ガンダムビルドダイバーズRe:Bond【完結】   作:皇我リキ

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奇妙な出会い

 木々が燃える。

 GBNでは二酸化炭素中毒───なんて事はないが、突然起きた森林火災にたまたまその場にいたダイバーは慌てふためくのであった。

 

 

「せ、セイヤさん! 火事です火事!」

「落ち着け、サトウ」

 たまたまその場にいたダイバー。

 

 セイヤは、目を細めて「突然なんだ」と燃える木々に目を向ける。

 

 

「……この辺りに反応がある。居る筈だ、ELダイバーがな。探せ」

「火事起きてますけど」

「死なねーよ。……俺達はな」

 セイヤがそう言うと、その場にいたサトウ他数名の彼の仲間が森の中を探索し始めた。

 そんな彼等の前に、一人の少女が現れる。

 

 

「アツイアツイ! シヌ! ボクシヌ!! うげぇ!!」

 突然火の中から転がってくる赤髪の少女。セイヤの前まで転がって来たその少女の姿に、セイヤは目を見開いて固まった。

 

 

「───レ……イア?」

「……あ、こんにちは? なんでも良いけど助けて欲しい。ボクのZが火の海なんだ」

「あ? ち、違う。レイアじゃない」

 少女の言葉に目を細めるセイヤ。一方で少女は、勝手に周りの人間を集めて消火を手伝わせ始める。

 セイヤが固まってしまっているので、一方的な態度の少女に従うしかなく火事はMSの手によって直ぐに消火された。

 

 

「いやいやー、どうもどうも。助かったよ。どうもどうも!」

「なんなんだ、コイツ。セイヤさん、コレどうします?」

「お前は……誰だ」

 その瞳に、記憶の中の少女が混ざる。

 

 

 目の前の少女はただ、首を傾げて無邪気な表情で立っていた。

 

 

 ☆ ☆ ☆

 

 火事の後を見付けて、機体を下す。

 途中で会った少年にケイ達が聞いた話の通り、そこにはMSが墜落した跡のような痕跡が残っていた。

 

 

「ケー君、あれ見て!」

「Zガンダムだ」

 そして、二人はついに墜落して地面に横たわっているZガンダムを見付ける。

 大きな損傷はないが、操縦していたのは普通のダイバーではなくELダイバーだ。何が起きているか分からない。

 

「直ぐに降りよう」

 辺りでMSが着陸出来る場所を探して、ニャム達に連絡を取ってから二人は森の中に降りる。

 

 

「はーなーせー!! ボクが何をしたって言うんだー!!」

 その先で見付けたのは、複数のダイバーに囲われている少女の姿だった。

 

 

「……今度は何したんだあの子」

「あ、あはは。……ケー君、あの人」

 数人に捕らえられてひっくり返されている少女を見て苦笑いを溢すケイの横で、ユメはとある人物を見付けて指を指す。

 

「セイヤ、さん?」

「多分そうだよね?」

 ユメが見付けたのは、少女を側から見ながら固まっている一人の男の姿だった。

 

 NFTの時に見た彼の姿を思い出す二人。

 こんな所で何をしているのだろうか。NFT以降動きのなかった彼等との突然の遭遇に驚きつつも、ELダイバーの少女の扱いも気になる。

 

 

 乱暴されようものなら止めなければいけないが、木陰から黙って見ているとセイヤは「それくらいにしておけ」と仲間達を止めた。

 

 

「お前はなんだ」

「ボクはボクだ!」

 セイヤの質問にそう答える少女。目を細めるセイヤに、周りのダイバー達も少女を睨み始める。

 これは不味いと思ったケイが飛び出そうとしたその時、別の木陰から「セイヤ!」と一人の男が叫びながら飛び出した。

 

 

「こんな所で何してるのよ、えぇ。サトウまで」

「……カンダ」

 ダイバー達の間に入って少女の手を握るカルミア。遅れてケイ達の所にニャムとロックが追い付いてくる。

 

「兄さん……」

「アイツ、アンチレッドのリーダーじゃねーか。なんでこんな所にいやがる?」

 二人は言いながら、ケイ達と共に木陰から出た。

 

 

 機体が降ってきて火事が起きたかと思えば、五人も客が来たことにダイバー達は不穏な表情を見せる。

 そんな中でセイヤはカルミアの前に立ち「何しにきた」と短く呟いた。

 

 

「それはこっちのセリフよ。こんな所でなにしてんの、お前ら」

「このチビはお前のツレか? 趣味が悪い」

「……レイアとは関係ない」

 少女を庇う様な仕草を見せるカルミア。少女は首を傾げるが、ケイ達からすれば彼等が少女に何をするか分からない。

 

 それだけ印象が悪いという事もあるが、タイミング悪くこんな状況で再開した事もあるだろう。お互いにお互いを疑い深く睨む時間が続いた。

 

 

「兄さん!」

「……撤収だ」

 沈黙を破ったのはニャムだったが、彼女の言葉に続いてセイヤは片手を上げて仲間に指示を出す。

 するとダイバー達は次々とログアウトし始めた。

 

 

「まさかGBNで探検ごっこしてた訳でもあるまいよなぁ、セイヤ。何してた訳よ」

「お前には関係ない」

「関係ないなんて事あるか。俺はお前を───」

「そのチビ、ELダイバーか?」

 セイヤの言葉に、カルミアは「なんで」と短い言葉を溢して固まる。

 

 

 彼の言葉にどんな意味があるのか分からない。

 何故彼女がELダイバーだと分かったのか、ELダイバーだからといってなんなのか。

 

 カルミアの反応を見て不敵に笑いながら、セイヤはGBNからログアウトした。ReBondのメンバーとELダイバーの少女を残して。

 

 

 

 

「もう逃がさんぞ」

「結局ボクは捕まる運命か……ガクゥ」

 ロックに捕まえられた少女は苦虫を噛んだ様な表情でお手上げだと両手を上げている。

 そんな二人の傍で放心していたニャムだが、カルミアが彼女の肩を叩いて「セイヤの事は後回し」と彼女の意識を戻させた。

 

「キミ、どうして逃げたの?」

「ボクはZガンダムと遊びたかっただけだよ!」

「そのZガンダムはあっちでボロボロになってたけど。あのガンプラはニャムさんのなんだよ」

 頬を膨らませて少女を叱るユメ。怒っている様に見えるが、彼女が本気で怒るとどうなるか知っているカルミアは表情を引き攣らせている。

 

 

「……それはごめんなさい」

「あ、いえいえ。でも無事で良かったっすよ」

「Zガンダムが守ってくれたからね!」

 やはり不思議な事を言う女の子だな、というのが全員の認識だった。

 

 ガンプラの声を聞くことが出来る。

 それがELダイバーに多く見られる特徴だ。

 

 

「とりあえず連行だな。さっきの……えーと、メイさんだっけか? あの人の所に連れて行けば良いんだよな」

「……」

「おいケイ。お前に言ってんだぞ」

「え? あ、あぁ。ごめん」

 放心していたのはニャムだけではなかったらしい。何を考えていたのか、固まっていたケイの肩を揺らすロック。

 

「ケー君」

 ユメには彼が何を考えていたのか少しだけ分かる。

 

 

「アオト君は多分、さっき居なかったと思うよ」

「……そうだな」

 セイヤが居たという事は、彼の仲間になったアオトもあの場に居たかもしれなかった。

 だけど、ユメがそう言うならそうなのだろう。ケイは頭を横に振って今目の前にある問題をどうするか考え始めた。

 

 

 ───そんな所でタイミング良く、メイのウォドムが視界に入ってくる。

 

「見付けてくれていたか」

 ロックがウォドムに向けて手を振ると、機体が消えてメイが空から降って来た。

 メイは少女を見下ろすと、コンソールパネルを開いて誰かと連絡を取り始める。その画面に映る人物に、ケイ達は見覚えがあった。

 

 

「でかしたわぁ、無事妹ちゃんを保護出来たみたいね! あら? そこにいるのは───」

「───マギーさん?」

「ユメちゃんじゃなぁーい!」

 そこで、今回のメイの行動がマギーからの依頼だった事。そしてケイとユメがマギーの知り合いだった事を話し、一行は一度マギーの店に集まる事に。

 

 ボロボロになっていたZガンダムは一度リスポーンさせるために退場させて、ReBondの五人とELダイバーの二人はマギーが待つ店に向かう。

 

 

 その場を離れるReBondのメンバーだが、何故この場所にセイヤが居たのか。彼等は今何をしようとしているのか。

 

 それだけが、ただ気掛かりだった。

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