ハイスクールD×G 《シン》   作:オンタイセウ

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 今回は私見が多分に含まれます。
 なので言っておきましょう、勇気なき者は去れ!!!!
 ……あ、うそうそ。読者増えて。お願い。
 次回からはキリ良くラグナロク編だよ!!


VS49 運動のB/なぜブルマは廃れたのか

「あ、あ、あ、味って……!?」 

 

「当然君の味さ。ずっと見ていた君の味さ。君を味わいたくって仕方ないんだよ、僕は。……いや、もう味見だけじゃ我慢できない――食べちゃいたいよ」

 

 男性的でありながら女性的な色気を見せる麗人にダイスケの心臓は爆発寸前だ。その倒錯的な妖艶さにもう自制心は崩壊寸前。首の皮一枚で理性を保っている状態だ。

 

「いや、もう限界だ。いいよね? シちゃっても」

 

 え、なに、こんなズカ系美女と会って五分でアハン!? とダイスケは驚きを隠せない。しかも麗人はダイスケの頬を両手で掴み、自分の顔とダイスケの顔を近づけさせようとしている。そう、どう考えてもキスしようとしている。

 

「さぁ、僕に身を任せて。大丈夫……怖く、ないから」

 

 ああ、お父さんお母さん。俺はこれから大人の階段を上ります。そんな馬鹿な一文がダイスケの脳裏によぎった瞬間――

 

「なーにやってんだ、お前」

 

 心底呆れかえったような男の声と同時に堅いなにかが粉砕される音が響く。麗人の後頭部に部屋の入り口にあった高そうな花瓶が投擲されたのだ。

 

「ジャン・レノン!!」

 

 フランスの名優の名を叫び、昏倒する麗人。見れば花瓶を投げたのは着流し姿の中背の男。実に日本人らしい男前と表現すべき顔立ちだ。

 

「ドミニクよぉ、お前いい加減にしろよ。子孫繁栄なんてここじゃ無意味だぜ?」

 

「五月蠅い、エイジ!! 僕はあの時成しえなかった事を成す!! このダイスケと一緒にね!!」

 

「そいつに取っちゃ迷惑な話だぜ。一人で勝手にやんな」

 

「嫌だね! せっかくここに来たこのチャンス、僕は絶対に無駄にしない!!」

 

 そう言いながらダイスケに後ろから抱きつくドミニクと呼ばれた麗人。その背中に当たる柔らかい二つの感触が堪らないがダイスケはある事に気付く。

 

「ん? ……なにか尻に当たってる?」

 

 自分の腰の位置には丁度ドミニクの腰が当たっている。なにがどうなっているのかわからなかったが、エイジと呼ばれた男が応えを教える。

 

「ドミニクはな、完全な両性具有だ。ケツに当たってんのは……わかるよな?」

 

 それを訊いてダイスケの顔が真っ青になる。そして、確認のためにドミニクに呟きで尋ねた。

 

「あ、あの……ナニか当たってるんですが……?」

 

「あぁ、――当ててるんだよ。ナニを、ね」

 

 ガタガタとダイスケは震えはじめる。そしてドミニクはダイスケを部屋から連れ出そうと持てる力全てを持って連れ出そうとした。

 

「やめろぉぉぉぉぉぉ!!! 俺は、俺はそっちの趣味はないぃぃぃぃぃ!!!!」

 

「なら興味を持たせてあげよう! 意外といいもんだよ!!」

 

「する・しないの選択の自由ぐらいはあるはずだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「ならどっちの方も味あわせてあげるよ!! 何でも試してみるものさ!!」

 

「いやだ! ダレカタスケテー!」

 

「チョットマッテテー! イマイレルー!」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」

 

 器用にドミニクは足でダイスケのズボンを下ろし、パンツまでにも手をかける。人生最大の危機にダイスケは泣きさけんだ。すると突然ドミニクの頭に鉄拳が叩き込まれる。

 

「hey,流石に同意無しはヤバいぜドミー。せめてちゃんとagreementをもらいな」

 

「あ、アンディ……?」

 

 アンディと呼ばれた白人の大男の顔は笑っているが目は笑っていない。その威圧感にドミニクはダイスケを解放した。

 

「子孫繁栄も良いけどよ、youが欲しいのは(アムール)だろ? ならちゃんと腕力じゃなくhartでattackしな」

 

「わかったよ、うぅ……でも僕は君を諦めない! いつか君と(アムール)を交わす!! その日までちゃんと明日から奥まで洗うんだよ!! 明日(ass)だけに!!」

 

「いい加減黙れ、ゴールデンラズベリー賞」

 

 エイジから放たれた容赦ない一言に、さしものドミニクも一撃で轟沈した。

 

「僕は悪くない、僕は悪くない、僕は悪くない。悪いのはエミリッヒのバカヤロー……」

 

「なんなんだよ、ゴールデンラズベリー賞って! 誰なんだよ、エミリッヒって!! つーか、あんたら一体何なんだ! いい加減説明しろォォォォォォ!!!!」

 

 ズボンをズリ下げられた状態でわめき散らすダイスケ。そのダイスケの肩を背後の誰かが叩く。

 

「ま、落ち着け同志。俺はシャク、こいつらの仲間だ。話は落ち着いてしようぜ……おっと、ズボン履くのは忘れるなよ。さ、時間もそんなにないしな。なぁ、ハルオじいさん」

 

「……全く人の子とは常に騒々しいものだな。鬱陶しくてかなわん。さっさとせい」

 

 ジャージ姿でサングラスを掛けた青年と、不機嫌そうな紋付羽織袴の老人に促され、ダイスケは不承不承ながらズボンをはき直して着席した。

 

 

 

 

 

 

「まずはようこそ同志、宝田大助。俺たちはお前さんを歓迎する」

 

 円卓に座るシャクから歓迎の意を受けるダイスケ。他に椅子に座るのはドミニク、エイジ、アンディ、シャクそしてハルオ老人の計五人。ダイスケも座っているので残り七つの席が空いている。。

 

「ああ、他の連中は基本人間嫌いか興味がない奴らだからな。そりゃ来ないよ。ここにいるのは俺やアンディみたいに人間をそれほど嫌っていないか、お前個人を気に入っているドミニクやシャクぐらいなもんさ。ハルオ爺さんは単なるまとめ役だ」

 

「ふん、この者にがきたとなれば顔を出さないとはいくまい。そもそもエイジやアンディのようなやつがいるのがおかしいのだ。我ら『十三匹のゴジラの会』の恥ぞ」

 

「……やっぱりあんたらゴジラだったのか」

 

 エイジとハルオ老人の言葉で、さしものダイスケもすぐに理解した。ここにいる人間――いや、この存在達はゴジラの意識が具現化したものだ。

 

「でもなんでわざわざ人間の格好を? 基本、人間は嫌いなんだろ?」

 

「そりゃ、同志と話すのに元の姿は不便だからな。身長50m差とか100m差じゃ間違って踏み潰しかねないし、こっちは元の鳴き声だ。コミニュケーションなんて出来ないだろ?」

 

「まぁ、たしかに」

 

「それを考えるとミズホのやつには感謝だよ。表は大変だろうが、僕と君が出会えたんだからね」

 

 ドミニクの熱視線にただただダイスケは冷や汗を流すほかない。だが、気になる言葉があった。「ミズホが表に出た」と言う事だ。その疑問にアンディが答える。

 

「そりゃ言葉通りさ、brother。奴は今youと入れ替わって表で大暴れ。人間に対するhateが№1の奴はyouと入れ替わる事を虎視眈々と狙っていた。で、youがdownしちまったのをchanceにchangeしたってことさ」

 

「そ、それってかなりヤバいんじゃないか!? よりにもよって人間を最も憎んでいる奴なんて!!」

 

「だからこれから貴様を表に還し、ミズホの奴をこっちに引きずり込む。その際、奴の思念に晒されるが己をしっかり保て。飲まれれば永遠に奴は貴様の肉体に居座り続け、ここでドミニクに尻を狙われ続ける事になるからな。さぁ、そろそろ行くぞ」

 

「「「「了解」」」」

 

 そう言ってゴジラ達は椅子から立ち上がるが、ダイスケには一つだけ確認しなければならない事があった。

 

「一つ教えてくれ。どうして俺に力を貸してくれるんだ? 俺が見てきたゴジラの記憶は、ヒトに対する恨みで一杯だった。なのに、なんで俺には力を貸してくれるんだ?」

 

 その言葉に一同は一瞬顔を見合わせ、そしてハルオ老人が答えを言った。

 

「それはな、お前がただ一人試練に合格したものだからだ」

 

「……試練?」

 

 ダイスケには覚えがない。そんな試練を受けたのなら覚えているはずだからだ。

 

「そうか、君は意識せずにクリアしたから。……試練っていうのはね、僕らゴジラの獣転人になった者がマシな人間かどうかワザと力を与えて試すってことさ」

 

 ドミニクの言葉に、エイジが続ける。

 

「俺たちゴジラはあの神によって封印されたとき、一つ言われたんだ。「何も私の子達全てが悪ではない。力を正しく使える者もいるのだ。だからそんな人間に出会ったときは、お前達の力をこの世界を守ることに使わせてやって欲しい」ってな。流石の俺だってその言葉は信じられなかった。俺たちは人間共の誤った力の使い方の犠牲者だ。人間なんて力を持てば必ず誤った道に行く。だから神の言うことは信じられなかった」

 

「勿論俺たちはすぐに表に出て大暴れしてやろうって思った。だが、アンディの奴がな……」

 

 シャクがアンディに視線を送る。

 

「Meは昔、人間に助けられた。馬鹿な人間のMissで死にかけた俺を、同じ人間が、だ。だから俺は神の言葉を信じられた。それでみんなに提案したんだ。「しばらく俺たちの魂を宿した人間がそれに当てはまるかどうか少しの間testしてみないか」ってな」

 

「何が少しの間だ。お前最初は「100万年は見よう」ととんでもないことを抜かしたろう」

 

「俺に取っちゃ少しだよ、ハルオgrandpa。でも折衷案で10万年ってことになったんだ。その間、俺たちは宿主の人間に力を与えてtestした。そのpowerを破壊だけじゃない、自分以外の者のために使う奴がいるかどうかってな」

 

「だけど、どいつもこいつもちょっとの力で思い上がり、他者を平気で傷つけた。どいつもこいつも尻の締まりが弱そうな奴らだったよ。そう言う奴らはみんな早死にした。当然さ、そんな奴に力ある者が生きる世界にいられる訳がないんだから。身の程知らずばかりだったよ」

 

「だからみんな最初の文明発生から五千年の時点で諦めかけてた。俺も、みんなもアンディ以外は外に出る準備をしていた。そこに現れたのが同志、お前さ」

 

 シャクが続ける。

 

「お前は力を手にしても驕るどころか己を律し、自制した。グレモリーの親父さんの申し出にも、普通の子供なら嫌がるところを自ら進んで、家族を守るために分かれた。俺たちにとってはお前みたいな人間は衝撃だったんだ。だから、俺もお前が好きになった」

 

 そう言ってシャクは自分の胸元を広げてみせる。そこには大きく痛々しい傷跡があった。

 

「これはな、俺が人間に攫われた家族を取り戻そうとしたときにつけられた傷さ。攫われた家族は死んでいたけど、人間共はその遺骸で自分達の武器を作りやがった。その武器で俺をこんな目に逢わせた。だから俺は人間は嫌いだが、お前は俺と同じ、家族のためならどんなことでも出来る仲間、同志だ。だから力を貸したいと思っているんだ」

 

「それにな、ハルオの爺さんや他の人間嫌いの六匹のゴジラたちだってお前さんは認めているんだ。みんな格好が付かないから嫌いなポーズしてるだけで、本当はお前を気に入ってるんだ」

 

「だ、黙れエイジ! 誰がこんな小童を気に入っていると言った! ただ、こやつのいる世界をミズホ一人のために滅ぼさせたくないだけだ!!」

 

「それを気に入っているって言うんだぜ、爺さん」

 

「ぐ、ぐぬぅ……」

 

 押し黙るハルオ老人の肩をからかうように叩くエイジ。

 

「だから、安心してお前は俺たちの力を使え。で、わからないことがあったらまたここに来い。一度来たらもうわかるはずだ。……さぁ、さっさと終わらせるぞ。行くぜ、ダイスケ」

 

 エイジが手を差し伸べる。ダイスケはしばし迷ったが、多分彼らの言うことは信じてもいいはずだ。少なくとも絶対的な悪というわけではないと感じられた。

 

「……あぁ、俺に力を貸してくれ」

 

 ダイスケはエイジの手を取り、立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えば今俺の身体で暴れているミズホってどんな奴なんだ? 相当ヤバそうな奴みたいだけど」

 

 廊下を歩く中、ダイスケは身近にいたシャクに尋ねる。

 

「いまから半世紀以上前に起きた大きな人間同士の戦、知っているよな?」

 

「第二次大戦と太平洋戦争か?」

 

「それだ。その戦は俺たちの旧世界でもあったんだが、奴はその時死んだ多くの兵士達の怨念が宿っている。自分達の死を忘れ、己の利益を追求してのうのうと生きている現代の人間への怒りが、だ。その怨念は今を生きる者達全てに向けられている。ゴジラの中でも最も厄介で唯一お前までも憎む奴だ」

 

「怨念……」

 

「だから君は、表に出るときにそれ以上の心で突き抜けるんだ。大丈夫、もしダメでもお互いに突き抜け合えば良いだけ、だろう?」

 

 ドミニクの怪しい言い方にただただダイスケは帰還の意志を強める。

 一同が廊下を歩いて出たのは中庭だった。そこには一人のがたいの良い大男がいた。

 

「チェストォォォォォ!!!」

 

 男がやっていたのは丸太による素振りの乱打。しかも型はダイスケも知っている示現流の型だ。それを繰り出す肉体はまさに岩や山と表現するのがふさわしい。

 

「おーい、ハヤト」

 

「チェストォォォォォォォ! ……あ? なんだドミニ……そうか、ここに来たか宝田大助」

 

 ダイスケを一睨みするハヤトと呼ばれる偉丈夫。かなりの威圧感だが、その圧力にダイスケは屈しない。お返しとばかりにダイスケもハヤトに強い視線を送る。

 

「……へぇ、気に入ったぜ。ヒトの分際で良いタマしてやがる」

 

「testしている場合じゃねぇぜ、ハヤト。ダイスケは早く送り出してミズホを抑えねぇと」

 

「だな、早速準備だ」

 

 そう言ってハヤトは適当な場所に丸太を置き、近くの物置小屋に入って非常に太く長い鎖を持ってきた。

 

「よし、腰の辺りで良い。すぐにとれるように簡単に縛っとけ」

 

「は? 縛る?」

 

 ダイスケの疑問にエイジが答える。

 

「この鎖はミズホをとっ捕まえるためのものだ。この鎖の一端をお前が持っていって、ミズホを見かけたらすぐにこれを掛けろ。そうしたら俺、ドミニク、アンディ、シャクの四人で一気にここまで引っ張り、奴をふん縛る」

 

「ああ、そう言う……で、俺はどうやってそこまで行けば良いんだ?」

 

「それは俺の役割だ」

 

 ハヤトは着ていた胴着の上着をはだけで上半身裸になる。

 

「俺がお前をぶん投げる。そうすりゃ()()()まで飛んでいくだろ」

 

「すげぇ、モノホンの脳筋だ」

 

 何せこのハヤトというゴジラ、旧世界では自分の体重の2倍以上の相手を平気で振り回す腕力の持ち主だ。そんな蟻のような怪力の持ち主なら確かにやろうと思えばやれるだろう。

 

「……ほんと、心強いよ」

 

「当たり前だ。俺たちをなんだと思ってる」

 

当然の如く胸を張るハヤトに、ある種の信頼を抱かずに張られないダイスケであった。

 

 

 

 

 

 

 

「させぬ、させぬわぁぁぁぁ!!! この恨み晴らすまでは、せめてこの世界に傷跡を残さねばぁぁぁぁぁ!!!」

 

 さらに憎悪のオーラを膨らませた白目、もといミズホは動じに己の中に眠る力も増幅させていく。その圧は戦闘経験豊富なイリナですら戦慄させる。

 

「ヒ、ヒメさん! あれ、どうやって抑えるんですか!? なんかもう自分が獣転人でも戦える自信なくしそうなんですが!?」

 

「……たしかにあの恨みのオーラ、下手をすると冥界だけではなく人間界にも影響が出るぞ。ダイスケも出てきそうだが、これでは……」

 

 顔をしかめるヒメに、ヴァーシリーが提案する。

 

「内に眠る聖獣の力を解放すれば良い。三人で囲めば全力出力でプラスマイナスゼロに出来るほどは出せるはずだ」

 

「……唯一不安要素はイリナだが」

 

「あ、あの、その聖獣の力の解放って?」

 

 目覚めたてのイリナがわからないのも無理はない。なのでヒメが説明する。

 

「転生天使なら"光"の出し方はわかるな? アレと同じ要領でやればお前なら獣具展開中は自然と聖獣のオーラに変換される」

 

「わかりました、最大出力の"光"を出すつもりでやれば良いんですね!」

 

「それで良い、行くぞ!!」

 

 すぐさま三人は三角形の形でミズホを囲む。そして、聖獣のオーラを全開に解放させた。すると三人の肉体から黄金の粒子がほとばしり、それがその身に宿す怪獣の原身を形作る。

 

「え、これが私の!? ……ちょっと愛嬌があってかわいいかも」

 

「集中しろ婆羅護吽。下手な制御では白目に殺されるぞ」

 

 ヴァーシリーの注意で再び集中するイリナ。放出される力はさらに増し、それによってミズホもこの三人が何をしようとしているのか察知してしまった。

 

「舐めるなよ、この程度で小生を縛れるかぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 ミズホはさらに怒りを増し、その黒い情念を燃やす。それに対抗して三人はさらに出力を上げた。

 

「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」」

 

 ミズホに向けて伸ばした両手から黄金のオーラが流し込まれ、その力が漆黒のオーラもろともミズホを縛った。勿論ミズホはもがくが、その拘束は強力で身動き一つとれない。

 

「うがぁぁぁぁぁぁぁ!!!! この程度でぇぇぇぇぇぇ……な、なに!?」

 

 ミズホが突如感じた自分が締め付けられた感覚。それはこの黄金のオーラによるものではない。まるで自分の奥底のなにかが鎖で締め付けられたようだ。

 

『捕まえたぜ、ミズホ!!』

 

 それは、ハヤトの豪腕で()()まで放り投げられたダイスケの声であった。目的通りにミズホの意識体に鎖を掛けることに成功したのだ。成功の理由はただ一つ、ミズホが護国三聖獣に気を取られていたからに他ならない。

 

「宝田大助! 貴様ぁぁぁぁっぁ!!! 大人しくこの躰をよこせ!! そも、貴様にこの力は不相応なモノ!! 小生の方がよりよく使う事ができる!!」

 

『それはアンタの復讐のためだろうが! 俺はこの力を俺の大切なものを守ることに使いたいんだ!! アンタの復讐に使わせるためには行かない!!!』

 

「破壊の力を守ることに使う!? 笑わせるな、この力のルーツは"恨み"によるもの!! 人間の愚行が原点!! そんな力、小生の復讐以外の有効活用がどこにある!?」

 

『ああ、そうだ。力なんて元は基本的に"昏い処"から生まれたものだ! でも、人間はそんなものだって"光ある処"で使う『知恵』がある!! 壊すだけが力じゃない!!!』

 

「何が知恵だ!!! そうやって薄っぺらい感情論で小生の復讐を否定したいだけ――『否定しない!!』――……な、に?」

 

 ダイスケの意外な言葉に、ミズホの抵抗の力が一瞬抜ける。

 

『これはアンタのその気持ちを否定しない!!』

 

「な、なにを……なにを世迷い言を!! お前達はいつも「復讐なんて無意味だ」だとか「そんなこと死んだ奴は望んでいない」などと薄い道徳心でこの気持ちを否定するではないか!!! 小生は決して騙されんぞ!!!!」

 

 そのミズホの言葉にダイスケは続ける。

 

『アンタの言うとおり、ヒトは復讐と聞けば自分の都合って奴を道徳心って衣で隠して否定する。でも、俺だってアンタのその気持ちはわかるよ。人間達に、この日本に自分の昏い感情をぶつけたいって気持ち』

 

「そんなもの、わかるわけが――」

 

『――わかる。だって、俺とアンタは同じ魂なんだぜ。違う意識でも、その魂に刻んだものは俺にもわかる。だから、俺はアンタを否定しない。他人のために戦ったのに、その他人が自分のことを忘れたら誰だって悲しいし、悔しい。恨みを抱くのもわかる。だけど、今この世界を傷つけるのは勘弁してくれ。だって……この世界には俺の大切なものがあるんだから』

 

 そう、ダイスケもミズホも()は同じ。そのあり方が人間(ヒト)怨念(ゴジラ)であるかというだけだ。

 

『ヒトへの恨みなら、俺にぶつけろ。もう俺はいつでもあそこに行ける。だから、ここは引いてくれ。……頼む』

 

 これまでミズホの前には自分の恨みに対して否定する者や真っ向からぶつかってくる者しかいなかった。だから、ダイスケに対してどうすれば良いのかわからなかった。

 すると、鎖伝いに自分を引っ張る力を感じた。他のゴジラ達が自分を引き戻そうとしているのだ。普段なら当然抵抗した。だが、今はその抵抗の気すら起きないほどミズホは混乱していた。

 だから、こう言い残す。

 

『……小生の恨み、人の身で受けきれるものではないぞ?』

 

「――大丈夫だよ。おれも、ゴジラ(一緒)なんだから」

 

 そのダイスケの言葉に一瞬「ふっ」と笑うと、ミズホは他のゴジラ達と同じ処へ還っていった。

 

 

 

 

 

 

「あ、おはよー」

 

 ダイスケが目覚めて最初に見たのはミコトの笑顔だった。どうやら膝枕をしてくれていたらしい。

 

「……あぁ、俺を引っ張り出すのを手伝ってくれてありがとうな」

 

「はぇ? 知ってたの?」

 

「まぁ、な」

 

 特に身体に不調もないようなのでダイスケは起き上がる。

 

「イリナもありがとうな。イッセーの方が心配だろうに」

 

「いいのいいの、だってイッセー君の友達なんだから」

 

 快活に笑うイリナだが、その横には見慣れぬスラブ系の男がいた。

 

「……どうやらアンタにも迷惑掛けたみたいだな。えーっと……」

 

「ヴァーシリー。ヴァーシリー・コロリョフだ」

 

「――どうやらアンタ、俺と因縁が深そうだな」

 

「わかるか、ゴジラ。そう、俺とお前は深い因縁で繋がっている。今日はその縁を辿ってきたまでだ」

 

 そう言ってヴァーシリーは踵を返して立ち去るそぶりを見せる。

 

「礼ぐらい言わせてくれよ」

 

「必要ない。いずれまた会える」

 

 そう言うと、ヴァーシリーの姿は消えた。どうやらテレポーテーション能力があるらしい。

 

「ダイスケ、さっきのあの男には気をつけて。あの男は――」

 

「わかってるよ、ミコト。……わかるさ」

 

 そう言うダイスケの脳裏にはあるイメージが浮かんでいた。それは、一匹の黄金の龍。三つの首を持ち、天を自在に翔る制圧者にして侵略者。それとダイスケ――ゴジラはいくつもの世界で戦ってきた。

 

「本当はね、良心を持つ者もいるの。でも、それも今回の一件で……」

 

「最後のブレーキもなくなったってわけか。……まぁいい。また会うときまでにもっと強くなれば良い」

 

「……うん! それでこそダイスケだよ!」

 

 イリナがいるというのにダイスケに抱きつくミコト。それを引き剥がしてダイスケは言う。

 

「イッセーのことも気になる。探そう」

 

「ああ、それなら……あっち!」

 

 ミコトの指さす方向へ三人は歩く。するとそこにはミコトの言うとおりリアス達がいた。

 

「ダイスケ! あなたも無事だったね!」

 

「はい、まあなんとか――って、アーシア? 何でここに」

 

「自分でもよくわからないんですけど、ヴァーリさんたちに助けていただいたらしくて」

 

「は? なんでヴァーリ? っていうかなんでいるのよ」 

 

「それは――そろそろ来るか」

 

 そういうヴァーリが睨む方向の空間に巨大な穴が形成される。

 

「よく見ておけ、特に兵藤一誠。アレが俺が見たかったものだ」

 

 そこから現れたのはあまりにも大きな一匹の龍であった。その大きさはタンニーンをはるかに超えた巨体を誇っている。

 

「『赤い龍』と呼称される龍は二種類いる。一つは赤龍帝(ドライグ・ア・コッホ)、。もうひとつがあの『真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)』、グレートレッド。黙示録に記されし赤い龍、『真龍』とも呼ばれる偉大な存在だ」

 

 雄大に空間を泳ぐグレートレッドを見て口をぽかりとあけているイッセーにヴァーリは続ける。

 

「今回の俺たちの目的はあれの姿を確認すること。シャルバたちのことなんかどうだっていい。オーフィスがここにいるが、その本当の目的もアレを確認することだったんだ。そして、あのグレートレッドは俺の倒したい最終目標だ」

 

「あ、あれを倒してどうしようっていうんだよ?」

 

「兵藤一誠、さっきも言ったようにグレートレッドの異名は『真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)』だ。だが、真なる白龍神帝なんて称号はない。赤と白が並び立っているのに、赤だけに最上位があって白が一歩どまりなんてなしだろう?だから俺はそれになりたいんだ」

 

 そう語るヴァーリの瞳は今まで見たこともないくらいまっすぐであった。イッセーも彼が悪の道を歩んでいることは重々承知している。しかし、そんなヴァーリに純粋な夢があることは意外であった。

 

「――久しい、グレートレッド」

 

 すると突然黒髪黒ワンピースの少女が姿を現す。

 

「おい、あの小っちゃい子なんなんだ?」

 

 ダイスケの言葉でその素姿を確認したヴァーリは苦笑し、教える。

 

「――オーフィスだよ。無限を司るウロボロス」

 

 その名をすでに禍の団の首領の名として知っているダイスケはすぐさま戦闘の構えを取る。しかし、それをミコトが止める。

 

「だめ、抑えて。あれはちょっとやそっとじゃ倒せない、いわば今の世界のゴジラ的存在。今の私たちじゃ届かない」

 

 その証拠にダイスケが発する殺気に意も介さずオーフィスはグレートレッドに指鉄砲を向けてバン、と放つ動作をみせる。

 

「我は、いつか必ず静寂を手に入れる」

 

「悪いがそのために世界のバランスを崩してもらっては困るんだよ」  

 

 その声とともに、アザゼルが天から舞い降りる。共に地響きを立てて着地するのはタンニ―ンだ。

 

「先生、おっさん!」

 

「おー、イッセーもダイスケも無事だったか。イッセー、お前ならあの歌が元に戻るキーになると信じてたぜ。ダイスケも知らせは聞いていたが、無事で良かった」

 

「ふははは、流石乳が好きな赤龍帝だ。しかし、オーフィスを追ってきたらとんでもないものが見れたな。懐かしい奴だ」

 

 アザゼルとタンニ―ンも視線を上空のグレートレッドに向ける。その様子を見て、イッセーはタンニ―ンに尋ねる。

 

「懐かしいって、ひょっとして、おっさんグレートレッドと戦ったことでもあるの?」

 

「そうしたかったがな、相手にもしてくれなかったよ」

 

 タンニ―ンも元とはいえ龍王だ。それが歯牙にもかからなかったとはいったいどれだけの強さをあのドラゴンは秘めているというのか。

 そんな中、ヴァーリがアザゼルに話しかける。

 

「久しぶりだな、アザゼル。クルゼレイ・アスモデウスは倒したのか?」

 

「ああ、サーゼクスがな。頭が潰れれば下についていた奴らは逃げ出したよ。どうやらシャルバもこっちで片が付いたみたいだがな。さて、オーフィス。冥界各地で暴れまわった旧魔王はこれで潰れた」

 

「そう、それも一つの結末」

 

「派閥一つ消えてもどうって事ないってか……だが、これで禍の団の主だった戦力はヴァーリのチームと英雄の子孫や神器の使い手で構成された『英雄派』くらいなもんだろう。それでもまだ世界ぶっ壊しをやめないのか?」

 

「グレートレッドを倒す算段があるのなら我はどのようなものも受け入れる。そして、次元の狭間で真の静寂を手に入れる」

 

「だが、グレートレッドがいて次元の狭間を支配しているからこそ狭間は安定し、空間断裂も起きずにいる。グレートレッドを排そうっていうのは世界そのものを危険にさらすってことなんだぞ」

 

「有象無象などどうでもいい。ただ我が静寂が欲しいだけのこと」

 

「絶対的強者の論理ってか。だが、俺はお前の目的で世界が壊れる様は見たくない。――やるか?」

 

 そう言ってアザゼルは光の槍を手にし、構える。タンニ―ンも戦う構えだ。

 

「いや、我は帰る」

 

 だが、オーフィスは戦闘意欲は最初からないのかオーフィスは踵を返す。しかし、タンニーンはそれに納得できずに呼び止める。

 

「まて、オーフィス!!」

 

 しかし、タンニーンの呼び止める声にもオーフィスはただ不気味な笑みを見せるだけ。

 

「タンニ―ン、龍王が集いつつある。身を潜めていた旧世界の(怪獣)達も。――これから面白くなるぞ」

 

 ヒュン! と一瞬空気が振動したかと思うと、オーフィスの姿は消えていた。その様に、アザゼルもタンニーンも嘆息するだけだった。

 

「ならおれたちも退散するとしよう」

 

 ヴァーリの合図でアーサーが支配の聖剣で空間に穴をあけて逃走用の経路を作る。そこに足を駆けるも、ヴァーリはイッセーに振り向き問いかける。

 

「なあ、俺を倒したいか?」

 

「……ああ、倒したい。でも俺が超えたいのはお前だけじゃない。木場も、匙も、ダイスケだって超えたい。そんな存在が俺にはたくさんいる」

 

「奇遇だな。俺もそうだ。不思議なものだ、当代の赤白は自分の宿命よりも優先すべきことがある。きっとおれたちは歴代でも変わり者だろうな。だがいずれは――」

 

「――ああ、決着をつけよう。お前に部長や朱乃さんのおっぱいを半分にされたらコトだからな」

 

「ふっ、やはり君は面白い。――強くなれ、兵藤一誠」

 

「じゃあな、おっぱいドラゴンにスイッチ姫!」

 

 そう言ってヴァーリと美猴が空間の穴に消えていく。そしてリアスは顔を真っ赤にしていた。

 

「木場祐斗くん、ゼノヴィアさん、いずれご挨拶しようてしていました。私は聖王剣の使い手、アーサー・ペンドラゴンの末裔。アーサーとお呼びください。いずれ聖剣をめぐる戦いをいたしましょう。では、我々はこれで」

 

 最後にアーサーが言い残して空間の裂け目に消えていった。本来なら追うべきだろう。だが、今回はアーシアを助けてくれたということもあって誰も後を追うことはしなかった。

 だがいずれは相まみえることになるだろう。

 

「でも、今日の一件はこれで終わった。――さあ、今度こそ帰ろう。アーシア。父さんと母さんが待っている」

 

「……はい!」

 

 笑顔のアーシアを見て、イッセーも微笑む。しかし、不意にイッセーの意識は遠くなり、気を失ってしまう。

 

「イッセーさん!」

 

「イッセー!!」

 

 しかし、その崩れ落ちるイッセーの体を支えるものが一人。ダイスケである。

 

「あんな状態になった後だ。体力消耗してるって気づけよな。」

 

 完全に気を失ったイッセーを支えながらそんなことを言う。

 

「貴方のほうは大丈夫なの?」

 

 イッセーと同じく暴走状態に陥ったにもかかわらず、平気そうなダイスケを前にしてリアスが問う。

 

「俺のほうは大丈夫みたいです。特に不調も」

 

「そう。なら良かったわ……」

 

「それと、ついでに収穫もありました」

 

「収穫?」

 

「はい。……もうこんなことにならないように、強くならなきゃな。俺たち」

 

 背負うイッセーに、ダイスケはそう話しかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「来ないな、あいつ」

 

 ダイスケがぼそりと呟く。

 

「……はい」

 

 アーシアがさみしげにつぶやく。今日は運動会当日。しかし、イッセーは意識を失って今日まで数日たったというのにまだ一度も目覚めていない。

 この数日は様々なことがあった。冥界の政治では今回の事件の責任を問われ、ディオドラの血縁者である魔王アジュカ・ベルゼブブにその矛先が向いた。しかし、いかに血縁といえども今回はディオドラの単独の暴走であると事とレーティング・ゲームの根幹にかかわる人材ということもあって本人への追及は免れた。

 それから若手同士のレーティング・ゲームも中止になった。二名も脱落ないし死亡してしまったためだ。

 しかし、あるゲームは執り行われることになった。グレモリー対バアルの試合である。一応アガレス対シトリーも予定として挙がっているらしいが、グレモリー対バアルの試合は必ずやることに決まった。

 それだけいろいろ変わったり決定したりしていたが、イッセーに関して言えば眠り続けるだけであった。

 そのため、騎馬戦で多数の騎馬を蹴散らした後のダイスケが急遽アーシアと組んで二人三脚を走る予定だったイッセーの代走としてここにいるのだ。

 

『続いてのプログラムは二人三脚です。参加する生徒はスタート位置の第二ゲートに集合してください』

 

「ああっ、始まっちゃいます!」

 

「なにしてるんだホントに……」

 

 このままではイッセーの変わりにダイスケがアーシアと一緒に走ることになる。アーシアもイッセーと一緒に走るのを楽しみにしていたのだから、叶えてやりたいと思うのが人情だ。

 そこへ――

 

「アーシアァァァァァアアアアア!!」

 

 聞こえてくるイッセーの叫び声。

 

「ごめん、遅れた!」

 

 そこへようやくイッセーが到着する。

 

「遅ぇよ」

 

「それ、途中で匙にも言われた」

 

「昏睡してたんだろ。走れるか?」

 

「そこは大丈夫。ばっちり走れる」

 

「そうか、なら――ほれ」

 

 そう言ってダイスケがイッセーに手渡すのは互いの足を縛るための帯だ。

 

「やるからにはてっぺん獲れよ」

 

「ああ、もちろん。なあ、アーシア!」

 

「はい!」

 

 笑顔で答えるアーシアを見て、ダイスケはその場を後にする。

 

「てっきりイッセーの身を案じて代走するものと思ったけれど?」

 

 ダイスケに話しかけるのはリアスだ。

 

「さっきまで寝てたんだから安静にしてろって? 他の女子と組んでたならそう言うでしょうけど、アーシアですからね。あいつの隣はイッセーでないと」

 

「そう、そうよね。まあ、イッセーの一番を譲るつもりは私はないけれど、アーシアはイッセーと一緒にいてこそよね――イッセーたちの出番のようね」

 

 ダイスケはリアスに連れられて観覧席の前に出る。 

 

「イッセー! アーシア! 一番になりなさい!」

 

「二人ならいけますわよ!」

 

 そんな風にイッセーたちにエールを送るオカルト研究部一同。保護者席ではイッセーの両親もエールを送っている。

 そして弾ける空砲の音。二人は走り出す。一組、二組と抜いていき、そして一着でゴールする。

 

「よっしゃぁぁぁあああああ!!」

 

 イッセーの勝利の雄たけびが聞こえてくる。

 

「じゃ、俺はこれで」

 

「あら、イッセーたちを迎えに行かないの?」

 

「このあとの棒倒しに出るんですよ。……蹴散らしてきます」

 

「……加減はしなさいよ」

 

 そのあと、体育館裏でイッセーがアーシアにキスをもらっていたことを知りそれをネタにいじることになるのだが――それを語る機会は訪れないだろう。

 

 

 

 

 

 

「クルゼレイは死に、シャルバも瀕死で生き延びたが落ちたよ。ヴァーリ・ルシファーも上に立たないそうだ」

 

「そうかそうか、これで旧魔王派は終わりってことかな。ま、うちの絶霧(ディメンション・ロスト)の使い手が少し手を抜いたからか?」

 

「よく言うよ、そうしろと言ったのは君だろうに。で、どうする。そろそろ我ら英雄派の出番か? ――曹操」

 

「さぁ、どうしようか。今は人材集めのほうが楽しいんだけどなぁ。ヴァーシリーはヴァーシリーで働いてもらっているし」

 

「初代と同じか。だが近い将来は必ず動かなければならない。君に宿っているものがそれを許さないから。その最強の神滅具――」

 

「――『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』か。はてさて、この矛先にあるのは、覇か、それとも――」

 

 

 

 

 

 

 

 

「総司令、烈一号型核弾頭264号回収完了いたしました」

 

「ご苦労だった、竜尉行動隊長。で、弾頭の様子は?」

 

「諸元通り転移に成功。機能も無事です。我々の科学技術と異能技術の融合はオーラノイドふくめ順調です」

 

「なら良い。本当なら今すぐにでも行動を起こしたいが、我々にはまだ他神話体系の神クラスと争うだけの戦力のあてがないのが現状だ。せめてその目処がたてば良いのだが……」

 

「それに関しましては総司令。かの禍の団の一派が有効化と」

 

「神殺しの槍か。果たして我らと同調してくれるだろうか。その存在と意思は確かに尊いものだが……」

 

「現在交渉員が接触を図っています。あとは、なんとか同盟にこぎ着ければ」

 

「叶うと良いがな。問題は奴だ。宝田大助、ゴジラ。奴をなんとかしなければ、我らの理想は成り立たん」

 

「その時は私にお任せください。必ずや――この身に宿った神の奇跡にて奴を討ち滅ぼして見せます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 燃えている。大きく豪華な城が炎を上げて燃えている。

 ここはグラシャボラスの領地にある居城の一つで、次期当主であるゼファードルが住まう城だった。それが現在盛大に燃えていた。

 使用人達はすでに避難し、一人も死者は出ていなかったがただ一人、この城の主であるゼファードルは逃げ遅れていた。なぜならこの騒動を次期起こした張本人達によってこの炎の中に引き留められていたからだ。

 

「なぜだ! なんでお前らはこんなことを!!!」

 

 すでにサイラオーグに心をおられ、立ち直れなくなった矢先にこの事件。しかもこの事件を引き起こしたのは()()()()()だったからだ。

 

「なんでって……そりゃあねぇ?」

 

「主殿が我らを裏切ったから故」

 

「う、裏切りだと!?」

 

「そうだぜ、主殿。アンタは俺たちを裏切った。アンタ俺たちをスカウトした時なんて言った? 『その力を自由に使って暴れられるようにしてやる』って言ったんだぜ、あんた?」

 

 そう、ゼファードルは彼ら三人を己の眷属にスカウトするためのそう言った。

 彼らは己の力の使いどころを見つけられずに人生を悔やんでいた。せめてもっと自由に生きられれば。そう願っていた所に現れたのがゼファードルで、先程のスカウトの言葉だった。しかし――

 

「アンタはこの前のゲームで折れちまった。そしたらゲームはなくなって俺たちが暴れられる所がなくなっちまったんだよ」

 

「そ、それはお前達があの時真面目に戦わなかったから――」

 

「ダンナ、あんたわかってないのかい? ありゃテストだよ。アンタが気骨ある主か、俺たちに真にふさわしい主かどうか試したんだ。向こうの(サイラオーグ)でな」

 

「だが主殿は折れた。これでは我らを動かせる資格があるとは到底思えん」

 

「だからよぉ、俺たちは《はぐれ》になることにしたぜ。その方が自由だしな」

 

「なっ――そ、それだけは止めてくれ!! グラシャボラス家からはぐれが出たとなったら家の評判が!! そ、そうだ。トレードはどうだ!? 他の家の眷属とトレードすれば……」

 

「残念だなぁ、主殿。俺らもう行き先が決まってんのよ。むしろそっちの方が性に合うんだ、これが」

 

「ま、まさか……お前達、禍の団に!? だ、だめだ!! それをやられたら俺は本当におしまい――!?」

 

 三人の中で最も体躯が大きい男がゼファードルの頭を掴んで持ち上がる。

 

「ま、これも俺らを拾ったリスクの一つだとでも思ってくれや。拾ってくれてしばらく贅沢させてくれた恩もある。殺しはしねぇよ。殺しは――なっ!!!!」

 

 そう言って大男はゼファードルを窓に向けて放り投げる。ゼファードルは絶叫をあげながら、使用人達が避難している庭に落ちていった。

 

「おおそうだ。ここにある金品をいくらか手土産に持ってくか!」

 

「火事場泥棒か。関心せんな」

 

「かてぇこと言うな! さ、これまでの給料分はもらっていこうぜ!!」

 

 翌日、本格的に再起不能になったゼファードルと火傷などの怪我をした使用人達が保護されると同時に、ゼファードルの眷属であった三人の獣転人がSS級広域指名手配はぐれ悪魔として手配されたのであった。




 はい、というわけでVS49でした。
 擬人化ゴジラ達は基本的に名前は当時のスーツアクターさん達や関係者から名前をいただいています。ドミニクのみフランス生まれで男女どっちでも使える名前としてこれにしました。つまり、98年版ゴジラです。よりによってこいつが一番濃いキャラになりました。
 なんでダイスケがゴジラに認められているかという点ですが、これ以上他に理由はありません。ただ一人力をセーブしようとしたから「自制心を持っているコイツには使われてもいい」となったということです。
 グレートレッドとオーフィスの二体はD×D世界の特異点、つまり旧世界の特異点であるゴジラや怪獣達と同じポジションです。モノによってはそれ以上の脅威ですが。
 ヴァーシリーの目的を某虚空の王と同じと捉えていらっしゃる方々がいるようですが……神器もとい獣具は所有者の「想い」でもっと強くなるんやで……。
 なお、感想などもお待ちしております。いつでも待ってますのでどしどし送ってきてくださいね。皆様から頂く感想はオンタイセウの活力となります。
 それではまた次回。いつになるかは分かりません!!
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