ガンダムビルドダイバーズRe:Bond【完結】 作:皇我リキ
裏世界。
GBNの空はどこまでも広がっている。
バトルステージとなりえる範囲でいえば、火星を超えて
行こうと思えば水星圏まで向かい太陽をより間近に感じる事も出来るのがこの世界だ。
しかし、その世界はゲームの世界である。1の先には無限の0が連なっている───筈だった。
「───ゲームの裏側、三十光年先の世界。現実と同じように作られたそこに、データにはない未知の生命。面白いか? そうだな、俺がGBNを憎んでなければ面白いのかもしれないな」
そこには月のような衛星を改造してある衛星砲がある。
三十光年先の世界。
ゲームと現実の狭間のような場所。
その場所でセイヤが出会ったのは、GBNのデータにはない未知の生命だった。
「アルス、か。お前の目的はこの世界を守り通す事だ。お前の主人が帰ってくるまで、あの異世界から来た生き物に侵略されたこの世界を取り返す事だ。……力を貸してやる。
そこで出会った生命と、彼は契約を果たす。
そして、GBNと三十光年先の世界が繋がるのだった。
☆ ☆ ☆
GBN。
ヒロト達ビルドダイバーズがロータスチャレンジをクリアし、
彼等のミッションは
ミッションは無事に果たされるがしかし───ヒトツメの親玉はGBN全土に刺客を送りつけ、GBNへの攻撃を開始しようとしたいた。
───それが、GBNがダイバー全員に緊急通達した
「───コレ、どう思うよ」
ミッションの最中、カルミアは目を細めてニャムにそう問い掛けた。
「どうって? そういうイベントなんじゃないですか?」
緊急イベントミッション。
GBNではかつてない規模のイベントで、全ダイバーが全フィールドで参加出来る特別なミッションである。
前述通りGBNでここまでの大規模なイベントが開催された事はない。それも、突然の事だ。
「きな臭いでしょ。……セイヤ達がどうとかは流石に思わないけどもさ」
「それは確かにそうっすけどねぇ。運営から情報が提示されてないなら、なんとも言えませんよ」
ニャムは完成し掛かっている新機体を駆りながら、周りの敵を殲滅していく。
GBNからダイバー達に送られたメッセージには特別な事は書いてなかった。
ただ、緊急の割にヤケに豪華な報酬。特別捻られていない簡単な内容。
カルミアがきな臭いと言う理由も分からなくはない。
「───ただ、マギー氏が言っていた裏世界とやらがコイツらヒトツメと関係があるとすれば兄さんが何かしら関わってそうではありますけどね」
「この混乱に乗じて何かする気だとしたら、おじさん達はまんまと嵌められてるって事だけども」
「でも多分ですけど、ここは真剣にならないといけない所ですよ」
空を見上げる。
空間を割いたかのような場所から現れた敵の戦艦。
明らかにGBNの通常イベントからは考えられない演出だ。それ以前に、あの空間が割れるようなエフェクトはこれまで遭遇したバグで何度も確認している。
「それもそうかねぇ」
メガランチャーを構えるカルミアのレッドウルフ。放たれた砲撃はヒトツメを数機撃破するが、その圧倒的な数が減っているように見えない。
「しかし、どうなる事やら……」
それどころか敵の数が増えている気すらして、カルミアは目を細めるのであった。
───その後。
イベント戦はGBN有志連合の勝利で幕を閉じる。
GBN運営から特別な説明はなかったが、ダイバー達の活躍によりヒトツメは撃退。彼等の侵攻を妨げたヒロト達
カルミアが懸念していたセイヤ達の動きもなく、GBNには全世界のサーバーエラー以前の平和が取り戻されつつある。
数名のELダイバーが未だ行方不明な点だけを除いて。
「───負けたか、アルス。まぁ、GBNの全てを敵に回せばそうなるだろうな」
裏世界。
事の顛末を見届けたセイヤは目を細めて興味なさげにそんな言葉を落とした。
第一次有志連合戦。
ブレイクデカールを巡る戦いは、リクとサラの活躍もあったが優秀な有志連合の物量差での敗退をセイヤも経験している。
第二次有志連合戦。
数で圧倒的に勝る有志連合に立ち向かったビルドダイバーズと数名は、あのチャンピオンすら下してサラという一人の少女を守った。
「いつだって勝つのは数の暴力でもない、気持ちが強い物でもない。……実力と運、そして気持ちが戦いを左右する。俺はその全てを備えて勝つ」
言いながら、セイヤは捕らえたELダイバー達の前に立つ。
そこにはイアとアオトの姿もあった。
「俺は強い。この時まで準備を怠らなかった。……そして運も良い。アルスが開けたこの世界の時空の歪みは、運営も意図していない物だ。この時空の歪みを広げることが出来れば、GBNのサーバーは一瞬で逝かれる」
そう語るセイヤの背後には───レグナント、ディビニダド、エクストリームガンダムディストピアフェイズが三機ずつ並んでいる。
そして、囚われたELダイバーはイアを含めて十人だった。
「そして俺は思いも強い。……この戦いに負ける要素はない」
言いながら、セイヤはコンソールパネルを開いて九機の機体を動かした。
「何故私たちがこんな事を!」
「そうだ。君の野望に付き合う理由はない!」
檻に閉じ込められたまま機体に取り込まれるELダイバー達。
セイヤは彼女達の言葉に耳を貸す事なく、話を続ける。
「サーバーに負荷をかけるELダイバーをコアに機体を動かし、ヒトツメ侵攻で生じたサーバーエラーを広げ、一点に集約させる。そしてそのコアになるのがお前だ、イア」
「ボクに何をさせる気なの」
「お前の機体には戦闘データを全て記録する装置を付けた。あの九機をGBN各地に放ち、行われた戦闘データが一箇所に集まるようにな」
その膨大なデータをイアが目にすることにより、GBNのサーバーに存在しているイアそのもののデータが膨れ上がる事になれば───
「そうしてデータが破裂し、GBNは終わりを迎える」
セイヤの背後に現れるもう一つの機体。
デストロイガンダムに、セイヤはイアを連れて歩いた。
「ボクが爆発してGBNを壊すくらいなら、ボクは今ここで自殺してそんな作戦止めてやる」
「そんな事が出来るとでも?」
「出来る!」
イアはセイヤが口を動かした一瞬の隙に、彼が以前イアを撃った銃を奪い取る。
そしてそれを自分の頭に向け、彼女は引き金を引こうと───
「やめろイア!!」
───引き金を引こうとした彼女の手を、アオトが止めた。
「……あ、アオト。離して! ボクはこの世界が好きなんだ。ボクがこの世界を壊しちゃうなら、ボクだけが壊れた方がマシだ!」
「そんな事はない。GBNなんかの為に、お前が消える事はないだろ。セイヤさんの大切な人もそうだけど、GBNは本来ここにいるELダイバー達だって消そうとしてたんだ。第二次有志連合戦、アレはGBNへの反乱の一歩だったんだよ。イア、セイヤさんは君達ELダイバーを守りたいんだ!!」
イアから銃を取り上げ、アオトは必死な声でそう語る。
確かにGBNはサラを殺そうとしていた。
けれど、今はELダイバーの保護が進んでいる。
それでも、失った命は戻らない。
「───力を貸してくれ、
セイヤはそう言って、イアをデストロイガンダムのコックピットに放り込んだ。
機体はオートパイロットで、イア達ELダイバーの意志に背いて動くようになっている。
「ちょ! 勝手に! セイヤ!! この!! アオト、その人を止めて!! ボクはGBNを壊したくない。ボクにとってはこの世界が、本当の世界なんだら、大切な世界なんだよ! ねぇ、アオト!!」
「……俺は、ケイスケが許せないんだよ。そして、こうして復讐の手助けをしてくれるセイヤさんの助けになりたいんだ。……イア、俺は少し分かったんだよ。セイヤさんの気持ちがさ。……イアがGBNに消されるって思うと、心が苦しいんだ。そんな事をしたGBNを、俺も許せないんだよ」
言いながら、アオトはイアの機体に背中を向けた。
その瞳は真っ直ぐに、彼等の目的だけを見ている。
「アオト、お前はデストロイの護衛部隊を指揮しろ。……復讐を果たすぞ」
「はい、セイヤさん」
少し歩くと、セイヤの前には数百人のダイバーが立ち並んでいた。
この裏世界に集まったフォースアンチレッドのメンバー達。
「堅苦しい挨拶をするつもりはない。ただお前達は復讐を果たす為に動けば良い。……デストロイ計画を、今この瞬間から発動させる。全員!! 持ち場に付け!!」
ガンダムに、ガンプラに、GBNに、個人に、恨みを持つ物達の復讐劇。
セイヤの物語が幕を上げる。