ガンダムビルドダイバーズRe:Bond【完結】   作:皇我リキ

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ガチンコバトル

 ステージ『廃墟都市』

 

 

「───私達とのガチンコバトルよ!!」

 そう言ったマギーはケイ達に三対六のバトルを申し込んだ。

 

 マギー、シャフリヤール、タイガーウルフの三人は其々本気のガンプラを持ち込んで手加減なしで戦う気らしい。

 

 

「なんでテメェと組まないと行けないんだよ!」

「それはこちらの台詞だ。君のような脳筋と私が組んで噛み合う訳がない」

「ふふ、やっぱり仲が良いわね」

「「良くない!!」」

 言いながらモビルスーツ同士で取っ組み合いをする二人。呆れたマギーが溜息を漏らした次の瞬間、一筋の光がタイガーウルフの機体───ジーエンアルトロンの右腕を吹き飛ばす。

 

 

「何!?」

「ほほう、あの距離から狙撃してくるか」

「くそ……。こんな事してる場合じゃねーか」

「だから言ったでしょ。ガチンコバトルだって。……さて、本気でやるわよ二人共」

 マギーの言葉に二人は無言で頷いた。

 

 二人共言い争っていた時とは違い、真面目な表情で向かってくる()に視線を合わせる。

 

 

「来なさい、フォースReBond」

 不敵な笑みを浮かべるマギー。

 

 上位フォースのリーダー三人、三機のガンプラが並ぶ姿は圧巻だった。

 

 

 ☆ ☆ ☆

 

 ガチンコバトルよ。

 そう言ったマギーの提案と、彼の背後に現れたタイガーウルフとシャフリヤールの二人にケイ達は尻込みしてしまう。

 

 

 上位フォースのリーダー三人。

 そんなメンバーに自分達は何ができるのだろうか。

 

 そう思っていたケイ達の背後から、頼もしい助っ人の姿が現れた。

 

 

「……私も加勢する。で、良いんだな?」

「スズちゃん!? タケシ君も」

「ロックな?」

 合流したロックに着いてきたのは、ロックと修行していたスズである。

 スズは修行していたというよりはロックをボコボコにしていただけだが。

 

「えぇ。勿論よ」

「おー! スズちゃんが居るなら百人力だね!」

「……買い被り過ぎるのも良くない。相手を見て物を言え、ユメ」

 腕を組んでそう言って、スズは真剣な表情でマギー達に視線を向けた。

 

 

 確かにスズの実力はケイ達の知る中でもずば抜けている。しかし、相手はそれ以上の経験と実力の持ち主だ。

 

 

「ルールは簡単。私達三人を撃破すれば勝ち、あなた達六人が撃破されたら負け。イアちゃんはお留守番よ」

「ぐぬぬ、ルール的にボクは出れないのか! 狡いぞ!」

「六人はイアちゃんを守るつもりでかかって来なさい。さて、細かいルール説明をしたら始まるわよ!」

 そうして始まったReBondにスズを加えたチームとの対決。

 

 

 バトルはお互いに十キロ離れた、街の両端からスタートする。

 

 そして、最初に動いたのはスズだった。

 

 

 

「───私が外した。いや、反射だけで避けたのか?」

「スズちゃんに何が見えてたのか私達には分からないからスズちゃんが何に驚いてたのか分からないよ……」

 タイガーウルフに狙撃を交わされ驚くスズ。

 

「タイガーウルフ氏とシャフリヤール氏が取っ組み合いしてたんすけど、スズちゃんが撃った瞬間タイガーウルフ氏が反応して交わしてましたね。ギリギリ片腕は持って行けてますけど」

 ニャムがそう言いながら機体を持ち上げる。

 

 今日の彼女の機体はターンX。

 ニャム・ギンガニャムという名前に負けない機体だ。

 

 

「ニャムさんやっとターンX出してきたな。本気か?」

「あー、いや、そういう訳じゃないっすけどね。でも確かに、好きな機体とキャラクターではあるっすよ」

 毎日別のガンプラを持ってくるニャムだが、ターンXを持ち出してきたのは初めての事である。

 

「次のステージへの階段……」

 ただ、今回ニャムがターンXを持ってきたのには少しだけ理由があるようだ。

 

 

「さてと、初撃は外れたけどダメージは与えられたわね。上出来上出来。作戦はどうするよ、我等がリーダー」

「……外して悪かったな」

「お、怒らないで……」

 モニター越しにカルミアを睨むスズ。

 お留守番のイアは苦笑いするカルミアを見て「はいそこ集中!」と叱咤をあげる。今回彼女は監督役をやるようだ。

 

 

「よし、俺様が仕切るからな。ニャムさん、なんか作戦」

「……ReBondはいつもこうなのか」

「適材適所って奴だよ。これでも、良いリーダーなんだよタケシ君は」

「そこ聞こえてるからな。あとロック」

 ReBondのいつもの光景に唖然とするスズ。

 

 しかし、適材適所というのは正しい事である。現にメフィストフェレスでも、リーダーはノワールだが作戦立てはトウドウやアンジェリカがする事が多い。

 

 

「そうっすね。とりあえず、スズちゃんを起点にする為に敵を動かす部隊とスズちゃんの護衛に回る部隊で半分に分けると良いと思うっす。街中での戦闘でスズちゃんの射線を気にさせながら戦えれば、数も多いこっちがさらに有利になるっすからね」

「部隊分けは?」

 スズがそう聞くと、ニャムからではなく意外な所で口が開いた。

 

 

「よし、俺とおっさんでスズの護衛。ケイとユメとニャムで遊撃」

 先程ニャムに作戦を全投げしたロックがそんな指示を出す事にスズは驚く。

 なにより、彼は戦いたがって自分を遊撃部隊に入れると思ったからだ。

 

 

 そして彼の判断はスズの中で一番正しい物でもある。

 

 機動力の高いケイとユメ、それに火力と柔軟性に優れたニャムは遊撃に敵していた。

 逆にカルミアの機体は弾幕と耐久が高いが足が遅い。護衛に付けるなら彼の機体と、あと一機は近付かれた相手と()()()が出来る機体だろう。

 

 

 そういう判断をロックがしっかり出来ると言うことに、スズは驚かされた。

 なるほど、ノワールも彼を認める訳だと感心する。

 

 

 

 ニャムの立てた作戦通り、スズは街の端で一番高い建造物の上を陣取った。

 その近くに隠れるようにロックとカルミアが配置に付き、ケイ達遊撃部隊が進撃する。

 

 

「二人共、もし接敵してもまともにやり合おうとしたらダメっすよ。今回はスズちゃんを活かして戦う事を意識するっす」

「タケシ君がスズちゃんみたいに狙撃出来たらこんな作戦も出来るのにね」

「ロック氏には難しいっすよー、あはは」

「聞こえてるからね!!」

「……いつもこうなのか、お前達は」

 呆れながら、スコープを覗き込むスズ。

 

 彼女はロックと修行する前の事を思い出していた。

 

 

 

 

「───ロックを、私が見る?」

「おう。アイツに足りない物が俺には分かったが、俺に教えられる物じゃない。俺の性には合わないが、アイツの才能を殺すには惜しいと思ってな」

 フォースメフィストフェレスのフォースネストに顔を出したタイガーウルフは、スズを名指して協力して欲しいと頭を下げる。

 

 始めアンジェリカ達は驚いていたが、あのタイガーウルフがここまでする男───ノワールが認めたライバルがまだ上を目指そうとしているという事を知って協力しない手はないと彼の申し出を受け入れた。

 

 

「……なぜ私が一人で」

「私達はデイリーとかをこなさないとですし。それに、スズもそろそろ外の世界を見るべきだと思いますわ」

 引きこもり気味なスズに外の世界を見て欲しい。

 そんなアンジェリカ達の思惑もあり、スズは一人でロックの修行を見ることになる。

 

 

 

「……ロックに足りない物。……頭か?」

「あんた結構ズバズバ言うな」

「……いや、分かってる。正直アイツの格闘センスは磨く所がない。とすれば、アイツの足りない物は───」

 ロックとの戦いで思い浮かぶのは、やはり彼の格闘センスだ。

 スズもサイコザクレラージェという重装備の機体で格闘戦をも熟す実力者である。

 しかしやはり、ロックという男には勝てなかったのが現状だった。

 

 

 そんな彼に足りない物、そんな事は分かりきっている。

 

 

 

「───その程度か、ロック」

「やってくれるじゃねーか」

 そしてそれは、自分が持っている物だ。

 

 

 

「───だからお前は外すんだ」

 狙撃技術。

 

 実の所、ロックは丸っ切り当てられない訳ではない。

 掠ったり、撃破ともいかないも当てる事は出来ているのである。

 

 

 何故、何が足りないのか、それは分からないが───

 

 

 

「───ロック、お前も当てられるようになればReBondはもっと前に進める。……お前も狙撃をやれ」

「あ? なんだ? 俺は元々狙撃手だが?」

 近くでGNスナイパーライフルを構えているロックを見て苦笑いを溢すスズ。

 

 

 何はともあれ、ロックが何故当てられないのかを知るには絶好のチャンスだ。

 

 ReBondとの共同戦線。

 スズは少しだけ口角を吊り上げて、再びスコープの中に視線を移す。

 

 

「……やるぞ、ロック」

「任せな。ロック・リバー、目標を狙い打つ!!」

 有名ダイバー三人とのバトルの幕が開いた。

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