ガンダムビルドダイバーズRe:Bond【完結】 作:皇我リキ
兄はガンダムが好きでした。
毎日のようにガンダムの話ばかりしていたのを、今でも覚えている。
「お兄ちゃん、これはなんてガンダムなの?」
「これはキュベレイっていうんだ。ガンダムじゃないんだけどな」
幼い頃に両親を亡くした私は、歳の離れた兄に面倒を見てもらって生活していました。
忙しそうでしたが、幼い私を放って置く事もなく構ってくれる優しい兄です。
「お兄ちゃんは、お友達みたいにガンダム改造しないの?」
「改造なんてしなくても格好良いだろ、ガンダムは。みろよこのキュベレイのデティール! このファンネルの再現なんかも!」
兄は本当にガンダムが好きだった。
そんな兄に影響されて、私もガンダムオタクになった訳で。
私が高校を卒業した後に兄は東京で会社を経営する事になって、私は今一人暮らしをしている。
お仕事は順調なようで毎月ちゃんと仕送りをしてくれていたのだけど───
「───改造なんてしなくても格好良い。ジブンは、兄の言葉を履き違えていたのかもしれないっすね」
五年前から、兄との連絡が途絶えた。
「改造しなくて
理由は分からない。
毎月仕送りは来ているのだけど、全く連絡が付かないのである。
だから生きてはいるのだろうけど。一体何をしているのら。
「……兄さん、何してるんすかねぇ」
炬燵の上の猫を突きながら、
☆ ☆ ☆
翼を広げた機体。
「エクストリームガンダム……」
「おいニャムって土曜日に言ってた奴か?」
それは、土曜日二人に遅刻した理由を聞いた時に出て来た名前。曰く最近巷で改造ガンプラキラーと呼ばれていたダイバーの名前である。
「なんでニャムさんがここに?」
「さっきも言った通り、お話をしに来たんすけど……と、言っても説明は後っすよ。今はミッションに集中しましょう。……ここはガンダムヘッドの数を減らす所からっすかねぇ」
そう言いながらもニャムは前に出て辺りを確かめた。
ミッション内容はデスアーミーの殲滅。
しかし辺りには無数のガンダムヘッドが出現している。
「ここは射撃か───進化発動。応えてみせろ、エクリプスフェース……っ!」
彼女がそう言うと、エクストリームガンダムを光が包み込んだ。そしてスラスターの翼が、まるで崩れるようにポリゴン状に消滅していく。
そうして武装を失ったかと思えば、今度はポリゴン状の光がエクストリームガンダムを包み込んだ。
その光は次第に武装の姿に変わり、エクストリームガンダムの肩に砲身、両手には長身のライフルが装備される。
「これこそが進化の極限! ふへへ、いつ見てもエクストリームガンダムの進化する姿は人を魅了するっす」
「あれ……これ?」
ユメはその姿にどこか見覚えがあった。
ケイのストライクBondが今装備しているのも、肩の砲身と長身のライフルである。
よく見れば色からなにまでそっくりだ。
「エクリプス……?」
「そうっすよ」
ユメの口からそんな言葉が漏れる。
それはケイがストライカーパックの一つとして装備している武装の名前と同じだった。
「ケイ殿のストライカーパックもエクリプスっすか。奇遇っすねぇ。しかし……ここは自分の好きを見せるっすよ!」
ヴァリアブル・サイコ・ライフルを連射してから、ニャムは一度目を瞑る。
「───極限進化!!」
その言葉と共にエクストリームガンダムを再び光が包み込んだ。機体に集まる光が、その姿を更に進化させる。
「ど、どうなってるの?」
「進化するガンダム。それがエクストリームガンダムだ」
機動戦士ガンダムEXA。衰退した世界で人類進化の可能性を探る主人公が様々なガンダムの世界にダイブし、進化を学ぶ物語だ。
その主人公レオス・アロイが駆るエクストリームガンダムtypeーレオスは、学んだ力を具現化し文字通り進化する。
「射撃進化……エクリプス!」
エクストリームガンダムの背中に新たに装備が追加された。しかしそれは翼のようで翼ではなく、まるで四つの巨大な砲身を背中に背負ったかのようである。
「まずはガンダムヘッドを蹴散らすっすよ!」
そうしてニャムは、右肩から砲身の二つを連結させてガンダムヘッドに向けた。
「規格外拠点攻撃兵装カルネージ・ストライカー!」
方針からガンダムヘッドを丸々飲み込む程のビームが放たれる。ニャムは砲身をなぎ払い、近くにいたガンダムヘッドを三機消し飛ばした。
「なんて火力だ!?」
「ガンプラの出来が良いんだ……」
ロックの言葉にケイがそう答える。言いながらケイは彼女と戦った時に見たゴッドガンダムを思い出した。
GBNのガンプラの強さは実際に作ったガンプラに左右される。
彼女のビルダーとしての能力は確かだ。
そんな彼女だから、
ケイのエクリプスは極限進化出来ないのだから。
「空間制圧兵装エクリプス・クラスター!」
さらにニャムは左肩の砲身を分離し、発射した。二つの物体がガンダムヘッドに向かっていく。
それは砲身ではなく大量のミサイルが仕込まれたミサイルコンテナだった。開いたコンテナから無数のミサイルが発射してガンダムヘッドを襲う。
「爽快───って、うわ!」
そんなエクリプスの姿を見ていたユメがふとレーダーを見ると、警告音と共に敵機体が近付いて来るのが見えた。
その機体はマスターガンダムで、ユメはその形相に再び悲鳴を上げる。
「ユメ!!」
「そっち相手は───格闘進化ぁ!!」
あたり一帯のガンダムヘッドを撃破したニャムは、スカイグラスパーとマスターガンダムの間に立って両手を広げた。
そしてエクストリームガンダムを再び光が包み込む。
装備していた武装が全て消え、その代わりにその身に宿すのは両手足を強化する装甲。作品の主人公であるレオスがGガンダムの世界から学んだ格闘進化の極限。
「───天地を引き裂け!! ゼノンフェース!!」
スカイグラスパーに迫ったマスターガンダムの拳をエクストリームガンダムが強化された装甲で受け止めた。続けて繰り出される殴打の数々も全て受け止めてみせる。
「流石は東方不敗のマスターガンダムって所っすね! しかし、こちらはドモン・カッシュから格闘進化を学んだGダイバーの機体。格闘技では負けずに劣らず!!」
一瞬の隙を見つけたニャムは拳を突き出して攻守を逆転させた。両手足の装甲を叩き付けるように拳と脚を振り回す。
次第にマスターガンダムもその攻撃を受け流し始めて、お互いが守りを捨てて拳同士で殴り合った。拳を拳で受け止めるその光景は東方不敗とドモンの姿を連想させる。
「───隙あり、そこです!!」
そうして拳をぶつけ合っていたニャムは、突然姿勢を落としてマスターガンダムの攻撃を空振りさせた。
姿勢を崩したマスターガンダムを蹴り飛ばし、エクストリームガンダムの拳が光を放つ。ニャムはそのまま地面を蹴って、マスターガンダムに肉薄した。
「極限全力!! シャイニング……バンカー!!」
そのままマスターガンダムの頭を鷲掴みにするエクストリームガンダム。
ユメはその姿にどこか見覚えがある。
それもその筈で、以前ニャムがケイに戦いを挑んできた時に乗っていたゴッドガンダムこそ、エクストリームガンダムが格闘進化を学んだ世界のモビルスーツだった。
「……パイルピリオド!」
そうしてエクストリームガンダムはマスターガンダムの頭を鷲掴みにしたまま持ち上げる。ニャムの掛け声と同時に、マスターガンダムは爆散した。
「お邪魔虫はあと一つっすね」
「すんげ……」
あっという間に乱入機体を殆ど殲滅したニャムを見て苦笑いを溢すロック。
ケイの話なら彼女に戦いを挑まれて勝ったらしいが、正直にわかに信じられない。
「最後は勿論、必殺技行くっすよ!! EXAフェース……っ!」
そう言いながらニャムは機体をデビルガンダムに向ける。
同時にエクストリームガンダムを光が包み込むが、今度は現在の装備が消える事はなかった。
それどころか、初めに見せた翼やエクリプスの武装がエクストリームガンダムに装備されていく。
光が拡散し、全ての進化を合わせたようなエクストリームガンダムの姿がそこにはあった。
アリスファンネルを周囲に展開したエクストリームガンダムは、ヴァリアブル・サイコ・ライフルをデビルガンダムに向ける。
「極限の希望を……くれてやる!!」
そうして、砲身という砲身からエクストリームガンダムはビームを放った。
デビルガンダムをビームが焼き払う。
「いっけぇぇえええ───」
しかし、もう少しで撃破という所で───
「あれ?」
───ビームの照射が止まった。
「───って……あ、やり過ぎたっす。エネルギー切れっすね」
あはは、と間抜けな声が漏れる。ユメは転けた。
「ケイ殿、トドメお願いするっす!」
「え、あ……はい。……ヴァリアブル・サイコ・ライフル【クロスバスターモード】」
ケイは苦笑いしながら自分のライフルとニャムのライフルを見比べて、その砲身をデビルガンダムに向ける。
「……アレが、本当のエクリプス」
関心というか、どこか寂しげな声で呟いた。
デビルガンダムを貫くライフル。
ガンダムヘッドへの攻撃の余波で減った残りのデスアーミーは、ロックが楽しそうに全て倒す。
その間ケイは自分の機体とニャムの機体を見比べて、ただ唖然としていた。
MISSION CLEAR
「凄かったね、ニャムさん」
ミッションをクリアしてGBNのメインルームに戻ってきたユメは、関心した声で感想を漏らす。
ケイは半ば虚空を見ながら「あ、あぁ」と返事をした。
「ジブンは別に、ガンプラをそのまま使ってるだけっすよ」
そんな彼等の前に現れる、キャスケット帽とメガネとオーバーオールとその腰の刀と尻尾。彼女の容姿を見て、あまりの情報量にロックは二度見して目を回す。
「ケイ殿の発想力はまだ伸びる所があるっすけど、自分は素組みなのでこれが上限っす。だから、そんなに自分を悲観しないで下さい。ジブンはケイ殿に目を覚まさせて貰ったんすから」
「伸びる所がある……」
自分にも、彼女のエクストリームガンダムのように極限進化が使えるのだろうか。ニャムの言葉にケイは少し考え込んだ。
「彼女が、ケイが言ってたニャムさんか?」
「うん。所で……お話があるって?」
ロックの問い掛けに返事をしてから、ユメはミッション中のニャムの言葉を思い出して質問する。話したい事があるから探していた、そんな事を言っていたような。
「そうっすね。立ち話もなんですので、カフェでお話しませんか? 奢るっすよ」
短くそう答えて、ニャムは近くのカフェを指差した。
「え、カフェあるんだ」
そのカフェに驚くユメ。
四人はニャムの案内でカフェに入っていく。ユメは頭の中で、カフェってどうなっているんだろうと物凄く悩んでいた。
エクガンのガンプラ出ないかなぁ……。
という訳で、エクガンの戦闘シーンでした。続きましてはニャムのお話になります。
読了ありがとうございました!