ガンダムビルドダイバーズRe:Bond【完結】 作:皇我リキ
地表が焼ける。
エクストリームガンダムディストピアフェイズから放たれたエネルギーの砲弾が、タイガーウルフのジーエンアルトロンを襲った。
その数も、質量も、圧倒的な力にタイガーウルフは前に進めなくなる。
「───くそ!! 近付けねぇ!!」
「哀れ、と言いたいですが。私も同じ様では強く言えませんね」
その背後に立つシャフリヤールのセラヴィーガンダムシェヘラザード。
二人のトップファイターがお互いに満身創痍だが、驚くのはそれだけではない。
「これで二回目のリスポーンですが、何か策は見付かりましたか?」
「分からん。こんなの、ロータスチャレンジも霞む高難易度ミッションに設定されててもおかしくないレベルだぞ。リスポーン無限だけが救いだ」
タイガーウルフとシャフリヤールが二度も撃墜されているのだ。
しかしコレは実際のミッションではない。
機体が撃破されればリスポーン出来るが、サーバーへの負荷で転移が不可能になっており全てのダイバーがどこで破壊されてもリスポーンするのは自らのフォースネスト──フォース未所属の場合はセンターターミナル──となっている。
上位ダイバー達は今回の件についてイベントではなく、排除しなければならない外的なバグによる物だという事を知っているが他のダイバーは違った。
それにより、勝てる見込みがなくても敵MAに突進するダイバーも少なくない。イベント感覚というなら当然だろう。撃破されてもなんのペナルティもないのだから。
「しかし、コレは不味いんじゃないか?」
「運営の説明によれば、おおかたの目標は戦闘記録データを膨大化させてサーバーへの負荷を高める事。無駄死にの連鎖は戦闘データの膨大化を助力してしまっている可能性もある」
「速攻で破壊するのが手っ取り早いが、さて」
とはいえ、二人も闇雲に突っ込んで勝てる相手ではない。
エクストリームガンダムディストピアフェイズ本体の機動力と防御力、そして火力は絶大である。
さらに、エクストリームガンダムの周囲にはフォースアンチレッドのメンバーが多数護衛に付いていた。その中にはヒトツメ───NPDといった戦力も混ざっているようである。
「───まったく、待たせたわね。応援に来たわよ!」
「マギー!?」
「私も居る。……全く、GBNはどうしてこう、不届き者が多いな」
そんな二人の所に、マギーとロンメルが合流した。
「おいおい、こんな集まっちまって良いのか? 地上には他に三機もMAが出てるんだぞ」
「問題ないわよ。GBNには、優秀なダイバー達が沢山居るんだから。……だからほら、私達もやるわよ」
「私が指揮を取る。全機構え」
マギーとロンメルの声に、その場に居たダイバー達もより活気を見せる。
そう、マギーの言う通り。
このGBNには優秀なダイバー達が揃っているのだ。
☆ ☆ ☆
数多の羽が大地を抉る。
「───フェザーファンネル来るぞ!」
「分かってらぁ!!」
ディビニダドのフェザーファンネルを巨大な盾で防ぐ、イージスガンダムの改造機。
巨大な羽型のファンネルをなんとか耐えたその機体の背後から、三機のMSが反撃の砲撃を放った。
「やったか!!」
「それはフラグですよカザミさん!!」
爆煙の中を見詰めて期待の篭った声を漏らす男───カザミに、竜の姿に変形するSDガンダム使いのパルヴィーズがそうツッコミを入れる。
ウォドムを操るELダイバーのメイ、そしてこの三人───
「カザミ!!」
「こなくそ!!」
メイが叫ぶと、カザミの機体───イージスナイトが盾を構える。
その盾を抉るフェザーファンネル。
メイは砲撃を放ち、そのフェザーファンネルをなんとか打ち消した。
「撤退する! この距離じゃ囲まれる!」
ヒロトがそう言うと、三人は無言で頷いて機体を下げる。
ディビニダドの周囲にも、取り巻きのMSが多数構えていた。
これらの厄介な所は、撃破しても三分で主であるMA付近でリスポーンする所だろう。
撃破しても撃破しても、まずディビニダドに近付かない。
そうして近付いても、先程のようにフェザーファンネルが脅威になりヒロト達ビルドダイバーズは防戦一方だった。
ニャム達が参加したロータスチャレンジをクリアしたヒロト達だが、ロータスチャレンジやミッションであったヒトツメとの戦いでは撃破目標そのものが攻撃してくる事はない。
その点を踏まえれば、この
「───ねぇ、あの機体! メイちゃんじゃない? ほら、メイちゃん!」
「ん? この声……。あの時の」
そんなビルドダイバーズのメイを見付けたユメは、通信を送ってモニターの前で手を振った。
メイはそんなユメの顔を見て、
彼女にとってはその程度の認識だが、ユメにとってはGBNで出会った仲間は皆大切な友達なのだ。
「戦況は?」
そんな彼女を他所に、ケイは今は居ないリーダーの代理としてこの戦場で戦っていたフォースのリーダーに声をかける。
「好ましくない。……もしかして、事情を知っている?」
「俺達の仲間にもELダイバーが居たんだ。それで、大抵のことは聞いてる」
メイはELダイバーだ。
マギー伝えで、このビルドダイバーズにも事情は伝えられているのだろう。
「なら話が早い。あの機体のコアにされているELダイバーは私の姉とも呼べる。……今すぐにでも助けたい」
「勿論っすよ。ジブン達はその為に来たんすからね!」
「とはいえおじさん達に出来る範疇にあんの? アレ。ヤバくない? ちゃんと倒せるシステムなの?」
遠くで戦う他のフォースを見ながら、カルミアは目を細めた。
なんとかディビニダドに接近出来ても、火力が足りずに撃破する事も出来ずフェザーファンネルの対応が出来ずに撃破されてしまっている。
フェザーファンネルはオールレンジ攻撃の中でも非常に強力な武装で、迎撃するのも難しい。
さらに1/100スケールのディビニダドはその装甲の硬さも普通のガンプラとは桁違いだ。
「……手は、ある。ある程度近付いたあと時間と隙さえあれば、俺達の必殺技で」
「あのロータスチャレンジの時の奴っすね! 確かにアレなら、あのディビニダドでも落とせそうっす!」
ロータスチャレンジで彼等がラビアンクラブを撃破した時の技を思い出すニャム。
その砲撃は、GBN中でも最大級の火力と言っても間違いはないとニャムは語る。
ならば、信用する価値は高い。
「分かった。ディビニダドに到着するまでと、必殺技を打つ時の援護。それでなんとかなりそうか?」
「あぁ。任せてくれ」
モニター越しにケイとヒロトは拳をぶつけた。
そうと決まれば作戦を決行するだけだが、ディビニダドに近付くには無数の取り巻きをなんとかしなければならない。
ケイ達だけで、ヒロト達が必殺技を放つ隙を作るのは難しいように見える。
「……ここでTRANSーAMを一度使うか」
ディビニダドを倒せば、マスドライバーで宇宙に行く事が出来る筈だ。
MAの数は宇宙の方が多い。
リスポーンするとフォースネストに戻される関係上ここから先、残せる物は残しておきたい所だが───
「私、皆に声を掛けてくる! 私達だけじゃなくて、皆で協力すれば簡単な筈だよ!」
「ユメ? そ、そうか……」
聞き返す前に、ユメは機体を動かして周りで闘いっているダイバーに通信で呼び掛ける。
「皆! あのMAの攻略法が分かったから協力して欲しいの! お願い!」
無謀な挑戦に、半分諦めていたダイバー達は彼女の言葉に仲間達で顔を見合わせた。
彼女の呼び掛けに───勝てる、と頷いて。
「……凄いな、彼女」
「うん。本当に。……よし、それじゃ作戦開始だ。頼んだ、えーと───」
「ヒロトだ。あなたは?」
「ケイ」
「分かった。ケイ、援護を頼む」
「任せろ」
ヒロト達の前に、無数のダイバー達が集結する。
MAディビニダド。
その攻略が始まった。