ガンダムビルドダイバーズRe:Bond【完結】   作:皇我リキ

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決着バトルロイヤル

 珈琲を片手に、アンディは不敵な表情でモニターを見ていた。

 

 

「このチームが最後に残ったか、なるほどねぇ。僕としては悔しい限りだけど」

 バトルロイヤルも大詰め。残りニチームとなり、生き残っているのはリクとユメのチーム、そしてケイとサラのチームである。

 

 

「むむむ、これは勝者が読めませんわね……」

「あのビルドダイバーズのリクか……」

 機体はユニコーン、デルタプラス、エクストリームガンダム、エクセリア。

 両者が邂逅したのは森林地帯と港湾基地の間。

 

 

 

「サラ……」

「リク……」

「ユメ……」

「ケー君……」

 今、決着の時。

 

 

 ☆ ☆ ☆

 

 意外にも、先に動いたのはユメのデルタプラスだった。ライフルの光がサラのエクセリアの頭の横を掠める。

 

 

「やる気だな……! アイオス!!」

 それを見て、ケイもファンネルを展開。ユメのデルタプラスに向けてオールレンジ攻撃を仕掛けた。

 

「サラ!」

「うん! スフィアビット!」

 同時に、サラもエネルギー弾をデルタプラスに向ける。

 

 

「来る……! そこ!」

 ユメの脳裏に電撃が走った。感覚に従ってライフルを放つと、それはエクストリームガンダムのファンネルを撃ち落とす。

 

「うわぁ!?」

 しかし、数が多い。全て撃ち落とす事は勿論避けるのも難しい───そう判断したユメは機体を変形させ、ファンネルを振り切るように旋回した。

 

 

「逃すか!」

 対してファンネルに加え牽制射撃をデルタプラスに向けるケイ。ファンネルがデルタプラスを囲み、無数の射撃がユメを襲おうとしたその瞬間───

 

 

「ユニコーン!!」

 NTーD

 

 ───ファンネルが動きを止める。

 

 

「アイオスが……?」

「ケイ!」

 何故かファンネルがいう事を聞かない。それどころか、ファンネルは自分の意思とは関係なく動き、エクストリームガンダムを包囲し始めた。

 

 

「俺の事が分からないのか……? まさか!!」

「NTーD」

 サラの口から漏れた言葉。

 

 

 ユニコーンガンダムに組み込まれた、NTーD(ニュータイプデストロイヤー)システム。

 その力によるサイコミュのジャック。それが、この現象の答えである。

 

 

「くそ!」

 自分を攻撃してくるファンネル。それを自分で撃ち落とし、飛び上がりながら周囲を見渡した。

 

 

「居たな、ユニコーンガンダム!」

 港湾基地の建物の裏に隠れていたユニコーンを見つけたケイはエクリプスを展開、その銃口をユニコーンに向ける。

 

 

「エクリプス!!」

 放たれるビーム砲。しかし、リクのユニコーンガンダムはシールドに内蔵されたIフィールドでそれを防ぎ切った。

 

 

「凄い完成度……。ガンプラを作ってるのを見た時から思ってたんだ、あなたと戦いたいって!」

 NTーDを発動し、角が割れ装甲の隙間から赤い光を漏らすユニコーンガンダム。それを駆るリクは、ビームサーベルを抜きながらスラスターを吹かせて一気にケイのエクストリームガンダムに接近する。

 

 

「君か……! ビルドダイバーズのリク!」

「貴方の名前は?」

「フォースReBond、ケイだ」

 ビームサーベルが重なり合い、火花が散った。出力は互角、ならばとリクは膝に装備されたビームトンファーを展開する。

 

「格闘戦ならNTーDを発動したユニコーンに分がある!」

「それはどうかな……ゼノン!!」

 エクストリームガンダムを中心に衝撃波が走った。機体は鮮やかな光を漏らし、拳が光る。

 

 

「素組で極限進化!?」

「シャイニングブレイカー!!」

 ユニコーンガンダムの腕ごと、その拳で捕まえようとするケイ。しかし、彼の機体の真上から、ビームライフルがエクストリームガンダムを襲った。

 

「させないよ!」

「ユメか……!」

「邪魔はさせない……!」

 そんなユメに、サラのエクセリアはライフルを向ける。追撃は阻止したが、ユメが作った隙をリクは見逃さなかった。

 

「そこだ!」

「……っ!」

 ユメの射撃で体制を崩したエクストリームガンダムに向けられるビームサーベル。しかし、その攻撃はエクセリアのシールドビットに防がれる。

 

 

「ケイ!」

「助かる!」

「しまった……!」

 攻撃を弾かれて体制を崩すリク。エクストリームガンダムの拳がユニコーンガンダムの頭を掴み上げた。

 

 

「リク君!」

「仕留めきる!!」

「こんな所で終わらせない!!」

 ユニコーンが淡く虹色に光を放ち始める。刹那、エクストリームガンダムの背後から何かが攻撃してきた。

 

 

「なんだ!? ブレイドビット!?」

 サイコミュジャックの対策として起動もしていなかった筈の自分の武装を操られる。予想外の攻撃に、ケイは不敵に笑いながらブレイドビットをサーベルで切り飛ばした。

 

「面白いな!」

「これでも倒せないなんて!」

 リクも、ケイの判断の早さに口角を上げる。

 

 

 楽しいバトルだ。

 まだ終わらないで欲しい、なんなら───お互いの本当のガンプラ()で。

 

 そう思う程に、どこか手応えのようなものを感じる。

 

 

 

「リク君!」

 拮抗するバトル。そこに槍を投じたのはユメだった。

 

 彼女は変形による高速飛行で一度ユニコーンガンダムを捕まえ、離脱。旋回してケイのエクストリームに急接近を仕掛ける。

 

 

「ユメさんの機動力で一気に懐に入って仕留める。ユメさんはサラを───エクセリアを押さえて!」

「うん!」

「サラ、迎撃するぞ。近付けさせるな!」

 二人の作戦はお見通しだ。近付けなければいくらユニコーンガンダムとはいえ二機のエクストリームガンダム相手に射撃戦を制する事は出来ない。

 

 

「来るよ、ケイ!」

「よし。エクリプス!!」

「リンクリフェイザー!」

 ケイはエクリプスを二本展開。その発射前にサラのリンクリフェイザーが起動、三つの巨大な球状の結晶体を射出する。

 

「うわぁ!?」

 それを見たユメは急制動。機体を捻って避けようとしたが、それが悪かった。

 

 

「いけ!!」

 放たれたエクリプスがデルタプラスの翼を吹き飛ばす。なんとか撃破には至らなかったが、ユニコーンを乗せて飛ぶのも限界だ。

 

 

「大丈夫!? ユメさん」

「……っ、平気! リク君。もう一度旋回して接近する。今度は失敗しない、私を信じて!」

 強くそういうユメに、リクは力強く頷いて返事をする。

 

 

 旋回して、スラスターのオーバーロードも気にせずに出力を上げるユメ。一か八か、どのみちこれが最後のチャンスだ。

 

 

「もう一度来る気か?」

 直進してくるユメのデルタプラスにヴァリアント・ライフルを向けるケイ。サラも同じくクロイツ・デス・ズューデンスをデルタプラスプラスに向ける。

 

 発射。

 ビームがユメのデルタプラスを襲った。しかし、彼女は避けない。機体を逸らして直撃だけを避け、直進した。

 

 

「ユメ……! この!」

 驚いて、それ以上に嬉しく思う。こんな近くに強敵が居たなんて思ってもいなかった。

 

 更に二発のヴァリアント・ライフルとクロイツ・デス・ズューデンスを最小限の被弾で抑えて、遂に接近を果たしたユメのデルタプラスは空中で変形。

 リクのユニコーンの手を引いて、機体を投げ付けるようにユニコーンに推力を渡す。

 

 

「いっけぇ! リク君!」

「させない! リンクリフェイザー!」

 接近を許すまいと、サラはリンクリフェイザーを展開。巨大なビームサーベルを突き出して、迫り来るユニコーンに突撃しようとした。

 

「させないは! させない!!」

「え!?」

 しかし、再び変形したユメのデルタプラスが衝突もお構いなしにサラのエクセリアに突撃していく。

 機体は最大速度のままぶつかり合い、二機は空中で砕け爆散した。

 

 ユメ、サラ、撃沈。

 

 

「……やってくれたな、ユメ!」

「ユメさんが作ってくれたチャンス、絶対に無駄にしない! 勝負だ、ケイさん!!」

「こい、リク!!」

 抜刀。

 

 デルタプラスが運んできた慣性のまま直進するユニコーンガンダムに拳を向けるエクストリームガンダム。

 

 

「俺に力を貸せ!! ユニコーン!!」

「エクストリーム、お前の力を見せてくれ!!」

 お互いの機体が今日一番の輝きを見せる。

 

 

「「うぉぉぉおおおおお!!!!」」

 勝負は一瞬で決まった。

 

 

 

 

 

 

 ケイ、撃沈。

 

 

 勝利チーム。リク、ユメペア。

 

 

 歓声が上がる。

 

 

 

「私……勝ったの?」

「ユメさん! ありがとう、俺達勝てたよ!」

「……ふぅ。ごめん、サラ」

「ううん、ケイのガンプラ……凄かった」

 こうしてガンダムベース特別マッチ2onバトルロイヤルは幕を開けた。

 

 

 

「それでは、優勝チームの二人には今回作ったガンプラを贈呈しちゃいまーす! あ、他のチームの人はガンプラベースに飾るからちゃんとガンプラは置いてってねー」

 店員さんのそんな言葉に、参加者一同はそれぞれ感想を言い合う。

 

 あの人が強かったとか、あの人のガンプラが凄かったとか。

 沢山の人が集まってガンプラを楽しんでいたから、その会話は途切れる事がなかった。

 

 

 

「ゆ、優勝してしまった」

「ユメちゃん凄く格好良かったですよ。私、ちょっと感動してしまいました」

「お姉ちゃん……格好良かった」

 ナオコとヒメカの賞賛に、ユメカは顔を赤くして頭を掻く。その手には景品として与えられた今日作ったデルタプラスが握られていた。

 

「ユメさんの実力ですわ」

「……次こそ負けない」

 物凄く悔しそうなスズは置いておいて、ユメカの前にケイスケが歩いてくる。

 正直ユメカの中には不安があった。なんとも言えない不安。しかし、そんな不安は一瞬で晴れる。

 

 

「楽しかったな、ユメカ。驚いたよ。完敗だ」

「ケー君……。うん!」

 伸ばされた手を取って、ユメカは満面の笑みを見せた。そんな彼女に、ケイスケは「次は負けないからな!」と唇を尖らせる。

 

 悔しそうなケイスケの顔に一同は大いに笑って、そんな賑やかな空間にとある六人が歩いてきた。

 

 

「リク君?」

「ユメさん、さっきはありがとう。きっと、ユメさんとじゃなかったら優勝出来なかった」

「そ、そんな! リク君が強かったからだよ!」

 慌てて両手を振るユメカ。

 

 だけど、この場の誰もが理解している。彼女の思い切った戦いぶりが、最後の勝利をもたらした事を。

 

 

「ビルドダイバーズの、リク」

「ケイさん、ですね?」

「あぁ。ReBond、サイトウ・ケイスケだ」

「ミカミ・リクです」

 二人はお互いに手を取って、固い握手を交わした。今でもついさっきのバトルが頭に過ぎる。楽しかった。もう一度だって戦いたいくらいに。

 

 

「次は本気のガンプラでバトルをしましょう!」

「望むところだ」

 お互いの視線が合う。他のメンバーも、所々で思う事があるのか。闘志の視線を飛ばしあっていた。

 

 

 いつか彼等とフォースバトルをする事もあるかも知らない。

 

 

 

「それじゃ、俺達はこれで」

「またね、ケイ」

「ユメカちゃん、ヒメカちゃん、リンちゃん、まったねー! 後で教えてもらったアドレスに連絡するからー!」

 いつのまにかアドレス交換をしていたモモカの事はさておき、ビルドダイバーズと別れてとオフ会はまだ終わっていない。

 

 

「それでは、夕食にしましょうか。そうだ、アンディさん達もご一緒にどうです?」

「良いねぇ、君達とも話したい事があったんだよ」

 一行はアンディ達を加えて夕食の場へ。

 

 

 

 楽しんだ後は、少しだけ重要な話をしよう。そう決めていた彼等は食事を楽しみつつ、ある話をする事にしていた。




激動だったバトルロイヤル編も完結です。
今回はエクバ民に楽しんでもらえるような形で書き上げました。リンクリフェイザー全種ちゃんと書けてよかった……。

オフ会編はまだまだ続きます。次回もお楽しみに。
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