今日もツキとアリス、しととねちゃんと過ごしていると、聞こえる声。
「ししょー! 今日も来たぞ!」
玄関を開け走ってくる幼女。
チェーンを垂らした黒い服に身を包み、黒髪を靡かせてリビングまでドタドタと入ってきた。
「おう、ってそれ、シュバルツェスツインドライブか?」
「うん!」
シュバルツェスツインドライブは大きさを調整できるようで、今は人間大の大きさでいる。最大サイズは俺たちと戦った時ぐらいの、二階建てを少し超えるぐらいの大きさらしい。
「かわいいー」
ツキがシュバルツェスツインドライブの頭をなでなでしている。
「今回も修行させて! ししょーみたいにかっこよくなるにはどうすればいい!」
「かっこいい(o゜ー゜o)??」
「かっけえ台詞を吐いて勝てばいい」
ツキを殴ってから答えた。
「いった~い;;」
「じゃあやってみるから見てて!」
「おう」
「墜ちるスコール! アクアドラッヘの末裔! 我が名は漆黒の
「我が名は北条院アリス!」
雫は顔に手を
「漆黒女帝の我が命ずる! 我が盟友兼しもべ、シュバルツェスツインドライブ、
雫はシュバルツェスツインドライブ背に乗り走る。大型犬と戯れてるかのようだ。
「女帝というにはチビすぎねえか」
「女帝、駄目……!?」
「女帝かっこいいじゃないですかチンコちょん切りますよ」
「お前それしか言えねえのか!!!」
「素朴な疑問なんだけど」
ツキが呟いた。
「シュバルツェスツインドライブって、一体なのにツインなんだね」
「ツインはかっこいいの!!!!」
「わかる。だがアインスでもかっこよかったんじゃねえか?」
「…………」
アインスはドイツ語で言う数字の1だ。世界で一二を争うぐらいかっけえ1の読み方だと思う。
「ツイン、駄目!? かっこいいと思うのだが!?」
「雫ちゃんの感性が正しいです。チンコちょん切りますよ」
「お前ロリコンなだけじゃねえのか??」
「失礼な。子供が好きなだけですよ。あたしだって女の子ですよ? 女の子を性的な目では見ませんよ。アリスちゃんのパンツの匂いを嗅いだことはありますけど」
「ロリコンじゃねえか!!!!!」
「あとシュバルツェスツインドライブって名前長すぎるからシュバちゃんって呼んでもいい?」
ツキがとんでもねえこと言いやがった。
「この冒涜者が!!!!」
「なんで!?」
「フルネームで呼んでこそだろうが!!!!!」
「アリスも、シュバちゃんがいいと思うの……」
「……略してもいい。でもシュバちゃんじゃなくて、シュバくんだ」
「お前それでもいいのかよ!!!!!」
「黙っていてくださいチンコちょん切りますよ」
「このロリコンが!!!!!!」
メール着信音が、俺のポケットから鳴った。
LINEでなく、メールとは珍しいな。
スマホを取り出し、メールの文面を見る。
『○○町の路地裏に、―††Summoned Beast Battle Royal††ー開催者の手がかりがある』
「なん……だと……」
こんなおいしい話が、突然、舞降りて来る、だと……?
『ただし、自らの召喚獣以外の者にメールの内容を伝えることは許されない。伝えた場合、伝えられたものは死亡する』
「バイツァ・ダストかよ!!!!!!」
「なになに?」
ツキが好奇心旺盛な犬のようにちょこちょこ寄ってくる。
「ツキ、こっちへ来い」
俺は他のみんなへメールのことを知られないように、ツキを連れて部屋を出た。
「これなんだがな」
スマホの画面をツキの眼前へ差し出す。
「これ確実に罠でしょ! 行かない方がいいよ!」
「だが、確認しないわけにもいかねえだろ」
「どうして?」
「このまま戦い続けて地道に人を助けていくにしても、俺の体は一つだ。限度がある。なら、大本を叩けるのなら早めに叩いた方がいい。それすればより多くの人を救える」
「それはそうだけど、それで罠にかかって死んじゃったら意味ないよ」
「俺が罠程度で死ぬとでも?」
「自信過剰!!」
「今まで何とかなってきたんだ。今回も大丈夫だろ」
「楽観!!!!」
――同時刻。
大海代悟と同じく、謎のメールを受け取った男がいた。
パチンコ屋から出て来た男――
『大海代悟を、世界から排除せよ。成功の後には、―††Summoned Beast Battle Royal††ーにおいて最高のアドバンテージが与えられる』
『場所:
「ヒャーーハハハハハハハッハハハハハハハハッハハハハハッハハ!!!!!!! ラッキィーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
スカジャンを着たスキンヘッドの下波心太朗は大口を開け天を仰ぐ。
「パチンコでも買った上に、このメール。最高にツイてるぜぇ!!!」
哄笑。喜笑。狂笑。響き渡る。
パチンコで当たった金を握り締め、パチンコで当てたアーモンドチョコを貪りながら、笑い狂う。
欲望に忠実な男、下波心太朗は、己の有利を確信し、テンションが上がっていた。
「少し出掛けて来る。すぐに戻るから待ってろ」
そうアリスたちに言い置いて、俺とツキは家を出た。
メールにあった地図を頼りに、指定の路地裏へと二人で
ひと気が一切ない路地裏に、着いた。
静寂。ゴミ箱が倒れている。少し臭い。
「なにもないね……」
「今はな。だが警戒は怠るな」
しばらく、静寂が支配する。
風が路地裏をヒューっと突き抜ける。
「なにも起きないね……」
「気を抜くんじゃねえ。黙って警戒するんだ!!!」
「やっぱり帰ろうよ。なんかいやな予感するし」
「帰りたきゃ一人で帰れ腰抜けが!!!」
「わたしがいないとなにもできないのに強がらないで!!!」
「言ったなお前!!! ぶっ殺してやる!!!!」
「あーーー暴力反対ーーーー!!!」
「もうこんな騒いでたら警戒もなにもないんじゃないの????」
「俺は喋りながら警戒してるんだ!!!!」
「もう屁理屈はいいからとりあえず帰らない?」
「確かめねえと帰れねえ」
「かーえーるーよー!!!!!」
「いやだ帰らねえ!!!! やめろ離せ!!!!!!」
引っ張られ引き摺られ抵抗する。
そんなこんなしていると、裏路地の入口から影が差す。
堂々と正面から何者かが入ってきた。
スカジャンを着た、スキンヘッドの男。
「失せナア!!!!!!! いいボーナスステージだったぜエエエエエ!!!!!!」
アグロ最強といわんばかりに、出会った瞬間即攻撃をしてきた。
スカジャン男の手から渦巻きを撒いた穴が現出し、射出される。
その穴に、俺とツキだけが吸い込まれていく。
抗えない吸引力。
「なにぃ!!!!????」
「言わんこっちゃないーーーーー!!!!???」
【ウルトラミラクル】を発動する間もなく。何もすることはできず。為す術なく。放り込まれる。
「うおおおおおおお!!!!???」
「きゃあああああああ!!!???」