のび太転生〜もしも俺が野比のび太になったら〜 作:オロロギス
鏡の前で手を動かすと、目の前ののび太もまた、同じ動きをする。瞬時に理解した。目の前に映っている野比のび太の姿は十中八九、自分の姿なのだろう……。
「……これは、所謂、「転生」というやつだな」
転生など、そういったものに関しては一応それなりに素養はある。一応軽く説明しておくと、ここで言う転生というのは、自分が異なる世界の住民として生まれ変わる、といったものだ。今回の場合、自分は『ドラえもん』の世界の野比のび太という人間として転生したわけだ。転生にも色々あって、赤ん坊から自我が生まれる場合もあれば、今回のように途中段階から自我が生まれる場合もあるが……そこらへんの説明をしていくと長くなるため、ここらへんでやめておこう。
「しかし、本当にこんなことって、あるんだな」
目が輝いていく。退屈だった日々に、鮮やかな色が彩り始めたような想いだ。転生者はほとんどが困惑を覚えるのだが、俺は一切無い、喜び十割だ、なんせ俺が転生してのはあの「野比のび太」だぞ。となると、当然ドラえもんもいて、四次元ポケットもあり、ひみつ道具もある。自分がこれまでに夢見てきた妄想が全て実現できるんだ。そう思うと、体の中心から震えが止まらなくなった。
「……さて、まずやることは……周囲の状況把握だな……」
途中段階から転生したとなると、そこまでの過程の記憶は当然無いため、「野比のび太」という人物として違和感無く過ごすためには、十分な情報を得ることが先決だ。
この洗面台に来るまでの過程を思い出す。自分の部屋、リビング、台所には誰一人いなかった。ドラえもんも、父親も母親も都合良く出かけているのだろう。怪しまれずに詮索できるな。
……っと、詮索パートの過程はぶっちゃけ見ててもつまらんだろうから省くぞ。
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「今日は日曜日、昨日の土曜日にあった野球の試合で、のび太のエラー連発のせいで大敗、ジャイアンは酷く激怒しているようだ、さらにはその前の水木金で全科目のテストが返ってきて、全て0点だったとのこと、散々だな、野比のび太よ……。」
この男のツケを、赤の他人である俺が全て払わないとならんというのは、ちと頭に来るが……夢のためなら、この程度の弊害甘んじて受けてやろうじゃないか。
…………
…………
………いや待てよ、俺は何を言ってるんだ?何故俺は現実の感覚で以ってジャイアンや母親である玉子に絞られようとしてるんだ?そうだ、俺は『ドラえもん』の登場人物なんだ、過去改変なぞお手の物じゃないか
俺は目を自分の勉強机の方へ移した。
「テストがあったのは1週間前、そこから遡れば良いのだな」
早速、転生物らしく現代知識を使った無双が始まるわけだ。我ながら大人げないな、小学生のテストを受けるだなんて。まぁ、ともかくこの問題は先に解決しておいた方がいい、ドラえもんは、ジャイアンにボコられてる時はともかく、0点を取って親に怒られてしまった際にはしばらく、あまり助け船を出してくれない、そうなると便利な道具の応用をする段階にすらいけないだろう。
「さて、行くか」
引き出しを開けタイムマシンに乗ると、近くに説明書のようなものがあるのを確認した。動かし方が分からないなんていうストレス展開はこんなところではやらぬよ、オールストレスフリー展開でやっていく。(タイムパトロールも、歴史を覆してしまう程の過去改変でないと動かないはずだ、ここも大丈夫。)
「さぁ、1週間前へ向かって小防のテストだ!」
そして俺は1週間前へ無事到着し、過去の野比のび太と無事交渉を終え、代わりにテストを受けることになった。過去のび太のバカみたいな満面の笑顔、お前……1週間後には自我が無くなるんだぞ……。
さて、最初は算数のテストか……ん?……小学生の段階で分数?なんか、結構進んでるな……。次の問題はと……「テレビの上にみかんが1つありました。さて、テレビの上にりんごはいくつあるでしょうか?」
…………
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…………は??????
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なんとか全教科のテストを終えた、タイムマシンで未来へ戻ると、テスト結果は50~70点台であった、大体平均点付近らしい。
……いや、そりゃそうだろ!解けない問題ばっかだったじゃねぇか!フェルマーの最終定理の証明とか小学生にやらせるな!
視線を横に移すと、成績上位者発表の紙があった。野比のび太は真ん中くらいだ。………真ん中?高校生の俺が、あのクラスの半分以上の小学生に知能で負けた……?てか出木杉よ、お前全教科100点て………。
と、とりあえず、玉子の叱責は何とか免れることに成功した。残るはジャイアンの暴行だ……。これは流石に、ドラえもんの手を借りることはできるだろう……多分。
出木杉って何者だよ