ガンダムビルドダイバーズRe:Bond【完結】 作:皇我リキ
機体を見上げる。
「───これが、ケイ殿の新しいストライクBond」
リクとのバトルを前に、ケイは新しく作ったガンプラをニャム達に見せていた。
「おー、全部盛りって感じねー。おじさんこういうの好きよ」
「思い切りましたね。私もこういう盛り盛りは好きですわよ!」
「良いねぇ、パーフェストストライクって感じだ。僕も気に入ったよ。本当なら、僕が相手をしたかった所だ」
アンジェリカやアンディも絶賛するケイの機体。
新しいストライクBondは、バックパックにクロスボーンガンダムのスラスター、防御装甲としてフルクロス、両肩には二つの擬似太陽炉。
スラスターに接続する形でエクストリームガンダム最終形態type-レオスII
従来の両腰にあるアーマーシュナイダーとビームサーベルに加えて、両脚のホルダーにバタフライバスター、左手には多目的攻撃兵装クジャク、右手にはGNソードIII。両端には両肩とは別にGNドライヴの接続ユニットが用意されている。
エクリプスストライク、ダブルオーストライク、クロスボーンストライクの兵装を綺麗に纏めたケイの力作だ。
「名前! 名前はなんて言うんすか?」
「うーん、考えてないな……」
「クロスボーンエクリプスダブルオーストライクフルクロスライザー
「いやそれは長過ぎっすよカルミア氏……」
唸る三人の後ろで、ストライクBondを見上げていたユメの脳裏にはこれまでの色々な経験が映る。
GBNという新しい世界。
自分の足で立って、機体に乗って空を飛び。
友達と楽しんで、新しい仲間と出会って、ライバル達と出会って。
喧嘩もしたし、仲直りもした。新しい出会いは続いて、強くなりといと思った。
また、皆で遊びたいと。
壊れても、直せば良い。
いつかアオトがケイスケに言っていた言葉を思い出す。
「───ストライクReBond」
ふと、そんな言葉が漏れた。
「ストライクReBond……」
「良いっすねぇ!! それ最高っすよユメちゃん!!」
「お、良いんじゃない。再び繋ぐガンダム……か。ケー君っぽくておじさん好きよ」
ケイは自分の機体に触れて、もう一度その機体の名前を呼ぶ。
アオトとGPDをする以前から、機体の改修をユメと続けていた。
名前を考えていなかったのは、本当なら皆で名前を決めたかったからである。
ロックと、イアと───ReBondのメンバー皆んなで。
けれど───
「……再び繋ぐ、ガンダムか」
今は離れ離れでも。
ロックも、イアも───アオトも。
いつかきっと、この機体が繋いでくれる気がして。
「───よろしくな、ストライクReBond」
ケイスケは仮登録していたストライクBondという名前を、ストライクReBondに変換した。
「そういや、ユメちゃんの機体はどうなったのよ? ケー君が換装必要ないんじゃ、デルタグラスパーの換装機構無駄になっちゃうんじゃない?」
「そこは俺も思ったから、ユメにはユメの戦いをして欲しくて今家で頑張ってます。もう少しで完成するから、楽しみにしてて下さい」
「お、面白そうじゃない。……ユメちゃんの戦い、かぁ」
ケイのストライクBondもそうだが、ユメのデルタグラスパーはアオトとのGPDで現実に破損してしまっている。
ケイのストライクBondは元々改修目的でパーツを買い足していたが、デルタグラスパーはもう一から作り直した方が早い状態だった。
しかし、ユメはそのままデルタグラスパーを治したいとケイスケに言ったのである。
壊れても直せば良い。そんな言葉を思い出して、ケイはどうせなら強化しようという提案をしたのだ。
「青春ですわねぇ」
「……君、まだ若いよね」
「そういや、なんすけど。アンジェリカちゃん、ロック氏はどんな様子なんすか? そっちでスズちゃんが預かってる? なんて聞いたんすけど」
少し離れたところで
アンジェリカは少しだけ口角を吊り上げて、こう答える。
「お楽しみに、ですわ。彼は私の所でみっちりシゴいてますので!」
「修行……って事すかね? あのバトルだけしてれば良いバトルジャンキーのロック氏が」
「ニャムちゃん言い方……」
「誰だって自分の力が及ばなかった時、どうしようもなく力が欲しくなる時がある」
アンジェリカの隣で、アンディは自分の事のように話を始めた。
勿論それは自分の事でもあり、他人の事でもある。
きっと本気で何かにぶつかり、力が及ばなかった者なら一度は思う事だ。
「もっと出来た筈だ、あの時こうしていたら、自分に力があったなら。……後悔して力を発する事は悪い事じゃない。その方法さえ間違わなければね」
ケイの脳裏に、カルミアの脳裏に、アオトとセイヤの顔が過ぎる。
自分にもっと力があれば。
ケイスケに負けなければ、ガンプラを壊されなければ、父親を支えられていれば、ユメカを守れたかもしれない。
レイアを庇って運営と戦う力があれば、彼女は消されずに済んだかもしれない。
きっと、彼等も後悔しているのだ。
「───それでも、まだ直せる筈だから」
ケイはそう言って、ストライクBondに乗り込む。
「初陣だ! 勝つぞ! ストライクReBond!!」
そのツインアイが一瞬光り、起動音が鳴り響いた。
擬似太陽炉のツインドライヴが赤い粒子を撒き散らす。
X字のスラスターがその機構を確認するように左右に揺れ、武装を一つ一つ確認するように展開しては元に戻した。
調子は良好。
「リクとのバトル、全敗だもんな……」
オフ会の時、ユニコーンガンダムとエクストリームガンダムtype-レオスII
イベント戦での一対一の戦いもあと一歩の所で敗北。
相手はビルドダイバーズ。
多勢に無勢の第二次有志連合戦で、サラを守る為にチャンピオンをも退いて大切な物を貫いたチームの大将───強敵である。
「───楽しもう」
だけど、負ける気はない。
彼にだって守りたい物があるのだから。
☆ ☆ ☆
アンジェリカの家。
『───ってな訳で、ケイさんの新機体ですわよ。貴方は何か言わなくて良かったんですの?』
「俺は今修行で忙しいの!!」
「……余所見をするなタケシ」
「ロックな!! お前までタケシとか呼ぶな!!」
タケシはアンジェリカの家にいた。
ここに来たのはGBNのサーバーエラーがあった次の日の事である。
あの日───タケシは自分の狙撃技術が低い事が本当に悔しかった。
自分は強い。
だから、何でもできる。
そう思っていたのに、大切な時、本当にやらなければいけない時に何も出来なかったのが、彼は本当に許さなくて。
「───頼む!! 俺を強くしてくれ!!」
彼は
そして
「……アンジェ、こっちはこっちで忙しい。今はそっちと、
『あら……スズがそこまで真剣なんて。……ま、勿論分かってますわよ。今日はその
「……頼むぜ」
タケシはリンの修行を受けながら、アンジェリカに小さくそう言葉を送った。
『本当に応援の声とかあげなくて良いんですの?』
「大丈夫だろ」
自信満々な声で、タケシはリンに「集中」と車椅子から伸びふアームでチャップされながらこう続ける。
「アイツは本当に強いから、勝つっての」
本気の信頼の声で。
彼はただ、今自分がしなければいけない事をこなしていた。