ガンダムビルドダイバーズRe:Bond【完結】 作:皇我リキ
イージスブレイクのブレイクファングがデストロイガンダムを貫いた。
爆散するデストロイ。しかしその脇で、小さなデストロイガンダムが分裂しているのがアオトの目に映る。
「キリがない……」
「アオト!! 後だ!!」
言いながら、イージスブレイクに背後から近付く小さなデストロイをエクリプスで撃ち抜くケイ。
スラスターを吹かせて、バタフライバスターで近くの巨大なデストロイガンダムを叩き切ると、彼はアオトと背中合わせに機体をくっ付けた。
「……手伝ってくれる、ってのは違うか」
「……勘違いするなよケイ」
「知ってる」
「いや、だから勘違いするな」
「え?」
「俺は……もう、別にお前の事……憎んでない」
言いながら、アオトはブレイクファングとビットを展開して周囲のデストロイガンダムにぶつける。
「アオト……」
「嫌いだけどな!! 嫌いだけど!! でも……お前達からもうどう思われなるのか分からないけど、やっぱ……嫌いになれるほどお前達が好きだったんだ。……特にケイは、ずっと俺の……その、ライバルだよ」
「……そうだな。よし、じゃあ競争するか? どっちが沢山デストロイを倒せるか」
「……望む所だ。今日こそお前に勝つ!! ケイスケ!!」
「やってみろ!!」
壊れていた。
「スズちゃん!」
「スズ! 俺様が援護しに来てやったぜ!」
「スズさんだ。……ぁ、ヒメカちゃん?」
「……ひ、ヒメです。その……一緒に───」
「良いですわよ!! 良いですわね!! 一緒にやりましょう!! 丁度猫の手も借りたいと思っていたとのろですのよ!! それで、またこれが終わったらオフ会で遊ぶのも良いですわね!!」
「ぁ……うん! そうしたいです、私も」
「決まりだな。行くぞ、ロック」
「おうよ!!」
バラバラだった。
「イヴも……何処かで見てるのか」
「ヒロト?」
「いや、なんでもない」
「絶対に諦めない……諦めるもんか!!」
「リク……!!」
それが繋がって。
「アンディ」
「大佐? うーん、どう思います? この戦況」
「お世辞にも良いとは言えない。が、しかし……我々が協力すれば打破する事は容易い。そうだろう?」
「流石は知将ロンメル大佐だ……。その話、乗っちゃおうかな?」
巡るように。
「アンチレッドはこれで全部精算したか。次はレイアだ……俺が、今度こそ必ず助ける!! 例え誰に見捨てられようとも……俺は……」
「誰もお前を見捨ててなんてないだろ、セイヤ」
「カンダ……」
「そうですよ、兄さん」
「俺もいます」
「ナオコ、サトウ……お前ら……」
「確かにお前は人に嫌われたり恨まれる事をしただろうぜ。それを全部俺達が許すとは言わない。……けど、間違ったダチを殴って止めるのが仲間ってもんでしょ。そんで、殴って止めたら、一緒に反省してやる。……一緒にいてやる。な、セイヤ? だから……まずはあの子を助けよう」
壊れていた歯車が───再び動き出す。
「───全軍、私はフォース第七機甲師団のロンメル大佐だ。現状を分析した結果、このままでは我々に勝ち目はないと悟った」
オープンチャンネルでダイバー達に語り掛けるロンメル。
「デストロイは無限に自らをコピーする事でこのGBNを破壊しようとしている。そのコピーを止めるには、大元である本体を叩かなければならない」
無限に増殖するデストロイガンダムは、撃破してもキリがない。
「しかし、本体へと続く道はデストロイの大群に遮られている。我々が個々で戦ったところで、たどり着く事は困難だろう。しかし、我々が力を合わせれば立ち向かえぬ困難などない!」
これまでGBNのダイバー達は何度も困難に立ち向かってきた。
ここにいる仲間達は、その事を分かっている。
「皆、力を貸して欲しい!!」
ロンメルの言葉で、ダイバー達は一時撤退しながら集まっていく。
この場に集まったダイバーの数は計り知れない。一点に集まるガンプラの数は壮大で、ケイ達は唖然とした。
「GBNには……こんなに沢山人がいるんだな」
「戦った事ない人、沢山いるね」
「俺達なんて……ちっぽけなフォースなんだな。いや……これからもっと強くなって、有名になるけどな」
「これだけの人達が……GBNを楽しんでるのか。いや、もっとだ……これよりも、もっと沢山いるんだよな……」
「これが……俺が壊そうとした世界か」
「違いますよ、兄さん」
「俺達が今から守る、世界だって」
沢山の仲間。
これだけの仲間がいれば、出来ない事はない。ケイ達はそう思う。
「作戦を伝える。今からこの周囲に我々第七機甲師団の指揮の下、防衛ラインを弾き、砲撃機と狙撃機を守る陣形を構築。……ここを拠点に一旦突破の道を開く! そして、彼───私の弟子であるアンディの砂漠の犬には開かれた突破口からデストロイの本体を狙う部隊を指揮してもらう」
「どうも、お初にお目にかかります。砂漠の犬のアンディだ。突破組には火力と機動力を期待したい。道中の護衛、そしてデストロイの沈黙。それが僕達のミッションって事だからね」
作戦を聞いて、ダイバー達は各々の個性や特徴に合わせた部隊に自ら加わっていった。
「タケシ、こういう時は本当に冷静だよな」
ReBondのメンバーは、ロックを除いて突破組である。
ロックも前に来ると思っていたが、彼はスズ達と共に砲撃部隊として残るらしい。
彼の今の腕と、機体性能なら確かに妥当な判断だ。
「俺はもう、自分がしないといけない事を間違えない。……リーダーだからな。ケイ、ユメ、アオト……頼むぜ! 援護は任せろ!」
「任せるぞ、リーダー」
「頼りにしてるよ、リーダー」
「……おれも」
拳を突き合わせ、四人は再び別れる。
それでも、また同じ場所に集まると信じて。
「私も、アンジェリカさん達とここにいる」
「ヒメ……? てっきり、私の事心配って言って付いてくるかと」
「……お姉ちゃんは、強いから。だから、私、ちゃんと待ってる。お姉ちゃんの事、信じてる」
「ヒメカ……。うん!」
「ヒメちゃんの事は私達にお任せですわ!!」
「……タケシも纏めて面倒を見ておく。……行ってこい、ユメ」
「ロックな」
作戦開始。
フォース虎武龍のタイガーウルフとフォースSIMURUGのシャフリヤールが背中合わせに構えた。
「───しくじるなよ?」
「───誰に物を言っている」
狙うは一直線。デストロイガンダム本体への道。
「───奥義……龍虎狼道!!」
「───吹けよシムーン! アルフ・ライラ・ワ・ライラ!!」
二人の必殺技が、デストロイガンダムの包囲網に穴を開ける。
「「行け!!」」
叫ぶと同時に。
「私が先導する!!」
「頼もしいねぇ。それで行こうか、我がガイアトリニティ部隊に続いてもらう!! 総員、遅れるなよ!!」
チャンピオン、クジョウ・キョウヤを先頭にアンディの指揮する部隊がタイガーウルフ達が開けた穴に突撃した。
その中でロックを除くReBondのメンバー達や、二つのビルドダイバーズ、セイヤやサトウ、様々なダイバー達が同じ目的の為に一点を見据える。
「───ハッ、お行儀良く行くつもりはねぇ!!」
飛び出したフォース百鬼のオーガが、編隊に向かってくるデストロイガンダムを砲撃で粉々にして道を開いた。
タイガーウルフとシャフリヤールが道を開けたと言っても、その穴を塞ぐ為にさらに増殖したデストロイガンダムが彼等を襲う。
「火力組を守る陣形を緩めるな。機動力のある機体は周囲の敵を遊撃!!」
「ケー君、私!!」
「分かった、頼む!!」
ReBondのガンプラでは最高の機動力を持つユメのデルタストライカー。
「夢を貰ったんだ……私も、ここで頑張るから──フィンファンネル!!」
編隊から逸れて、ロングレンジフィンファンネルを展開しながら変形しビームマグナムを構えるユメ。
その左右には、キョウヤとセイヤの姿があった。
「ユメ君か、頼もしくなったね」
「キョウヤさん……!」
「僕達で火力組を守ろう。セイヤも、手伝ってくれるだろう?」
「……お前達も俺を責めないのか。チャンピオン、ユメカ」
ライフルとファンネルで周りのデストロイを迎撃しながら、セイヤは目を細める。
このGBNの崩壊の元凶を作った上で今更手を離して、そしてユメカの夢を奪っただけではなく傷付けようともした。
そんな男に、キョウヤは真剣な表情で声を漏らす。
「キミは、あの時のリク君なんだ……」
「なんだと……?」
「彼はサラ君を助けようとして、GBNを危険に晒そうとした。それが間違っているのかそうでないかなんて、今なら私にも分かる。……けれど、あの時は私には分からなかった」
GBNという大切な世界を取るか、一つの命を取るか。
あの時、揺れてしまった自らの判断を未だに悔やむ事があった。
確かにこの世界のことがキョウヤは好きで、大切である。
だけど、それ以上に───
「───リク君は正しかった。君も、正しい筈だ。やり方が少し、難しかっただけ……そう思わないか?」
「……それでも俺は、沢山の人を傷付けた」
「君とて、その傷付いた一人だ。勿論、ユメ君やスズ君に君が吐いた言葉は許されるものではないかもしれない。……しかしその償いは、君だけが背負うものではない筈だ。それに───」
「私は……セイヤさんの事恨んでなんてないです。勿論、カルミアさんやサトウさんの事も!!」
「お前……」
ユメはモニター越しのセイヤの顔を真っ直ぐに見て、こう続けた。
「私が今こうして、この世界にいるのは皆のおかげだから。嫌な事も、楽しい事も、全部……大切な思い出だから!! だから!!」
ビームマグナムがデストロイを貫く。
「また、皆でバトルしたい!! この世界で楽しみたい!! キョウヤさんとも、セイヤさんとも!!」
「そうだとも!! 僕達は───ダイバーなのだから!!」
「……そうだな、全ての罪を清算したら……また、バトルをしたいな」
だから、今は───
言いながら、先陣を切りデストロイガンダムにハイパービームサーベルを叩き付けるセイヤ。
その背後から変形して、セイヤの取りこぼしを着実に落としながら着いていく二人。
まるでレイドバトルをしているかのような感覚に、キョウヤとユメは不敵に笑った。
「俺が壊そうとしたこの世界を……治す。誰の言葉だったか。壊れても、直せば良い……か」
「アオト君なんですよ、それ」
「……そうか。なるほどな」
そしてセイヤも、不器用に口角を吊り上げる。
笑い方なんて、忘れたと思っていた。
「待ってろ……レイア」
「私達が……」
「我々が……」
───絶対に救ってみせる。