ガンダムビルドダイバーズRe:Bond【完結】   作:皇我リキ

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第十二章──手練れの元で【切り裂く閃光】
タイガーウルフの下で


 宇宙。

 

 

「何をどうすりゃクリアなんだよぉぉおおお!!」

 大量のMSの攻撃を避けながら、ジャスティスガンダムをカスタマイズした機体のパイロットが叫んでいた。

 

「勝利条件不明? どういうことだ? ゼルトザームに加えて……この敵の数」

「勝利条件は敵の殲滅? 砲台の破壊? ゼルトザーム!?」

 ジャスティスガンダムの見方であろう二機のガンプラ。

 

 GBNのミッション。

 きっと彼等はそう思っていたのだろう。

 

 

「……これなら」

 三人の仲間である一人の少女───ケイ達がイアと出会った時にイアを探していたメイというELダイバーがビームで虚空を薙ぎ払った。

 射線状の敵を吹き飛ばし、道を作るメイ。

 

 その道の先には月───否、起動砲台が構えている。

 

 

「メイのやつ、あんな武器持ってたのかよ」

「あれを止めるぞ!」

 彼女に続く三人。

 

 彼等のミッションは、佳境を迎えようとしていた。

 

 

 ☆ ☆ ☆

 

 虎武龍フォースネスト。

 

 

「よ、タイガー師匠! 来たぜ!」

「タイガー師匠……」

「あのタイガーウルフをこうも気安く呼ぶとは、恐るべしっすねロック氏」

 とある平凡な日のGBN。

 ケイ達ReBondのメンバーは、タイガーウルフがリーダーを務めるフォース虎武龍のフォースネストに足を運んでいる。

 

 目的は、タイガーウルフ直々に訓練を受ける事だった。

 

 

 

 それは数日前の事。

 

「強くなりたいな……」

 ペリシア・エリアでのバグによりエリア内のガンプラに襲われてから、ケイは力不足を感じていたのである。

 あの時は確かに時間稼ぎという役割をなんとかこなす事が出来た。

 

 しかし、それは偶々居合わせたシャフリヤールのおかげで成り立った役割である。

 

 彼が居なかったらどうなっていただろうか。

 エクリプスストライカーを装備したとして、彼と同じ真似が出来ただろうか。ダブルオーストライカーを装備してロックのように立ち回る事が出来ただろうか。

 

 ノワールはケイの事をエースだといった。

 その真意は分かっているし、自分の役割も分かっている。

 

 

 しかし、やはり自力が高くなければ出来ないこともあるのだという事をケイは思い知らされていた。

 

 

「それじゃ、今度タイガー師匠の所行くからお前も来るか?」

「は?」

 そうして、ロックの突然の提案でケイ達は虎武龍の門を叩いた訳である。

 

 

 

「おう、来たかロック。今日は手厳しく行くぞ」

「頼むぜ師匠。特にケイがさ───」

「ワンコだーーー!」

「モフモフだーーー!」

 タイガーウルフが顔を出した瞬間、ロックを吹き飛ばしてタイガーウルフに突進するユメとイア。

 オオカミの顔を、尻尾を、二人は夢中になってモフり始めた。

 

「のわ!? な、なんだ!? ちょっと待て! ちょっと待て!!」

 身体中を触られて転がり回るタイガーウルフ。そんな彼を見ながら、ケイは「そうか、犬派だったんだな。いや、モフれればなんでも良いのか?」と冷静な言葉を漏らす。

 

「ジブンも一応ケモ耳ケモ尻尾属性なんすけどね。なんだか負けた気分っす」

「ニャムさんにはケモ成分が足りないんだよ!」

 目を輝かせてタイガーウルフをモフりながら、ニャムをチラ見してそう言うユメ。

 彼女の言葉にニャムは「そんな……」と項垂れ、そんなニャムを見下ろしながらカルミアは「その人、一応GBNで凄い人だからね」と冷や汗を漏らした。

 

 

「まぁ、楽しそうだし良いんじゃないかな」

「良くない!! 誰か助けろ!!」

「師匠、女の子ダメなんだよ」

「あぁ……それは気の毒に」

「助けろって言ってるだろぉぉおおお!!」

 閑話休題。

 

 

 

「───改めて、俺がタイガーウルフだ。今日はみっちり扱いてやるから覚悟しておけ」

 咳払いをして、厳しそうな表情でそう口にするタイガーウルフ。

 

 ロックとケイは気を引き締めて「はい!」と返事をするが、タイガーウルフは未だに二人にモフられている。

 威厳も何もない。

 

 

「ユメもイアも、とりあえず戻ってこい」

「ケー君のケチ」

「ケイは何も分かってない」

「酷い言われようだ」

 渋々タイガーウルフから離れる二人を見て安心しながら、タイガーウルフはこう口を開いた。

 

「ロック、お前はいつも通り場所を貸してやるから修行を続けるで良いな? 他の奴は俺に着いてこい」

「タケシは別なのか?」

「俺はもう師匠からGBNでの心意気を受け継いでるからな。ま、お前らも頑張れ。あとロックな」

 そう言いながら、ロックは勝手知ったる我が家のように虎武龍の門下生(メンバー)達に片手で挨拶をしながら何処かへ言ってしまう。

 

 イアは「タケシの奴何してんだろ?」とロックを視線で追うが、タイガーウルフに着いていくニャムに「置いて行かれるっすよー」と声を掛けられ視線を前に向けた。

 そんな彼等が向かった先にあったのは───

 

 

 

「───なんで滝」

 ───滝である。

 

「お前達には今から滝に打たれて貰う」

「なんでそうなるんすか!?」

「おじさん達GBNの修行しにきたのよね?」

「ごたごたぬかすな! 修行だ! 早く行け!」

 タイガーウルフの叱咤にケイとニャムとカルミアは悲鳴を上げながら滝ひ向かっていった。

 ユメも、イアに「私達も行く?」と声を掛けるがそんな二人をタイガーウルフは「嬢ちゃん達は良い」と静止する。

 

 

「なんでだ?」

「えーと、私も強くなりたくて」

「女子だからっすか!! ジブンも女子なんすけど!!」

 遠くで滝に打たれる準備をしながら悲鳴を上げるニャム。そんなニャムを無視して、タイガーウルフはこう口を開いた。

 

「お前達はこの修行をする理由がない。だから、この修行の意味を探す事がお前達の修行になるー

「ボク達に理由がない?」

「この修行の……意味?」

 タイガーウルフの言葉の意味が分からず、首を横に傾ける二人。

 

 

「な、なんで俺達は滝に打たれてるんだろう……。GBNでこんな事しても意味ないと思うけど」

「ジブンも女子なんすけど! ねぇ! ジブンも女子なんすけど!!」

「はいはい、分かったよニャムちゃん。でもアレね、確かに水に濡れるとニャムちゃんのアバターでもちょっと色気あるわね」

「は、はぁ!? はっ倒しますよ!!」

「なんで!?」

 カルミアの首元に刀が飛んでくる。

 冷や汗を流すカルミアの髪は、滝に打たれて後ろで纏めていた髪が解けて長い髪に水が滴っていた。そんなカルミアの顔を見てニャムは「……色気で負けている気がする」と目を白くする。

 

 

 そうして理由も分からないまま滝に打たれ続け、何故かGBNで生身で行う修行はこう続いた。

 

「次は正拳突きだ! それが終わったら腹筋、腕立て。次は転がってくる岩から逃げろ!!」

「なんで!!」

 MS───ジーエンアルトロンに乗り岩盤を持ち上げケイ達に投げ付けるタイガーウルフ。

 

 ケイ達は必死に岩から逃げるが、しまいにはぺちゃんこにされてしまう。

 

 

「け、ケイ達が死んだ!」

「私達がやらなくて良い理由って、イアちゃんだと危ないから?」

「違う」

 ユメの言葉を一蹴して、タイガーウルフはリスポーンしたケイ達に再び岩を投げ付け始めた。

 

 彼の真意は、まだ二人にも分からない。

 

 

 

「なんでおじさん達こんな拷問みたいな事してるの!?」

「ひー! 死ぬ! 死ぬっすよそれは! また死ぬ!」

「ニャムちゃんその腰の刀でなんとかしてよ! 飾りじゃないでしょ!?」

「こんなの飾りっすよ!! 偉い人には分からんのです!!」

「さっき投げてきたでしょうに!!」

 悲鳴を上げながら、結局飛んできた岩に再び潰されるカルミア。

 カルミアの死体(が埋まっている岩)を見て息を呑むニャムだが、彼女もまた直ぐに飛んできた岩に潰されてしまう。

 

 

「な、何してるんだ……俺は」

 岩をなんとか避けながらも、自分のしている事の意味が分からないケイ。

 

 そんなケイを見下ろすタイガーウルフは、目を細めてケイを狙う回数を増やすのであった。

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