ハイスクールD×G 《シン》   作:オンタイセウ

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 ただいま艦これE6輸送ゲージ攻略中ですが、ル級がマジでウザい。何でプリンツ一発大破三連続できるねん。
 プリンツ! お前は罰としてプリケツ顔面騎乗の刑だ!! さあ、俺の顔面に乗れ!!



 あ、後今回は話の都合上短いです(顔面にプリンツのケツを乗せ長良)。



VS19 無遠慮に抱きついてくる女は間違いなくサークルキラー

「ほんと久しぶりだねぇ、最後に会ったのいつだっけ? まぁいいや。こうしてまた会えたんだもん! 今度こそ仲良くやっていこっ!」

 

 ダイスケに向かって放たれた槍は見事に目標を離れて地面にブッ刺さっている。彼女が何かしたからこの結果、ということだろう。

 それも怪我人相手に勝手に盛り上がって、挙げ句の果てに胸の傷口の上をバンバンと叩いている。さらに言っていることは支離滅裂、自己紹介すらせずに一方的に盛り上がり、ここまで続いていたシリアスな空気を勝手にぶっ壊す始末。

 ここまで周りの状況が見えていない人間などイッセーたちは見たことがなかった。あまりの凄まじさにちょっと怪我の痛みが引いたくらいだ。というか、一体どうやって学園全体を覆っている結界を突破してきたのだろう。

 だが、一番ショックを受けたのは(物理的な意味で)ダイスケだろう。謎の美女の腕の中で気絶し、鎧も解除されてしまっている。

 

「はれ? なんで気絶してるの? ねぇゴジくん、大丈夫?」

 

 そう言って彼女はダイスケに触れている手が何かで濡れていることに気付く。それは、ダイスケの血であった。

 

「……女、そこをどけ。後で殺してやるから、先にそっちの方を殺させろ」

 

 背後から聞こえるコカビエルの静かな声。その声量に反して明確な殺意が見て取れる。

 だが、それに反応することなく彼女は掌の血をじっと見つめる。

 

「え!? ゴジくん怪我してるの!? なんで、なんで!?」

 

 背後のコカビエルの存在に全く興味を示さない。それどころか興味はダイスケにのみ集中しているようだ。

 これにはコカビエルも我慢ができない。これほどまでに殺気を放っているのに何の反応を示さないのでは堕天使の幹部としての沽券に関わる。

 

「聞こえなかったか? そこをど「―――きみが、やったの?」……なに?」

 

「……きみがやったのかって――妾が尋ねておるのじゃ」

 

 振り向きざまに見せる少女の怒りの形相。そして次の瞬間、彼女はその手を払う。距離はそれなりに離れていたから当たるはずもない。避ける必要はなく、コカビエルはその場に立ったままだった。

 だが、吹き飛ばされた。何が起きたのか理解できぬまま、コカビエルは瓦礫の山に突っ込む。

 

「な……何が……!?」

 

 見上げるとそこには成人式で着るようなファーが着いた着物を身に纏った彼女の姿が。そして極彩色の扇子が両手に存在し、茶髪だった髪は純白に変色していた。

 

「……この者を貴様が傷付けたというのなら、妾が成敗してくれよう。――この部外者が」

 

 先程と違う全く他者を寄せ付けまいとする冷徹な表情。本来であれば部外者はこの少女の方だったが、いつの間にか当事者のはずであった自分が部外者にされたことでコカビエルは余計に怒った。

 

「……部外者、だと? これは俺の仕切りで起こした戦いなんだぞ? ――この俺を舐めているのか……貴様ァァァァァ!!!!!」

 

 あえて槍は構えずに、先程のお返しとばかりに拳を振りかざす。拡げられた十枚の翼がはためいて低空で滑空。いざ殴ってやろうと拳に最大限の力を込めた時、女は扇を一振りする。

 すると先程とは比較にならない突風が吹きすさび、コカビエルをさらに吹き飛ばす。

 

「う、ぉぉぉぉぉおおおおおおお!?」

 

 まるで紙切れのように宙を舞い、瓦礫の山に激突するコカビエル。そこへ、女が信じられないスピードで肉薄する。

 

「……貴様が彼の者を傷つけた分だけ、しっかりと切り刻んでくれるわ!」

 

 その言葉と同時に手にした扇子が瞬く間に変形する。それは、逆手持ちの湾曲剣(シミター)であった。目に止まらぬスピードで振られたそれは、瞬時にコカビエルに鮮血を吹き出させる。それを何度も、何度もだ。

 

「な、に!?」

 

 何をされたのか知覚する暇も無いままに切り刻まれた自分の体を見て、コカビエルは驚く。

 

「……妾の前から消えよ!」

 

 とどめとばかりに蹴り上げられるコカビエル。

 腹に強烈な一撃を受けたコカビエルは真っ直ぐ地面へ落下していく。意識を失いかけたその矢先、自分の落下地点に白い全身鎧を身につけた男がいるのに気付く。

 

「無様だな。独断専行で、それも意気揚々と他勢力へ戦争を仕掛けた結果がこれか」

 

「き、貴様! ……白龍お―――!?」

 

 落下した衝撃と同時に腹部に受けた突きの一撃でコカビエルの意識は刈り取られる。

 

「……持ち帰りやすくしておくか。途中で暴れられても困る」

 

《Divide!》

 

 音声が聞こえ、コカビエルが放っていたオーラが一気に激減する。そしてその体は白い鎧の男の腕で突き上げられたままだ。

 

《Divide!》

 

 白い鎧の背に生えた光の翼が輝き、またオーラが削り取られる。

 

《Divide!》

 

「これで中級の堕天使並みか。まぁ持ち運ぶにはこれでちょうどいい」

 

 ついに意識を取り戻すことなくコカビエルは封じ込められる。どうやらオーラが音声が鳴るごとに半減していったのは背に生えた光の翼の能力であるらしい。

 

「俺の『白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)』の禁手、『|白龍皇の鎧《ディバイン・ディバイディング・スケイルメイル》』の力を一度体感したいと言っていたが……これで満足かな?」

 

 問いかける相手は答えない。だが、白い鎧の男が名乗った自らの神器の名を聞いてリアスは驚愕する。

 

白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)……イッセーの赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)と対をなす神滅具……!?」

 

 意識は朦朧とする中でイッセーは衝撃を受けた。なぜなら目の前にいるコカビエルの戦闘力を瞬く間に奪っていった男が、ドライグが言っていた「いずれ必ずぶつかる相手」なのだから。

 それも相手は既に禁手を完全に自分のものにしている。これはあまりにも大きな差だった。

 

「こっちの埋まっているはぐれ神父の事情聴取も必要だな。引っこ抜くか」

 

 白龍皇は地面に埋められたフリードを引っこ抜くと、そのままもう片方の肩に担ぐ。そして、女の方を見た。

 

「主神クラスの使い手とお見受けする。どちらの神格か?」

 

「妾はもはやこの世界では崇める者はおらぬ。守護神と呼ばれてはいたが、守るものもない守護神は神と呼ばれる資格は無いであろう――だからさっきのはヒメちゃん、わたしはミコトでいーよー?」

 

 すぐさま元に戻る女の様子を見て、白龍皇は驚く。

 

「多重人格……いや、神憑りに近いのか。こんなのは初めて見た」

 

「そーお? 私の後輩達だってみんなこんな風になるよ? で、きみは? どこかの龍の子かな?」

 

「現白龍皇、ヴァーリ。お見知りおきを」

 

「そっか、ヴァーくんだね!」

 

「……どこかの誰かを思い出すな。まあいい。いずれ手合わせ願いたいものだ。では、俺はこれで失礼する」

 

 そう言ってヴァーリという男は光翼をはためかせて飛びたたんとするが、それをイッセーの中のドライグが呼び止める。

 

『無視か、白いのよ』

 

 その声に合わせるようにイッセーの籠手の宝玉が光る。

 

『起きていたか、赤いの』

 

 同じように、白龍皇の鎧の宝玉が光る。

 

『せっかくこう顔を合わせることができたというのに、この状況ではな』

 

『構わん。俺達はいずれ再び戦場の中であいまみえる宿命。こういうこともある』

 

『しかし、白いの。お前の相棒からほとんど敵意が伝わってこないのだが、どうしてだ?』

 

『それはお前も同じだろうに』

 

『お互い戦い以外に何か興味がある、ということか』

 

『まあ、そういうことだ。しばらくは勝手に楽しませてもらう。お前の他にも、面白い奴がいくつもいるようだ。そういうのもたまには悪くないだろう? また会おう、ドライグ』

 

『それもまた一興か。じゃあな、アルビオン』

 

 赤龍帝と白龍皇の会話。伝説の存在同士の会話は終わり別れを告げる両者だが、イッセーは納得いかない、とばかりに朦朧とする体を無理に起こして立ち上がる。

 

「おい! お前ら勝手に話を進めるなよ!! お前は……お前は一体なんなんだ!?」

 

 再び崩れ落ちるイッセーの疑問に白龍皇の宿主が答える。

 

「全てを理解するのには時間と力が必要だ。養生してせいぜい強くなってくれよ、未来の俺のライバルくん」

 

 そう言うとそのまま白龍皇ははるか上空へ飛び立っていった。

 

「さてと、私もえくすカリばーちゃんを回収しないとね。あ、ゼノちゃんだ。元気ー?」

 

「見ればわかるでしょう……! そもそも貴女は今まで何をしていたのです……!?」

 

 魘されながらもゼノヴィアはミコトと名乗る女に悪態をつく。

 

「あはは、ごめんね。なんかこの街、いろいろ空気がごちゃごちゃしててわかんなくなっちゃって……迷子になっちゃった」

 

 言いながらミコトはダイスケを一旦安置して、倒れるグレモリー眷属たちに手当するアーシアに視線を向ける。

 

「聖剣の方は約束通りきみが持っていって。その前に傷、治さないとね」

 

 そう言ってミコトは自分の胸元に手を滑り込ませて一撫でする。取り出した掌の内側には金色に輝く粒子が大量に付着していた。

 

「じゃ、最初にゴジくんにやっておこうねー」

 

 ミコトは手にした粒子をダイスケの傷口に塗布する。すると粒子は輝きだし、その下の傷は瞬く間に消えていく。

 

「治癒魔法……なのですか?」

 

 ゼノヴィアの問いに、ミコトは首を横に振る。

 

「私の粉だよ。お薬よりもすごいんだから。じゃ、次はゼノちゃんね」

 

 そう言ってミコトはゼノヴィアにも粒子を塗布した。塗布されてわかったが、傷の修復時のうずきや痛みもなく、本当にすっと痛みと傷が消えていく。

 しかもアーシアでは治癒できない体力の消耗も回復しているとんでもない治療法だ。

 

「そこの金髪のかわいい子も無理しないでいいよ。遅れてきちゃった分、ここで挽回しなきゃだから」

 

「いえ、私もやります! 戦闘でお役に立てない分、ここで頑張るのが私の役割です!」

 

 イッセーに庇われていたお陰で無傷のアーシアが奮戦する場である、ということだ。

 

「そっか。じゃあがんばろう!」

 

「はい!」

 

 そうしてエビラやフリードによって傷を負わされていた面々は、十分もしないうちに全員全快してしまった。

 

「すごい……アーシアがいるとはいえ、ここまで短時間で全員を治すなんて」

 

「えっへん! もっと褒めていいよ!」

 

「な、なんかギャップがありすぎてすごい人なんだかそうじゃないんだかわかんないな……」

 

 助けて貰った身なので大きい声では言えないが、イッセーのつぶやきは全員の心の声でもあった。

 しかし、全員の傷が癒えたが一人だけ目を覚まさない。ダイスケだ。それに気付いたイッセーは、慌てて駆け寄って声をかける。

 

「お、おいダイスケ! 起きろ! みんな終わったぞ、起きてくれよ!」

 

 揺さぶってもみるが一向に反応がない。全員が心配そうにのぞき込む。

 

「部長、どうしましょう。もう少しでお兄様の部隊が到着しますから、そちらに預けるべきかと思うのですが……」

 

「朱乃のいうことは正しいけれど、到着する部隊の医療班がこの事態に対処できるかしら。小猫、貴女はどう診る?」

 

「……わかりません。気が読めなくなっています。魂が混濁しているとでも言うべきなのでしょうか、手の施しようが……」

 

 自分達に打つ手がない。その焦りを感じたのか、ミコトが「はーい!」と挙手する。

 

「みんななにもしないんだったら……わたしがお持ち帰りしちゃっていい?」

 

『……はい!?』

 

 

 

 

 

 

 混濁しながらもダイスケは一部始終をつぶさに記憶していた。

 

――あははっ、やっぱりゴジくんだぁ! ひっさしぶりぃ、元気にしてたぁ?

 

 突然横合いから聞こえてきた声の主がタックルをかまし、ダイスケは吹き飛ばされる。

 

――妾の前から消えよ!

 

 先ほどの少女に似た少女が先程まで自分が戦っていた相手を蹴り飛ばす。

 

――無様だな。独断専行で、それも意気揚々と他勢力へ戦争を仕掛けた結果がこれか。

 

 イッセーの神器に似た雰囲気の鎧の男。

 見知らぬ人間たちが入れ替わり立ち代りで現れる。あまりの展開の速さにダイスケは自分がどうなったのかさえわからない。

 鎧の男が立ち去ったあと、アーシアと女が仲間たちを介抱してくれている。どうやらそちらの心配はしなくていいらしい。胸の傷も回復した女が治してくれている。お陰で大分楽にった。

 だが、どうしても起き上がれない。全身に力が入らない。心に体がついて行かないのだ

 

――みんななにもしないんだったら……お持ち帰りしちゃっていい?

 

――……はい!?

 

 皆驚いているが、最終的に「なんとかなるなら」と納得している。

 いや、ちょっと待て。なんでお前らが俺をお持ち帰りするの認めとんねん。そしてダイスケは担がれ、ホテルの一室に連れ込まれる。

 

――ゴジくんのことはわたしが助けるから……。

 

 すると女はダイスケを全裸にしてベッドに寝かせ、自分も裸になって布団の中に潜り込んでくる。

 

――治療のためにも、今まで会えなかった分しっかりみっちりくっつこうね?

 

 言いながら女は顔を近づけてくる。たまらずダイスケは叫んだ。

 

「や、止めろぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 ガバッ! と起き上がるとそこは知らない部屋のベッドの上。病院かどこかだろうか、ともかくどうやら全て夢の中の出来事であったらしい。ホッと安堵するもすぐに違和感に気づく。

 いま、何も着ていない。

 普段は「寝巻きを着るのも面倒」と言って冬でもシャツとトランクスだけで過ごすような男だが、明らかに何も着ていないのだ。

 そして下半身にのしかかる人ほどの重さの物体。恐る恐る布団を剥がす。

 

「―――んー……もう朝なの?」

 

 そこには夢の中の女が、同じく生まれたままの姿でダイスケの上に乗っていた。

 

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

 

 その時、本日二回目のダイスケの絶叫が完全防音の部屋に響いた。




 はい、というわけでVS19でした。
 次回は新キャラの説明会です。あと、ちょっと投稿ペースが落ちると思います。前作のからの修正箇所が結構あるので。
 なお、感想などもお待ちしております。いつでも待ってますのでどしどし送ってきてくださいね。皆様から頂く感想はオンタイセウの活力となります。
 それではまた次回。いつになるかは分かりません!! 

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