ガンダムビルドダイバーズRe:Bond【完結】   作:皇我リキ

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最後の時

 世界が壊れていく。

 

 宇宙も地上もない。そこには何もない。

 

 

 ボクだけが居た。私だけがいる。

 

 

「キミは……レイア?」

 目の前にいた。いや、それは前でも後ろでもない。なにもない。自分の中。

 

 

「セイヤの事を止めて欲しい。それは、ボクも止めたいと思ってるよ。でも、私は嬉しくも思っている。それは、キミがこの世界もセイヤの事も好きだからでしょ?」

 自分と話しているような、自分の中のパーツが別の何かであるかのような。そんな気持ちだった。

 

 

「私はどうしたら良いか分からない。そんなの、ボクだってそうだよ。君なら止められると思ったの。それは違う。何が違うの。ボクが止めても、あの人は止まらないよ。でも、私はもうこの世界にはいないの。キミはここに居るよ」

 世界が壊れていく。

 

 自分が原因だという事は、なんとなく分かった。

 

 

「どうして私はここにいるの。この世界が壊れ始めて、この世界に溶けていたキミの一部が浮き上がってきたからだと思う。私の一部……君の中にあった、から。カルミアがボクの事をキミと間違えたんだ。全然似てないのに。ボクもそう思うけど、多分ボクを構成する何かにキミがあったんだと思う」

 この世界に生まれたELダイバーは、何故か初めから何か物を持っていたり記憶を有していたりするという。

 

 ガンプラをスキャンした時の余剰データと、その何かが合わさって生まれたのがELダイバーなのだと、いつかキョウヤが言っていた。

 

 

「キミは……確かにもうこの世界にはいないのかもしれない。けど、今ボクの中にいるキミは、ちゃんとここにいる。その時が来たら、ボクはキミにこの身体をあげても良い」

「……返さないかもしれないよ。私もね、セイヤが好きだから」

「それでも良いよ」

「え……」

「ボクも、あの人やこの世界の事が好きだから。それで、皆が大好きなこの世界を守れるなら、それで良いよ」

 霧が晴れる。

 

 

 轟音が轟いた。

 

 

 ☆ ☆ ☆

 

 地下基地が消し炭になっていく。

 

 

「くっそ、イアの奴やり過ぎでしょうよ!!」

「通信が返って来ないっす。そもそもイアちゃんが動かしてる訳じゃないんすよ」

「んな事は分かってるのよ!!」

 歯軋りしながら攻撃を避けるカルミア。

 

 

 イアをコアにしたデストロイガンダムは敵味方お構いなしに全範囲への攻撃を開始した。

 

 そもそもNPDは直ぐリスポーンするが、カルミア達はそうはいかない。それに、周囲のステージが破壊され、周りのものが無に変わっていく。

 

 

 ここが本当に地中なのかどうか、もう分からない。撃墜されたとして、リスポーンしてからここに戻って来られるという保証もなかった。

 

 

 

「倒されちゃった人達、帰って来ないですね」

 ビームマグナムで敵を撃ち落としながら、ニャムの背後に降り立ちそう言うヒメ。

 

 せっかく入った増援も、半分程に減ってしまっている。このままではジリ貧だというのは明らかだった。

 

 

「そっちの大将や坊主は。まさかやられちまったって訳じゃないよねぇ?」

「アンディさん……!」

 そんな彼等の前に降り立つガイアトリニティ。

 

 減りつつある戦力をまとめ、なんとか落ち着く時間を作ったのは彼───砂漠の犬のアンディの手腕である。

 

 

 しかし、それは状況打破とまではいかない。もしロンメルなら、この状態をなんとかするのだろうかと彼は唇を噛んだ。

 

 

「ケー君達は今幼馴染と喧嘩中」

「どういう状態? それ。……いや、君達がそれについて焦ってないなら別に良いか。所で僕に作戦があるんだが、乗るかい?」

 不敵な笑みを見せるアンディだが、戦略的にも成功率は半々という所である。

 

 しかし、このままではジリ貧だという話よりもアンディには不安要素があった。

 

 

「もし、君達が乗らなくても僕はやる。君達は目の前のことに夢中で見てないかもしれないけど、さっき運営から連絡があった」

「運営から?」

「宇宙での戦闘結果さ。彼、セイヤ君だっけ。宇宙で大佐やチャンピオンをチートで足止めして、今こっちに向かってる」

 宇宙のMA攻略の為、多くのダイバー達が宇宙に渡っている。

 

 

 セイヤはそれら全てを足止めし、さらに地上に降りようとしているというのだ。

 

 

「チートってのは本当にチートなんだろうなぁ。確かにアイツは上手いが、あの戦力を相手にして勝てる訳ないだろうし」

「そのチーターが戻ってくる前に、こちらを叩かなければGBNは終わりを迎えるだろう。なにせ、彼等が勝てなかった相手に僕達が勝てる訳ないからね」

 他のダイバーはともかく、ロンメルの強さはアンディが一番分かっている。

 

 どんな戦術を用意しても勝てなかったあの大佐を加えたチャンピオン達の動きを止めたというのだ。

 今そんな相手に襲われれば、こちらに勝ち目はない。

 

 

「さて、話してる暇なないぞ」

「どうやら本当にそんな暇なかったみたいだけど、ね」

「───そうだな。沈め」

 深い霧がかかった様な声に、その場にいたダイバー達は顔を上げる。

 

 

 そこに居たのは、禍々しいオーラを纏うファーヴニルリサージェンス。セイヤの機体だった。

 

 

 

「馬鹿な……早すぎる」

「チートだって自分で言ってたでしょうに!!」

 間髪入れずに回避運動を取るカルミア達。

 

 同時にファーヴニルのバックパックから放たれたビームが拡散し、地上を焼く様に降り注ぐ。

 

 

「各機散開!! フラブラスト!!」

「皆避けるんですわーーー!!」

 雨の様に降り注ぐビームに焼かれる世界。残っていた戦力を抉るように、あまりにも無慈悲な攻撃が彼等を襲った。

 

 

「───そう何度もやらせるか!!」

「ガキが!!」

 そんなファーヴニルリサージェンスにミラージュコロイドで背後から近付いたノワールの迅雷ブリッツが襲い掛かる。

 

 しかし、その刃が届く前に迅雷ブリッツの腕は斬り飛ばされた。両膝の隠し腕、そして放たれていたファンネルがノワールを襲う。

 

 

「ノワール!!」

「……っ、これはチートじゃない。本人の強さだ」

 システムは至って正常だ。

 

 彼は確かに強い。しかし、その強さがあるからこそチートを使ってチャンピオンを足止め出来たのだろう。

 

 

「ハッハッハッハッ!! 雑魚共が!! 下手くそが!! そんなもんで守りたい物が守れると思うな。俺は守れなかったんだ。俺を倒せない奴に守りたい物が守れる訳ねーだろ!!」

 再び雨の様に降り注ぐビーム。カルミア達は避けるので精一杯だった。

 

 

「アレを止めて、デストロイを止める。犬さんや、デストロイを止めるのにどんだけ戦力が居る!?」

「メフィストフェレスの火力と、そこのNTーDは欲しい。後は僕の隊でなんとかしてみせるよ」

「……分かった。ニャムちゃん、おじさんと一緒にあのバカを止める。出来る?」

「……勿論!」

「無茶ですわよ! この人滅茶苦茶強いんですのよ!?」

「ケー君達も来る。それまでなんとかするだけよ。……ヒメちゃん、頼っても良いか?」

「よく分からないけど、なんとなくお姉ちゃんの言ってた意味は分かりましたから」

「何をゴタゴタ話してやがる!!」

 ヒメの元に向かってくるセイヤ。

 

 しかし、そんな彼の前にサトウのビギナギナⅡが立ち塞がる。

 

 

「お前も裏切ったんだな、サトウ」

「俺は、あんたを助けるためにここにいるんですよ。セイヤさん!!」

「ナイスカバーっすよ!!」

「サトウ、お前はヒメちゃんを頼む!!」

 セイヤを挟み込むカルミアとニャム。

 

 大切な親友と、兄。

 やっとここまで来た。ある意味、この日を待ち望んでいたのかもしれない。

 

 

 

「兄さん、やっとここまで来ました。……私の───ジブンのガンプラを、貴方にぶつけます!!」

「ここでお前を止める。もうどこにも逃げ場はないからな!! セイヤ!!」

「逃げるのはお前らだ。這いつくばって、道を開ければ良いんだよ!! グリモアの呪縛に跪け!!!」

 周囲を包み込む禍々しいオーラ。

 

 それに対抗する様に月光蝶が世界を包み込む。

 

 

 破壊されていくGBN。

 

 

 

 あまり時間は残されていない。

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