化するかもしれない。そうなったら命懸けでなんとかしなきゃならなくなる。だから、最悪ふたりとも危なくなったら降りてもいい」

 

「いや、今すぐ逃げさせろォォォォォ!! そんな三大勢力の情勢に関わりそうなこと勝手にしたら、俺は会長に殺される!! 最低でも拷問だァァァァ!!」

 

「いや、もしかしたら交渉があっさりうまく成立するかもしれないだろ? そんときは力を貸してくれ」

 

「勝手なこと言うなやァァァァァァ!!!」

 

 その匙の狼狽ぶりをよそに、小猫は強く宣言する。

 

「私は絶対に逃げません。仲間の、祐斗先輩のためです」

 

 その強い言葉に、イッセーは頷く。だが、匙が恨めしげにつぶやいた。

 

「だったらよぉ……お前のダチの宝田にも声かけりゃいいだろ? アイツ、フェニックス家の三男の眷属相手に大立ち回りしたんだろ? だったら俺よりいい戦力じゃないか」

 

 その言葉に、イッセーは少しどもる。

 

「匙、あいつは悪魔じゃない。あの時だって、俺はあいつの厚意に甘えていた。でも、今回は状況が違う。悪魔同士の内輪もめじゃない。違う種族どうしの問題なんだ。今回ばかりは、あいつに頼るわけにはいかない」

 

「……わかったよ。で、例のエクソシスト二人はどうやって見つけるんだよ?」

 

「それなんだよなぁ。そうそう簡単に極秘任務中の聖剣使い二人なんて街中で見かけるわけないs「道行く皆様、どうか迷える哀れな子羊にご慈悲を~!」……はい?」

 

 探し始める前に見つかった。しかも二人共先日と同じく真っ白なローブを羽織っているので間違えようがない。おまけに聖剣も隠す気などさらさら無く、そのまま腰に差していた。

 こんな目立つ格好で物乞いをしているということは何やら困った状況にあるらしい。通り過ぎる周囲の人々も奇異の視線を向けているので正直なところ知り合いと思われたくはないが聞き耳を立ててみる。

 

「ああ、なんということだ。我ら迷える子羊に救いの手を差し伸べないとは……これが先進国日本の現実か。これだから信仰心が希薄な国は嫌なんだ」

 

「物乞いの真っ最中に毒づかないでよゼノヴィア。路銀が尽きた私たちは、異教徒どもの慈悲無しにはまともな食事も取れないのよ? ああ、パンひとつさえ買えないなんてなんて私たちは哀れなのかしら!」

 

「元はといえばお前がそんな詐欺まがいの妙竹林な絵画を購入するからだ」

 

「妙竹林だなんて失礼な! この絵にはさる高名な聖なるお方が描かれているのよ! なんかそんなこと展示会の人も言っていたわ!」

 

「じゃあそれは一体誰だ?」

 

「多分……ペトロ様?」

 

「使徒になったあとの聖ペトロがこんな渡○也みたいな格好でマグロを抱えるか? いくら元漁師とはいえこれはないだろう。」

 

「マグロだけじゃないわ! グラサンとショットガンもよ!!」

 

「ますます渡哲○じゃないか。これじゃあイエス様が捕まって怒ったときに、兵士の耳を切り落とすどころか12ゲージで蜂の巣にしそうだ」

 

「だったらいいじゃない! 異教徒を○哲也が一掃してくれるわ! ショットガンをヘリから乱射して! きっと舘ひ○しや三○友和も一緒に戦ってくれるわ!」

 

「いいわけあるかぁ!! なんで大門軍団が十字軍よろしく異教徒を駆逐するんだ!? ……ああ、こんなのがパートナーとは。主よ、これも試練なのですか?」

 

「ちょっと、こんなのところで頭を抱えないでよ。あなたって普段頭を使わない割に落ち込む時はとことん落ち込むのよね」

 

「うるさい! これだからプロテスタントは異教徒扱いされるんだ! 我々カトリックとは価値観が違う! 聖人をちゃんと敬え! 石○プロの芸能人じゃなく!!」

 

「なによ! 古い価値観に縛られているカトリックの方がおかしいわよ! ○原プロのどこが悪いのよ!!」

 

「いい加減にしろ、この異教徒!」

 

「そっちのほうが異教徒!」

 

 しかし、鳴り響く腹の虫に喧嘩する意欲も朽ち果てる。

 

「……言い争う前にまず腹を満たそう。そうしなければ任務どころではない」

 

「……そこらへんを歩いている異教徒を脅してカツアゲする? 異教徒相手なら主も許してくれると思うけど」

 

 それを聞いてイッセーは焦った。彼女たちの信仰心を鑑みれば、信仰のためにと平気で犯罪行為を犯しかねないのを体感している。

 

「やべぇ、止めないと!」

 

 鉢合わせたときのことは考えていなかったが、仮にも幼馴染が犯罪者に片足を突っ込みかけているのだ。急いでイッセーは彼女らを止めにかかる。

 その時であった。目の前にエクソシスト二人以外の顔見知りが現れたのだ。ダイスケである。

 

「「「あ」」」

 

 出会いたかった相手と出会いたくなかった相手に同時に出会う。この時のことをイッセーは後に「あんな微妙な空気になったのはあとにも先にもなかったね」と語ったという。

 




 はい、というわけでVS14でした。
 次回ですが、前作と違って恐喝はしませんよ。ほんとにしないから期待しないでね。
 ちなみに今回やっとまともに登場したみんな大好き匙元士郎ですが、強化されております。ついでに言うと、ソーナも強化されています。なので、夏休み回の若手交流戦にはダイスケも出ます。
 なお、感想などもお待ちしております。いつでも待ってますのでどしどし送ってきてくださいね。皆様から頂く感想はオンタイセウの活力となります。
 それではまた次回。いつになるかは分かりません!! 
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