ガンダムビルドダイバーズRe:Bond【完結】   作:皇我リキ

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Dランクを目指して

 ビームの鎌が機体を薙ぎ払う。

 二つに分かれたガフランというモビルスーツが爆散し、その爆煙を黒いガンダムが鎌を払いながら突っ切った。

 

 

「ヴェイガンは殲滅だ!! オラオラオラオラァ!! 皆殺しにしてやるぜぇ!!」

「タケシ君が怖い……」

「張り切り過ぎだろタケシ」

「タケシ言うな!! 俺の名はロック!!」

 幼馴染みの家のプラモ屋にGBNのマシンが設置された翌日。

 三人は学校帰りに今日もプラモ屋に寄ってGBNにログインしている。

 

 そしてどうもタケシ───ロックがやる気に満ち溢れているので、二人は若干引いていた。

 

 

「ヴェイガンは殲滅だぁ!!」

「やめてよ爺ちゃん……」

「?」

 原作のやり取りを苦笑い気味にするケイと、よく分からず首を傾げるユメ。

 今日もGBNは平和である。

 

 

 ☆ ☆ ☆

 

「さーて、次のミッションだ!」

 GBNのメインフロアで、ミッションから帰ってくるなりロックは次のミッションを探し始めた。

 目標はDランク到達。フォースの結成である。

 

 

「コレだな。次行くそ次!」

 そうしてロックが持ってきたのは、デスアーミー殲滅ミッションだった。

 内容は単純にデスアーミーという機体を沢山倒すというだけなのだが、昨日からロックが選ぶミッションはこのように沢山の敵と戦う物が多い。

 

「また殲滅ミッションだな。そんなに暴れたいのか」

「バカいえ。俺はロックリバー、クールで格好良い男……」

 さっきまで大声で殲滅だの皆殺しだの言っていた人間の台詞とはとても思えない。

 

 

「この手のミッションは撃破数が稼げるから、ランク上げに丁度良いんだよ」

「なるほど」

「ねーねー、二人共。このミッション内容の『WARNING』って何?」

 ミッション内容を見ながらユメがそう呟く。

 映画では警告や注意という意味だが、どうも大袈裟に書いてあるその文字が彼女は気になった。

 

「乱入があるかもしれないって表示だった気がする。目標以外の敵が出てきたり、近くのダイバーが加勢か妨害に入ってくる事も出来るミッションなんだよ」

「そんなミッションがあるんだね」

 説明を聞いて驚くユメに、ケイは「基本的には好戦的なダイバーが妨害ミッションを受けてくるらしいけど……」と付け加える。

 それを聞いてもロックは怖気づく事なく「早く行こうぜ」と二人を急かした。

 

 

 エリア移動中に三人は簡単な作戦会議を済ませる。ミッションにも慣れた物で、このゲームの楽しみ方も掴んできた。

 

 

 

「目標はデスアーミー百機か……骨が折れそうだ」

「CPUの耐久値は下げられてるらしいけど、百機は大変だよねー」

「ぶつくさ言ってないでやるぞ。……ロックリバー、目標を狙い撃つ!」

 言いながら、ロックはミッションエリアに到着するなりGNフルシールドの間からライフルを構えて放つ。

 放たれたビームは遠くに居たデスアーミーの頭部を掠った。

 

 

「……ふ、ヒット」

「タケシ君のヘタクソ」

「ロック!!」

「気付かれたな。来るぞ!」

 丸みを帯びた一つ目の機体が一斉に三人に武器を構える。

 金棒型のライフルを向けられた三人は、誰が何かを言う訳でもなく散開した。

 

 着地したロックのデュナメスHellと、ケイのストライクBondが己の得物を構えてライフルを放つ。

 今回のミッションでケイが選んだストライクの装備はエクリプスストライカーだ。三人で初めてのミッションに挑んだ時と同じ装備である。

 

 上空を旋回するユメのスカイグラスパーには、ダブルオーストライカーが装備されていた。

 敵の数が多いので、近付かれる前に出来るだけ数を減らしてから接近戦で確実に仕留めに行く作戦である。

 

 

「ユメは無理しない程度に上から数を減らしてくれ。困ったらトランザムシステムも使って良いから!」

「えーと、なんだっけ。これかな? トランス……アム?」

「トランザムな」

 モニターに表示された武装名を見て首を横に傾けるユメにツッコミを入れるロック。

 ダブルオーストライカーにはGNドライヴが装備されている為、装備しているスカイグラスパーも一応トランザムが使えるのだ。

 

 

「ただ使った後は全然動かなくなるからな。そこは注意しとけよ!」

 言いながらロックは「俺も使い所を間違わないようにしないとな……っ!」と声を漏らしながら射撃をする。デスアーミーの脚部を掠め、バランスを崩したデスアーミーをケイのライフルが撃ち抜いた。

 

「ふ、俺の作ったチャンスをしっかり物にしたか」

「言ってる場合か!」

 まずは近付かれる前に数を減らしたいが、ロックの射撃は正直あてにならない。しかし近付かれてからはロックに頼る事が増える。

 今は自分が頑張る番だと、ケイは集中して辺りを見渡した。

 

「ヴァリアブル・サイコ・ライフル、ブラスターカノン!」

 肩の砲身と両手のライフルを構え連射する。これだけの数が相手なら外す方が難しい。正面の敵を一斉にビームが薙ぎ払った。

 

 

「ケー君の装備凄いなぁ。よーし、私も!」

 言いながら、ユメは旋回で攻撃を避けながらミサイルを発射する。

 初めは空を飛ぶだけで喜んでいた彼女だったが、今ではパイロットが様になっていた。

 

 ミッションは順調に進み、ある程度敵が近付いてくるとロックが勝手に一人で暴れ始める。

 それでケイに近付かれる事はなくなるので、ストライクはまだ換装せずに射撃戦を続行出来そうだ。ロックも本領を発揮して撃破数が伸びていく。

 

 

 そうして丁度デスアーミーの撃破数が五十を超えたその時だった。

 

 

 

 WARNING WARNING WARNING

 

 三人のモニターに警告表示が鳴り響く。

 驚きながらもユメは辺りを見渡して、デスアーミー達の背後の地面が盛り上がっている事に気が付いた。

 

 

「二人共! 奥の方で何か出てくるよ!」

 そんな彼女の発言に二人は冷や汗を流す。このタイミングで、この雰囲気は嫌な予感しかしなかった。

 

「まさか……」

「おいおい嘘だろ」

 刹那、地面の至る所から何かが突き出てくる。それは長い胴体にガンダムの顔が付いているような気味の悪い姿をしていた。

 

 

「うぇぇ!? 何コレ!!」

「……デビルガンダム」

「マジかー。……マジかー」

 悲鳴を上げるユメの視界に、一際大きな地盤の揺らぎが起きる。

 

「ガンダムの顔の上に……ガンダムがいる!?」

 そこから現れたのは歪な形をした巨大なガンダムだった。

 

 

 デビルガンダム。

 機動武闘伝Gガンダムに登場するモビルファイターで、作品内でも強大な敵として登場している。

 GBNのボスキャラといえばモビルアーマー等が多いが、デビルガンダムはそれにも劣らない禍々しさがあった。

 

 

「ど、どうしたら良いの!?」

「落ち着けユメ。アレは倒さなくてもミッションはクリア出来る!」

「しかし乱入がデビルガンダムってハード過ぎるだろオイ。……って、おいアレ見ろケイ」

 あまりのスケールに若干呆れていたロックだが、ガンダムヘッドに混じって別の機体が動いている事に気が付いて指を差す。

 彼の指先で、赤い翼を持った黒いガンダムが地面を駆けていた。

 

「ま、マスターガンダム!?」

「ユメのところに向かったぞ!?」

「なんか追っ掛けてくるぅぅ!!」

 新たに現れたのは、同じく機動武闘伝Gガンダムの主人公であるドモンの師匠───東方不敗が駆る機体マスターガンダム。

 マスターガンダムは地面を蹴って跳び、ユメのスカイグラスパーを追いかけ始める。

 

 

「タケシ、ユメを頼む!!」

「ロックだ!! 任せ───うお!?」

 彼女を助けに行こうとしたロックだったが、ガンダムヘッドとデスアーミーに囲まれて身動きが取れなくなってしまった。

 ケイも同じく辺りを囲まれてしまい、これでは装備の換装も出来ない。

 

 

「やば……」

「俺様の道を阻むんじゃねーよぉ!!」

「助けてぇぇ!!」

 そうこうしている間にユメはマスターガンダムとガンダムヘッドに追い込まれてしまう。

 これはゲームだから撃破されても死ぬ訳ではないが、勿論撃破されれば貰える経験値も少ない。

 

 なにより気持ちの問題だ。

 そもそもマスターガンダムとガンダムヘッドに追われるのは、Gガンダムを知らないユメでも普通に怖いのである。

 

 

 しかし、万事休す───思われたその時だった。

 

 

「───アリス・ファンネル!」

 ユメを襲うガンダムヘッドをビームが貫く。

 

 しかし、ユメの目にはガンダムヘッドを倒した機体は見当たらなかった。

 ケイもロックも今は動ける状態ではない。なら、今の攻撃は? 声は? 

 

 考えている間に、爆散したガンダムヘッドの間からマスターガンダムが飛び出してくる。ユメは驚いて目を瞑った。

 

 

「───君を抱くこの腕(ディスティニーボーダー)跳躍するこの願い(インフィニットチェイス)!」

 しかし、マスターガンダムとスカイグラスパーの間に四本のビームが壁を貼る。

 そして動きを止めたマスターガンダムの周りに、四機の小さな飛行物体が纏わり付いた。

 

 それが一斉にマスターガンダムにビームを放つ。

 

 

「何今の……?」

「ファンネルか……?」

 驚くユメを見上げながらそう呟くケイ。

 

 ファンネル。

 ガンダム作品に登場する無線式のオールレンジ攻撃用兵器で、機体から分離し個別に敵を狙う武装だ。

 主に宇宙世紀の作品に多く見られる武装であるが、他の作品でもドラグーンやファング等と呼ばれる同様の武装が多く存在する。

 

 ガンダム作品ではお馴染みの武装だ。

 

 

「避けられてんぞ!」

 しかし、攻撃を受けたマスターガンダムはファンネルから放たれたビームを全て華麗に交わす。

 どうやらCPUのレベルはかなり高く設定されているようだ。乱入機体故の調整だろう。

 

 

 

「……流石東方不敗が駆るマスターガンダムっす。洗礼された動きもさることながら、デスアーミー殲滅戦での登場とは滾るっすねぇ」

 そして突然、三人の通信にそんな言葉が入ってきた。

 

 聞き覚えのない声にロックは「あ?」と首を横に傾けるが、ユメとケイは聞き覚えのある声に目を丸くする。

 

 

「この声……」

「……ニャムさん?」

「イエス。先日は話の途中ですみませんでした。……話したい事があったのでお二人を探していたんすけど、取り込み中だったという事で───」

 モニターにWARNINGの文字。

 同時にフィールドの端から赤い機体が現れた。

 

 

 赤と白を基準としたオーソドックスなガンダムタイプのモビルスーツ。

 特徴的なのはスラスターから伸びる一帯の翼で、そこにファンネルが回収されていく。

 

 

「───ガンダムEXAより、エクストリームガンダムtypeーレオス。ニャム・ギンガニャムが加勢するっす!!」

 その名はエクストリームガンダム。

 

 

 極限の進化をする───ガンダムだ。




エクガンアイオスファースの武装名が完全にポエム。

そんな訳で、満を辞して改造ガンプラキラーニャム再登場です。一体どんな戦いを見せてくれるのか。お楽しみに!
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