ガンダムビルドダイバーズRe:Bond【完結】   作:皇我リキ

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探し物はまだ

 一人の少年が、GBNの空を眺めていた。

 

 

 どこまでも続いていそうな空。

 ポンチョを羽織った少年の視線は、その空の何処を見る訳でもなく揺れている。

 

「───Zガンダム?」

 しかし、雲一つない快晴の空に突然映る機体に、少年は目を細めた。

 

 

 GBNの空をMSが飛んでいる光景なんて珍しい物でもない。

 しかし、その視界に映る機体───Zガンダムはスラスターから煙を吐きながら少しずつ高度を落としていたのである。

 

 そのまま行けば、近くの森に墜落するコースだ。

 

 

 ここはGBNである。

 その機体が墜落しようが、パイロットが死ぬ訳でもない。

 

 

「……なんで」

 ただ、理由は分からない。

 

 少年はどうしてか胸騒ぎがして、高度を落とすZガンダムに手を伸ばした。

 

 

 

 しかし、その足を前に出す事も───どうしてか出来なかったのである。

 

 

 ☆ ☆ ☆

 

 戦闘の光が視界に映った。

 

 

 パルヴィーズから聞いた話を頼りに進む、フォースReBondのメンバー達。

 彼等の視界にビームライフルらしき光が見えて、五人はモニター越しに目を見合わせる。

 

「ドンパチやってる訳?」

「まずくね?」

「い、急ぐっすよ!」

 ワッパを操縦するニャムは冷や汗を流しながらそう言うが、ワッパの速度は既に限界だ。

 上空を飛ぶユメのデルタグラスパーとケイのストライクBondが先行する。

 

 もしあの戦闘の光が、ニャムのZガンダムなら一大事だ。間に合ってくれ、とケイ達は必死に何かに願う。

 

 

 

「どうして攻撃するんだよぉ!? ボクはキミ達のガンプラが悲しんでるって言っただけじゃないかぁ!」

「ごちゃごちゃうるせぇ! 散々他人のガンプラにケチ付けやがって!!」

「何が無茶な改造に雑な組み立てだ!! ぶっ殺すぞガキィ!!」

「野蛮! この人達野蛮!」

 Zガンダムに対して攻撃を仕掛ける二機のMS。

 

 AGE1タイタスとAGE1スパローの改造機体と思われるその二機だが、頭や胴体は人間の少女の様な姿をしていた。

 このような改造もGBNでは流行っている。所謂MS少女という奴だが、ニャムからZガンダムを奪った少女曰く───

 

 

「───だからさっきも言った通りだって! フィギュアの腕を千切って接着剤で付けてるんじゃガンプラもフィギュアもキミ達を恨んじゃうだけだよ!?」

 二機のガンプラは本来のプラモからは外れた形で作られていたらしい。

 

 同じMS少女でも、大切に作られた物とそうでない物があるのは確かだ。

 彼女達───ELダイバーにはそれが分かってしまう。

 

 

「うるせぇ! 分かったような口聞くんじゃねぇよ!」

「余計なお世話だボケが!! くらえ、ビームラリアット!!」

 タイタスを改造した機体が少女の乗るZガンダムを襲った。二機に挟まれて逃げ場のなかったZは片腕を吹っ飛ばされて地面を転がる。

 

「……ったたぁ。ヤバ!?」

 スパローの追撃に気が付いてスラスターを吹かすZガンダム。しかし、間に合わない───そう思ったその瞬間。

 

 

「───この子の無礼は詫びる。しかし、これ以上は手を引いて貰いたい」

 Zガンダムを襲おうとしたスパローを踏み付け、蹴り飛ばして二機の前に立ち塞がるMS。

 

 メイのウォドムだ。

 

 

「んだ、テメェ!」

「ソイツの仲間か? いちゃもんばかり付けやがって!」

 Zガンダムを庇うようにして現れたメイに対しても、自分の機体に文句を言われた怒りをぶつける二人のダイバー。

 二人が怒る理由は充分あるが、それでも気性が荒いという部類に入るだろう。

 

「……キミ、あの基地に居なかったのにボクを散々追ってきてた奴だな。何者だ!」

「私は……お前の姉に当たる者だ」

「ふーん」

「なにコソコソ二人で話してやがる!」

「まとめてぶっ飛ばしてやるぜ!!」

 二機のAGE1が二人のELダイバーの少女に襲い掛かろうと、その機体の脚を持ち上げた。

 

 メイは「話を───」と二人を止めようとするが、その気はないようである。

 

 

「───んじゃ、その二人の事宜しく!」

 メイが渋々少女を守る為に戦闘態勢に入ったその背後で、守ろうとした少女本人は機体を変形させて、スラスターから煙を漏らしながらも一気にその場を離脱し始めた。

 

 コレには流石に唖然とするメイ。

 そんな事は関係なく、AGE1を使う二人はメイのウォドムを襲う。

 

 

「……っ」

「どうしたデカブツ!」

「俺達のガンプラを馬鹿にした割にはその程度か!」

「……困らせてくれる」

 目を細めて溜息を吐くメイ。

 

 そんな彼女の背後に、今度はまた違う二機のMSが降り立った。

 

 

「メイさん!」

「どういう状態だ? これ」

 ユメとケイの機体が地面に着地する。これを見て、さらにAGE1のパイロット達は「またさっきのZの仲間か!」と怒りをあらわにした。

 

「……追ってきたのか」

「なんだかよく分かりませんけど、手伝いますよ!」

「必要ない。それよりも、二人で彼女を追って欲しい」

 ユメの加勢を断るメイ。

 

 加勢はともかく、いま彼女にとってはZガンダムの行方の方が大事なのである。

 

 

「で、でも……」

「分かりました」

「ケー君?」

「メイさんを信じよう。今はあの子を!」

 そう言って、ケイはスラスターを吹かせてユメもそれに続いた。

 

 そんな二人を攻撃しようとするスパローだが、メイのウォドムがその巨体で立ち塞がる。

 

 

「今邪魔をされるのは不都合だ」

「この野郎。本当に一体なんなんだ!」

「構うもんか。ぶっ潰してやろうぜ!」

「……上手くやってくれれば良いが」

 AGE1使い達の言葉を聴き流しながら、メイはZガンダムを追いかけて行った二人に視線を向けるのであった。

 

 

 

 少し時間が進む。

 

「───見失ったな」

「方角は合ってると思うんだけどね」

 Zガンダムを追いかけていた二人だが、森の広がるエリアでZガンダムを見失ってしまっていた。

 

 天気は良くこの快晴で空を飛んでいるMSを発見出来ない訳がないが、ユメ曰く損傷具合からして墜落していてもおかしくないという話である。

 とはいったものの、この広い森林エリアで墜落したMSを探すのは難しい。森の中を走るワッパの三人とも協力して闇雲にZを探すしかなかった。

 

 

「……MSの反応?」

 ふと、ケイがレーダーを見ると心当たりのないMSの反応が映っている事に気が付く。

 もしそれがZではなくても、この辺りに居たダイバーならZを見ているかもしれない。

 

 二人は無言で相槌だけうって、レーダーに映ったMSの元に進路を変更した。

 

 

「……なんだ?」

 どこか頭身が他のMSと比べて低いガンダムタイプの機体の横で、一人の少年が立っている。

 ケイ達が見付けたのは、ポンチョを着たそんな少年のアバターだった。

 

 

「あの、すみません。ここら辺を飛んでいたZガンダムを見掛けませんでしたか?」

「Z……さっきの」

 ケイの質問に心当たりがありそうな表情を見せる少年。二人は嬉しそうに顔を見合わせるが、反対に少年は訝しげな表情で二人を見比べる。

 

「あのZを狙っているのか」

「ち、違いますよ! 私達は───」

「……怪しいな」

 焦るユメに、少年は目を細めた。

 

 

「確かにZは見たけど、あの機体は煙を吹いていた。……もしあのZを追ってPKを狙っているようなら、場所を教える訳にはいかない」

「PKなんてそんな事しないよ!」

「俺達はあの子を救いたいんだ」

 真剣な表情でそう言うケイの言葉に、少年は少しだけ表情を緩める。

 しかし警戒は解いていないようで、自分の機体に触れていつでも搭乗できる準備をしていた。

 

 

「救いたい、か」

「あの子を探していた人がいて、その人曰く……あの子の命に関わる事なんだ」

「信じてもらえないかもしれないけど、私達はあの子を助けたいの!」

「命……?」

 二人の言葉に、少年は少し目を見開く。

 

 

「イヴ……」

 少年の脳裏に一人の少女の姿が映った。

 

 

 

「……分かった。ここから南西、あの川岸に向かって墜落していったと思う。力になれなかったらすまない」

「ありがとうございます」

「ごめんなさい、邪魔して」

「いや、特に何かしてた訳じゃ……」

 自分の頭を掻く少年は、慌てて機体に乗り込む二人を見て苦笑いを溢す。

 

 

「……探してる、か」

 自らが示した方角へ向かう二機のMSを見上げながら、少年はそう口を開いた。

 

 

 

「見付かれば良いが」

 この少年───ヒロトが、後に二人やReBondのメンバーを救う事になるのはまた別のお話。




スペシャルサンクス、リライズのキャラ。また出番あるよ!その時まで!

読了ありがとうございました!
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