ガンダムビルドダイバーズRe:Bond【完結】   作:皇我リキ

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強襲

 ニャムのミキシング。

 

 その話が落ち着いた後、話題はケイのストライクBondを強化するという話に移っていた。

 

 

「───擬似太陽炉のツインドライヴを使う?」

「はい。ストライクBondのツインドライヴはダブルオーの純正の太陽炉を使ってるっすよね? 故に安定した爆発力のある出力がダブルオーストライカーの強みっす。しかし……だからこそ二人がやったTRANSーAMの分散に出力がオーバーヒートしてしまったのでは、と」

 マギー曰く───Re:TRANSーAM。

 

 ツインドライヴであえて太陽炉を一つだけ使いTRANSーAMを二回使う小技の様な物だが、現状パワーバランスが悪いのか総じて普通にTRANSーAMを使った方が使用時間は長いのが現状である。

 

 

 これだけならロックが良くやるワンセカンドトランザムの方が実用性も高い訳だが、問題点を解決すればケイにとって大きな武器になるのは確かだった。

 

 

 

「そこで使うのが擬似太陽炉のツインドライヴっす。コイツは元々リボンズが刹那を真似て作った物で純正ではない分、逆に出力を安定させやすい筈。Re:TRANSーAMにはこちらを使ってみるとむしろ安定するのではないかと」

「流石ニャムさん!」

「リボーンズストライカーって事か、なるほど」

「強度や出力の兼ね合いからパーフェストストライクやIWSPみたいな複合ストライカーを作っていくのも良いかもしれないっすね。難しい作業や設定はお任せください! 自分も協力するので! そのかわり、皆さんのミキシングへの力の入れ方とかをジブンは研究させてもらいます!」

 シャフリヤールに言われた言葉を思い出す。

 

 ──君の技術はきっと彼等らを次のステージに進ませる事が出来る。ならば君は、彼等の力を借りて次のステージに進むといい──

 ガンプラを素組でより鮮明に作り上げる技術を磨き上げてきたニャムには、様々なガンプラと原作への知識があった。

 その力をケイ達の成長に繋げ、自分はケイ達に成長させてもらう。

 

 これがシャフリヤールから学んだ、ニャムが前に進む為の道だった。

 

 

「それじゃ、私のデルタグラスパーは他に出来る事があった方がいいのかな?」

「あ、それは確かに。ユメにはずっと俺のストライカーを運んでもらってたしな……」

「それなら! ユメちゃんにはジブンからお薦めしたい武装があって───」

 話は進んでいく。

 

 

「皆楽しそうだな! カルミア」

「そうねぇ。おじさんもそろそろアレを出す時が来たのかもな」

「なんだ? カルミアも何か必殺技があるのか!」

「まーねー。ま、楽しみにしてなって」

 こんな楽しい日々が、成長し続けられる日が───

 

 

「うん! よく分からんけど! これからも楽しくなりそうだな!」

 ───ずっと続くと思っていた。

 

 

 ☆ ☆ ☆

 

 あーだこーだ、と。

 

 

 ニャムのターンXをミキシングする時に使う機体だとか、ケイのストライクBondの新しいストライカーだとか。

 ロックも新機体が欲しいとか、ロックはまずスズに言われた通りに狙撃の練習をしろだとか。

 

 楽しい話し合いを六人全員で進めて数時間───

 

 

「それじゃ僕のZガンダムもなんかユメみたいに───あれ?」

「どうした? イア」

「───誰か来た」

 話の途中で窓の外を見るイアにロックがどうかしたのかと聞くと、彼女はそう言って窓に向けて歩き出す。

 

 

 フォースネストはメンバーとフレンド登録をしていたりアライアンスを結んだフォースメンバーなら出入りが自由だが六人がいる部屋は建物の二階にある部屋だ。

 出入りは自由だが窓から入ってくる変態は彼等の知り合いにはいない。

 

 そうなるとMSが飛んできたのだろうか。

 

 

 気になって立ち上がる五人。

 それと同時に───窓と壁が吹き飛ぶ。

 

 

「───は?」

「イア!!!」

 爆風が起き、キョトンと固まるロックの隣でカルミアが叫んだ。

 

 部屋の半分が吹き飛んでいる。

 

 

 イアの姿がない。

 

 

 

「……な、なんすか!?」

 フォースネスト付近はバトル禁止区域であり、オブジェクト破壊不能区域だ。

 

 フォースネストは当たり前だが、そこら辺に生えている木ですら破壊する事は出来ない筈である。

 

 

「おい! イア! 大丈夫か! イア!!」

 吹き飛ばされて部屋の隅に転がっていたイアの身体を抱き上げるカルミア。見た目に異常はないが、彼女は表情を歪めて細く目を開くだけが限界に見えた。

 

 

「……っ、ぅう……な、何? なんか……ちから、入らない」

「イアちゃん!?」

「ヒットポイントが減ってるんだ……! 安全な所に!」

 ケイがそう言うと、カルミアとユメはお互いに目を合わせて頷く。

 

 二人がフォースネストの奥に向かうのを見届けてから、ケイは吹き飛んだ部屋の壁に視線を向けた。

 砂埃の奥に赤い鉄の塊が立っているのが見える。

 

 その鉄の塊は二つの赤い光を強く光らせて、両手に持つ巨大な剣を振り抜き砂埃を払った。

 

 

 

「───ELダイバーを渡せ」

 赤い機体。

 

 ガンダムOOに登場するアルケーの改修機───ヤークトアルケーのコックピットからそんな言葉が発せられる。

 

 ニャムは勿論ケイ達もその声には聞き覚えがあった。

 

 

「兄さん……?」

「アンチレッド……!?」

 アンチレッド。

 

 ニャムの兄、カルミアのかつての仲間、アオトが入ったフォースのリーダー。

 

 セイヤという男。

 そしてその背後には、彼の仲間であるアンチレッドの赤い機体がズラリと並んでいる。

 その中には見覚えのあるイージスの姿もあった。

 

 

 

「アオトもいんのか……?」

「ELダイバーを渡せと言っているんだ。お前らのフォースネストを吹き飛ばしても良いんだぞ」

「そんな事したらイアは死ぬって知ってて言ってるのか!!」

 ヤークトアルケーを睨みながらそう言葉を上げるケイ。

 

 どうしてアンチレッドがこんな所に来たのか。どうして彼等がイアを渡せと言うのか、分からない。

 

 

 いや───クジョウ・キョウヤが言っていた事をケイ達は思い出す。

 

 ELダイバーの失踪事件。

 そこに彼等が関係あるのなら、彼等がELダイバーを誘拐しているというのなら、話の都合は簡単に着いた。

 

 

「お前らがELダイバー達を誘拐してるって事か?」

 ロックの言葉に返事は帰ってこない。

 

 ただ、背後に控えていた赤い機体達が銃口をフォースネストに向ける。

 

 

「ELダイバーを渡せ。それ以外お前達に言う事はない」

 そしてセイヤはそう言って、ヤークトアルケーのバスターソードを振り上げた。

 

 

 もしここでケイ達のアバターが破壊されても、数分後にはリスポーン出来る。

 

 しかし、全滅すればイアを守る者が居なくなり───彼女はセイヤに連れ去られてしまうかもしれない。

 そうでなくてもフォースネストを攻撃され、建物が壊されたらイアが潰されて最悪の場合彼女の命が奪われてしまってもおかしくなかった。

 

 

 ただ、今機体に乗ろうとしてもケイ達は建物の中である。MSを出す事も叶わない。

 少しでも時間を稼いで、イアをフォースネストの奥に連れて行ったユメ達が動ける時間を作る───そんな事すら今の三人には出来る余裕がなかった。

 

 

「くそ───」

 振り上げられた剣が振り下ろされる───その時。

 

 

「───セイヤぁぁぁああああ!!!」

 ───怒号を上げカルミアのレッドウルフがセイヤのヤークトアルケーを弾く。

 

「……カンダ」

「お前がやりたかった復讐は、俺達が受けた憎しみや悲しみを他の奴にぶつける……そんな事か!! 違うだろ!!」

 腰のサブアームを展開し、両腕と共に四本のビームサーベルを振り回すカルミア。

 無言で応戦するセイヤの視界に、フォースネストから脱出してMSを出すケイ達の姿が映った。

 

 そして、それを止めようとしたアンチレッドの仲間達を空からクロスボーンデルタグラスパーが牽制する。

 

 

 ダブルオーストライクBond、デュナメスHell、ターンX。

 五つの機体が現れ、アンチレッド───総勢二十機の前に立ち塞がった。

 

 

「───俺はGBNを破壊する。今も昔も、それ以外考えてない」

「セイヤ……」

 構えるヤークトアルケー。

 

 セイヤは表情一つ変えず、ただ目標の為に前に進む事だけを考える。

 

 

 

 GBNを破壊するという───復讐の為に。

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