「……実力差を見せつけられても、世界の真実を見せつけられてもなお立ち上がるか。―――面白い。サーゼクスとミカエルの前にまずはお前たちとの“戦争”だ!!!」
コカビエルが腰掛けていた時計台から立ち上がる。本格的にダイスケ達を敵として認識したようだ。
「サーゼクスが来た時に使おうと思っていたが、今ここでお前たちにぶつけてやろう……さぁ、出てこい!!!」
そう言いながらコカビエルは懐から短剣を一振り取り出す。それはかつてレイナーレがカマキラスを呼び出したときに破壊した物と同型状の物だ。
それをレイナーレと同じように刃を破壊し、地面に叩き付ける。そして、それは現れた。
キぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!
甲高い鳴き声を上げて現れたのは、真っ赤な甲羅を持つ巨大な蝦。左右非対称のハサミがひときわ目を引く。
「な、なに? あの怪物は……」
リアスが呆然と怪物を見上げて言う。その大きさは校舎を優に超え、校庭の大部分を占拠している。呆けるリアスを眼下に見下ろし、コカビエルは言う。
「コイツは『エビラ』という蝦の化け物だ。なに、知らなくても無理はない。コイツは我々が今いる世界とは別の世界――いや、正確にはこの世界でもあるのか。ともかく、この世には本来存在しない生物、『怪獣』の一体さ」
「怪、獣……?」
「そうとも。現実を生きる獣でありながら、現実を超越した力を持つ生命――それが『怪獣』だ」
そのコカビエルの言葉とともに、エビラはその巨大な方のハサミを高く振り上げて地面に叩きつける。
『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
『きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』
その壮絶な威力はたった一撃で校庭の地面を穿ち、飛んできた礫がリアス達を撃ち抜き、衝撃波が体の奥底を打ち付ける。
たったの一撃。それだけでイッセーに庇われたアーシア以外の全員が大ダメージを受ける。
「こ……こいつっ!」
ゼノヴィアはなんとか立ち上がってデュランダルの破壊のオーラを纏った斬撃を放つ。だが、それはエビラの表皮に小さな傷をつけるにとどまる。
「なら……これで!」
なんとか滅びの魔力を発生させたリアスはその魔力弾をエビラに向けて放つ。だが、ダメージのせいで集中できなかったためか、魔力の集束がうまく出来ずにエビラの甲羅に魔力の塊は弾かれる。
「なるほど、滅びの魔力も防ぐか。なら十分に使えるな。―――フリード! いつまで寝ている? 立て、リベンジのチャンスだぞ」
「……いやー、そうしたいのは山々なんですけどねぃ。ここまでの傷を負わされた上に愛しのエクスカリバーちゃんまで折られたとなったらもう打つ手がねぇっす……。」
胸を切り裂かれ、虫の息のフリードはコカビエルに弱々しく答える。会話が出来るだけでも驚きのしぶとさである。
「お前にくれてやったアレがあるだろう。やれ」
「……わーお、こんなにもボクちんのことを頼ってくれる上司がいるなんて幸せで絶頂しちまいそうでござんすよっと」
言いながらフリードは小さな短剣のようなものを懐から取り出している。よもやそれで襲ってくるつもりか、と思ったが様子がおかしい。なんとフリードはその短剣を自らの胸に―――
「フンスッ!!」
―――一気に突き立てた。
弱々しく鼓動を奏でていたフリードの心音が一気に高まる。胸の傷はみるみると塞がっていき、土気色だった顔も元の血色を取り戻す。
「ウッハァァァァァァ!!! 気分爽快ィィィィ!!! なんかマジで生まれ変わった気分!! あ、マジで生まれ変わってるんだけどね、これ!!」
元のテンションを取り戻したフリードは、その手に巨大な武器を生み出していた。
それは巨大な鎌である。まるで中世で麦の穂を刈り取っていたような農耕用の巨大鎌である。所々に節があり、まるで全体が昆虫をイメージしたような作りになっている。それを見た木場が何故か一番最初に頭に浮かんだのはレイナーレとの一件で戦ったあの巨大カマキリの「カマキラス」であった。
「紹介しちゃうぜぃ! これがオイラの新たな相棒、『
言いながらフリードは自分を切った木場に斬りかかる。吹き飛ばされたダメージで力が入らない中、木場は聖魔剣でその一撃を受けきるものの、体が全くついていけていない。
「くそっ、何故……!?」
「チミが万全の体調だったら勝てなかったさ。でも、その中途半端な力じゃあ僕ちんとカマキラスちゃんには勝てない!! なーんて、君にもらったセリフをパロって返させて頂きましたァ!!」
大鎌で聖魔剣を払うと、そのまま空いた胸をフリードは一気に切り裂く。
「カハッ―――!!!」
聖魔剣を落とし、木場は膝から崩れ落ちた。
「そんな、祐斗が……!? あの神器は一体……!?」
リアスがショックで口を抑える。だが、それと同時に気を引いたのが突如としてフリードが使い出した神器らしき代物である。
確かにフリードは優れた戦士であり、後天的ながらも聖剣を使いこなしていた実力だけで言えば確かに優秀なエクソシストであった。だが、神器の所有者でないのは間違いない。それがどうして突然あのような力が発現したのだろうか。
「気になるか、リアス・グレモリー。なら冥土の土産に教えてやろう。我ら堕天使の神器研究が最先端であることは周知の事実だが、実は人工的に神器を作るレベルにまで達している。その技術を用い、オリジナルを有する人間から怪獣の宿った神器をコピーする術を編み出したのさ」
それでようやくレイナーレがあの巨大カマキリを戦力として有していたのか理解できた。あれはこの人口神器を作るための研究材料だったのだ。それを無断で持ち出して、しかも暴走させて戦力にしていた、ということなのだ。
キぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!
エビラの横合いからの一撃が、ほぼ無抵抗となったゼノヴィアを吹き飛ばす。ゼノヴィアの体はイッセーたちが倒れている方向へと飛んで行き、近くの木にぶつかってようやく止まる。
「ゼノヴィアッ! ……くそっ、あいつのところへ行くこともできないなんて!」
イッセーが頭から血を流し、グッタリと項垂れているゼノヴィアのもとへ向かおうとも木場たちと同じで体が言う事を聞かないでいる。これでは応急処置もままならない。
「おーう、ナイスホームラン。そんじゃ君もその首刈り取ってホールインワン行っとく? 行っちゃおうか!!!」
血が付いた大鎌を振るい、その刃を木場の首筋にあてがう。
「やめろ……やめろぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!!」
イッセーがたまらず叫ぶが、フリードは全く気にする素振りすら見せない。
誰にも止めに行けないなか、無情にも大鎌が振り下ろされ―――刃は虚空を切り裂いた。
よく見れば、木場は先程までの場所にはいなかった。ダイスケによって間一髪のところで救出されていたのである。それも手甲から発射した熱線の反動で飛び出したのだから相当遠くまで逃げ切っている。
「おう? チミさっきまで苦しんでなかった? なんで平気な顔してんのよん? ひょっとして怪我治っちゃった?」
フリードの問にダイスケは無視を決め込む。
最初は確かにダイスケも例に漏れず大怪我に苦しんでいた。だが、五分も経たずに痛みは引いていた。なぜ治ったのかは本人にも理由が分からないでいる。
そのどちらも持ちようのないダイスケが何故回復できたのか誰にも推し量れなかった。だからこそダイスケは余計なことは言わずに黙って木場を降ろしてフリードに向かい合う。
「あれれーおかしいぞー? ひょっとしてチミ、僕ちゃんとエビラちゃんを同意時に相手取る気? 言っとくけど、あの子堕天使の機械でしっかり睡眠学習してあるからこっちの言うこともちゃんと聞くのよん?」
「……知らねぇ」
「おやおや、知らねぇはないでござんしょうよ。ウチの大将、まだ自分で戦う気がないとは言え三対一よ? 勝目は完全にナッシングなのにそれでも戦っちゃう? 殺られちゃう?」
「……知らねぇって言ってんだろ!!!」
再び瞬間的な熱線の噴射による加速。その勢いでフリードに向けて突進するが、あえて素通りしてエビラの方へ向かう。
走り幅跳びの要領でエビラの頭上まで上がると、頭にしがみついた。
キぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!
自分の頭にしがみついたダイスケを振り払おうとその頭を必死に振るが、ダイスケのガントレットから伸びた爪が食いついて離さない。
「コイツッ!!」
キぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!
エビラは頭にしがみついて離さないダイスケを引き剥がすために、なんと自ら校舎に突っ込んでいった。
「クッソ、近づけねぇ!」
フリードが悪態をつくが、これこそがダイスケのほぼ狙い通りである。
あえて自分を危険なところに置くことでもう一方の敵に手出しをさせにくくさせるのが目的であった。そのためにエビラに寄生虫のように張り付くことで余計に大暴れさせて近づけなくさせたのだ。
無論、このままでは自分の身が危険だ。校舎に突っ込んだことはダイスケにとっては想定外であった。これでは予定していた以上に早く決着をつけなければならなくなってしまった。だが、勝算はあった。
この怪獣の装甲が生半可な攻撃で傷が付かない耐久力があるのは分かっている。正直なところ、自分の熱線でこの甲羅を撃ち抜ける自信がない。きっと散らされるだろう。
(甲羅を貫く一撃でありながら、確実にコイツを殺す攻撃……!)
ドライグの言う通り、神器の力の源が所有者の願いや想いであるのなら。それに神器が応えてくれるというのなら。
「神器ァァァァァアアアアア!!!!」
願うのは、以前に出した盾とは違う明確な『武器』。振り上げた右手に、いつも放つ熱線以上の熱量が迸り、形になっていく。腕が燃え上がるのではないかと思える程の膨大な蒼い熱が、ダイスケが望む形になっていった。
それはひと振りの直剣。
木場とゼノヴィアに影響されたのであろうか、熱線が直剣の形となって現れたのである。ダイスケの神器の答えは「熱線を武器の形に固め、堅い装甲を溶断して切り裂く」というものだったのだ。
このことを直感で理解したダイスケは、熱線が固定した剣、いわば『熱線剣』をエビラの頑丈な頭部に逆手で突き立てた。
キぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!
先程のデュランダルの一太刀とは比べ物にならない痛みがエビラを襲う。痛みの原因を振り落とそうと躍起になって余計に暴れるが、暴れれば暴れるほど熱線剣は傷口を燃やし、溶かし、切り裂いていく。
肉が焼け焦げる匂いを放ちながら、エビラはのたうち回る。だが、既に出現した当初の力強さはない。その隙を逃さずにダイスケはしがみついていた頭から飛び降り、先にデュランダルでつけられていた小さな傷に熱線剣を突き立てる。
キぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!
まさに断末魔の絶叫。
突き立てられた熱線剣は瞬く間に脳を突き破り、確認する間もないほどの時間でエビラを死に至らしめた。
「くぅ……フン!」
一気に剣を引き抜き、残ったフリードをも始末せんと振り返る。背にエビラの巨大な亡骸を配することで盾にし、襲ってこられる方向を限定させる。だがダイスケの目の前にある瓦礫の山の中にフリードの姿が見えない。
「いっきまぁぁぁぁぁあああああああす!!!」
フリードの背後からの奇襲。
本来なら有り得ないはずであった。ダイスケの背には巨大な死体が横たわっているのだから。だが、答えは簡単だった。フリードが手にした大鎌で死体を切り裂いて突撃したのだ。
刃が肉を切り裂く音。それはフリードがダイスケの背中を大きく切り裂いた音である。
「っう―――!」
背中に鋭い痛みが広がるが、歯を食いしばって背後へ剣を振るう。だが反応は一足遅く、剣を振った先にフリードはいなかった。
「エビラちゃんをやったのは確かに凄かったけどさぁ―――」
頭上から聞こえるフリードの人を小馬鹿にした声。
「君、剣はそこまで使い慣れていないっしょ!?」
次の瞬間、ダイスケの胸が切り裂かれる。フリードは落下と同時にダイスケの胸を狙い、見事に深く切り裂いて鮮血を噴出させることに成功させていた。
その道の達人ですら気絶するような痛みを我慢していたのに、そこへ更に致命傷となるような一撃が加えられる。たまらずダイスケは剣を落とし、両膝から崩れ落ちた。
「うひゃひゃひゃひゃひゃ!!! おやおやぁ、さっきあんなご高説たれてたのにもうギブですかぁ? 情けねぇったらありゃしないねぇ、おい!」
ダイスケの頭を踏みつけて悦に入るフリード。
悔しいが、フリードの言うとおりであった。コカビエルどころかその手先のフリードにすら手も足も出ない。落ちた剣を拾おうとするも、既に影も形もなく消え去ってしまっていた。
このままではこの街を破壊され、自分の大切なものが全て消え去ってしまう。なぜそうなったのかも知らないまま、理不尽にだ。
「さっきはあの騎士くんの頭を切り落とすの邪魔してくれたからさぁ……先に君のをチョンパさせてもらおっかな!?」
濃緑の大鎌が頭上高く振り上げられ、ダイスケの首筋へと正確に狙いを定める。切れ味は折り紙つき、寸分違わずその首を切り裂いて容易くダイスケの命を刈り取るだろう。
何も守れないまま、殺される。
―――嫌だ。
自分が無力に殺されれば、次はイッセー達の番だ。
―――嫌だ。
負傷で動けない今、たとえ上級悪魔であろうが神滅具持ちであろうが、そして禁手に目覚めたものであろうが簡単に殺されるだろう。
―――嫌だ。
サーゼクスの援軍も間に合わず、結界を維持する蒼那達もろともこの街はコカビエルによって破壊させる。
―――嫌だ。
心通わせる事ができた仲間達と出会えた学校も跡形もなく破壊される。
―――嫌だ。
そうなれば松田や元浜も、イッセーの家族も、今も自分の帰りを待っていてくれてるであろう家族も、冥界にいるリリアも皆戦争に巻き込まれこの世から消え去ってしまう。
―――嫌だ。
今ここで死ねば、何も残せない。何も守れない
「さーあ、それじゃあ覚悟はできたかなぁん? まあ、心配しなくてもみんなブッ殺してあの世に送ってあげるから!! それでは……アーメン!!!」
命を刈り取る刃が振り下ろされた。
もう助かる道はないだろう。だがもし、助かる道が、今目の前にある敵を討ち滅ぼせる力があるのなら。
―――ヒトであることを辞めてもいい。
ただ、力を望んだ。
刹那、『力』が爆ぜた。
「どぉうわ!!!」
その力に吹き飛ばされ、フリードとエビラの死体、そして多くの瓦礫が宙を舞う。爆風はリアスたちがいるところまで届き、そこに何があるのかがよく見えるようになった。
意識が朦朧とする中、見えたのは蒼い光の柱の中で仁王立ちする黒い鎧姿の人物。
「……だ、ダイスケ?」
その人物が立っている場所から察するに、それはダイスケなのであろうとイッセーは判断するが、その姿は異様である。形状はイッセーの禁手である
ウ゛ゥゥゥゥゥゥ……
なによりもそれが人の姿をしていても人であるというには見えず、その息遣いは怒れる野獣のものだ。そして大きく息を吸い込み、ダイスケであろう鎧の人物は“吠え”た。
ゴァァァアアアアアアアアアアアォォォオオオオオオオオンンンン!!!!!
その叫びは、この場にいる全ての者の魂を震わせる。
「……んな、んな虚仮威しが通用するかっちゅーの!!!」
飛ばされていたフリードが再び大鎌で棒立ちのダイスケ目掛けて斬りつけに来る。切先が再び首筋を捉えるが、当たるか当たらないかの距離でその刃は掴んで止められた。そしてそのまま大鎌ごとフリードは空中を一転していた。
「……はぇ?」
何が起きたか理解できていなかった。まるで柔道や合気道の達人を相手にした者がよく言う「何をされたかわからないまま技を掛けられていた」という心境に近い。
だがそれは技によるものではなく、単純な力によって放り投げられていただけのことである。何が起きたのか理解できぬまま、フリードの目の前は暗黒に包まれる。その闇の正体はダイスケの掌だ。頭を掴まれたフリードはそのまま信じられない速度で地面に叩きつけられた。
その音はイッセーは鉄骨でも落ちてきたのかと錯覚させたが、実際は人が成人男性の背ほどの高さから落ちたに過ぎない。だが、その事実を忘れさせるほど衝撃は凄まじい。落下地点にはクレーターができており、その中心にフリードは文字通り埋まっていた。
常識的に考えれば死んでいてもおかしくないが、生来のしぶとさからかまだ虫ほどの息は聞こえてる。それを確認したあと、ダイスケは興味を失ったかのようにコカビエルの方へと向く。
「……ふふふ、アーハハハハハハ!!! いい! いいじゃないか!そ の迸る殺気! 躊躇のなさ! どれも俺好みの―――」
全て言い切る前にコカビエルめがけてダイスケは巨大な瓦礫を投げつける。当然ながら当たることはなく、光の剣と化した堕天使の光の槍で切り裂かれた。切り裂いた瓦礫の先のダイスケへと突っ込むコカビエルだが、その眼前に待っていたのはダイスケの握られた拳であった。
人の骨格はコンクリートよりも頑丈だという。上位存在である堕天使のものならばその上を行くだろうが、相対された速度と強烈な一撃が相まってコカビエルは想像以上のダメージを受けた。
「―――グッ!」
一瞬、気を遣りそうになるが即座に体勢を整えるが、すぐさまそこへ棍棒のような何かが振られて再び吹き飛ばされる。何が起こったのかコカビエルにはよく解らなかったが、離れた位置から見ていたイッセーにはそれが鎧の一部を構成する尾であることがわかった。
腰に位置する黒く太い尾が、バランサーとしての役割の他に多節棍のように機能するらしい。
「……貴様ぁぁぁぁああああああ!!!!」
二度の不意打ちをむざむざと受けてしまったことで堕天使の幹部としてのプライドが傷つく。だが、再び体勢を立て直そうとしているあいだにダイスケはいつの間にか眼前にいる。
放たれる足元の邪魔な虫を踏みつぶすかのような蹴り。それを腹部に受け、更にコカビエルの胸に鋭い鉤爪が食い込こまされ高く放り投げられる。しかし十枚の翼を広げ、コカビエルは宙で静止する。熱線を利用した加速はできるものの、本格的な飛行手段を持たないダイスケは地に残され、飛翔するコカビエルを見上げる形になる。
「そうか……その力、そのオーラ……まさかこのような形で出会えるとはとはな。『怪獣王』……ゴジラ!!!」
言いながらその手の中にはこれまで見たことがないほど強力な“光”を内包した槍を生み出す。
「ちょうどいい、ここで引導を渡してくれる!!!!」
槍を投げる体勢になるコカビエルに対し、ダイスケの背にある並んだヒレが発光し、顔の装甲の一部が展開する。そこからあの蒼い光が溢れ、手から放つものよりも強力な熱線を放とうとしていることがわかる。
だが、突然ダイスケは地面に倒れる。発せられていた光も消え、身悶えながら苦しみだした。
それもそのはずである。既にその体は生きているのが不思議なほどの傷を負っている。それでここまで持っていることのほうが奇跡なのだ。
「……人の身に宿ったのが運の尽きか。ならば―――」
コカビエルから放たれるプレッシャーが音となって聞こえてくるのだろうか、地響きのような音がグラウンドを伝わる。
「―――死ねい!!!」
ついに必殺の一撃が放たれた。広範囲の破壊よりも一点におけるエネルギーの集中を重視した攻撃であったが、射抜かれれば鎧に守られていようが間違いなくダイスケは射殺されるだろう。
その一瞬一瞬がまるでスローモーションのように流れていく。地に伏しながらもなんとかダイスケを助けようとするイッセーたちだが、やはり体が動かない。地響きのような音が徐々に強くなっていくのと同時に危機感と焦燥感が強まっていく。
そして、光の槍がダイスケに近づく。
――着弾した。だが明らかに何かが刺さったような音ではない。
槍を放ったコカビエル自身も手応えを感じていない。よけられる状況ではなかったはずだからそれは本来ありえないが、手応えがないのも確かだ。しかし、立ち上がった土煙のせいで確認ができない。確認を取るために地上に降り立つ。
徐々に土煙が晴れていき、何がどうなったのかようやく見えるようになるとそこには―――
「あははっ、やっぱりゴジくんだぁ! ひっさしぶりぃ、元気にしてたぁ?」
正体不明の美女がぐったりとしているダイスケを無遠慮に抱きしめていた。
『……誰!?』
はい、というわけでVS18でした。
最後に現れた美女、一体何モスラなんだ……。
なお、感想などもお待ちしております。いつでも待ってますのでどしどし送ってきてくださいね。皆様から頂く感想はオンタイセウの活力となります。
それではまた次回。いつになるかは分かりません!!