ガンダムビルドダイバーズRe:Bond【完結】 作:皇我リキ
ビルドダイバーズ、ReBond、そしてオーガ達の前に現れた赤いMSの軍勢。
その中にいるイージスを見て、ケイはNFTでアオトと戦った時の事を思い出した。
「……アオトなのか?」
「……ケイスケ、ユメカ、タケシ」
操縦桿を強く握る。
「俺は、全てを壊しにきた」
首を横に振った少年は、一度目を閉じてから前を向いた。
☆ ☆ ☆
ダブルオースカイがサラの機体の前に出る。
「二人共、下がって! ユッキー!」
「うん! フルバースト!!」
サラとミニカプルに乗ったモモを庇うリク。彼はユッキーに相槌を打って、ユッキーは突然現れた赤い軍勢に射撃武装を集中させた。
「邪魔だ。……ファンネル」
「うわ!?」
アンチレッドの機体を数機葬るユッキーだが、セイヤのファンネルを避ける事が出来ずに大破してしまう。
「なんてファンネルの制度───えぇ!?」
「消えろ」
ファンネルの攻撃をしながらユッキーの機体に近付いていたセイヤは、ビームサーベルで彼の機体を真っ二つに切り裂いた。
一瞬の事に唖然とするリクだが、直ぐに切り替えて赤いνガンダムに刃を向ける。
「この人は……強い!」
「おい!! 何一人で美味そうな獲物を取ろうとしてやがる!!」
「オーガ!?」
リクが構えた直後、背後からGP─羅刹が突然νガンダムに切りかかった。リクは冷や汗を流しながら苦笑いする。
オーガは相手が強ければ何でもいいのだろうが、リクはνガンダムのパイロットから何か嫌な気配を感じていた。
「サラをお願い!」
「え、ちょっと!?」
モモにサラを頼んだリクは、オーガに加勢するようにνガンダムに戦いを挑む。
サラはそんなリクを見ながら不安そうな表情をしていた。
「なんだ! 邪魔するならお前から倒すぞ!」
「悪いけど、多分そんな事言ってられないよ!」
「……百鬼のオーガとビルドダイバーズのリク、か。因縁だな」
セイヤは目を細めてそう言うと、ファンネルを放ちながらビームライフルを乱射してビームサーベルを抜く。
「遊んでやる……! お前らも好きにやれ!
「目標……?」
首を傾げるリクだが、セイヤの猛攻にそれどころではなくなってしまった。
オーガもリクも、トランザムを使い終わったばかりで機体の能力が大幅にダウンしている。一方でνガンダムは新品同様だ。
それだけでも二人は不利だが、オーガは少し切り合って不敵に笑う。
「……今日は美味そうな奴が見つかる日だ!」
「オーガ!?」
一人突貫するオーガ。そして鬼トランザムの反動で低下した能力に加え、オーガの認める実力を待つセイヤ。
勝負は一瞬で決まってしまった。
「───チッ、負けは負けだ」
本調子ならともかく、猪突猛進だったオーガは撃破されてしまう。リクは苦笑いしながら、イベント戦の残り時間を確認した。
「残り三分……」
嫌な気配のする男が、
今何をするべきなのか、リクは横目で背後にいるサラ達を見ながら考える。
サラに男を近付けてはいけない。リクは直感的にそう感じた。
「アオトなのか!!」
「……ならどうした」
一方でダブルオーストライクBondと交戦するイージス。
ロックは誰に言われる訳でもなく、そんな二人の邪魔をしようとする周りの赤い機体を薙ぎ倒していく。
「あのイージスがまたアオトなら、話をしたい所だが……!」
「イベント戦、あと三分もないっすよ!」
「セイヤめ、何しに来たってんだ。……ニャムちゃん! ロッ君! 射線を開けてくれ。メガランチャーで吹き飛ばす!」
メガランチャーを構えるカルミア。彼の言葉で射線から離脱する二人をギリギリ掠めながら、メガランチャーはアンチレッドの機体を半分以上吹き飛ばした。
「おっさん!? ちょっと滅茶苦茶やってねーか!?」
「悪いなロッ君。正直、ここまで来たら今回はセイヤの事はほっとくつもりだったが、こんな時間に相手からこっちに来たのなら話は別よ……」
言いながらスラスターを吹かせるカルミアは、ニャムのアカツキを連れ去って赤いνガンダムの元に向かう。
「ロック氏はあのイージスを! 多分あのイージスは!」
「分かってるっての! くそ、なんだってこんな時間に」
目を細めて、ケイと戦うイージスに視線を向けるロック。その先で、ケイは放たれたビットの追従を振り切ろうとしていた。
「───トランザムでパワーが……!」
アラートとアラームが鳴り響く。
トランザム終了後の大幅な機体性能の低下でビットからまともに距離を取る事も出来ない。
本当はアオトと話がしたいケイだったが、今撃破されれば一分のリスポーン時間でここに戻ってくるのは絶望的だった。
だから今は、負ける訳にはいかない。
「───だ、けど……! くそ!」
ビットがストライクBondの足に直撃する。なんとか足だけで済んだが、まだビットはストライクBondを執拗に追ってきていた。
「やられる───」
「ケー君!!」
そんなケイのストライクBondを攫うように、ユメがビットからケイを突き放した。
ユメのデルタグラスパーを見て、アオトは表情を歪ませる。
「ユメカ───」
「ようアオト!! 久し振りだな……ちょっと遊ぼうぜ!!」
そんなアオトの背後から、ロックがビームサイズを展開して切りかかった。
アオトは瞬時に反応して展開したビームサーベルでビームサイズを受け止め、シールドからビットを放つ。
「タケシか……」
「ロックだって言ったんだろうが!!」
「いつまでも子供みたいな事言って、本当に下らないな……。ブレイクビット!」
「そんな小手先が通用するかよ!!」
ビットをビームサイズで切り飛ばしていくロック。そんな彼に、ユメは「タケシ君! 違う!」と声を上げた。
「何……!?」
「ブレイクファンネル」
突然、ビットを全て切り飛ばして安全だった筈のデュナメスHellが何発物ビームに貫かれる。
爆散するデュナメスの中で、ロックは「何が起きた……」と意味が分からないと言いたげな表情をしていた。
「クリアパーツのファンネルか……?」
「多分そう……!」
肯定するユメに、ケイは「そんな厄介な物作ったのかよ」と目を見開く。
「アオト、やっぱりお前面白いよ。……なのに、なんで!」
「黙れ。俺は、全部壊すんだ。……ブレイクドラグーン!!」
今度はイージスのスカートから分離したドラグーンがケイとユメを襲った。
「アオト君……!」
「アオト、お前の……お前達の目的は……なんだ!」
このままでは話どころか撃破されておしまいである。それに、時間は刻一刻と迫っていた。
「───リク、あの赤いガンプラ……悲しそうにしてる」
「サラちゃん? 何か分かるの? あの人達の事」
そう話す二人を背に、リクは赤いνガンダムを駆るセイヤと戦っている。
サラに言われなくても、リクにはセイヤからの負の感情がひしひしと伝わってきていた。
「……どうして、そんなに悲しそうにGBNをプレイするんですか!」
「……
ダブルオースカイの周囲を囲むファンネル。しかし、そのファンネルを黄金のドラグーンが撃墜する。
「兄さん!」
「セイヤ、何しに来た!」
ニャムが操るアカツキのドラグーンだ。カルミアと共にリクとセイヤの間に入ったニャムは、ビームライフルを赤いνガンダムに向ける。
「……ナオコ、カンダ」
「今度は何を企んでるんだ。何をしたって、GBNの人口が減る事はないって分かっただろ。GBNへの復讐なんて、もうやめろ」
「カンダ、お前は運営がレイアにした事を忘れたのか?」
「それは……そんな事は───」
「なら俺の答えは分かる筈だ。俺はただ、GBNを潰す」
放たれるビームライフル。しかし、カルミアのレッドウルフの前に立ったアカツキのヤタノカガミによりライフルは明後日の方角に弾かれた。
「兄さんに何が起きたかは、聞きました。でも、なんで私に何も言ってくれなかったんですか……! 私は───ジブンは、兄さんの事をずっと心配してたんすよ!」
「誰にも俺の気持ちは分からない。……俺は、何も聞く気なんてない。……だが、今日は遊んでやる」
言葉と共に、ファンネルがニャムの機体の周りを囲み出す。
「無駄っすよ。このアカツキにビーム兵器は効かないっす! 兄さん、話を───」
「違うぞニャムちゃん、ソイツは!」
「───え?」
ビームを放ってくるかと思われたファンネル。しかし、ファンネルはそのまま直進しアカツキに物理的にぶつかって来た。
「うわぁ!?」
「またな、ナオコ」
ファンネルの激突でバランスを崩したアカツキをビームサーベルで切り刻むセイヤ。そんなセイヤに、背後からカルミアのレッドウルフが切り掛かる。
「セイヤ!! 人の話を聞け!! お前は救われたいんだよ。じゃなきゃ、こんな所に来ないだろ!!」
「……違うな、ここに来た目的はもう達成してる」
レッドウルフの両腕を肩からサブアームごと切り飛ばしながらそう言うセイヤ。
彼はそのままコックピットをビームサーベルで貫こうとするが、その攻撃は間に入って来たリクのサーベルに阻まれた。
「……なぜ邪魔をする」
「そのままじゃいけないって、そう思ったから……!」
「ビルドダイバーズの……。リク君か」
「ケイの仲間の……。援護します!」
「援護しますったってね、少年よ───」
「イベントの残り時間も少しです。あの人に伝えたい事があるなら、きっと今しかない!」
「……若者ってのは、本当に気が効くねぇ。おっしゃ! ひとまず共闘と行こうか!」
腰のサブアームを展開して、カルミアはケイと共にセイヤに挑む。
一方でアオトと戦うケイの間に入り込む
「楽しそうな事、ボクを置いてやられちゃ困るなぁ!」
イアのZガンダムがビームサーベルをイージスに向けて振り下ろした。
「……お前、あの時の。……なるほどな」
「なるほど? なんだ? なんでお前とお前のガンプラは、そんなに辛そうに戦ってるんだ?」
「黙れ……!」
イアを振り払うアオト。
「イアちゃん!」
「イア、アイツは俺達の幼馴染みで───」
「幼馴染み? そうか、だからあのガンプラ───」
そしてイアがそう言い掛けたその時。
【time's up】
モニターにそんな文字が映し出される。
超大規模変則スコア戦はその瞬間幕を下ろした。