ガンダムビルドダイバーズRe:Bond【完結】 作:皇我リキ
GBN地球上に設置されているマスドライバー基地は少なくない。
その中でセイヤは、強力なフォースのフォースネストが近くにあるマスドライバー基地に絞ってMAを配置した。
それにより何が起こるか。
「───なんだこのミッション!! 無理ゲーだろ!!」
「まぁ、でも別に無限リスポーン出来るし。いつかはクリア出来るんじゃねーか?」
宇宙にフォースネストを持つ者は少ない。
それは、そもそもGBNは本来何処に行こうとしてもある程度のポイントには転送で移動する事が出来るからである。
だから、態々物資も乏しく空間が広過ぎて周りに何もないような場所が多い所にチームの家となるフォースネストを置きたがる者はすくなかった。
するとどうなるか。
「俺達みたいなパンピーがやってもクリア出来ないだろこれ!」
「そもそも地上じゃあのタイガーウルフが苦戦してるって話じゃねーか!」
「上手い奴早く来いよ!!」
数少ない宇宙移民組のフォースの戦力では、地上よりも更に一機多いMAに少ない戦力を分散され戦況は最悪といっていい状況になっている。
地上から空いているマスドライバーで宇宙に出るダイバー達も、どこか纏まりがない。
すると、戦闘回数が増え───セイヤの目的はさらに加速する事になるのだ。
地上の戦力は囮とも言えるだろう。
「───ロータス卿、そこまでする必要がありますか?」
「……否、嫌な予感がするのだ。これは、ナンセンスだよ」
そんな戦況を見据えながら、フォースロータス───あのロータスチャレンジの主催であるロータスは目を細めた。
彼は二つのビルドダイバーズしか破壊する事が出来なかった自らのフォースネスト───ラビアンクラブをMAに突撃させるという作戦を打ち立てる。
しかし、膨大なコストを払い作り上げたこのフォースネストは彼等が主催するロータスチャレンジ、およびフォースの誇りだ。
それを態々MA一機にぶつけるのは、ロータス本人も気乗りはしないだろう。
しかし、ロータスの予感は正しかった。
「さぁ、戦え。お前達の大好きなGBNで戦え。その戦闘データこそが、GBNを破滅に追いやる」
この戦況の長引きこそ、セイヤが狙った事だったのである。
MAとダイバー達の戦闘データは淡々とELダイバー達に記録されていくのであった。
☆ ☆ ☆
マスドライバー基地、ディビニダド攻略戦上。夜。
現実は昼前だが、彼等の戦うステージは夜になっている。それは、この戦いが世界各地で行われている証拠だった。
月が出ている。
「───エクリプス!!」
「───メガランチャー!!」
ケイのストライクReBondとカルミアのレッドウルフが放った砲撃が直線上の敵を薙ぎ払った。
「取りこぼし、任せた!」
「了解っす!」
「行くよ!」
二人の砲撃で取りこぼした相手は、ニャムのニャーンX、夢のデルタストライカーが相手をする。
それに、周りに集まったフォースの仲間達も加わっていた。
「助かる」
「これなら行けるんじゃ!」
「おっと! 油断すんなよパル! 敵の数尋常じゃねーぞ!?」
ヒロト達───フォースビルドダイバーズをディビニダドに接近させて、彼等の必殺技で叩くのがこのマスドライバー基地を占拠するディビニダド攻略の糸口だろう。
しかし、取り巻きの数が尋常ではなかった。
ケイ達の援護を掻い潜って、ヒロト達に攻撃が抜けている。
カザミの機体───イージスナイトは守りに強い機体でこれが上手く機能しているが、彼らにあまり負担をかけたくはなかった。
「フェザーファンネル、くるよ!」
先行していたユメからそんな通信が送られてくる。
ディビニダド本体からの射程には入る事が出来たが、こちらはまだディビニダドに攻撃を当てられる距離ですらない。
本来のスケールではないためにディビニダドの射程距離も長いからだが、それ故に攻撃の破壊力も桁違いだ。
「で、デカ過ぎんだろ!!」
「ガンプラを絶対破壊するマシンかよぉ!?」
フェザーファンネルに襲われ、周りの仲間達が粉々に砕け散っていく。
ケイとカルミアは急いで砲撃を放つが、それだけではフェザーファンネルの圧倒的な質量を弾き返す事は出来ない。
「……っ」
「メイ。ダメだ。俺達はこの一撃に全部賭けよう」
「だが、来るぞ?」
「多分、大丈夫」
反撃しようとしたメイを止めたヒロトは、目を瞑って思い出した。
ロータスチャレンジで戦った、頼もしい
「───月は出ているかぁぁ!!」
叫んだのはニャムである。
「え? 月? えーと、あ、うん。月出てる。え? どうしたの? ニャムさん?」
「なるほど」
「お、パナすかニャムちゃん!」
ユメ以外の殆どのダイバーが、彼女の言葉の意味を理解する。
「え? 光……」
突如月から放たれた光が、左手の砲身を構える肩のアーマーに注がれた。
サテライトキャノン。
機動新世紀ガンダムXに登場する兵器で、月から受信したマイクロウェーブをエネルギーにガンダムという作品の中でも最高レベルの砲撃を放つ武装である。
月からのマイクロウェーブが必要という弱点があるが、その威力は絶大だ。
「マイクロウェーブ受信!! 見せてやるっすよ、我が新生ガンプラ! アナザーガンダムをも黒歴史に取り込む、ニャーンXの真骨頂!!」
さらに───
「ニャムさん以外も!?」
彼女の機体以外にも、この戦いに参加していたダイバーの中にサテライトキャノンを装備したダイバーが数人居たらしい。
「「「いっけぇ!! サテライトキャノン!!!」」」
それら全ての光が───同時に放たれる。
夜の闇を照らすような光と轟音。
周囲のフェザーファンネルを殆ど焼き払って、そのままディビニダドを焼き尽くす勢いで直進した砲撃はしかし───ディビニダド周囲に濃縮されたフェザーファンネルの壁で塞がれた。
「むしろ今ので倒せないの!?」
「いや、これなら!!」
「行けるぜ!!」
驚くユメを尻目に、ヒロト達は出力を上げて接近速度を上げる。
ディビニダドのフェザーファンネルはバグの影響か無限に生成されているのかと思う程の量が戦場を飛び交っていた。
しかし、今はそれが半減されている。
チャンスは今しかない。
「今だ」
短く呟いて、ヒロトが先陣を切った。
「───俺は、何度だって戦う。決めたんだ、もう何も奪わせないって」
ヒロトのコアガンダムを中心に、ビルドダイバーズの機体が分離、変形し───一つの機体へとその姿を昇華させる。
「「「「コアチェンジ! リライジング・ゴー!!」」」」
リライジングガンダム。
それが、彼等ビルドダイバーズの結束の力だった。
「四機で合体した!?」
「す、すごい!」
ニャムとカルミアはロータスチャレンジでその姿を見ていたが、ケイとユメは初めてみたそのガンプラに目を輝かせる。
こんなに沢山の素敵な気持ちが交わるGBNを壊させてはいけない。二人は改めてそう思った。
「───グランドクロスキャノン……!」
四人の機体が黄金に光り、サテライトキャノンをも凌駕する砲撃が放たれる。
これが四機分のリソースと気持ちを合わせたヒロト達ビルドダイバーズの必殺技だ。
ディビニダドは残っていたフェザーファンネルで砲撃を防ごうとするが、フェザーファンネルは一瞬で消し飛んで光がディビニダドを包み込む。
次いで、コアにされていたELダイバーからメイに通信が入った。
「───ありがとう、助かりました」
「良かった」
撃破され、爆発するディビニダド。
燃え残った機体がバラバラになっていく中、解放されたELダイバーが近くにいたフォースの仲間に迎え入れられる。
「良かった!」
「帰ってきた!」
「おかえり!」
「皆、ありがとう。ありがとうございます、皆さん」
そのELダイバーの仲間達。
彼等は、助ける事が出来たELダイバーと共にヒロト達や手伝ってくれた仲間達にお礼を言った。
「……良かった」
それを見て、ヒロトは優しく笑う。
彼もまた、以前メイとは別のELダイバーの仲間がいた。
初めは───そもそも第二次有志連合が起こるその少し前まで、ヒロトはその少女がELダイバーだと言う事を知らなかったのである。
その少女はサラと同じく、GBNのバグの原因の一つになっていた。
そして───GBNのバグを押さえ込み、少女自らが消える選択をする。
色々な葛藤があった。
ある意味で、彼はセイヤに近かったのかもしれない。けれど、彼は立ち上がる。
今ここにある、仲間達と共に。
「───とりあえず、ここのMAは倒せた。次に行こう」
───もう何も奪わせない為に。
「ケー君」
「分かってる。俺達も、イアを救おう」
マスドライバーが起動した。
戦場は宇宙へ───