・二つ名
二つ名と言うのは、普通は本人である呼ばれる側ではなく、不特定大多数の呼ぶ側が決めるものだ。そして多くの場合、最初から一つに纏まってはいない。
偉業を成した剣士を称える場合、強さを称えて『最強の戦士』と呼ぶ者がいれば、その剣の速さを称えて『最速の剣士』と呼ぶ者もいるだろう。他にもその容姿を称える者もいれば、偉業を達成した不屈の精神と勇気を称える者もいるだろう。
それらの二つ名の中からどれがステータスに反映されるのかを選ぶのは、ステータスを司る神々ではない。ただ、複数の二つ名の中から最も支持されたものが、ステータスに表示されるのだ。
だから、その時まで何が自分のステータスに反映されるのか、本人には分からない。
ただし、発言力のある存在……神や一国の為政者から、二つ名を授けられた場合は別だ。その場合は、名づけた存在の権威によって大多数の民衆は、既に名づけられた二つ名で呼ぶからである。
『グールキング』『グールエンペラー』
グールに対する【眷属強化】及び【死属性魅了】の効果が強化される。また、【眷属強化】のレベル上昇時、影響下にあるグールの数を倍にして計算する。
『蝕王』『蝕帝』
主な効果は【蝕王】の治める民は全て(人種やエルフ、ドワーフであっても)【眷属強化】の影響と効果を与える。
更に種族的に【暗視】を持たない民は【暗視】スキルを、【暗視】を持っている民には【闇視】スキルが習得可能になる。
更に日光や月光に弱い民は耐性スキルの習得が可能。
『忌み名』
複数の勢力の、一定以上の発言力を持つ存在に認知され、それでいながら二つ名を付けない様に注意された存在が獲得する二つ名。
具体的な効果は無く、最低でも国家規模、最大で神々に恐れられ、忌避されている事を表す。
そのためこの二つ名を獲得している事を知られると、超危険人物であると解釈される事が多い。
『魔王の再来』
魔王の再来である事を示す称号。ただそう認知されるだけでは無く、実際に魔王グドゥラニスと同じ事が出来なければ、獲得できない。魂を砕く、新種の魔物を創造する、ダンジョンを作り出す等。もしくは、魔王の一部を取り込む、吸収する、取り込まれる等でも可能。
この二つ名を獲得した者は、上記した獲得条件を満たす行為に加え、様々な禁術や邪悪な知識の扱いに補正を受ける。
特に魔物を新たに創り出す事、変化させる事に大きな補正を受ける。レビア王女達がフレイムゴーストやファイアゴーストにランクアップしたのもその一例。
ただ全ての魔物を無条件に創り変化させられる訳では無く、細かな条件や相性等が存在する。
『怪物』
多くの、若しくは複数の権力者等から畏怖されている者が獲得する二つ名。
ただ単純に恐れられるだけでは無く、得体の知れない不気味さを漂わせていなければ獲得する事は出来ない。
この二つ名を獲得する者は多くの場合反社会的組織の幹部やボス、冒険者ギルドでも正体を把握していない魔物等に成るため、この二つ名を所有している事を知られると警戒される。ただ、裏社会の場合は一目置かれるかもしれない。所有者が魔物の場合は、手下を作り易くなる。
この二つ名を獲得すると自分を畏怖する存在の注目を惹きやすくなり、また裏社会では注目され擦り寄って来る存在も増える。
『開拓地の守護者』
開拓民を助け、難題を解決する等してその開拓地の九割前後の民に認められた場合得られる二つ名。
この二つ名の所有者が関わる開拓事業は成功する可能性が高まる。また、関わった開拓地に危機が迫っている場合偶然居合わせる等して、対処する事が出来る可能性がある。
『ヴィダの御子』
所有者が『生命と愛の女神』ヴィダから特別に愛され、また認められた人物である事を示す。過去、この二つ名を獲得したのは、ヴィダの直系である吸血鬼やダークエルフ等の新種族の始祖か、ヴィダから与えられた神託や試練を達成した者のみ。
そのため、ヴィダの信者や新種族からは聖人に等しい尊敬を集める。
ヴィダからの神託を受けた時の理解力が高まり、ヴィダの【聖職者】スキルに補正を受ける。
本来なら生命属性の魔術に補正を受ける事が出来るが、ヴァンダルーの場合適性が無いのでそれを受ける事は出来ない。
『鱗王』『鱗帝』
境界山脈に隔てられたバーンガイア大陸南部に存在する大沼沢地に君臨するリザードマンの長が、神から授けられる二つ名。
その名の通り鱗を持つ者の王である事をあらわし、リザードマンは勿論爬虫類型や竜種を含めた、鱗を持つ魔物に対して有効なカリスマ性を得られる。(魚型の魔物は含まれない)
本来なら自身の鱗をより強固で美しくする効果もあるが、鱗の無い者が所有する場合適応されない。
『触王』『触帝』
『汚泥と触腕の邪神』メレベベイル等、触手系の邪神悪神が与えるか、触手や触腕を持つ者で王(女王)に相応しいと認められた者、触手触腕を持つ魔物や種族を多く従えた者が獲得する二つ名。
歴史上、殆どの場合自身も触手触腕を生やしている存在が獲得してきた。例外としてはクラーケンをテイムした伝説のテイマーや、初代サウロン王国国王が知られる。
具体的な効果は触手触腕を持つ魔物や種族にカリスマ性を発揮できるようになる。それらを眷属に加える事が可能に成る(【眷属強化】スキル必須)。自身の触手触腕の強化や、扱う際にスキル補正や効果を大きくする事が出来る。
『鬼帝』
『戦士の神』ガレスと彼の御使いや英霊が、ヴァンダルーとのコネクション強化のために考え出した二つ名。勿論、この二つ名を獲得した前例は無い。
鬼と名のつく魔物や、種族へのカリスマ性を強化する。また、ガレス達にとっても予期せぬ効果だが、アンデッド全般への【導き:冥魔道】の効果を上昇させる。
『勇者』
異世界から来た者(召喚、偶然による転移、転生問わず)が神々と、大勢の人々(十万人以上)に認められる事で獲得できる二つ名。
かつて異世界『アース』から神々に招かれたザッカートやベルウッドが獲得したが、彼等は最初から神に招かれた存在であり、ラムダに降り立った時から人々に「神が召喚した勇者」として認め称えられた事ですぐ習得した二つ名である。
効果は、装備しているアーティファクトや所持しているユニークスキルの効果の上昇、上位スキルへの覚醒に必要な難易度の緩和等、既に勇者として相応しい存在でなければ意味が無い効果ばかり。
因みに、『迅雷』のシュナイダーや『蒼炎剣』のハインツ等、この世界で生まれ育った存在は幾ら神々と人々に認められても、この二つ名を獲得する事は出来ない。
異世界から前世以前の記憶を持ち転生してきたヴァンダルーの場合は、フィディルグやメレベベイルだけでは条件を満たせなかったが、境界山脈内部の神々と人々に認められた事で獲得する事が出来た。
『試練の攻略者』
神によって課された難解な試練を攻略した者である事を示す二つ名。多くの場合試練を課すのは『法命神』アルダを始めとした神々で、その神と攻略した試練を知る者達から尊敬を集める。
ヴァンダルーの場合、実際には『迷宮の邪神』グファドガーンが課した『ザッカートの試練』を攻略した事を示すため、その効果は境界山脈内部に留まる。
この二つ名を持つ者はその後も神々から注目され波乱万丈の人生を過ごす者が多いが、それも二つ名効果の内なのかは不明である。
『侵犯者』
善と悪、神と人、世界と世界、人と魔物、地域と地域の境界線を侵犯し、掻き乱し新しい何かを産み出す存在。神話や伝説で語られるトリックスター、文化的英雄である事を示す。
一概に善とは言えないが、悪とも断じる事が出来ない。
ラムダの神話では『空間と創造の神』ズルワーンがその役目を果たす事が多い。また、秩序を司る『法命神』アルダとその眷属との相性は悪い。
効果は侵犯者として行動……新発見のジョブの出現やスキルの獲得、何かの発明等に補正が得られる。逆に、奇妙なトラブルに遭遇しやすくなるという副作用もあるが、この二つ名を獲得した時点でそれを苦に感じる人格ではないだろう。
ただこの二つ名は神々から贈られる事が殆どであるため、生きている間に獲得した人間は歴史上殆ど存在しない。そのため二つ名の正しい意味と効果を多くの人間は知らない。
ヴァンダルーの場合上記の境界に加えて死と生の境界線も侵犯し、乱している。既存の秩序を良しとする者達にとっては悪だが、その恩恵を受けている者達にとっては間違いなく善である。
『屋台王』
複数の屋台を傘下に収め、営業している通りや地域で指導的な立場に在る者が獲得する二つ名。類似した二つ名が多数存在する。(例:屋台の女王、屋台将軍、屋台キング等)
通常は幾人か弟子を育てた料理人や、屋台仲間の意見を纏める顔役的な人物が獲得する二つ名。活気のある町には大体一人は屋台王がいる。
補正として、多少だが【料理】スキルに補正がかかる。
『天才テイマー』
読んで字の如く、天才的なテイマーが獲得する二つ名。何か天才的な実績か、素質を見せる事が獲得条件。また、その性質上比較的若いテイマーが獲得しやすい。
『屋台王』より珍しい二つ名だが、オルバウム選王国の場合各公爵領に、十数年に一人ぐらいの割合で『天才テイマー』が存在する。
この二つ名を獲得している時点でテイマー関連のスキルは十分だろうが、それらに多少だが補正がかかる。
ただこの二つ名は補正よりも、テイマーギルドで将来の幹部候補……最低でも支部長クラスになると見込まれているという意味の方が大きい。
『黒血帝』
黒き血を持つ皇帝である事を表す二つ名。ブラッドポーションの生産や、生物を血によって変異させる時、自身の血を変化させる時に補正を得る事が出来る。
この二つ名を獲得したのは歴史上ヴァンダルーのみであり、ほぼ彼専用の二つ名である。
『龍帝』
龍の皇帝である事を表す二つ名。普通は自称しようが、神にそう称えられようが獲得する事は出来ない。
出来るとすれば、龍の中でも有力な存在に認められ、名を贈られた時ぐらいである。
そのため、ティアマトに二つ名を贈られたヴァンダルー専用の二つ名と言える。
この二つ名を持つ者に敵対するという事は、ティアマトやその配下の龍達と敵対する事と同じだと覚悟しなければならない。
『聖女』
それらしい行いや偉業を達成したり、権威のある神殿から認められたりした者が獲得する二つ名。類似する二つ名に、聖人、聖者、聖少女、聖母等がある。
獲得すると同じ神やそれに近しい神々を信仰する者に対してカリスマ性を発揮し、また布教等の宗教活動を行う際に有利な修正を受ける事が出来る。
また、【御使い降臨】や【能力値強化:信仰】等のスキルを獲得しやすくなる。
通常、既に『聖人』や『聖母』の二つ名を獲得している者が、改めてこの二つ名を獲得する事は無い。
ダルシアの場合は境界山脈内部及び魔大陸と、オルバウム選王国の間に交流が無く情報の行き来がない。そのため彼女を『聖母』と認識する者達と、『聖女』と認識する者達が同時に、尚且つ別々に存在した結果である。
【女神の解放者】
封印されていた女神、この場合はボティンを解放した事を示す。ボティンから送られた称号であり、この二つ名を持っている事を明かした場合、ボティンとその従属神の信者やドワーフ達から多大な尊敬を集める事が出来るだろう。
【大魔王】
魔王グドゥラニスを超えた存在、もしくは、超える事を期待されている存在に贈られた二つ名。
ラムダ世界では魔王は本来、忌まわしい存在、恐ろしい存在である事を意味するが、大魔王の意味はまだ定まっていない。
この二つ名を獲得した者は、過去に存在しない。ヴァンダルーが一人目の大魔王である。
【ヴァンダルーの聖女】
特定の神の信者の中でも特別な立場にある人物が得る二つ名の一つ。この場合は、ヴァンダルーという神を信仰する聖女である事を意味する。
同じ神を信仰する者達から尊敬や好意を得やすくなり、その神が司るものに関係するスキルの獲得や成長が若干しやすくなる。また、加護や神託を得る可能性が高まる。(冥の場合は今更だが)