ガンダムビルドダイバーズRe:Bond【完結】 作:皇我リキ
チャンピオン、クジョウ・キョウヤは文字通り
故に解せない。
手加減されているのだ。
「───Fファンネル!」
「何が目的だ……コイツ」
セイヤ達アンチレッドの前に現れたキョウヤは、一人でアンチレッドのメンバーを一人ずつ倒していく。
しかし、一番キョウヤに絡みに行っているセイヤの事を未だに落とそうとしない。
まるで邪魔者を排除していくように、チャンピオンはセイヤ
「目的、目的か。君と話がしたくないかと言えば嘘になる。ただ、それ以前に僕はこのイベント戦での勝利を目指しているからね。だからこうして戦力を削っている訳だ」
「ふざけた真似をするんじゃねぇ!! ファンネル!!」
セイヤの赤いνガンダムがフィンファンネルを放ち、キョウヤを襲う。
しかしキョウヤはその一機を瞬時に撃破して、ついでにとでも言うようにさらにアンチレッドのメンバーを一人撃破した。
「……思っていたより数が多いな」
NFTはそのルール上参加出来るメンバーは五人だけである。
当たり前だがアンチレッドもNFTに参加していたのは五人だけだ。
しかし、キョウヤの目の前には約三十機以上のモビルスーツが立ち塞がっている。
今まで撃破した機体を合わせると五十機───五十人以上の
GBNに復讐をすると宣言した男のフォースにそれだけのメンバーが集まっている事に、キョウヤは少し胸を痛める。
「僕が……GBNは楽しいという事を教えてあげよう!!」
「気取るなよ……チャンピオン!!」
ファンネルを撃破した一瞬の隙。
νガンダムの周囲にファンネルがバリアを展開し、キョウヤの懐に入り込むセイヤ。
引き抜かれたお互いのビームサーベルがぶつかり合って光を放った。
「お前に俺達は止められない。……俺達は、止まらない!!」
「やはり何かするつもりか……。そうはさせない!!」
光が交差する。
その光の影で、チャンピオンを狙う気配が一つその時を待っていた。
☆ ☆ ☆
振り下ろされるビームサイズの刃。
それをタイガーウルフは機体の腕の横に装備されたツインジーエンハングで受け止める。
直ぐにビームサイズを手放したロックは、ビームサーベルを二本抜き放った。しかし、今度はそれを両手で受け止めるタイガーウルフ。
「良い反応速度だ」
「コイツ、腕が四本あるみたいなもんなのか。まともにやったら勝てないな」
身体を捻って一度距離を取るロック。
すると、タイガーウルフはせっかく受け止めたビームサイズをロックに返すようにゆっくりと投げる。
それを素直に受け取ったロックは、不敵に笑いながら「なるほど」と首を横に振った。
「ニャムさん、おっさん、援護はいらねぇ」
「お前ら、邪魔するなよ。ここからは男の勝負だ」
フォースのリーダー同士、接近戦が得意な物同士、なにか通じる物があったのだろうか。
二人は背後に控える仲間達にそう言って、再びぶつかり合う。
「こうなりゃ小細工抜きだ!!」
「来い!!」
正面からタイガーウルフに突進するロック。受け止める為に構えるジーエンアルトロンだが、デュナメスHellは突然軌道を変えてその背後を取った。
「───なーんてな!!」
「───それで背後を取ったつもりか!!」
展開するツインジーエンハング。しかしロックは機体をひっくり返して、ツインジーエンハングを
「何!?」
「腕の数で負けてるなら足も使わないとなぁ!!」
フリーになったジーエンアルトロンの背中に迫るビームサイズ。タイガーウルフは振り向き際になんとか片腕を盾にして左腕だけの損傷で攻撃を凌ぐ。
「足癖の悪い奴だ……!」
「卑怯な真似はしてない筈だぜ! ここは宇宙だから宙返りも簡単だ!!」
「全くその通りだな!!」
仕返しと言わんばかりにデュナメスHellを蹴り飛ばすジーエンアルトロン。ガードに使ったビームサイズは真っ二つに砕けて使い物にならなくなっていた。
「……なんてパワーだよ」
使い物にならなくなったビームサイズを投げ捨て、ロックはGNソードとビームサーベルを構える。
それを見てタイガーウルフは「なるほど、そういうタイプか」と目を細めた。
「……なら、遠慮は要らないな!!」
「来やがれ!!」
今度はタイガーウルフから仕掛ける。
迎え撃つロックはGNソードを投げ付け、それを交わしたジーエンアルトロンに向けてビームサーベルを振り下ろした。
「届かん……!」
「それはどうかな!!」
ツインジーエンハングに手首ごと受け止められるビームサーベル。しかし、ロックはそこで投げたGNソードに繋がっていたアンカーを引き戻す。
「アンカー付き……!!」
「貰ったぁ!!」
ジーエンアルトロンの背後から迫るGNソード。しかしタイガーウルフはGNソードが帰ってくる前に、なんとか機体をひっくり返してそれを避けた。
「チッ、右足だけか」
完璧に交わす事は出来ず、ジーエンアルトロンの右足だけを切り飛ばしたGNソードを受け止めるロック。
不満の直ぐ後に、警告が響いてロックは目を丸くする。
「今の一瞬で俺の足を……」
タイガーウルフが離脱する瞬間、ツインジーエンハングがデュナメスHellの右足を食いちぎる様に破壊していたのだ。
「タダでくれてやる程甘くはないぞ」
「流石に強いな……」
相手がロンメル隊の精鋭だろうが、メフィストフェレスのメンバー二人を相手にしようが、ロックは
それこそNFTでアンチレッドのリーダーと戦って負けてから、ロックは人知れず接近戦をさらに磨き上げていたのだから。
それでも。
まだまだ勝てない相手がここに居た。
このゲームはまだまだ面白い。
ロックは不敵に笑いながら、GNソードを再び投擲し、ビームサーベルを二本構える。
「───そろそろ本気で行かせてもらうぜ!! タイガーウルフ!!」
「───こい、ロック・リバー!!」
ロックの機体が赤い粒子を放ち始めた。その光に、タイガーウルフは不敵に笑う。
「トランザム!!」
TRANSーAM
急速に加速性能を上げるロックのデュナメスHell。
先に飛ばしたGNソードを弾いたジーエンアルトロンの間合いに入り込んだデュナメスHellは、ビームサーベルを振り払ってツインジーエンハングの片側を切り飛ばした。
「やるな……だが、俺は負けん!! うぉぉぉおおおおお!!!!」
叫ぶタイガーウルフ。
彼の機体は黄金色に輝き、気迫だけでロックの機体が吹き飛ばされる。
「なんだそりゃ……!! アルトロンはGガンじゃねーだろ!! んや、まぁ、おもしれぇ!!」
再びぶつかり合う赤と黄金の光。
拳とサーベルが重なり合い、二人はお互いの手の内を晒していった。
「無限にリスポーン出来るルールにしては、こんな所で無名のフォースに本気じゃねーか!! それで良いのかよ、フォースランキング五位のタイガーウルフがよ!!」
「笑止!! 俺はいつだって本気だ。特に俺の認める強い相手にはな!! 己を知り、そして敵を知れば百戦危うからず。強い的に、己の全てを叩き付けてこそ!! 真に強者になれる!!」
「なるほど気に入ったぜ!! 俺は……あんたを倒したい!!」
「俺もお前を気に入ったぞロック!! どうだ、俺のフォースに入らないか?」
「残念だがそれは出来ないな。俺はReBondのリーダーだ。けれど、あんたのフォースに道場破りはさせてもらうぜ!! 俺の成長のためにな!!」
「全く気に入った!! よし来い、本気でこい!!」
ぶつかり合う二つの熱い闘志。
───しかし、そんな二人の間に一筋の光が割って入る。
「なんだ!?」
「くそ、こんな時に来やがって……!!」
なんとかその光を避けた二人は、光の放たれた方角に視線を向けた。
「───全く、君はこんな時にも脳筋で戦っているのか。だから脳味噌が筋肉で出来ている、なんて言われるんだよ」
「あ、アレは!! フォースランキング三位!! SIMURUG!! そのリーダー、シャフリヤールさんじゃないっすかぁ!!」
「……ご丁寧に説明口調なのどうもね、ニャムちゃん」
現れたガンプラはセラヴィーガンダムシェヘラザード。
ニャムの言う通り、フォースランキング三位SIMURUGのリーダーシャフリヤールの駆るMSである。
「戦術も何も考えずに戦えるところで全て戦うから、君のフォースは五位なんだよ」
「……シャフリ。おい、邪魔だ」
「え?」
普段より三つは低いトーンで放たれた声に、シャフリヤールは素っ頓狂な声を漏らした。
普段から二人は喧嘩してばかりの犬猿の中という奴である。
しかし、ここまで怒ったタイガーウルフの声をシャフリヤールが聞いたのはそれこそあの時───第二次有志連合戦の時以来だった。
「今は俺とこのロックが戦ってるんだ。邪魔をするなぁ!! 奥義……
タイガーウルフのジーエンアルトロンが拳を放つと、黄金と青色に輝く光が竜の形に収束しシャフリヤールの機体をフォースの仲間ごと吹き飛ばす。
「ちょ、早い───」
全身全霊の必殺技によりSIMURUGを殲滅させたタイガーウルフは、何事もなかったかのようにロックの機体に向き直った。
「……さぁ、続きをやろうか」
しかし、その機体はもう限界である。
損傷した機体は必殺技の反動に耐えられなかったのか、全身で回路をショートさせていた。
「……タイガーウルフ───」
「なんだ、来ないのか。ならばこちらから行くぞ!」
「───タイガーウルフ、俺を!! 俺を弟子にしてくれぇ!!」
「はぁん!?」
「なんだ今の必殺技!! 滅茶苦茶格好良いじゃねーか!! Gガンじゃないのにハイパーモード入ってるし!! 本当なんなんだよ、すげぇ!! 格好良い!!」
「格好……良い。……分かってるじゃねーか!!」
先程まで死闘を繰り広げていた二人は、MS同士で硬い握手を交わす。
このイベントが終わったら俺の所に仲間を連れて来い。
そんな約束までして、二人はこのバトルを
「……なんか、思わぬ所で凄い所とパイプ繋げちゃったわねぇロッ君」
「……もしかしてロック氏、実は凄い人なんじゃないですか?」
メフィストフェレスもそうだが、ロックが本気で戦った相手は必ずお互いを認めて良き
もしかしたらケイやユメも───彼等の幼馴染みであるアオトも、ロックのおかげで集まってきた仲間なのかもしれない。
そう思うニャムとカルミアなのであった。